概要
『機動戦士ガンダム水星の魔女』の第14話のサブタイトル。 2023年4月16日放送。
この回はオープンキャンパスのメインイベントの1つ〈ランブル・リング〉が催される回。
前回描写されていた様々な不穏の中身が、ここから紐解かれ始めていく伏線回でもあり、重要回でもある。
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この先は、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第14話の詳細なネタバレです。ネタバレが嫌なユーザーはブラウザバックを強く推奨します!
この先ネタバレ注意!
オープンキャンパス特別イベント「ランブルリング」が開催される。それぞれの思惑を抱えるラウダやエラン、そして直前にソフィが口にしていた不穏な言葉が気になりながらも、スレッタも参加する。
進行役のセセリアが言う通り、「負けても恥をかいたりしないエキシビション」である。
つまり本来、安全な戦いのはずだった。
開始直後こそ順調に進んでいたものの、ソフィの駆るルブリス・ウルが戦術試験区域に乱入した瞬間に状況は一変する。
ルブリス・ウルとルブリス・ソーン、そしてMS型のGUNDビットであるガンヴォルヴァは実戦仕様であるため、決闘で規定されているレギュレーションプログラムやビーム出力に一切制限が掛けられていない。そんなものをここで動かせば破壊活動そのものになる。
ソフィは宣戦布告とばかりに戦術試験区域の内壁に損傷を与え、ついにはノレアが参加していたMSのコクピットへ直撃弾を浴びせた結果、生徒からも死者が出てしまい、ランブルリングは一転して地獄絵図と化した。
「ほらほら、お姉ちゃんの望んだ決闘だよ?もっと撃ってきてよ!!」
遂にルブリス・ウルの猛攻に耐えられず内壁が崩壊。放り出されたエアリアルとルブリス・ウルはそのまま戦場を宇宙へと移す。
「何でガンダムでひどいことを…!?」
「欲しいものがあるからだよ!」
スレッタにとっては非道だったが、ソフィにとっては事情が違った。
こうまでしてでも自分が得たいものとは、ただのあたたかい日常だったのだ。
「お腹一杯のご飯、ふかふかの寝床、温かいシャワー…まだまだあるよ! コミック、ゲーム、それと私を好きでいてくれる家族!!」
ソフィは孤児として産まれ、呪われたMSに乗せられ、現在進行形で命を擦り減らしており、これら全ての日常さえ高嶺の花であった。
だから殺してでも奪い獲ろうと、行動を起こした。
これまでもそうしなければ得られなかったのだから。
スレッタにとってはどれも身近なモノであり、得ようとするにしてもあまりにも極端な手段に非難の言葉を上げるが、直後に血濡れていたのは自分も同じだったと気付き、言葉に詰まってしまう。
更にこの混乱に乗じて、立会人として招待されていたサリウスもシャディクの謀略により誘拐されてしまった。
場面は戦術試験区域に戻り、クエタの一件で戦闘行為そのものに忌避感を抱いていたチュチュはランブルリング開始から手が震えていたが、意を決して銃口を暴れまわるガンヴォルヴァへと向ける。
「誰かぁぁ!! 先輩が死んじゃう! ラウダ先輩が死んじゃうよ!!」
その瞬間、偶然にもフェルシーの救難要請を拾ってしまった。ルブリス・ウルが出現した際の奇襲を受けて負傷し、気絶したラウダの救助に当たっていたのである。
ラウダを抱えていては迂闊に動けないし、そこへライフルでは埒が明かないとばかりにサーベルを引き抜いたガンヴォルヴァが迫る。
「スペーシアンのクセに泣き言言ってんじゃねぇ!!」
地球生まれという理由だけで見下し、偉そうにするスペーシアンは気に食わない。
だがそれ以上に、こんな事態を引き起こしたテロリストは遥かに気に食わなかった。その度合いたるや、スペーシアン嫌いの彼女が勇気を振り絞って煽ってきた相手を庇う程であった。
1つはエアリアルは一体何なのかについて。
エアリアルは11基のガンビットを操り、データストームを利用して空間そのものを掌握する力がある。
当然そんな事をすれば使用者に掛かるデータストームの負担は計り知れない。
しかしスレッタは何も影響を受けていない。
まるで、スレッタの代わりに誰かが動かしているようであったからだ。
2つ目はもう一人の娘について。
「あなたにはもう一人、娘さんがいましたよね?
エリクト・サマヤは、今、どこにいるんですか…?」
「いるわよ?
