「一度地球を破壊し、生まれ変わらせてやれるのは、この私だけだ!」
「そうだ、私は元護星天使、救星主のブラジラ! 愚かで弱い人間どもは根絶やしにし、汚れきった地球をは粉々に打ち砕く! そして私は新たな星を創り直し、“救星主”となるのだ!」
「3種類のゴセイパワーを手に入れた私は、もはや護星天使などという卑小な存在ではない。私は救星主。新たな地球を創り、命を導く者だ」
「弱く愚かな者は、強く賢い者に仕え、奉仕するために存在するのだ!」
概要
概要
『天装戦隊ゴセイジャー』にて、様々な組織を渡り歩いてきたブレドランの真の姿。
その正体は、1万年前に幽魔獣を封印した当時最強と謳われた護星天使(種族はスカイック族)であり、ゴセイナイト(グランディオンヘッダー)の本来の主人でもある。
1万年前のゴセイジャーの1人であり、かつてはアラタ達のように人間と同じ姿だったが、後述する理由から今の姿に変わっている。
人間時代の姿はシルエットと映った目元と口元から体格の良い壮年~中年相当の男性だった事が窺える。服は当時の装束のような物を着ていた。
人間を根絶やしにした上で汚れきった地球を一度破壊し、新しい星を創る「地球救星計画」を画策し、そうして創った星の命を導く者「救星主」として君臨する事を目的とする。
幽魔獣を封印する際にはエルレイの匣と3種族のオーブを用いたが、元々はシーイック族とランディック族のオーブは仲間から奪ったもの。それもただ強奪したのではなく、「未熟な仲間と協力するくらいなら優秀な自分が一人で倒した方が効率的」と判断したブラジラが、自らの手で仲間を殺害し、オーブに変化させた。
幽魔獣の封印には成功したものの、護星界は仲間殺しが発生した事を重く受け止め「如何なる理由があっても犠牲を出す事は許されない」と糾弾。しかるべき罰を下すべくブラジラを拘束するが彼はそれを自力で振り払い、未完成だった天装術「タイムトラブル」で1万年の時を越えて現代に逃亡。その際に「タイムトラブル」の副作用で本来の姿を失い、現在の怪人の姿へと変貌した。
そして更なる力を得る為に地球にウォースターを呼び寄せ、カモミラージュの天装術で偽装して「ブレドラン」と名乗り、様々な組織に潜入して暗躍を繰り返してきた。
作中の描写を見る限り、現代に飛ばされてすぐにウォースターを呼び寄せたようだが、彼がどういう経緯でウォースターの存在を知り、どうやって呼び寄せたのかは不明。
趣味はコスプレであり、姿を変えての潜入は趣味と新たなる力を手に入れるという実益を兼ねた行動。
武レドランとして幽魔獣に加わっていた頃、ウォースター残党に接触する際には彗星のブレドランの姿に戻っていた事も一つの伏線であった(なお、マトリンティス時代は体をガチ改造されている為、ブラジラの姿も天装術による補正が入っているのでは?と推測される事も)。
性格
性格
「今の地球に未来はない。護星界がマスターヘッドを中心に地球を見守り続けて来た間、何があった? 人間どもは醜い争いを続け、地球を汚す一方ではないか! 星を救う者、すなわち“救星主”たる私が最強の力を得た今、機は熟した! 一度地球を破壊し、生まれ変わらせてやれるのは、この私だけだ」
「傲岸不遜」にして「冷酷非道」を絵に描いたような人物であり、徹底的なまでにゴセイジャーの面々とは相容れない気性の持ち主。
かつての同胞や潜入した組織の者達を手にかけた事に対して微塵の後ろめたさも抱かないばかりか、「自らが救星主になる為にはやむなし」と開き直っており、自らの功績を認めず処罰しておきながら、地球の環境悪化には傍観の姿勢を崩さず何の手も打たない護星界に対して「裏切りに他ならない」と一方的に憎しみと憤りを抱いている。
そして自身の提唱する「弱く愚かな者は、強く賢い者にかしずく」思想こそが唯一の真理としている為に、ゴセイジャーの説得に耳を貸さず、彼等の信頼と絆を認める事も無かった。
そうしてウォースターでは「武力」、幽魔獣では「幻術の力」、マトリンティスでは「技術力」と、それぞれから新たな力を手に入れ、自らの生まれ持つ力と合わせる事で更なる高みに昇華させようと目論む。
ただし、潜入した組織を利用してきた事については、彼の方も散々利用されたのである意味そこはお互い様である。というかウォースターと幽魔獣については、別にブラジラが原因で壊滅した訳でもないので、本人が「利用し尽くして捨ててやった!」と豪語する程の実害があったようには見えない。
