機体データ
デザイナー | 稲田航 |
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形式番号 | FP/A-77 |
頭頂高 | 19.1m |
重量 | 57.1t |
パイロット | |
製造 | ペイル・テクノロジーズ |
固定武装 |
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携行武装 |
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概要
『機動戦士ガンダム水星の魔女』に登場するMS・GUND-ARMの一体。パイロットはエラン・ケレス。
ペイル・テクノロジーズ系特有の、空間戦闘を重視した細身の体型が特徴。関節など各部位は同社が生産しているザウォートと同じ構造が散見され、初見のセセリア・ドートからも「黒いザウォート」と誤認されている。
解説
両肩には可動式の大型スラスター「ブラストブースター」を持ち、普段は装甲で覆われているが前方へ噴射するノズルもあるため、後方移動にも対応可能。
また、GUNDによる姿勢制御の高次化によって飛行性能が向上しており、重力下においても宇宙と同等の機動性を発揮する事が可能。
本機のパイロットのエランはベネリットグループ御三家の一角「ペイル・テクノロジーズ」がGUNDフォーマットの適合手術を施術し擁立した強化人士であり、本機の開発主任はかつてプロスペラの後輩であったベルメリア・ウィンストンが担当している。そのためか用いられているGUNDフォーマットはルブリス同様にパイロットへのパーメットの逆流を引き起こす旧態然としたもの(エラン曰く「脳に手を突っ込まれるようなざらついた感覚」)が用いられており、エアリアルのようにノーリスクで機体の思考操作をできるものではない模様。
一方でパーメットスコア上昇時におけるパイロットへの激しい負荷はエランには見られないため、パーメットの流入を防ぐよう機体側を調整したエアリアルに対し、パイロット側をデータストームに耐えられるよう改造して克服したのがファラクトであると思われる。
AIによる自立思考機能が搭載されているのかは不明だが、エランは自身への負担による不快感もあってか、スレッタがエアリアルに対して持つような愛着をファラクトには持てておらず、仮に在ったとしてもエランとのコミュニケーションは取れていないようである。
ペイル社CEOニューゲンが、ベネリットグループの審問会にてエアリアル開発元の「シン・セー開発公社」代表プロスペラから『エアリアルの技術情報供与の約束』を取り付けていたのは、このファラクトに技術をフィードバックする目的もあるのではと視聴者の間では考察されている。
武装
ビームアルケビュース
ファラクトの専用武装として採用された、マガジン式のロングバレルビームライフル。
安定性を重視した設計で、GUNDフォーマットと連動した知覚リンクによって高い狙撃能力を有する。
コラキ
両肩アーマー裏に搭載しているGUNDビット。
射出すると2基に分離して挟み込むように展開し、触れた部位をスタンさせる電磁ビームを照射する。物理破壊力は皆無に等しくMS本体に当てなければ効果は発揮されないが、オールレンジ武装としての特性を活かした全天攻撃やトラップ的運用によって敵を行動不能に追い込み、本体による狙撃で確実に仕留める運用を確立させている。
なお、強化人士5号搭乗時は生への執着もあってパーメットスコアを3以上に上げてないため使用せず。
ビーム砲
脚部ユニット「ビークフット」に搭載されており、爪先を折りたたんで発射する。
ビームサーベル
ザウォート系列と同様の近接武器。装備箇所は両前腕下部へのマウント方式から装甲内部への格納方式に変更されており、使用時には装甲が展開しグリップを排出してからビームを発振する。
ビームバルカン
頭部に2問搭載された機関砲。
ビームカリヴァ
強化人士5号搭乗時の専用武装。1対2挺の大型ビームガンで構成される。ファラクトの中~近射程を補うための装備として用意された。通常時は2挺拳銃としての使用だが、連結する事で「ビームマスケット」と呼ばれるライフル形態となり長~中射程に対応して速射性に優れ、威力が上がるビームを発射する。これはビームアルケビュースとの同時運用を想定した機構である。
不使用時は腰側面部に懸架する。
劇中での活躍
グエルが搭乗したラウダ専用のディランザ戦では、当初は接戦を繰り広げていたが電磁ビット「コラキ」を活用し、拘束されたディランザをいたぶるように破壊し観戦者を唖然とさせた。
