エリクト・サマヤ
えりくとさまや
CV:市ノ瀬加那
ヴァナディース機関に所属するテストパイロットのエルノラ・サマヤと、オックス・アース社のガンダム・ルブリス開発マネージャーであるナディム・サマヤとの間に生まれた一人娘。愛称はエリィ。
ヴァナディース機関のルブリス開発チームが拠点とするフロント「フォールクヴァング」でモビルスーツに親しみながら育った。
4歳でありながら言動ははっきりしており聡明さがうかがえる。また非常に好奇心が旺盛なようで、格納庫に度々侵入しては窘められているようである。
4歳の誕生日のお祝いを楽しみにしていたが、モビルスーツ開発評議会の不穏な動きによりナディムが退席し中断となる。
エルノラがフォークを探している最中に居室を抜け出して、皆がかかりきりのルブリスに抗議しようと格納庫に忍び込むと、機体を調整していたカルド・ナボ博士の計らいによってコックピットに招かれ、“話し相手”として機体に認証される。戯れに「この世界は怖くないと教えてやってほしい」と促すカルドの言葉を受けて、エリクトは思いつくままにルブリスに語りかける。
しかしほどなくして、フォールクヴァングは制圧部隊による急襲を受け混乱に陥る。戦闘の最中、コックピットで動けずにいたところをエルノラに発見されるが、エルノラが目にしたのは自身が到達できなかったレイヤー33からのコールバックを受け、ルブリスとの接続を果たしていた愛娘の姿だった。
起動したルブリスと共に宇宙空間に飛び出すと、エリクトは玩具で遊ぶように3機のハイングラを撃墜。無自覚に戦闘行為を始めてしまったエリクトとルブリスを前に絶句するエルノラの様子には気づかず、輝くような爆炎に包まれる敵機を指差して「ろうそくみたいできれいだね」と無邪気に反応する。
直後、遠隔兵器への対抗手段を持つベギルベウの到着により一転して窮地に陥るものの、試作機で捨て身の特攻を仕掛けたナディムの犠牲によってエルノラと共に戦域からの離脱に成功する。
その後は何処かに落ち延びたようだが……?
ガンダムシリーズの主人公は10代前半でガンダムに乗り初陣を飾る事が多く、最年少にあたる13歳組は『V』のウッソ・エヴィンと『AGE』のキオ・アスノ。特殊な例を含めると『プラモ狂四郎』の京田四郎が小学五年生なのでこれを含めると10〜11歳が最も低い年齢となる。
主人公以外も対象に含める場合は、正パイロットではなく一時的にブルーフレームの操縦を任された風花・アジャーの6歳が長らく最年少だったのだが、エリクトが4歳にして操縦および撃墜の最年少記録を更新してしまった。
- 当初はメディア露出の方向性、担当声優、その容姿から、主人公のスレッタ・マーキュリーは成長したエリクトが偽名を名乗っているものと視聴者に解釈されていたが、上述の事件が21年前の出来事である事に言及されると、スレッタの年齢(17歳)では計算が合わないことと、スレッタがメディアに残るカルド博士の容貌を全く知らなかったことから、エリクトとスレッタは別人である説が濃厚となっていく。
- 注釈として、水星は太陽の周りを2周する間に3回の自転を行なっている(詳しくはこちら)。1年や1日を地球基準で計算すると複雑になるが、おおよそ水星で3年進む間に地球は2年進む。つまり水星基準で21年を過ごした場合、地球での経過時間は14年に相当するため、「21年前の時点で4歳」だったエリクトは水星計算で25歳=地球基準で16~17歳になる、という計算も可能ではある。
- 太陽系内を長距離移動したことで時間や年齢の計算方法が変わった説、エラン・ケレスの描写を鑑みて記憶を書き換える手段が存在する説、または残党として追われないよう幼少期から偽名でいたため本名を覚えていない説、同い年の同級生よりも身長が高い・食欲旺盛なのは個人差と成長期以外に水星の重力が地球基準の1/3倍のためである説、等々、視聴者の間で議論が交わされた。
- うさぎのヘッドガードのようなものを装着しているが、現在の日本を基準にするとヘッドガードの類を使用する期間は、一般的に“おすわり”が始まる6カ月頃から一人歩きが安定する2才頃まで。低重力環境での事故防止のために付けている可能性もある。
- 劇曲『ソフォニスバ、驚くべき女人』にはエリクトという名の魔女が登場するが、関係は不明。
ALERT
※物語の核心に迫る重大ネタバレ注意!!