特に幽魔獣の時は最後まで利用された挙句、最終的には自身の作戦を逆手に取られて逆に切り捨てられたている。
要するに幽魔獣に限れば散々利用し尽くされて切り捨てられたのはブラジラの方であり、幽魔獣側は意図せずに1万年前の意趣返しに成功した形になっている。
ちなみに配下であるダークヘッダーの戦い方には干渉せず見守っている為、部下思いな一面は少なからずある。
戦闘能力
戦闘能力
ゴセイパワーとは異なる「ダークゴセイパワー」なる力を用い、源で強力な電撃を放つ剣・ダークサーベルを武器として扱う。仮の姿である武レドランの時も電撃を発射して攻撃できた。
また、背中の翼を展開することで強力なエネルギー波も発射可能。
天装術はゴセイパワーの結晶体とも言うべきオーブを胸のアーマーに読み込ませて発動する。オーブは先述のシーイックパワーとランディックパワーのオーブの他、自らの持つスカイックパワーを込めたオーブ、ナイティックパワーを司るオーブ、そしてタイムトラブル時に使った時のオーブの5種が存在。オーブには陸/海/空/騎士/時とそれぞれの属性を表す紋章(各々の属性の文字のひらがな表記をアレンジしたもの)が刻まれている。
また現在のゴセイジャーが使う天装術とは仕様が異なるが、これはテンソウダーとカードの誕生による天装術の体系化がごく最近であるのが理由。それ以前の、少なくとも彼が現役だった1万年前の天装術はオーブを使用する方式だったようだ。
古代の護星天使も現在と同じように三種族に分かれていたが、天装術自体はお互いの属性が入り混じっていた。元々ブラジラのヘッダーだったゴセイナイトの用いるナイティックパワーが現在のカード方式でありながら、様々な属性を内包していたのもこれが影響している。
戦闘力自体はかなりのレベルであり、ゴセイジャーを圧倒したのも事実だが、自信過剰な性格が災いし不覚を取った事が幾度もある。
このため付け入るスキが非常に大きく、さらに悪く言えば一万年前の当時から全く成長していないため、ゴセイジャーを「若く愚かな見習いども」と蔑んでいるものの、実際には「幽魔獣を倒せなかった頃の最強の護星天使」と「幽魔獣を倒すほどに成長した見習い護星天使」という構図になっており、実質的な実力は既に並ばれている。
ダークヘッダーを用いることもあり、両腕にヘッダーモードになったロー・オ・ザー・リとバリ・ボル・ダラを装備し、攻撃や彼等にシールドを発生させる事も可能。
地球を滅ぼそうとした堕天使の最期
地球を滅ぼそうとした堕天使の最期
地球救星計画に対する執念は凄まじく、最終決戦では巨大戦で爆発した後も生き延び、アラタの必殺技「レッドダイナミック」を受けて一刀両断されるも「ただでは死なぬ…! 救星はならずとも、破壊だけは必ず果たす…!!! 地球は…護星界共々滅ぶがいい!」と笑いながら砕け散り、ネガーエンドの楔に自身の残りのダークゴセイパワーを送り込んだ。
しかし、それもゴセイジャーと地球自身が起こした奇跡「ゴセイグローバル」によって阻止され、彼の野望は完全に潰えた。
決戦後、彼の後輩に当たる同じスカイック族のアラタは「護星天使が力を持っているのは未熟だからこそ」であり、「だからもっと地球の美しさや人々の逞しさや命の素晴らしさを学ぶ為に俺達はこの力を与えられた」と悟っていたが、その観点で言えば作中で1番未熟だった護星天使は他でも無いブラジラ自身と言う事になる。
現代の見習いの5人、そして1万年前に彼が未熟と断じて殺めた2人の仲間は確かに技術的にも経験的にもブラジラには及ばなかったかも知れないが、それでも彼らは自分以外の護るべき何かの為に力を使おうとする心や他者を思い遣る気持ちが有ったのに対し、ブラジラ自身は護るべき存在に対する無理解から醜悪なまでに自己中心的な性質へとその心を歪め、道を踏み外してしまったからである。
ブラジラにとって最大の不幸は、「仲間達と共に地球の美しさや人々の逞しさ、命の素晴らしさを学ぶ機会が無かったこと」であり、彼が誰よりも優れた力を持ちながらそれを己の為にしか使えなかった事や、そうした考えを改めさせて誰かの為に力を使う事の素晴らしさを分からせてやれなかった事に対し、アラタは後悔と悲嘆の念を抱く。
