もしよろしければ皆様方に、このガンダムファイトをご説明させていただきましょう。
そもそも60年前の事です。
汚れきった地球をあとに、宇宙へと登った人々がコロニー国家間の全面戦争を避けるため、
4年にいちど、それぞれの代表選手を”ガンダム”と名付けられたマシーンに乗せ、
ファイトと称し、闘って、闘って、闘い合わせ、最後まで勝ち残ったガンダムの国が
コロニー国家連合の主導権を手にする事ができる。
なんとスポーツマンシップにあふれた戦争を作り出した事か。
ですが、残された問題が一つ。
このファイトの舞台は地球。
そう、我々の住む汚れ切った地球だったのです!
しかし、今回の大会は何やら様子が少し違うようです。
――――ストーカー
概要
『機動武闘伝Gガンダム』に登場するガンダムを使用した戦争の代替行為。原則的にガンダム同士の一対一で行われる。
未来世紀4年に終結した第一次カオス戦争から2年後、冷戦状態にあったコロニー間の緊張は激化の一途をたどっていた。
地球圏と人類の滅亡に繋がりかねない第二次カオス戦争の勃発は時間の問題とされるなか、これを回避するための代理戦争として、コロニー連合軍事評論家デューサー教授が国際会議の際にある発案をする。
地球をリングに各コロニー国家がコロニー国家連合の主導権を賭け、「ガンダム」と名付けた次世代型モビルスーツを戦い合わせ、最後まで勝ち残ったガンダムの国家にコロニー国家間の主導権を握らせるのはどうか―――。
当時はこの突飛な提案に世界の首脳陣は難色を示したが、どうしたわけか段々と国際会議で優先事項になっていき数週間後には全会一致で可決された(これにはシャッフル同盟による間接的な関わりがあったと云う)。
記念すべき第1回大会の参加者の殆どは、軍トップのベテランパイロットで占められていたのだが、そんな中で、ネオギリシャの三流MS乗りヘローダ・ディオニソスの乗るバルカンガンダムが、番狂わせともいえる快進撃で優勝者となる。
これは導入されたモビルトレースシステムがバルカン柔術の達人だった彼の身体能力と抜群の親和性を発揮したことによるもので、以降は武術や射撃術のスペシャリスト、即ちファイター達が台頭していくことに。
またこれにより、コロニー格闘技なる大会も推奨され、開催されるようになった。
ガンダムファイトによって大規模な戦争が起こらなくなり世界に平和がもたらされた一方で、コロニー間の代理戦争としてリングとなる地球に荒廃を強いることに変わりはなく、未だ地球に住む人々の中には大会そのものを忌み嫌う者もいる。
地球の環境悪化は留まるところを知らず、地球屈指の繁栄都市であるネオホンコンでさえ郊外は廃墟と化している。この事態を憂いた者たちは、それぞれ行動を起こすのだが…
参加するガンダムには各国固有の登録番号が発行され、表記された内容は左から順に下記の項目で判別できる。
- 出場した大会
- 前回大会での順位
- 所属している国家
- 何号機
例としてゴッドガンダムを挙げると下記のようになる。
GF13-017NJ II
- 第13回大会
- 前回大会17位
- ネオジャパン
- 2号機
歴代優勝者
開催した年 | 回数 | 機体 | パイロット | 所属国 |
---|---|---|---|---|
F.C.08年 | 第1回大会 | バルカンガンダム | ヘローダ・ディオニソス | ネオギリシャ |
F.C.12年 | 第2回大会 | ガンダムフリーダム | フィアー・フィラデル | ネオアメリカ |
F.C.16年 | 第3回大会 | ファラオガンダムⅢ世 | ダハール・ムハマンド | ネオエジプト |
F.C.20年 | 第4回大会 | フェイロンガンダム | サイ・フェイロン | ネオチャイナ |
F.C.24年 | 第5回大会 | バロンガンダム | フェルナンド・ロワール | ネオフランス |
F.C.28年 | 第6回大会 | ガンダムトーネード | ビットリオ・アルジェント | ネオイタリア |
F.C.32年 | 第7回大会 | カイザーガンダム | ウォルフ・ハインリッヒ | ネオドイツ |
F.C.36年 | 第8回大会 | コサックガンダム | スキレイ・ジリノフス | ネオロシア |
F.C.40年 | 第9回大会 | ブリテンガンダム | ジェントル・チャップマン | ネオイングランド |
F.C.44年 | 第10回大会 | 〃 | 〃 | 〃 |
F.C.48年 | 第11回大会 | 〃 | 〃 | 〃 |
F.C.56年 | 第12回大会 | クーロンガンダム | マスター・アジア | ネオホンコン |
F.C.60年 | 第13回大会 | ゴッドガンダム | ドモン・カッシュ | ネオジャパン |
大会のプログラム