以降、Season2の最新話までの視聴推奨。ネタバレが嫌なユーザーはブラウザバックを強く推奨します!
ALERT
Season2以降の解説
「あなたにはもう一人、娘さんがいましたよね……? エリクト・サマヤは、今……何処にいるんですか?」
襲撃から逃げ延びたエリクトとエルノラだったが、フォールクヴァングの庇護を失ったことで4歳児の体は宇宙環境に耐えられず衰弱していった。エリクトの生体コードが、ルブリスを通じてデータストームと完全に同調できていたことを知ったエルノラは、最愛の娘を生き永らえさせるためにデータストームのネットワークを利用してエリクトの生体コードを転移させるという苦渋の決断をする。
その後、ルブリスはエリクトの新たな身体・エアリアルへと改修され、新たなパイロットを見守るようになる。
現在のエリクトはパーメット粒子の塊と言える状態。
後にペイル社の命を受けたエランの手によって機体を盗み出されそうになるものの、GUNDフォーマットを通じてエランの目の前にデータストームが形成する白い空間を展開し、12人のエリクトを伴って出現。エランに強力なデータストームを注ぎ込み、「あなたはダメ」と追い出した。データストームの中で意識を保ってはいるようだが、命を脅かすような攻撃を加えた意思がエリクトの人格によるものかは不明。
本編第18話ではスレッタをデータストームの中へと誘い、初めて対面する。現在の自分がデータストーム内でしか生きられないこと、スレッタが自分の遺伝子から生み出されたリプリチャイルドであること、パーメットスコアが「8」に達した今、スレッタを必要としなくなったこと、もう自分やプロスペラに縋ってはいけないというメッセージを伝えると、スレッタに必要な無数の記憶を交えたデータストームを流し込み、エアリアルのコックピットから排出した。
その後のプロスペラの発言から、エアリアルとプロスペラがスレッタを学園に追い返したのはエリクトの要望あってのことだったと判明。(この辺はゆりかごの星にて、最後にプロスペラに言った「スレッタを巻き込まないで」に通じており、プロスペラとしては『クワイエット・ゼロ』の際にスレッタも連れて行くつもりだったようだが、エリクトに反対されたらしい)
その後は母に従う形でエアリアルとして宇宙議会連合の艦隊を『クワイエット・ゼロ』から叩き潰し、彼女らを止めようとキャリバーンでやってきたスレッタと戦う。
しかしクワイエット・ゼロがミオリネらに停止させられた直後、L1惑星間レーザー送電システムILTSが放たれたのを察知してガンドノードらと共に防御壁を展開し、スレッタ、そしてクワイエット・ゼロを守るのであった。その際に振り返ってスレッタに姉としての笑みを見せた。
この攻撃によりエアリアルは大破。しかしながらエリクトはかろうじて消滅を免れており、スレッタの意志を汲み取ったエリクトは再度のILTS攻撃に対し、破損して一度機能停止した機体でありながらスレッタと共に『パーメットスコア8の先』を発現。キャリバーンとエアリアルに加え無人のファラクトとシュバルゼッテを起動し、ILTSのシステムをオーバーライドして攻撃を阻止した。
この際にエアリアル含むGUND-ARM4機はクワイエット・ゼロ共々分解されて消失してしまう。しかしその寸前、スレッタの想いに応えたキャリバーンによって彼女の意識はエアリアルからホッツさんに移し変えられて生存していた。
3年後はミオリネのスーツケースに取り付けられる形で彼女と共に行動しており、仕事に忙しく飛び回る義妹に本人曰く「小姑のアドバイス」として小言を言うなど彼女の話し相手になっているようで、関係も悪くないようである。
スレッタと母の療養している場所が田舎なのに不満は持っているらしいが、それ以上追及することはなく自身を助けてくれたスレッタには素直に感謝を述べていた。
人物像
データストームの中でしか実体化できないため、その姿は(おそらく肉体を失った時点の)幼い頃の姿のままで常にノーマルスーツを纏った姿になっている。しかし人格の方はエアリアルの中で20年以上経由したこともあり4歳の時点とは口調も変わっており一人称も「ぼく」になっている。
(後述の第18話の回想では、エリクトの肉体が死亡した時には赤ん坊のスレッタがいたため、だとしたらスレッタの「誕生」と入れ替わりで死亡しているため、人間としての享年は7~8歳と推測される)。
