アド・ステラ

あどすてら

アド・ステラとは『機動戦士ガンダム水星の魔女』の劇中で使用されている紀年法。

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概要

アナザーガンダム作品の1つ『水星の魔女』の劇中で使われている紀年法。略称は「A.S.」。意味は『星へ』

本編開始時点で122年。

数多の企業が宇宙へ進出し、巨大な経済圏を構築する時代。過去にドローン兵器による何らかの戦争が起こっていた模様だが詳細は不明。

太陽系内で採掘される鉱物から発見された新元素・パーメットを利用した技術体系が確立されており、登場するモビルスーツ（MS）にもパーメットリンクと呼ばれるシステムが搭載されている。

宇宙産業の発展によって経済の中心は地球から宇宙へと移っており、巨大企業が国家に比肩し得る影響力を持つ世界観とあって、MSの運用も軍用兵器というより企業派閥の開発した私兵的な立ち位置のものが幅を利かせており、過去のガンダム作品でしばしば題材にされてきた国家間や国家対レジスタンスの戦争・紛争とは、また異なった企業同士の腹の探り合いが展開される社会構造となっている。

世界像

従来の作品におけるスペースコロニーに相当する宇宙都市はフロントと呼ばれており、小惑星を基部に作られている。

物語の主な舞台となるフロントに築かれた学園都市「アスティカシア高等専門学園」では、運営母体となっているベネリットグループ系列企業の派閥争いがMSを用いた決闘という形で繰り広げられており、対戦相手のブレードアンテナを折損させることが勝利条件になっているなど、未来世紀のガンダムファイトを彷彿とさせるルールが整備されている。

地球生まれの人間はアーシアン、宇宙生まれの人間はスペーシアンと呼ばれており、地球と宇宙の経済格差からスペーシアンがアーシアンを差別する対立構造が存在する（これは地球住民アースノイドが宇宙移民者スペースノイドを差別している宇宙世紀とは逆の構図で、これも未来世紀に近いヒエラルキー）。

少なくともスペーシアンの間では同性婚は特に疑問を持たれるような事ではないらしいが、家柄や血族支配の意識はそれなりにあり、同族経営の大企業や、市民権を奪われ企業に生殺与奪を管理される人間も密かに存在するなど、差別や人権侵害は様々な形で存在し部分的には近代以前への退行が起きている。

時流に沿ってか、少なくともA.S.122時点では学園で提供される飲料は牛乳パックを思わせる形状の容器となっている。

アーシアンとスペーシアンの格差はA.S.101の時点で問題視されている事が、ナディムが視聴していたニュースやウェンディがタブレットを見ながら関税が上がった事を嘆くシーンでも窺い知れる。

ニュースで表示されていたグラフ（英文は原文ママ）

WHAT ISSUE DO YOU WANT POLICY MAKERS TO SPEND TIME DISCUSSING?	（日本語訳）政策立案者に時間をかけて議論させてほしい問題は?
Earthian issue（訳）アーシアン	Spacian issue（訳）スペーシアン
Poverty Reduction（訳）貧困対策：95％	Defense／Security（訳）防衛／安全保障：98％
Fair Trade（訳）フェアトレード(不平等貿易および対策)：89％	Free Competion（訳）自由競争：92％
Education Gap（訳）教育格差：89％	infrastructure（訳）インフラ：90％
Taxes（訳）税：85％	Energy（訳）エネルギー：87％
Employment（訳）雇用：83%	Welfare（訳）福祉：86％

また、あくまでも地球圏の暦であるらしく、地球以外の惑星ではその星の自転に準拠したであろう独自の暦が用いられている模様。劇中では水星の暦が描写された（その場面では154年とされているが、A.S.換算で何年か不明）。