スレッタの すぐそば に」
再び場所は変わってフロント外宙域。ソフィはその猛攻でスレッタを追い詰めていた。
「ハハッ! 決闘は私の勝ち!ミオリネも!学校も!みんな壊して家族にしてあげるね!お姉ちゃん!!」
それに対してスレッタはパーメットスコアを6まで引き上げ、ガンビットで空間を掌握する。
射程圏内に入ってしまったルブリス・ウルは異常反応を引き起こし、ガンヴォルヴァの制御さえも乗っ取っられた。
スコア4を遥かに超える負荷に悶えるソフィ。だが、視界に映るエアリアルに何かを感じた彼女はノレアの制止を振り切ってエアリアルへ迫ろうとする。
「そっか、そうだったんだ…!」
データストームに苛まれ、血反吐を吐き散らしても尚止まらない。
「聞こえる…! 感じる!
あの時のときめき!私を殺そうとする綺麗な声!」
あの時、自分を見てくれたのは、否、自分に殺意を向けていたのは…
「スレッタ! あんたじゃない!
私が、欲しかったのは…!」
データストームのその先にいたのは…
エリクトだった。
これこそが、スレッタがパーメットスコアを負担なしで引き上げられる理由。
エリクトはエアリアルの中に組み込まれており、彼女がデータストームの負担を肩代わりしていたのだ。
言わば彼女はMSという新しい肉体を得ており、こうした形でスレッタのそばにいた。皮肉にもそれは、全身を機械に置き換えて宇宙に適応するという、GUNDが目指した未来を体現していた。
「そんな……人間が……MS(モビルスーツ)に……?!」
人間がMSになる。
それは、ペイル社で強化人士をはじめとする非道な実験をして来たベルメリアすらも、思わず口を抑え込む程の恐ろしい技術が実現してしまったのだ。
最早スレッタの意思から離れ、ソフィにトドメを刺そうとするエアリアル。
スレッタの必死の叫びでようやくエアリアルはGUNDフォーマットを停止し、同じくルブリス・ウルもGUNDフォーマットが途絶えて機能を停止した。
ソフィを救助しようとルブリス・ウルのコクピットハッチを開いたが、既に彼女はデータストームの逆流に耐えきれず、脳が焼き切れて息絶えていた。
僅かな時間、だが確かに共に過ごした少女の死に動揺するスレッタ。
そこにノレアのルブリス・ソーンが現れ、ソフィが死んだのはスレッタのせいではないと語る。トドメを刺す前に既に死んでいたという。
これがガンダムの呪いであり、ガンダムに乗る魔女はいずれこうなるはずなのに、スレッタがこの状況下で無事な光景はノレアから見れば異常なものだった。
「ガンダムの呪いで死なない貴方は、何者なんです…?」
ソフィを喪った悲しみか、それともスレッタへの畏怖か、涙を滲ませながらノレアはルブリス・ウルを回収し、その場を後にした。
新たな仲間になるはずだったソフィとノレアがもたらした衝撃から立ち直れていなかった地球寮の面々だが、ブリッジへ乗り込んできたフロント管理社の警備部員が更に追い打ちをかける。「ニカ・ナナウラをテロ等準備罪容疑で拘束する。君達地球寮の生徒にも同行を求める」と。
ウルとソーンの襲撃が始まった時点において、ニカは自首をするためかフロント管理社に連絡をしていたが、シャディクの取り巻きの一人であるエナオに見つかってしまい、未遂に終わっていた。
そして、一人宇宙空間に取り残されたスレッタは呟く。
「ソフィさんは間違ってるはずなのに…ガンダムは人を助けるモビルスーツになるはずなのに…」
一体何が起きたのか。どうしてこんな事になってしまったのか。
ソフィが言う通り、エアリアルは人殺しの道具なのか。いくら考えてもわからない。
「……そうだよね。ニカさんもミオリネさんも、学園だって守れた。
エアリアルもみんなも助けてくれた。進めば2つ……お母さんの言う通り……」
答えが出ない以上、今は『みんなを守れた』という結果に縋るしかない。
スレッタはこれで正しかったのだと自分に言い聞かせるように、母が教えてくれたおまじないを呟きながら、宇宙で涙を流していた。
視聴者からの反応
- やっぱりガンダムだった
- ガンダムらしくなってきたなぁー(白目)
案の定阿鼻叫喚である。エンドカードを担当したlack氏は泣いていた。
余談
- 2023年4月30日配信の『魔女ラジ』第29回でも、リスナーからの投稿への返答で学生が戦闘に巻き込まれ死者まで出した結果に学園のカリキュラムの意義とは何かと自問自答する事態となり、既に「実戦」を経験している地球寮はトラウマを呼び起されたとコメントしていた。
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