大会は一年を通して行われるが開会式は行われず、開催して最初の対戦で発生するファイティングシグナルを衛星軌道上のコーナーポストが確認してからスタートとなる。
その後は「サバイバル・イレブン」と呼ばれる11ヶ月の予選期間が始まり、これを生き残ったガンダムとファイターに決勝ラウンドの参加権が与えられる。
決勝ラウンドで優勝した国家は次回のファイト開催までの4年間、コロニー国家の絶対的な主導権を握れるのと同時に次回の主催国となる。
また、優勝したファイターには最強のガンダムファイターを表す称号、すなわちガンダム・ザ・ガンダムの栄誉が贈られる。
なお、本作の題名はこの称号を略したもの…つまり『機動武闘伝ガンダム・ザ・ガンダム』が正式であり、『機動武闘伝ゴッドガンダム』ではない。
大会期間中は地球の周囲にビームロープが張られ、地球上のファイター達は監視・観察の対象になる。
サバイバル・イレブン
開催年一発目のファイトの発生をゴングに始まる11ヶ月の予選期間。
突破条件はその名の通り11ヶ月の間生き残ることで、生き残るのであれば手段は問われない。
他所のファイターにファイトを吹っ掛けてライバルを潰し減らすのも良し、建造物に擬態して徹底的に戦闘をやり過ごすのも良し。
予選期間が終了すると、生き残ったガンダムとファイターは決勝大会の開催地へ向かう。期日までに到着できなかったファイターは機体が無事でも失格となる。
決勝大会
主に主催コロニーの元あった地球上の領土内で開催される(第13回大会は香港とその近海)。
こちらでは開会式が大々的に行われ、当然だが閉会式や優勝パレードもある。
試合形式はその年その年で異なり、劇中では数週間かけてリーグ戦を行った後に総合成績の優れた者で最終決戦のバトルロイヤルを行うというものだった。
他に判明しているのは第7回大会が最初から出場機体全ての総当りバトルロイヤル形式であったことのみ。
そのため、この情報が世に出るまでは視聴者にある物議をかもすことになる。
なお、主催国が権力を笠に着てルールを追加したり、意図的に特定国家の機体に妨害を行ったり、特例を設けて失格者を復活させたりすることもある。当然、このような事をやり過ぎると、幾ら覇権を認められた主催国と言えど、コロニー連合内での反感を高め孤立するため、ある程度の自制や抑止が働くはずなのだが(ガンダムファイトのシステム上、永久に優勝者・覇者であり続けることは普通なら不可能であり、自身がその座を譲ってからの事も考慮し続けなければならない)、本作の13回大会の主催国ネオ・ホンコンは大会の背後でデビルガンダムによる覇権の固定化・永続化を目論んでいたため、このような無茶を行っていた節がある(後述の13回大会決勝大会3ヵ条も同様である)。
優勝後の国家とファイターの待遇については上述の通り。
ガンダムファイト国際条約
- 第一条 - 「頭部を破壊された者は失格となる。」※1
- 第二条 - 「相手のコクピットを攻撃してはならない。」
- 第三条 - 「破壊されたのが頭部以外であれば、何度でも修復し決勝リーグを目指すことができる。」
- 第四条 - 「ガンダムファイターは己のガンダムを守り抜かなくてはならない。」
- 第五条 - 「1対1の闘いが原則である。」※2
- 第六条 - 「国家の代表であるガンダムファイターはその威信と名誉を汚してはならない。」
- 第七条 - 「地球がリングだ!」
- 第一条補足 - 「試合中の過失によるガンダムファイターの殺傷は認められる。」 ※3
- 第七条補足 - 「ガンダムファイトによって地球上の建築物を破壊しても罪に問われることは無い。」
※1 あくまで破壊であり、装甲が削れた程度なら失格にはならない。
※2 タッグマッチは認められる場合がある。また乱入行為は違反でこそないが、モビルファイター同士の戦いが1対1であることは共通。
※3 試合以外でファイターが死亡もしくは戦闘不可になった場合、新たなファイターに交代できるかは不明。
その他のルール・レギュレーション
- 出場する機体はモビルトレースシステム搭載が必須(ファイティングスーツに関しては旧式のタイプでも査察を通れば問題なし)
- 頭部が無事で前の機体のデータを引き継いだ機体であれば、1度に限り乗り換えが認められる(本来は禁止であるが13回大会ではクーロンガンダムからマスターガンダムという継承を押し通すためウォンの強権によって1度だけ認められている模様。これに便乗できたのでゴッドガンダムへの乗り換えも可能になった)
- 開催期間中は特別な事情がない限り、一度地球に降りたファイターをコロニーに上げることはできない
- 前回大会に出場したファイターや優勝経験があるファイターであっても出場することができる
- 前回大会に出場した機体で出場してもよい
劇中は第13回大会の様子が描かれているが、第1回以降はルールの盲点を突く様々な不正が露骨に付き纏う。