年表（一応ネタバレ注意！）

年	出来事
前世紀	アド・ステラに移行
A.S.101以前	ドローン戦争が勃発。ノンキネティックポッドおよびそれに搭載されたシステム「アンチドート」の原型となるパーメット・電子対抗装備により終結。
A.S.89	シン・セー開発公社設立。
A.S.101	オックス・アース・コーポレーション傘下のヴァナディース機関がGUNDフォーマット搭載MS「GUND-ARM」を開発するも、その危険性ゆえにMS開発評議会の決定で開発が凍結。同時に発足した監査組織カテドラルによって、フロント「フォールクヴァング」への武力制圧が行われ、開発されていたGUND-ARMであるガンダム・ルブリスおよびその量産モデルが抵抗するもヴァナディースは壊滅。以後、GUND-ARMとそれに連なるGUNDの開発は禁止される。
A.S.105？	ブリオン社よりデミトレーナーの初年度モデルがロールアウトされる。
A.S.106	地球でGUND-ARMとされる機体が運用される？
A.S.107	ジェターク社、ペイル社、グラスレー社の三社を中心とする（御三家）巨大複合企業ベネリットグループが創設される。
A.S.107～109？	シン・セー開発公社に所属するプロスペラ・マーキュリーがベネリットグループへ水星での作業用「新型ドローン」の開発及び認可を申請し、同社が保有する水星軌道基地「ペビ・コロンボ23」での製造が開始される？
A.S.109〜110？	ベネリットグループによりアスティカシア高等専門学園が設立される（小説版の情報より）。
A.S.116？	シン・セー開発公社の要請により、ペビ・コロンボ23から開発者の子女が運用する「新型ドローン」が発進し水星地表のチャオモンフ採掘基地付近で同社の作業員を救助する。
A.S.116～A.S.119？	「新型ドローン」の以前からの運用実績により、シン・セー開発公社のプロスペラがCEOに就任？
A.S.122前半（Season1）	アスティカシアにスレッタ・マーキュリーが転入。それと共にGUND-ARMと思われる彼女のMSが持ち込まれ元々の開発理念と異なる形で「新型ドローン」として改めて承認され、複数回の決闘が行われる。グループ創設15周年記念パーティーにてペイル社が自社新型機にGUNDフォーマットが搭載されていた事実を公表。アスティカシア経営戦略科のミオリネ・レンブランが、ペイル社のGUND-ARM開発部門およびシン・セー社の買収と統合、GUND-ARMの安全な運用を目的とした新規事業を提案。GUND-ARM Inc.（日本語表記：株式会社ガンダム）が設立される。ベネリットグループが保有する開発プラント「クエタ」に総裁デリング・レンブランが来訪するが、近海にてクエタに向かう輸送船が「フォルドの夜明け」と名乗る集団が保有するGUND-ARMと思わしき二機のMSを含む部隊によってハイジャックされる。先の輸送船「カシュタンカ」から出撃した部隊によってプラント・クエタが攻撃され、デリングが負傷しジェタークCEOヴィム・ジェタークが死亡するも、エアリアルおよびドミニコス隊の活躍によって撃退。
A.S.122後半（Season2）	アスティカシアで執り行われていたオープンキャンパスのバトルロイヤルイベント「ランブルリング」中にプラント・クエタを襲撃したGUND-ARM「ウル」「ソーン」が破壊活動を行いジェタークCEO代理ラウダ・ニールを含む死傷者が発生。エアリアルを中心として一部の学生の活躍によってGUND-ARMを撃退するも、総裁代理兼グラスレーCEOサリウス・ゼネリが消息を絶ちGUND-ARMを手引きしたとして地球寮生が拘束される。プラント・クエタおよびアスティカシア襲撃の報復としてベネリットグループは兵を地球に派遣、日本方面に派遣された捜索隊のうちズール隊が襲撃者であるフォルドの夜明けの拠点を破壊するが、返り討ちに遭い撤退中の人員を取り逃がす。フォルドの夜明けなどに対するベネリットグループの企業行政法による治安活動で反スペーシアン感情が拡大し、デモが暴動へと発展。ベネリットグループで総裁代理のサリウスが消息を絶ち未だ昏睡状態にある前総裁デリングに代わる次期総裁を決定する選挙が執り行われ、事実上グラスレー幹部シャディク・ゼネリとデリングの娘ミオリネの一騎討ちとなる。スレッタ編入以降、決闘において不敗神話を誇っていたエアリアルがかつて打ち破ったジェタークの試作MSダリルバルデとの再戦によって敗北。次期総裁候補ミオリネの「指示」によって北アフリカの特定復興計画地区「クイン・ハーバー」でデモ隊に扮した武装勢力の鎮圧が行われる。戦闘中、彼女から派遣されたプロスペラによってMSの秘密工場も発見され、これの破壊も行われた。以前ランブルリングを襲撃した「ソーン」のパイロットが、アスティカシアの学園部分で再度破壊活動を実施し死傷者が発生。それに前後してシャディクと腹心がサリウスの移送と破壊活動の時間稼ぎを行うがドミニコス隊とそれに協力するジェターク新CEOグエル・ジェタークによって阻止される。クイン・ハーバー鎮圧とアスティカシア崩壊を招いたとして、宇宙議会連合が議会連合憲章7条を決議しベネリットグループへの強制介入を行うが、議会連合艦隊が道中でプロスペラらが運用する「大量破壊兵器」クワイエット・ゼロによって殲滅される。議会連合査察官グストン・パーチェがもたらした情報により、アスティカシアの地球寮を中心とした有志らがミオリネ総裁ジェタークCEOグエルなどベネリットグループからの協力を受けクワイエット・ゼロ停止作戦を敢行。部外者による妨害も切り抜け、作戦は成功する。業を煮やした議会連合がL（ラグランジュ）1に所在する惑星間レーザー送電システム「ILTS」の「暴走」によってエネルギーがベネリットの所在地であるL4へ照射される「事故」を誘発。奇跡的に被害は最小限に抑えられたが、有志連合の主戦力であったGUND-ARM「キャリバーン」がその場の GUND-ARMと共鳴し地球圏にデータストームを発生させ、ILTSを停止させるとともにベネリット総裁ミオリネの演説によってグループ解体と一連の騒動について宣言された。
A.S.122〜A.S.125	議会連合議長およびペイル社CEOがILTS「暴走事故」の引責で退陣？旧ベネリットグループ経営陣にA.S.122の一連の動乱の説明責任とアーシアンスペーシアン双方の遺族の抗議が向けられる。旧ベネリットグループの内、旧御三家の一つであるジェターク社とグループ内企業であったブリオン社が業務提携を結ぶ？ジェターク社及びアスティカシアの再建にブリオン社の社員であるエラン・ケレスが貢献。その実績の例として、ジェタークとブリオンの二社が共同で開発した(と思われる)ハイブリッドMS「ユザール」が学園で用いられた。クワイエット・ゼロ停止作戦に参加し、動乱終結の立役者の一人であるスレッタによって、水星の教育機関が再興される。
A.S.125	クイン・ハーバーにて、過去に同地区で鎮圧行為を行ったベネリット元総裁兼GUND-ARM Inc. CEOミオリネが「ガンダム」に対するデモ隊への謝罪を行う。