「ドモン君。奴を捕らえる事が出来るのは、キング・オブ・ハートの君しかいないのだ!」
CV:飛田展男/デイブ・ケリー(英語吹き替え版)
概要
同国のガンダム開発局にも所属しているほか、第13回ガンダムファイト委員会のメンバーも務める。
特徴的な形状をした銀のマスクで顔半分を覆った長髪の中年男性。年齢推定は40代半。
実直な軍人でデビルガンダム捕縛のため、ミカムラ博士と共にドモン・カッシュをサポートする。
劇中世界における軍人にしては珍しくガンダムファイターを無下に扱わない人物で、国の威信のために高圧的な態度を取りがちなカラト委員長からドモンを庇うこともあった。
また、デビルガンダム捕縛に備えてライジングガンダムを用意するなど、いざとなれば自身も出撃する気概を持ち合わせている。
ランタオ島においてデビルガンダムが撃破された後、粛々と残骸の回収を主導した。
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「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!ウォンは良く研究してくれたよ!おかげでデビルガンダムの復活は順調だ!生体ユニットに女性を選んだ事でね・・・」
善人風で実直な軍人を装っていたものの、本性はかなりの野心家にして策略家。
デビルガンダム事件の裏ではミカムラ博士のコンプレックスに付け込んで共謀しており、デビルガンダムによる世界の支配を企でていた。
かつてアルティメットガンダムの驚異的な性能を目の当たりにした彼は、「力による全宇宙の支配」という野望を抱く。
時を同じくしてカッシュ博士への嫉妬心が爆発してしまったミカムラ博士を抱き込むと、軍部を動かしてこれを奪おうとするが、カッシュ一家の抵抗を受け地球への逃走を許してしまった。
それでも諦めずにアルティメットガンダムを手中に収めるべく、モビルスーツ部隊を率いて自らもMAファントマを駆って追撃。
しかし、暴走してデビルガンダムと化していたアルティメットガンダムにより部隊は全滅、自身も顔に大怪我を負ってしまうと同時にデビルガンダム細胞を植え付けられた(この時点でデビルガンダムの傀儡になっていた説もある)。
当初よりも更なるパワーアップを果たしたアルティメットガンダムの姿を目の当たりにしたウルベは、コロニーに帰還すると、力による強奪から倫理面を攻める謀略へと路線を変更する。
カッシュ博士らの研究『アルティメット細胞効果』を危険な物として告発・糾弾し、デビルガンダム暴走の責任を擦り付けて博士を冷凍刑に処して口を封じた(キョウジは行方不明になったため、事件の首謀者として抹殺対象及び指名手配犯にした)。
更に、折り悪く地球での修行から帰ってきたばかりで世情に疎かったドモンに目をつけ、父の冷凍刑に処された姿や母の遺体を見せることで精神的に揺さぶりをかけて「兄の責任を取らせる」名目でガンダムファイターに仕立て上げる。
加えて「兄が突如として狂気に駆られて事件を起こした」とする嘘のホログラムを用いた疑似追憶で洗脳も施すなどし、巧みに彼の視野を狭くさせてデビルガンダムを追わせていた。
そんな策略家のウルベだが、実は第12回ガンダムファイトにおけるネオジャパン代表のガンダムファイターという過去を持っていた。
本人曰く「当時すでに天才ファイターと呼ばれていた」とのこと。
実際に卓越した武術家だったのは誇張ではないようで、未だに銃火器全盛の時代であった第12回ガンダムファイトに格闘武装のみの機体で出場し、決勝大会まで勝ち抜いた実力は本物であったといえる。
しかし、その決勝大会で東方不敗マスター・アジアにわずか一撃で下されるという、完膚無きまでの敗北を喫してしまう。
この敗北による屈辱と挫折に歪んでしまったウルベは、「この世は力こそが全て。強大な力に勝る物は無い」という妄執に取り憑かれてしまった。
・・・敗北を喫したファイターに対する風当たりの強さは、どのコロニー国家においても基本的に酷い場合が殆どである。
しかも鳴り物入りで予選を突破したものの決勝大会という大舞台で無様に惨敗した彼は、相当なバッシングを受けたものと思われる。
それを考えれば歪んでしまうのも致し方ないのかもしれないが・・・。
大会終了後は軍に戻りつつ、ファイターとしての経験を活かせるガンダム開発局に所属。
モビルファイター開発の中心として活躍していき、シャイニングガンダムの開発に携わった。
ちなみに、ファイターを引退して4年が経過しているにもかかわらず有事に備えて身体の鍛錬は続けており、軍服の下はそんな細い体つきでどうやって納めていたんだと言わんばかりに筋骨隆々な鋼の如き肉体を維持していた。
ドモンがデビルガンダム及びマスターガンダムを打ち破って優勝を果たすと本性を現し、上述したように軍を動員してデビルガンダムをランタオ島から回収。