スレッタの駆るエアリアルとの決闘で機体は大破したがその後修復され、GUND-ARM開発の咎で解体される運びとなったペイル・テクノロジーズのガンダム・ファラクト開発部門はミオリネによるGUND-ARM Inc.の設立時に買収されたため、受け入れ態勢が整い次第、開発チームとファラクトはGUND-ARM Inc.に譲渡される予定。
……となってはいるが、ファラクトを社外に出すということはペイル社の暗部たる強化人士について表沙汰になると同義であるため、受け入れ態勢云々はファラクトを渡さないための方便であり、表向きは「調整中のため譲渡は出来ない」という扱いである。
専属パイロットであるエランとして強化人士5号が学園に通うようになると、13話の段階で本機も修復を終えた状態でGUND-ARM Inc.に納入…もとい学園に戻されたが、プラント・クエタでのテロが原因でGUND-ARM Inc.は業務停止状態、様子見のため5号も決闘を控えていたことで運用の機会がないまま格納庫に保管されている。
なお、GUNDフォーマットについては強固なシステムロックがかけられており、5号から秘かにスリ盗った学生証で機体を不正に起動したノレアには解除できなかった。とはいえ機体を起動させて歩かせる程度は可能であり、ニカを踏み潰そうとした。
その後、学生証は持ち主の5号に返却され、新装備ビームカリヴァを装備してGUND-ARM Inc.兼地球寮陣営としてランブルリングに参戦する。しかしソフィとノレアがテロを開始したことでこれに巻き込まれ、ノレアのルブリスソーンと対決する。5号の「死にたくない」という意思からスコア無しによる戦闘が行われたが、それでも5号自身の操縦技術の高さからかスコア3のルブリスソーン相手でも互角に戦えるほどの戦闘力を見せつけ、6機のガンヴォルヴァの内1機を撃墜している(ソフィたちの戦闘事態はサリウスを誘拐するための「囮」にすぎなかったので、ノレア自身が手を抜いていたという説もある)。
スレッタとグエルの3度目の決闘後、ミオリネが正式にグエルの花嫁になったことでGUND-ARM Inc.はジェターク社と業務提携を敷くことになったが、ペイル社の機体であるファラクト自体の処遇は20話現在の処不明。
少なくとも、22話の5号やベルメリアの言及からすると株式会社ガンダムが保有しているのは確かな様子。また、高値のパーメットスコア(スコア・ファイブ以上)での稼働による負荷は想定していない設計とのこと。そのため、クワイエット・ゼロ攻略戦においては投入されなかった。
余談
- 機体名「ファラクト」の由来は不明。『千夜一夜物語』に登場する大蛇「ファラク」や、重装騎兵を意味する「cataphract」(カタフラクト)とする説があるが……。
- 中国語版では「鐵騎」という名前に翻訳したことによって翻訳者はおそらく後者の方が受け取ったかもしれない
- ビームアルケビュースの「アルケビュース」とはマスケット銃の一種で、戦国時代の日本で運用された「種子島」こと火縄銃の英語名。
- 追加装備であるビームカリヴァの「カリヴァ」も同様、小型のマスケット銃の英語名を差す。
- ガンビットの固有名である「コラキ」(Corax)は「ワタリガラス」の学名。機体そのものも黒をベースにした末広がりのデザイン等、カラスを思わせるデザインを持つ。
- 第14話以降、活躍はおろか顔出しの出演すら一切無い状況が続いており、22話で漸く存在が言及されるまで影が薄くなりつつあった。5号本人がガンダムに乗りたがらない姿勢や別のガンダムに搭乗した事もあり、視聴者からは「このまま何も活躍しないで最終回を迎えてしまうのでは?」と危惧されている。
ガンプラ
2022年12月17日にHG1/144スケールで2090円(消費税込み)で発売。
センサー周辺のパーツ以外は色分けがしっかりとされており、可動域も良好。
シェルユニット内部はホイルシールにより発光状態を再現するキットとなっており、制作者の好みで選べるようになっている。
特徴的なチンガードを外すと、オーソドックスなガンダムタイプに近いマスクが造形されている。この状態でも顎パーツがグレーで色分けされているなど劇中未登場の割には凝った造りになっているが、ガンダムTR-6[アドバンスド・ウーンドウォート]のように設定上脱着可能な部位なのかは現状不明。
ちなみに制作当初予定が無かったのか、後々になって追加された武装であるビームカリヴァを懸架する設計にはなっていない。
それ再現した猛者が出現。接続設計は後ろ腰アーマーからの透明プラ棒で懸架接続する形で再現されている。
ホビージャパンでは両腰とビームカリヴァにネオジム磁石を使用して懸架する設計となっている。