しかしだからこそ、全てが終わった後にアラタ達は護星界への帰還を断り、より多くの大切な事を学ぶ為に地球に留まる事を決意したのだ。ブラジラのような過ちを犯す者が、自分達を含めた護星天使の中から二度と現れない様に……。
余談
余談
作中の全ての黒幕ではあるが別に圧倒的な力を最初から手にしていた訳ではなく、良く言えば策を以って様々な組織を練り歩き力を蓄え、作品と共に成長してきたラスボスだと言えるだろう。
ただ、ぶっちゃけラスボスとしての強さには疑問を持たれる事が非常に多い。
確かに戦闘能力そのものはかなり高いものの、武レドランの時は膜インと筋グゴンに魂胆を見抜かれてまんまと嵌められ利用された上、直後の巨大戦ではガチで敗北している。(その気になればブラジラとしての力を使えたはずなので、実質的に最終局面前にヒーローに負けたラスボスということになる)
しかもブラジラの姿と力を明かした後も、最終回を前にして(数多の悪しき魂との戦いで成長していたとはいえ)散々見下した「見習い」であるハイド1人にフルボッコにされている。
最終回でも通常形態のゴセイジャーに負けてしまい、ネガー・エンドを阻止する為にデータス、ゴセイナイト、ゴセイアルティメットが不在という状況の上で最終回オリジナルの合体をした戦隊ロボに普通に倒されてしまっている。
彼が使う「ダークゴセイパワー」というものが何なのかも作中で殆ど説明されていないのもあって、本当にラスボスに相応しい実力があったのかは判断が非常に苦しいとしか言いようがない。
そもそも1万年前の幽魔獣との戦いでも結局倒せずに封印しただけであり、最強の護星天使という称号自体にも疑問が残る。これはブレドラン以外の1万年前の護星天使達も同様でブラジラを最強としていた当時の護星天使や護星界の実力自体に視聴者からは疑問の声が出た(おかげでゴセイジャーと比較して当時の護星天使の強さに度々言及していた初期のゴセイナイトについても「思い出補正だったのでは?」と視聴者から言われていまった)。
少なくとも幽魔獣を「倒した」ゴセイジャー達に対して、1万年前に封印したと言う功績を得意げに語る場面は、かなり滑稽な絵面になってしまっている。
ブラジラの戦闘能力は、『ラスボス』と言うより『強力な敵幹部』といったほうが妥当であろう。
ラスボスとしての実力は、地球と一体化したブロブの膜インや地球ごと全生物種を滅ぼそうとした大王モンス・ドレイクの方が上なのではないかと感じる視聴者も多い。
では頭脳面の方はどうかと言うと大体どの組織でも最終的には立場は悪くなっており、正直とても上手く渡っていたとは言い難い。しかも偶然の出来事で新たな寄生先が見つかったり、相手を嵌めようとして逆に計画を利用されて騙し返されたり、偶然発見されたおかげで命を拾ったりと、とにかく全編を通して行き当たりばったり感が目立つ。特に幽魔獣に関しては終始良いように逆に利用された挙句切り捨てられただけなので、彼が上手く利用したという感じは全くしないばかりか、むしろ意図せず1万年前の意趣返しをされたという風にしか見えない。
それでも堂々と「計画通り」と豪語できるメンタルはある意味関心するレベルである。臨機応変で方向転換が利くアドリブが得意な策士だとも言えなくはないが、後述するスカイック族の特性が悪い意味で生きた結果だとも言える。
また、上記の非常に我の強い性格は護星天使の三部族が持つ性格的特徴を1つに集約した上で、極端に醜く歪めた物と言う見方も出来る。
劇中の彼の言動に当て嵌めると以下の通りになる。
部族 | 性質 | 劇中での言動 |
---|---|---|
スカイック族 | 前向きで楽天的 | 仲間をも平気で手にかけ、多くの命を脅かしておきながら、自分の過ちを一切認めず、何が起ころうと自分の都合の良いようにしか解釈しない自己中心さ |
ランディック族 | 誇り高さ、猪突猛進 | 自らを「救星主」と嘯き、他を「惨めな命」と見下し踏みにじる傲慢さ |
シーイック族 | 冷静さと知的さ | メタルAの件で見られるように、目的の為に記憶を無くしながらも敵すら本能で利用しようとする冷酷さと邪知 |
その後の活躍
その後の活躍
後に『199ヒーロー大決戦』では冥府神ダゴン、ヨゴシマクリタインと共に黒十字王によって復活する。なぜか見えない相手の位置を完全に補足して誘導弾を放つという攻撃でゴセイレッドとゴーカイレッドを苦しめるも、それがステルス機能を持つビービ虫を使った攻撃ということを見破られそのトリックを見破られると2人の連携に怯み、ゴーカイスラッシュとレッドダイナミックを同時に受け「何故だ!?この私が…!」と叫びながら倒される。
