「あら、生きていこうと思えばどこだって天国になるわよ。だって生きているんですもの。幸せになるチャンスは、どこにでもあるわ」
概要
碇ゲンドウ(以下ゲンドウ)の妻で、主人公の碇シンジ(以下シンジ)の母。
美人で頭脳明晰、且つ心優しい性格であったことが窺える。第一印象が総じて悪いゲンドウに好意的だった数少ない人物。一方研究者肌も影響してか、独特の人生観・死生観を持ち、それが彼女の後の行動の端緒にもなっている。冬月始め、ゲンドウとの結婚に驚く者は少なからずいたが、元々ゼーレと深い関わりが有り、ゲンドウが彼女に接近したのはそのパイプを得ようとしたからだというのが専らの噂だった。
シンジが3歳の時にEVA初号機のエントリー実験に参加するが、初号機のイレギュラー反応により肉体が消失。文字通り帰らぬ人となってしまう。
その後何度かユイのサルベージが試みられるも、遂にユイが蘇生することは無かった。しかしこのサルベージ作業により思わぬ副産物が得られることとなる。
容姿は綾波レイにそっくりで、同時に目元や顔付きの面影は息子にも受け継がれている。
存在こそ喪われたが魂はまだこの世にあり、状態が状態だけに出番は少ないものの、エヴァンゲリオンという難解な物語を紐解くための最重要人物の1人である。
アニメでは
1999年
京都大学にて冬月コウゾウ(以下冬月)とゲンドウと知り合い、親しくなる。
冬月とはほかの教授を通して彼女の評判を知った冬月が興味を示し、彼女を自分の研究室に呼んだことで知り合った。
ゲンドウと知り合った経緯は謎だが、のちに冬月は回想シーンで彼女を利用しゼーレに近づくためだったのではないかと思われている。
ゲンドウに冬月を紹介したのは彼女。
冬月はゲンドウと会った感想を彼女に「あまりいい印象が持てない」と言っているが、彼女は軽く反論しゲンドウを「実は可愛い人」と言っている。
2000年〜2001年
2001年にシンジが生まれたことも考慮してこの間にゲンドウと結婚。
冬月はこれを2002年に南極でゲンドウと再会したときに知り意外な組み合わせに軽いショックを受けていた模様。
2004年
冬月がゲンドウに会いにゲヒルンを訪れた時に冬月と彼女が再会。
初号機とのシンクロ実験を試みたが、初号機のコアに吸収され、公式的には死亡。これにより最愛のユイを亡くしたゲンドウは狂っていく。
2015年
第3使徒戦では主人公のシンジの危機を察して初号機を起動させたり、暴走させる。
第12使徒戦でも、シンジの危機と叫びを察して暴走。
第14使徒戦ではシンジの覚悟、意志、叫び、がコアの中の彼女に届き、彼女の意思が覚醒暴走したのち使徒を捕食、さらにシンジをコアに取り込みシンジと接触した。
最後のNERV本部攻防戦では無気力なシンジを初号機に乗せるために初号機を起動。
補完計画のさなか、ゲンドウと再会(諸説あり)。
2016年
初号機を起動させ、黒き月、リリス、エヴァンゲリオン量産型9機を破壊。
シンジとの再会と永遠の別れ。
初号機と共に、宇宙へと地球から旅立った。
その他
ゲンドウ最愛の妻であり、彼の人類補完計画の到達点に重大な影響を及ぼしている。師の冬月も彼女に特別な感情を持っていた節があり、漫画では真希波マリもユイに惹かれていたことが明かされるなど、彼女を慕う人間は多かった。
消滅当時はまだ幼かったため、彼女の存在はシンジの記憶に殆ど残っていない。しかし息子には深い愛情を注ぎ、彼女が初号機に残る意志を固めたのは「シンジに人類の明るい未来を見せたい」という思いもあったためである。またシンジの内罰的な思考を作るきっかけはゲンドウに捨てられたことではなく、今まで自分を愛してくれた彼女との死別がきっかけであり、ゲンドウの仕打ちはトドメの一撃だったという説もある。
また、初号機とのシンクロでコアに取り込まれることを知っていたらしく、止めようとする冬月に「エヴァは永遠に残るので、エヴァと共に人類の生きた証になる」などの発言をしている。
ファンの間には…
などの説もあり、全て真実ならエヴァンゲリオンの世界における全ての黒幕にもなる。
漫画版では
若干彼女の描写が異なり、ゲンドウと再会した時にこれまでの彼の行いに悲しんだり、シンジと第3使徒戦直後から接触しようとするなどの変更があるが、彼女の印象はあまり変わっていない。シンジはユイの兄夫婦の家に預けられていた。兄はユイの肉親だが、ゼーレやネルフとは全く関わりがなかった模様。
新劇場版では
TV版とは違い、暴走したのは第4の使徒戦のみ。
彼女の旧姓が綾波になっている。(TV版では元々、碇)
また、消失した経緯は「コアへのダイレクトエントリー試験」であると設定されている。
『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』では旧世紀版とは全く違う来歴だと明かされた。
幼少期から孤独で愛情を知らなかったゲンドウを受け入れ、『愛』を与えた人物。彼女はただ彼とシンジのためだけに行動していた。
新劇場版で人類補完計画の原案を作成したのはある人物の父親であるため、旧世紀版におけるゼーレとの関連は一切存在しない。
ヒトではない何者かが残したとされるゴルゴダオブジェクトに居たとされており、明確にヒトではないことが明かされた(人類側が意図的に接触させられたとも考えられる)。
そして、全ての因縁の終局の時、今まで初号機の中にいながら一切の意思を出すことが無かった彼女は希望と絶望、プラスとマイナスを自分の手で精算しようとしたシンジの身代わりとなり、ゲンドウと共にシンジを新世界へと送った。
綾波レイとの関連性
綾波レイは彼女の遺伝子を元にしたクローンにリリスの魂(欠片?)が宿った存在である。そのため彼女を溺愛していたゲンドウには気にかけられている。
EVA初号機との関連性
彼女は初号機と2005年に彼女と初号機のシンクロテスト中の事故(?)で同化しており、初号機が追い詰められると彼女の影響で暴走する。
余談
最終回のシンジの夢(?)の中ではキッチンで洗い物をしていた。
碇シンジ育成計画(漫画版)では
本作でもシンジの母親。
人工進化研究所の副所長だが、その仕事をコントロールしている実質的なトップで本編における冬月とリツコのポジションを兼任している。
普段は温厚だが激しやすく、夫を完全に尻に敷いており、よくゲンドウを制裁するシーンがある。しかし、破天荒な彼に呆れる反面、本心では頼もしさも抱いている。
レイに対しては相談も受ける良き理解者である。
尚、本作のシンジが得意とする料理は彼女が教えたものだが、今ではシンジの方がレパートリー豊富になっている。