「確かにガンダムファイトには様々な問題点があったようです。ですが、それがわかっているならば、間違いを正す事も可能なはず。」
「そして、希望の未来を勝ち取っていく。あの若者達のようにね…」
CV:有本欽隆
人物像
ドモン・カッシュとキョウジ・カッシュの実父。息子達に似た三白眼を持つネオ・ジャパンのモビルファイター開発に携わる科学者。
レインの父ミカムラ博士とは古くからの友人であり、カッシュ家とミカムラ家は家族ぐるみの付き合いをしていた。
ガンダムファイトによって汚染・荒廃した地球の環境を再生させるために、ミカムラ博士と共同で「自己進化・自己再生・自己増殖」の三大理論を備えたアルティメットガンダムを開発していた最中、デビルガンダム事件に巻き込まれることとなる。
アニメ本編ではどこかのんびりとした平穏な性格の人物であり、不可抗力とはいえデビルガンダムを生み出すことになってしまった張本人とは思えないほど、温厚そのもの。ミカムラ博士が嫉妬に狂う原因となったのは、ライゾウがシャイニングガンダムが怒りの感情に依存しているという欠点を指摘したことが最大の引き金だったが、この際も嫌味というよりは、単純に卓越した英知から一発で改善点を見抜いてしまい、悪気なく行った有人としての指摘、という描かれ方をしている。
デビルガンダム事件
ライゾウの長男であるキョウジがアルティメットガンダムの力を悪用して世界を支配しようと企み、アルティメットガンダムを強奪して地球に逃亡したとされる事件。この事件の混乱で、ライゾウの妻ミキノが命を落とし、責任を問われたライゾウは死刑こそ免れたものの永久冷凍刑に処された。
そして10年前に家を飛び出して流派東方不敗の修行から帰ってきたドモンはネオ・ジャパン軍のウルベ・イシカワから兄が起こした事件を聞かされ、ネオ・ジャパン政府と取引して父を冷凍刑から開放することを条件に第13回ガンダムファイトでの優勝と、逃亡したキョウジを捜し出すために地球へ降下する。
…というのが、ドモンがガンダムファイトに参加することになった表向きの経緯なのだが、実際はライゾウの才能に嫉妬したミカムラがウルベと共謀してアルティメットガンダム強奪を企てたクーデターに、当時家出していたドモンを除くカッシュ一家が巻き込まれ、ミキノはウルベの銃弾からキョウジを庇って死亡し、ライゾウはアルティメットガンダムがウルベ達の手に渡ることを防ぐためにキョウジをアルティメットガンダムに乗せて地球へ逃がしたのが事件の真相だった。
しかし、そのアルティメットガンダムは地球降下のショックでプログラムに異変が生じ、地球再生のための三大理論を飛躍させて「地球に住む人類の抹殺」という結論を出すと同時におぞましいデビルガンダムへと変貌してしまい、キョウジは暴走を始めたデビルガンダムに取り込まれ、生体ユニットとされてしまった。
ライゾウの冷凍刑も半ばミカムラとウルベの国家反逆罪に値するクーデターを隠蔽するための冤罪で科せられたものだった。
結果的にデビルガンダム事件で父は冤罪による冷凍刑、母は死亡、長男は事実上デビルガンダムに取り込まれた事で廃人化、次男は兄が極悪人という嘘の情報を信じ込まされてガンダムファイトに出場させられるというカッシュ一家全員が理不尽や迷惑などという言葉では表現しきれないほどの悲劇を被る羽目になった。
物語終盤でドモンの優勝とウォン・ユンファの戦死により漁夫の利を得る形でウルベがデビルガンダムを手に入れた際、ミカムラが「罪滅ぼし」のためにウルベからの銃撃を受けながらもライゾウのカプセルを開放し、ネオ・ジャパンコロニーと一体化したデビルガンダムと戦うドモン達新シャッフル同盟にデビルガンダムの弱点を教えた。その後ゴルビーⅡに回収され、冷凍刑から目覚めたライゾウは成長したドモンにコロニーの動力炉=グランドマスターガンダムを破壊すればデビルガンダムコロニーも活動を停止すると伝える。
だが、レインをデビルガンダムの生体ユニットに取り込んでいたことでグランドマスターガンダムが破壊されてもなおコロニーが活動し続ける様に「どうやらデビルガンダムは我々の想像を超えた能力を備えてしまった」と驚愕した。もっとも、自身がコールドスリープ中にデビルガンダムは第三者の手で色々と改良が加えられていたので、無理もないのだが…
事件後、ライゾウはカラト委員長から「これからガンダムファイトはどうなるのかのう?」と尋ねられた際に「恐らくは(今後も)続いていくでしょうな…」と答え、様々な問題が浮き彫りとなったガンダムファイトを今回の一件も踏まえて考え直す時期に差し掛かっている事を示唆している。同時に、その問題が分かっているなら正していくことが可能なことや、若い世代が乗り越えられるかも知れない希望も添えている。
外伝
英雄変生と三峡新傳に登場。これまでの設定とは異なり、東方不敗と昔に出会っていたこと、その東方不敗と出会うキッカケになった出来事でドモンを同行させており、その時に東方不敗が武術家として見初め、ライゾウに自分のところへ弟子入りするよう推薦した。
三峡新傳ではデビルガンダム事件後、実は抱えていた持病が悪化して寝たきりになってしまったことが描かれている。アルティメットガンダムの開発も、自身の病を契機として大病から人類を救おうとした結果であることが描かれている。
超級版
善人感の強い本編と打って変わって、漫画版『超級』ではかなり弾けた人物になっており、時にドモンに対して本編の東方不敗以上に厳しい態度を取る。また、冷凍刑にあっているが、ミカムラ博士によって情報を引き出すためしばしば脳だけ覚醒させられるというむごい扱いを受けている。また『超級』でのゴッドガンダムはアルティメットガンダムに不測の事態が起きた場合に制御する役割として、ミカムラ博士ではなくライゾウ博士が製作したという設定となっている。よってこれだけだと本編以上にミカムラ博士の立つ瀬がないがない。
しかし超級ではライゾウ博士は乗り手を選ばず高性能を発揮できるライジングガンダムを非常に高く評価しており、「これを作ったミカムラ博士こそ真の天才」と認めてしまうほど、彼もまたミカムラ博士に尊敬と嫉妬の念を抱いていた。
余談
劇中でほとんどコールドスリープ状態で回想での登場がほとんどでようやく本人に出番が回ってきたのが最終話近くだったこともあるが、彼はガンダムシリーズでも極めて希少な作品エンディングまで生き延びることができた主人公の父親である。もっともアルティメットガンダムを巡る陰謀に巻き込まれ、親友や妻や長男を失っており、再会できたのは次男だけであったが。
関智一にとって主役デビュー作だったが、ライゾウを演じた有本欽隆とはその後も擬似的な親子関係になったりと何かと共演する機会が多かったという。関は有本が逝去した後のPSYCHO-PASS劇場版の舞台挨拶では、本作のことを上げ、かわいがって貰ったことを語っている。
関連タグ
ミキノ・カッシュ キョウジ・カッシュ ドモン・カッシュ エイチ・カッシュ
クラブ・エース(アラン・リー) 旧シャッフル同盟、中の人が同じ。
テングラシー・ルース、ザイード・ウィナー、パトリック・ザラ…中の人が同じガンダムシリーズの父親キャラ。この他、演じている有本氏はリディ・マーセナスの先祖リカルドも演じている。