その後、黒十字城によって巨大な姿で復活し、4体のブレドランを分身として召喚するが、バリブルーンとスカイエースの空中からの爆撃に怯み、ゴーカイオーのゴーカイクラッシュとゴセイグレートのグレートストライクで大ダメージを負い、「だがこの無念さは、永遠に…!」と遺して他の巨大怪人達と共に爆散した(爆散すると同時に全員が「黒十字王様ああああああ!!!」と言った)。
本編、Vシネマ、劇場版を合わせると全形態併せて10回も倒されている。
戦隊の歴史上でも、(再生怪人含め)幹部クラスのキャラクターでこれだけ倒されたのはコイツぐらいであろう。
2012年4月21日公開の『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』でもブラジラは4形態登場して全て倒されたので被撃破回数14回となった。
その際の「行け! 私の分身共よ!!」と言うセリフは派生作品におけるブラジラの立ち位置をこれ以上ない程端的に表しているとも言えよう。
これほど倒されたヴィランはパワーレンジャーシリーズまで含めても例がなく、最早「1人悪の戦隊」といっても過言ではない。
今後のスーパー戦隊(と春映画)の展開次第では、また出てきそうな予感もするので、更なる記録更新が期待される。
……と思ったら案の定、『動物戦隊ジュウオウジャー』第29話『王者の中の王者』にてバングレイがキャプテン・マーベラスから読み取った記憶から実体化した、歴代戦隊の悪の幹部の一人として再登場。
蝶絶神デーボスと共に風切大和以外のジュウオウジャーと対決するも彼等が弾いたデーボスの光弾を受けて怯み、野生解放したジュウオウジャーの総攻撃を受けてしまい、最期はジュウオウザワールドのワールドザクラッシュを受けて上空に吹き飛ばされ爆散した。これで15回目である。
ただし、ここでのブラジラはあくまでバングレイの作った自我も意思もないコピーに過ぎず、その為に台詞も何もなく、戦闘力もブラジラ自身には遠く及ばなかった(その代わりに第12話のプレイヤーの声を担当していた)。
そして時は流れ2021年。映画『機界戦隊ゼンカイジャー THE MOVIE 赤い戦い!オール戦隊大集会!!』では、大ボスであるスーパー悪者ワルドの顔面にデザインが採用されている。
ただし、客演の座はよりにもよってかつて自身を倒したビッグフットの筋グゴンに奪われてしまった。つくづく幽魔獣とは相性が悪いようである。
パワーレンジャー・スーパーメガフォース
パワーレンジャー・スーパーメガフォース
前作では倒されずに姿を消していたが、第16話にて救世主のブラジラとしての姿で登場。
シルバースーパーメガフォースレンジャー(ゴーカイシルバー)、オライオンを捕獲しそのパワーを奪い、さらにパワーレンジャー達のスーパーモードへの変身能力さえも奪った。
メタ的な理由で言えば、ゴセイジャー本編の映像を流用するためであるが……
その正体は、アルマダの第二王子。つまりヴェッカー王子(ワルズ・ギル)とは兄弟という設定である。
第二王子ながらその能力は皇帝マヴロからも評価されており、ヴェッカーの劣等感を煽ることになった。
ゴセイジャー本編と同じく自身の生み出したモンスターと洗脳したロボナイトを操り、地球にドリルを打ち込み破壊しようとするも、日食により1000倍に強化されたレッドメガフォースレンジャーのインフィニット・スカイストライク(レッドダイナミック)によって倒された。
関連タグ
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天装戦隊ゴセイジャー ブレドラン 彗星のブレドラン チュパカブラの武レドラン 血祭のブレドラン サイボーグのブレドRUN 悪しき魂 地球救星計画
スーパー悪者ワルド:頭部が似ているスーパー戦隊シリーズ45作記念映画のボスキャラ。
天装鬼:後のスーパー戦隊に登場する怪人でゴセイジャーを歪めたデザインであり、デザインにブラジラの意匠も入っている。
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