神は塵から人のカタチを作り、その鼻に息を吹き入れアダムとしたという。
神が与えし新たな命ーーーエヴァ
曖昧さ回避
- SFアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の略称。詳しくはこちらの記事を参照の事。
- 同作品に登場する架空の人型兵器の名称。本項にて説明する。
概要
建造目的とその性格
その名前は、ギリシャ語で福音を意味する「エウアンゲリオン」と神がアダムと同じ方法で最初に作った女性、「エバ」を合わせたもの。
使徒と呼ばれる謎の敵性体の殲滅を目的とし、E計画により建造された汎用人型決戦兵器「人造人間エヴァンゲリオン」。劇中での略称は『EVA』。
装甲板で覆われた姿は正に巨大なヒト型ロボットだが、人造人間という表現の通り、内部構造は「生命の起源」であるアダムもしくはリリスをコピーして作った巨大な人工生命体である。そのため巨大ロボットというよりは生物に機器を埋め込んだサイボーグ、怪獣の類として扱われることもあり、アニメファンやSFファンの間では『エヴァは巨大ロボットか』という論争が度々される。
アニメ作品としての新世紀エヴァンゲリオンはロボットアニメの文法に則っているが、ガジェットの設定としては生体ベースの制御システムや駆動系を採用しているという形であり、他のロボットアニメでも類似の関係性は見られる。「エヴァ前」ならオーラバトラー、「エヴァ後」ならタクティカルアーマーなどがあるが、特に社会現象化したエヴァ後にこうした設定が発想、受容されやすくなったとは言えるかもしれない。
「A.T.フィールド」という強大なバリアを展開できるのが最大の特徴。これにより生半可な物理攻撃が通用しない他、至近距離でこのフィールド同士を中和させることによって相手の防御壁を無効化することが可能。そのため、同じくA.T.フィールドを持つ使徒に対して人類が保有する唯一の対抗手段とされている。
1万2千枚あるという特殊装甲の下にある生体部分については謎が多いが、基本的には四肢を用いて人間同様の運動を可能とし、眼球がある、損傷した際には流血する、胴体が大破すれば内臓のような物体が露出するなど、比較的高度な脊椎動物に近い構造がある事が窺える。
その一方で、関連書籍やメカニック設定関係からは、「確たる統一見解ではない」と前置きされつつも、「EVAの中身に相当する生命体は具体的な体組織を持たない泥人形のようなもので、器官や臓器はその時の状況に応じて場当たり的に形成されている」という考え方の一例も示されている。
新劇場版では裏コード「ザ・ビースト」で抑制を解除することにより、ヒト型の枠を超えた獣状の姿に変貌する機能も見せている。
兵器としての信頼性の不備
使途に対する唯一の対抗手段という重要性とは裏腹に、しばしば原因不明の暴走事故を起こしたり、基地一つ丸ごと消滅させるような大爆発を引き起こしたりと、未だ人類の手で完全にはコントロールし切れない非常に危険な代物でもある。
表向き「特殊装甲」と扱われている外板も、EVAをヒトの姿に留め、暴走を抑制する拘束具を兼ねていることが明らかになっている。
運用を任される葛城ミサトも「信頼性はゼロに近い」と発言しているなど、いくら他の手段が無いからとは言え、コントロール出来ない兵器が存在していいのか、そもそも何故そんな危険性を孕んでいるのかといった疑問を視聴者に抱かせたのは想像に難くない。
作中でも時田シロウにこの問題点を突かれて小馬鹿にされていた。
運用とその制限
背部に「アンビリカルケーブル(直訳すると“へその緒”)」と呼ばれる電力ケーブルが接続されており、そこから電力を供給されることで稼働する。ケーブルを伸ばせる範囲内に電源が必要であり、そのためEVAの運用範囲は基本的に電源設備のあるNERV管轄敷地内に限られる。ケーブル断線などの非常事態に備えた内部電源も有しているが、これを用いた場合の稼働時間は最大でも5分程度。
建造および管理維持には国家予算級の莫大な資金が必要なことも描写されている。第弐話のゼーレとの会議のシーンでは、戦闘で生じた街の再建込みとはいえ、使徒に折られたEVAの腕一本を直すのに「国が一つ傾く」ほどの予算がかかると言われていた。
本来の運用目的
本来のエヴァンゲリオンは、人類補完計画のトリガーとなるべく第一の使徒アダム、もしくは第二の使徒リリスのコピーとして造られた存在で、巨人型兵器としての役割は付随的なものに過ぎない。
そのため遺伝子構造には使徒と共通する部分があるが、使徒の核とも言えるS2機関と魂を持たないため、生命体として自ら動くことはない。これがエヴァと使徒との最大の違いであり、それ故に魂の代役となるパイロットが必要とされる。