特殊な環境で人の身を持たず長年を過ごしたせいか辛辣かつ毒舌な面もあり、ゆりかごの星ではスレッタに助けてもらいながら態度の悪いエルゴに毒を吐いている(相手には伝わっていないが)。4歳のスレッタにゲームで対戦して勝ち泣かせたこともあったらしい。
しかし家族に対しては並々ならぬ思い入れがあり、妹とも言えるスレッタに対しては母の復讐に巻き込むことを是としておらず、クワイエット・ゼロの計画を進めるにあたっては母に進言してスレッタを置いていく選択をしている。
エアリアルが消滅してホッツさんの中に移住し、ミオリネが嫁入りして以降の言動は彼女に「母親そっくり」と評されており、「身内以外には容赦がない」「レスバの攻撃力」はある程度元々の性格だった可能性もある。
一方で母や妹が気に入っている地球の田舎町にはさほど魅力を感じないようで、都会の方を好む様子を見せるなど、姿がそっくりでもスレッタとは明確な性格の違いを見せている。
Season2以降の余談
- 2023年4月30日の魔女ラジ第29回では、第14話及び第16話でエリクトを再び演じた市ノ瀬は演出等も相まって「怖かった」としつつも「10回以上見直した」ともコメント。第15話以降のOPで、幼児を思わせるシルエットが無邪気に笑うエリクトに差し替えられている点にも触れている。
- スレッタがいらなくなった時の状態は、まさに閃光のハサウェイの最終盤にて、かの有名なブライト・ノアが最後に言った「歴代のガンダムは、いつも反骨精神を持った者が乗ってました。(以下略)その反骨精神は、ガンダムがなくなった後でも、健在だったものです」と言う台詞に引っかかる部分が多々あり、スレッタはエリクトの後押しがあったとはいえ、母への疑問が持てたからこそ、ガンダムから降り、反骨精神を持てたものの、身体自体がガンダムと繋がれているエリクトの姿は、まさに反骨精神を持てなかった表現ともとれる部分があり、同時期にラウダ・ニールがガンダム・シュバルゼッテを駆っている際は、家族への反骨精神が出ていたものの、大切な家族との思い出を思い出し、家族と分かり合えており、その後ガンダムから降りており、その姿をより助長させている。
- 25歳でボクっ娘で大人幼女……と中々な属性過多となっている。
- SDガンダムバトルアライアンスの掛け合いを見る限り、優れたニュータイプであればエリクトがエアリアルの中にいることは感知できるようだが、特に最高峰のニュータイプとされるカミーユ・ビダンは「エリクトの意思」までも感知し、「あのガンダムが何かを伝えようとしている」とまで言い切った。
- 他のニュータイプでは一年戦争時のアムロ・レイ、ナラティブガンダムC装備のヨナ・バシュタが反応を見せるが、ここまで踏み込んだ反応をするのはカミーユだけである。スーパーロボット大戦やエクストリームバーサスなどのクロスオーバー作品に水星の魔女が登場したら、反応が増えるかもしれない。
- なお、25歳(実年齢)だがエアリアルの中にいた時間が大半のため、「エリクトの常識が20年以上前のままになっていて、それにプロスペラことエルノラがツッコむ」というインターネット老人会さながらのネタが誕生した。懐かしのネタがエリクトから飛び出すかもしれない。
- 「試作段階の巨大自律戦闘人形に魂ごと取り込まれる」、「そのことで彼女を溺愛する最愛の人が狂ってしまう」、「数年後、搭乗者となった主人公を見守る」、「主人公以外の搭乗を拒否する場合がある」など、某ロボットアニメの彼女と意外と共通点が多い(ただし、直接会話が可能なレベルで意識が残っている点は異なるが)。
- ガンダムシリーズの過去作において冷凍保存された状態の人間の意識をデータ空間上に移し、活動させるというものがあった。その後、意識を移動させた人間からカヴンの子のような複写存在が誕生している。
アイン・ダルトン:同じく戦争で瀕死の重症を負った後、異なるベクトルでモビルスーツと一体化した人間。
リタ・ベルナル(機動戦士ガンダムNT):同じくとある事情からガンダムタイプのMSに意識を宿すことになったキャラクター。また、二人とも劇中存命であれば25歳である点も同じである。奇しくも、本作の分割2クールの間を埋める形でその締めとして放映された。
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