前日にウォン・ユンファが行方不明になっていた事で彼の研究資料も接収し、レイン・ミカムラを生体ユニットとしてデビルガンダムを再生・復活させる。
秘密裏にネオジャパンコロニーへデビルガンダムを融合させて最強の機動兵器デビルガンダムコロニーを造り出すと、それまで自身に従っていた戦艦のクルー全員を不意に射殺。
ガンダムファイトの無期限中止を地球圏に宣言し、全世界・全人類に対して完全降伏を要求した。
手始めに、ネオジャパンコロニーを「自由の女神砲」で攻撃してきたネオアメリカを一蹴すると同時に、デビルコロニーによる反撃で逆に「自由の女神砲」を破壊。
触手のような物を地球に送り込み、都市の一部を壊滅させて惑星をも取り込む算段を始めるが、改心したミカムラ博士の決死の反抗やガンダム連合の妨害、シャッフル同盟のコロニー内部侵入によって遅滞を余儀なくされる。
シャッフル同盟にエネルギー炉までたどり着かれるとグランドマスターガンダムを駆り、シェイクスピア歌劇の台詞を引用しながら、圧倒的なパワーと耐久力でシャッフル同盟を苦しめた。
しかし手に入れた力に酔い痴れたのも束の間、全身を完全にDG細胞に侵食されて人外の存在と化す(コミカライズでは更にドクターヘルデザインの機械獣状態に変身)。
カッシュ博士いわく「デビルガンダムそのもの」となったウルベはDG細胞の時代の到来を宣言し、人類絶滅を叫んだ。
狂気を孕んだ笑いで勝利を確信していたが、シャッフル同盟が心を一つに持ち直すと形勢逆転され、5人の合体技「シャッフル同盟拳」でグランドマスターガンダム諸共に上半身を残して消滅させられる。
最後はレインの下へ急ぐドモンに対し、罪の意識で心を閉ざした彼女は拒絶するだろうと嘲笑しながら、完全に崩壊・消滅した。
余談
近年増えている「主人公の身近にいて信頼を得ている人物が実は黒幕」の1人とも言える。
上述したように、ウルべはデビルガンダムに関する事件を引き起こした事実上の黒幕であり、主人公であるドモンとその一家や尊敬する師匠、無関係のガンダムファイター達、果ては死者といった多方面に被害をもたらしたガンダムシリーズでも屈指の極悪人である。
……なのだが、これだけの悪事を働いたにもかかわらず視聴者やGガンファンからの印象はというと
「薄い」
この一言に尽きてしまう。
歴代ガンダムシリーズでも上位に食い込む程の悪役にもかかわらず、このような評価になってしまったのはなぜか?
それは以下の理由が挙げられるだろう。
①行動時期の遅さ
ウルベが本格的に活動し始めたのは第13回ガンダムファイトが終了してからと、かなり後半である。これは本来なら「ドモン達や視聴者達に気付かれなかった策略家としての有能さ」と言える。
・・・のだが、いかんせんその事実が発覚した時の視聴者は「瀕死の兄とその生き写しとの、本当の別れ」や「師匠との全力勝負」といった、話の濃い回の直後で余韻に浸っている真っ最中。
インパクトが薄れるのもやむなしである。
②野望
ウルベがデビルガンダムを手に入れようとした理由は「デビルガンダムを使って全宇宙を支配する」というもの。
悪党としてはそれほど珍しいものではないのだが、ネオホンコンのウォン・ユンファと全く同じ。
天丼にも程がある。「それほど珍しいものではない」野望なのが却って仇になってしまった形である。
③ミカムラ博士との相対評価
いくら良心的だったとはいえウルべはドモンからすれば出会って数か月の浅い付き合いに過ぎず、さらに「初対面から穏便に振る舞ってくる赤の他人ほど裏がある」もので物語序盤から黒幕候補に挙がっても何らおかしくはない人物である。
むしろカッシュ家と長い信頼関係で結ばれていたと思われていたミカムラ博士がデビルガンダム事件の根幹に関わっていた事実の方が余程ショッキングな出来事だった。
第一印象から見れば赤の他人でどことなく怪しい雰囲気のあったウルべより、長い付き合いのあった温厚なミカムラ博士の裏切りに対する評価の落差の方が激しく、ミカムラ博士の株大暴落にウルべが埋もれてしまったのは言うまでもない。
更にドモンはれっきとした理由があったとはいえ東方不敗にも裏切られていたため、今更元々裏切りそうな人間が裏切ったところで視聴者からすれば何の驚きもないのは当然であろう。
寧ろ、ウルベの上司で大会中はドモンに高圧的に接していたカラトが実はウルベの傀儡だったとか黒幕だったとかではなく、野心こそあれ国民のことをちゃんと気にかけて彼なりに最善の行動をとる良心的な人物だったことに驚いた視聴者も多い。
④動機
そもそもの野望を抱いた動機が元をたどれば単なる過去のファイト敗北の逆怨みであり、はっきり言えばそれ以上でもそれ以下でもない。
劇中では語られていないだけで、当然ながらそのような経験をしたファイターは過去にごまんといる。
極めつけが、同じく優勝候補とされながら肝心なところで惨敗を喫したのみならず、敗戦時に失明した上にそのせいで政府から役立たずとして放逐されたキラル・メキレルとの対比。