Season2仕様への換装パーツはディランザ(グエル機)、ダリルバルデ、ミカエリスの換装パーツとセットでプレミアムバンダイで発売される事が発表された。こちらは足の付け根部分パーツを交換し(パーツ番号E17とE18を外す)、そのパーツで懸架する設計となる。
ゲーム作品において
VSシリーズ
機動戦士ガンダム EXTREME VS.2 OVERBOOSTにてシリーズ初参戦。
コストはエアリアルと同じ2000。Season1仕様の為、ビームカリヴァは装備しておらずパイロットのエランは4号である。
メイン射撃のビームアルケビュースは、ケルディムガンダム同様の狙撃系ビーム攻撃を行う。エアリアル戦においてマガジンを交換するシーンを再現したのか、弾数は1だがなんと手動リロード可能で実質弾切れしない(この手の武装のリロードは撃ち切ってから時間経過でリロードされるのが殆どである)。
サブ射撃はスタン効果のあるコラキ。通常時は2発消費して相手の頭上からビームカーテンを展開する。レバー入れは1発消費して逆ハの字で射出され、一定の距離で停滞するトラップ技。
特殊射撃はビークフットのビーム砲で攻撃。通常時は当たるとダウンする太いビーム弾を2発同時に発射。横入力ではザクⅢ改のようにスタン効果のあるビームを1発ずつ撃ちながら移動する技となっており、フルヒットしてもダウンしないのでメインで撃ち抜くのがオススメ。
特殊格闘は特殊移動だが、使用中に更に特殊格闘を入力することで、ビームアルケビュースを3連射する。この連射攻撃は1発撃つごとに誘導がかかり直すというものであり、相手にステップや盾を強要させてブーストゲージを減らす戦法も出来る。また、特殊格闘中にメイン射撃を使用できるが、通常時と比べて遥かに銃口補正が強力で慣性ジャンプや自由落下は勿論、横ブーストダッシュの初動にも命中する。さらに言えば前述のビームアルケビュース3連射からコレにキャンセル可能なので赤ロ保存(※注1)から予想外の当て方をすることも。弾数はメインと共用しており、弾切れの時は構えながらリロードをする。
バーストアタック(覚醒技)は2種類存在し、通常覚醒技は格闘乱舞技「勝利くらい僕にくれよ!」。これはザウォートに乗った時と対グエル戦時の戦闘モーションが採用されており、タックルでサーベルを押し付けて切り抜けた後、コラキで動きを封じてX字斬りでトドメを刺すというもの。
後覚醒技は「ビームアルケビュース【長距離狙撃】」。高弾速のビームを発射して狙撃する技。使用時はロックオンマーカーが常に赤くなる(※注2)。
しかし解禁日、特格中のメイン射撃が回避不能レベルに強すぎた。また、ファラクトの場合は、相手のダウンをバンバン取れることをいいことにコスト全てをファラクト側が消費して相手コンビを徹底的に引っ掻きまわす爆弾戦法まで作られてしまう。
そのため参戦から僅か3日で緊急下方修正が来てしまい、ロック距離が短くなり、特格中のメイン射撃の照準の性能を下げられてしまう。
それでも同コスト帯トップクラスの性能であり、後々狙撃以外の武装性能を落とすも依然と高水準の使用率。
ついには三回目の下方で手動リロードを廃し、メイン射撃と特格中メイン射撃にそれぞれ専用の弾数が設けられた。
- (※注1)赤ロ保存…赤ロックの状態で武装を使い、緑ロックになっても出し切りかキャンセルで射撃を続けることで、赤ロック状態と同様の誘導がかかる仕様を活かしたテクニックの一つ。キャンセルルートの充実した射撃機等で使われている。
- (※注2)ロックオンマーカーが常に赤くなる…このゲームではロックオンマーカーが赤い色だと射程内であり武装に誘導がかかり銃口補正(公式の媒体では「照準」)が働くようになる。逆に緑色だと射程外なのでこれらが働かない。ただし、本機のバーストアタックのように、一部例外的に射程が無限の武装も存在する。
関連項目
株式会社ガンダム:後に譲渡された。
顛末
最終回にて、GUND-ARM.incの保有機ということもあって一応クワイエット・ゼロ攻略戦に持ち込んではいたことが判明。とはいえ5号は宣言どおりガンダムに乗ることはなかったため、実戦投入されることはなかった。このまま最後まで倉庫番を務めるかと思われたが……
その後、議会連合の持つ大出力ビーム砲を止めるべく、スレッタがキャリバーンとエアリアルを『スコア8の先』に覚醒させたのに共鳴してかシュバルゼッテとともに無人で起動。この時、シェルユニットは通常時の赤色ではなく、覚醒したキャリバーンのように虹色に光輝いている。集結した4機のGUND-ARMによって極大データストーム空間を発生させたことで、ビーム砲をオーバーライドさせた。その後、パーメットに変換・分解される形でクワイエット・ゼロおよび他のガンダム共々消滅した。