制御の不安定さや極端な高コストも、元から兵器として作られていない物を、いわば転用しているが故のものであり、後述するパイロットに必要とされる資質やその影響も含め、最初から軍用機材としての生産性や信頼性などは二の次だった言える。
操縦方法
搭乗員の資質と搭乗にあたっての影響
パイロットは母親のいない14歳の子供に限定され(渚カヲルは例外的に15歳)、原則として1機体につき1人しか選出されない。(ANIMAにおいては、技術革新とパイロットの練度向上によって、17歳のパイロットでも14歳の頃と同様に操縦する事が可能となっている)
搭乗はエントリープラグと呼ばれる円筒状のコクピット容器を、EVAの後頭部から脊髄部位に挿入する事で行われる。プラグ内はLCLという特殊な液体で満たされており、これを媒介にパイロットとEVAの神経を接続することで操縦を行う。また、LCLは肺から直接血中に酸素を送ることができるため、この液体の中にいてもパイロットが窒息することはない。
この接続状況は「シンクロ率」という係数によって把握され、シンクロ率が上がれば上がるほどEVAの戦闘能力も向上するが、同時にEVAの受けたダメージの搭乗者へのフィードバックも大きくなる。また、あまりにもこれが上がり過ぎるとパイロットの心身に深刻な影響を及ぼし、EVAとパイロットとの間の境界が曖昧になった末、最悪“ヒトの形を維持できなくなり同化してしまう”事態も発生し得る。新劇場版においては、「プラグ深度」と呼ばれるパラメータが設定されており、EVAとのシンクロ率が高くなればなるほどエントリープラグがEVAの内部コアに近づき、EVAが暴走した際にはエントリープラグを引き込もうとするなどの演出も見られた。
エントリープラグには万が一の事態に備えての脱出装置があり、緊急時にはロケットモーターによる射出が行われ、遠距離へ飛翔してパラシュート着地する……のだが、作劇の都合上作動しないことが多い。まともに起動したのは零号機の起動実験及び『新劇場版:Q』のみ。
後に、EVAの体内には使徒と同様に「コア」が存在し、そこにはパイロットとEVAを円滑にリンクさせる為の触媒として、そのパイロットの母親の魂が封入されている事が判明する。搭乗者の選出基準が上記のようなものであったり、シンクロ率が先天的素質に大きく左右されるのもそのためである。
一方、新劇場版では劇中「(初号機以外の)EVAにはパイロットにも複数バックアップが用意されている」という旨の説明がなされており、この設定が受け継がれているかどうかは今のところ不明。
操縦方法
EVAはパイロットの思考により制御されるため、基本的な操作に専門的な技術や知識は必要ない。
コクピットにはピストルグリップ型のコントローラーが付いているが、これは武器などの操作をわかりやすくする補助的なもの。機械的に接続されているわけではないため、シンクロ率が低下するとコントローラーも操作を受け付けなくなる。
動作を上手くイメージできるようになれば巨体と運動能力を自分の身体のように自在に操ることが可能になるが、A10神経と呼ばれる感情に関わる部位をエヴァと接続する必要があり、前述のように過剰なシンクロや刺激の逆流といった危険を伴う。
接続を補助するためにパイロットはプラグスーツと呼ばれる特殊スーツを装着するが、エヴァ側に思考を伝えるヘッドセットさえあれば着なくとも操縦は可能。
武装
手を介して使用する兵器
EVA自身がヒト型であり、人間のパイロットの思考を基本に動くこともあり、人間用の銃器や刃物をEVAサイズに巨大化させた武装が多い。
そうでなくても、基本的には人間同様に手で持ったり担いだりできる形状に設計されているものがほとんど。
ほぼ全機体共通の標準装備として「プログレッシブナイフ」がある他、大型薙刀「ソニックグレイブ」や大斧「スマッシュホーク」、電磁レールガン「パレットライフル」や陽電子砲「ポジトロンライフル」等々、必要に応じて様々な兵器を使用可能。
他にも「マゴロク・エクスターミネート・ソード」「全領域兵器マステマ」等、ゲームやスピンオフ作品にしか登場しない兵器も数多く存在する。
固定武装
生体組織をメインフレームとするEVAに内蔵兵器と呼べるものはなく、殆どのEVAは両肩に高く伸びた板状のバスルを装着し、この中に様々な装備品を格納している。
左肩バスル内には全機共通の装備としてニードルガンが装備されているほか、バスルが開いてプログレッシブナイフを取り出したこともある。