彼はウルベ以上に理不尽な扱いを受けて闇堕ちこそしたものの恨んだのはガンダムファイトであり、更にはドモンとのファイトを通じて改心している。
一方でウルベは決勝大会を敗退こそしたものの、ネオジャパン軍から追い出されなかったどころかガンダムファイト委員会の一員に加えてもらえた上に、ガンダム開発局にも入れてもらえたという、かなりの高待遇である。
カラトが何時大会委員長に就任したかは不明だが、仮に前大会にも関与していた場合は「ウルベの敗退を出汁に理不尽に地位をはく奪する狭量な指導者ではなかった」ことになるし、逆に前大会の敗北でカラトとは対立する派閥が主導しておりそれらが失脚した後釜として就任したとするならば「たとえ対立する派閥でも使えると見込んだ人物は登用できる度量の広い人物である」ということになる。
いかんせんキラルが受けた「それまでの戦績(おそらくほぼ全勝)を一切評価せず、失明したままの状態で放逐」という理不尽な扱いに比べれば、ウルベの動機は精神の鍛錬不足が如実に見て取れてしまうため、小物臭さが際立ってしまっている。
⑤デビルガンダムとの上下関係
本人としてはデビルガンダムを自在に操る予定だったが、最終局面でDG細胞に肉体どころか精神まで乗っ取られてしまい、デビルガンダムの操り人形と化してしまった。
王道すぎる。
第12回ガンダムファイトの戦績の謎
ウルベが前回大会(第12回)のガンダムファイターであった事が発覚するのは終盤だが、この時「決勝大会まで辿り着き最後の一戦を迎えた」と発言している。
この発言を素直に読み取るならネオジャパンの順位は2位であったはずだが、シャイニングガンダムおよびゴッドガンダムの形番はGF13-017NJ(Ⅱ)・・・。
つまり第12回大会のネオジャパンの順位は17位であったということである(ちなみに形番上で推測される第12回ガンダムファイト2位は13回大会でゼウスガンダムを擁するネオギリシャ)※。尚、17位というのはネオイングランド(3位)、ネオアメリカ(6位)、ネオフランス(9位)、ネオチャイナ(11位)、ネオノルウェー(12位)、ネオロシア(13位)などより下である。全体的に見れば決して低くはないが、かなり微妙な位置といえる・・・。
※ガンダムファイトに参戦するモビルファイターへ付けられる型式番号は
「GF(参加大会)-(前回のガンダムファイトの順位)(国家の名称)」
という決まり。
Gガンダムの型番設定は物語開始時から決まっていたものの、ウルベの過去は最終話間近で明かされたため、単に設定が忘れられていた可能性がある。
もしくは説明が省かれただけで第12回ガンダムファイトの決勝大会はバトルロイヤル方式で(第13大会でも決勝大会最終決戦は「前大会優勝者としてシード権を持つ東方不敗及び決勝大会上位者による、ランタオ島をリングとしたバトルロイヤル方式」が採用されている)、その中で東方不敗に相対し(敗北して脱落した)一戦を指して「最後の一戦」と発言したとも考えられる(この場合ではウルベが東方不敗に敗れた時点では、東方不敗含めてまだ16人が敗れていなかったのでネオジャパンは17位になった、という事になる)。
余談
かつての搭乗機
第12回大会で彼が搭乗していたガンダムはシャイニングガンダムに機体形状が酷似しているが、これはシャイニングの準備稿を流用してデザインされたため。
関連書籍では「ウルベのガンダム」又は「ウルベ専用ガンダム」としか名前が無かったが、ときた洸一氏が2024年2月23日に自身のX(旧Twitter)に投稿した記事にて「(原文ママ)富士山の日ーーーってワケではないが、ボンボンで描いてた頃第12回ガンダムファイト出場「ウルベのガンダム」の名前は「フジヤマガンダム」だと聞いた(読んだ)ような…?その後、その記述は見ないから 〆切に追われて見た「幻」だったのかもしれない…^^;」と投稿しており、機体名称が「フジヤマガンダム」であった、という説がここで浮上してきた(ただ、上述の通り記憶違いの可能性がある)。
中の人について
ウルベを演じた飛田氏は機動戦士Zガンダムの主人公カミーユ・ビダンを、ケリー氏は英語吹き替え版Zガンダムでブライト・ノアを演じているなど、両者ともシリーズ的にも超大物である。
関連タグ
ラスボス(笑)・・・(余談の項目からこう言える)
後の作品にて飛田氏が演じたガンダムシリーズの悪役。
ギナに至っては暗色の長髪で、主人公の家族を壊滅に追いやった元凶を作ったという点でも共通している。
ウルベのオマージュと思われるガンダム作品の悪役。
ウルベのオマージュと思われる黒幕(主人公やメインヒロインの父を利用して地球を支配しようとするなど)。
日本版の中の人が同じで共通点も多い悪役(主人公の先輩に当たり、力こそが全てと信じ、何でも利用するなど)。