特に第7回と第13回大会では特殊なルールが追加されていた他、第12回大会では「オプション装備は自立稼動でなくてはならない」という規定が設けられていた。
第11回大会でネオイングランドのチャップマンが射撃主体のブリテンガンダムで三連覇を成し遂げたことによる軍拡化の気運が高まり、『第三次カオス戦争』の開戦が懸念された。その影響で未来世紀52年はファイトの開催が見送られた。
しかし第12回大会で武闘家である東方不敗マスター・アジアが優勝した事により重火器主流の時代は終焉を迎え、再び格闘技主体のモビルファイターが増える事になった。
第13回大会ではネオホンコン首相ウォン・ユンファにより、決勝リーグ限定で下記の3ヶ条の特別ルールが追加された。
決勝大会3ヵ条
- 1, 機体の修理及び改造を自由にしても構わない※1
- 2, たとえコクピットであろうと手段を選ばず攻撃を許す※2
- 3, 最終バトルロイヤルを勝ち抜いた最後の1体にガンダム・ザ・ガンダムの栄誉を与える
※1 頭部を破壊されても失格にならず、機体の交換(同型機に限る)も制限なし
※2 勝利のためなら故意にコックピットを狙って攻撃してもよい
上述のように1条、2条はガンダムファイト国際条約に反する内容なのが特徴。特に2条は代理戦争によって流血をなるべく避けようというファイトの主旨にすら反している。13回大会決勝大会でこのような無茶なルールを設けたのは決勝大会を激化させることで、それをデビルガンダム完全復活のために利用しようというウォンの密かな目的があったためである(表向きは興行として大会を盛り上げるため、という体裁)。
ネタ的概要
イラストやタグ的には『機動武闘伝Gガンダム』に関するものや内容が類似している作品、原作に登場する場面に構図が類似しているものも含まれる。
昨今のガンダムシリーズの「敵も味方もガンダムだらけ。というか量産機どこいった?」という状況を揶揄して言うこともある。
特に『ギレンの野望』や『機動戦士ガンダムオンライン』などでは、宇宙世紀でありながらも一つの戦場で数十機のガンダム(ガーベラ・テトラ含む)が暴れていることも多い。
スーパーロボット大戦では
基本的に原作と同様の「国家間の代理戦争」としては扱われず「メジャー(マイナー)なスポーツ競技」としての扱いが多く、サバイバルイレブンや決勝大会などの原作再現もされていない。
スーパーロボット大戦Tでは原作終了後参戦ながら、比較的に原作通りにガンダムファイトが設定に組み込まれており、更には「人々に勇気を与える」という真の目的がある事が語られた。
コンパチヒーローシリーズでは
ガンダム無双シリーズ
『2』にてフレンドシップミッションとして「ガンダムファイト一回戦」、「ガンダムファイト準決勝」、「ガンダムファイト決勝」がプレイ可能。
『3』では掛け合いで(ドモン、東方不敗、シュバルツが)「ガンダムファイトォ!レディィィィィ!?」と問い掛けるとキャラクターが「ゴー!!」と返すシステムがある。
『真・ガンダム無双』ではなんと主催はあのティターンズで名称も「ティターンズファイト」となっている。
ロストヒーローズ
凍てついた光の国が変質した「ウルトラ・キューブ」で行われるバトルロイヤルとして「リジェス・ファイト」が開催された。本大会の目的は実力者を選別し、ウルトラ・キューブの全権を握る王を決める事にあるが、実際はデビルガンダムの最適な生体ユニットを探す事にあった。
ヒーローチームとジャックチームはリジェスの野望を叩き潰し、氷漬けとなったウルトラマンタロウを救助するためにこの大会に参加することとなる。
大会運営はマスターガンダムによって行われ、スタッフはマスカレイド・ドーパントが務めており、参加資格はヒーロー・悪役関係なし。
本選に出場できる8組を決める「サバイバル・イレブン」が予選に当たり、11時間以内にプラズマスパークタワーに辿り着いたものが本選への出場資格を得られるが、リング内で指定された相手と戦い、勝ち進む必要がある。
リジェス・ファイト参加者
サバイバル・イレブン敗退
本選出場者
関連イラスト
関連タグ
アスティカシア高等専門学園:後の作品の舞台であるこの学校では生徒によるモビルスーツ同士の決闘が認められており、そのルールもガンダムファイトのルールに似ている部分がある(その世界観も未来世紀同様の部分がある)。ただしこの世界ではガンダムと言うモビルスーツ自体が否定されている。
ヒプノシスマイク:ディビジョンと呼ばれる地区の代表がラップバトルのパフォーマンスで競い合う代理戦争を描く作品。そのため、知らない人に世界観を説明する際に専ら「ラップバトル版ガンダムファイト」と比喩されがち。ちなみにGガンダムもヒプマイ同様音楽関連の出版がキングレコードである。