テレビ版では降下制御用のスラスターを内蔵しているのが確認されている。
兵器など内蔵していないであろうアダムのシルエットにも肩の突起があるほか、プログレッシブナイフを持たない第13号機や「Mark」を冠するEVAなどにもバスルが付いている。また、第13号機が疑似シン化第3+形態(推定)に覚醒した際には、バスルが割れて中から細い骨格のようなものを天高く伸ばし、これは絵コンテで「翼の骨」と書き込まれていた。コンセプトアートの「Mark4飛行特攻型案4」では、ロケットのような形状のEVAがエンジンのようにバスルのパーツをつけているなど、翼のように扱われていることもある。
このため、EVA両肩のバスルは兵器としてのEVAに格納庫を追加したのではなく、アダムの姿を模した上で格納庫としての機能を後付けした「天使の翼の名残」ではないかと推測するファンもいる。
もっとも、実戦投入前の零号機はバスル無しで運用されていたほか、携行型ポジトロンライフル装備時のようにバスルを取り外すこともできるため、EVAを構成する上で必須のパーツではない模様。
旧劇場版の量産機もバスルが無く、鳥のような翼を展開できる折りたたみ式の飛行ユニットが接続されている。
機体名称表記など
兵器としての「汎用人型決戦兵器・人造人間エヴァンゲリオン」の略称表記は、公式の資料や関連書籍上ではアルファベットの「EVA」で統一されている。
また機体番号表記については、日本国内で建造された機体(EVA零号機~弐号機)は漢数字で、日本国外で建造された機体(EVA3号機~13号機)はアラビア数字で表記するという設定が存在する。
もっともこの設定はあまり認知・徹底されていない模様で、漫画や小説、ゲーム、フィギュア等では「3号機」を「参号機」と表記しているようなケースも多い。また、弐号機の組立はドイツ第3支部で行われている。
なお、新劇場版において、弐号機は「2号機」と表記を改められている。
一覧
TVシリーズ・旧劇場版・貞本漫画版
エヴァンゲリオンANIMA
TVシリーズのIFである為、TVシリーズに登場した機体の改修機や試作機などが大半を占める。
- 零号機
- 0・0EVA
- 0・0EVAカトル機 / サンク機 / シス機(トロワ機)
- 初号機
- 弐号機
- EUROII・ウルトビーズ
- 量産機
- エンジェルキャリヤー
- エンジェルキャリヤーI型 / II型 / III型
- USエヴァンゲリオン/ウルフパック
- アルマロス
- トーヴァート
- トーヴァートα / トーヴァートβ / トーヴァートα1
- 悪魔の背骨
ヱヴァンゲリヲン新劇場版
4~13の名を持つEVAが一新された。
- 零号機
- 初号機
- 2号機 / 改2号機 / 新2号機
- 3号機
- Mark.04
- 仮設5号機
- Mark.06
- Mark.07
- 8号機
- Mark.09
- オップファータイプ:Mark.09-A / 10 / 11 / 12
- 第13号機
その他
- 4号機:本編では名前のみ登場
- 乙型 / 乙号機:『名探偵エヴァンゲリオン』『バトルオーケストラ』に登場
- 甲号機:『バトルオーケストラ』に登場
- 8+2号機:『新劇場版:Q』内の『シン・エヴァ』予告に登場
- 無号機:短編『evangelion:Another Impact (confidential)』に登場
- フォウチュン:旧劇場版の没プロット『彼方の待ち人』に登場
- 死神の背骨:『彼方の待ち人』に登場
- 腕ユニット:『シン・エヴァ』に登場。厳密にはEVAなのか不明
コラボ
- ヱヴァインパクト:JRAとのコラボ。
- コンボイ・モードエヴァ:トランスフォーマーとのコラボ。
- 3式機龍乙型:ゴジラとのコラボ。
- ゴジラfeat.EVA-01:ゴジラとのコラボ。
- EVA初号機G覚醒形態:ゴジラとのコラボ
- 500_TYPE_EVA:シンカリオンとのコラボ。
- 目醒めの刻/胎動の序曲:バトルスピリッツとのコラボ。
- 虚実妖怪百物語:多数の有名キャラクターたちが登場する。エヴァンゲリオンも召喚対象として他のスーパーロボットたちと共に言及された。
関連タグ
新世紀エヴァンゲリオン ヱヴァンゲリヲン新劇場版 エヴァンゲリオンANIMA
大泉洋:2021年紅白歌合戦のコーナーで碇シンジと一緒に乗せられる。ミサト「こうなったら大泉、あなたがエヴァに乗りなさい!」
ダンバイン 巨神兵 ゾイド → 機械と人工生物で設定が揺れている繋がり。特に巨神兵はアニメ版にて庵野秀明が作画を担当している。