概要
陽電子(ポジトロン)が物質中の電子(エレクトロン)に衝突すると対消滅する事を利用した武器であり、陽電子砲とも呼称される。
劇中での初登場は第六話。第5使徒ラミエルを狙撃するための兵器「陽電子砲円環加速式試作20型」として名を挙げられる。しかし、まだ未完成だったので代わりに戦略自衛隊の自走陽電子砲を徴用・改造した「ポジトロンスナイパーライフル」が投入されることになった。
その後、前述の試作20型を実用化した「ポジトロンライフル20X(実験20号パレット)」が登場。いかにも狙撃銃らしい形状だったポジトロンスナイパーライフルに比べ、白いカラーリングと近未来的なデザインが特徴的な、大型ビームライフルというべき武器である。
発射される光弾の威力はパレットライフル等の実弾火器よりも遥かに強力なうえに連射も可能だが、使用時には銃床を肩にかける為、右肩のウェポンラックを外す必要があるのが運用上の難点と言える。
(上記イラストは別の武器だが、形状やカラーリングが酷似しているため参考資料として掲載する)
また、狙撃用に強化された「ポジトロンライフル改」も存在する。こちらは本体上部に望遠用の大型スコープ(光学スコープではなく質量を感知するタイプらしい)が増設されたほか、カラーリングも変更されている。
劇中では第九話で初登場。EVA弐号機が第7使徒イスラフェルへの攻撃にポジトロンライフル20Xを使用した。第弐拾弐話でもやはり弐号機が第15使徒アラエルを狙撃するためにポジトロンライフル改を携行して出撃した。
いずれも使徒に致命的ダメージを与えるには至らず、ポジトロンスナイパーライフルに比べて印象的な活躍を見せたとは言い難い。第弐拾弐話に至っては乱射した光弾が第三新東京市各所に着弾し、むしろ被害を拡大させてしまっている。
エヴァンゲリオンANIMAではエヴァンゲリオン・EUROII・ウルトビーズが装備している。
製造元がネルフドイツであるため耐電磁コートや円錐型の粒子加速器など、本部製のポジトロンライフルとは大きく異なった外観を有しており、作中では「トロンボーン」、「天使の持ち物」と形容された。
新劇場版には登場していない。
ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズでは、威力・射程共に優れた射撃武器であり、作品によっては全体攻撃特性も備えている。また、零号機、初号機、3号機が装備している事もあるが、何故か肝心の弐号機が使用できないことが多い。サルファに至っては「弐号機は合体攻撃時の演出でポジトロンライフル20X、ポジトロンライフル改をそれぞれ使用しているが、どちらも武器単体での使用は不可能」という謎のこだわりを見せている。
新劇場版が主体となった近年の作品には登場していない。
余談
古いSFでは「反物質砲」と呼ばれた兵器でもある(陽電子は反物質の一種)。
危険性
陽電子は空気中の(窒素や酸素に含まれる)電子相手でも対消滅を起こし、更には対消滅時には多量の放射線を発生させてしまう。
デザインを担当した山下いくと氏も当然そのことは理解していた(デザイン集で言及している)のだが、空想科学読本では「大気中で陽電子を発射するなんてアホの所業」、「防護服も着ずにいたミサトさん達が危ない」、「それどころか地球が滅びかねない」と指摘されてしまった。
そのせいか、後年の『機動戦士ガンダムSEED』に登場した同様の兵器「陽電子破城砲」は「大気圏内で発射すれば地球環境を汚染してしまう」というリスクが劇中で描写されていた。
破壊力
あくまで陽電子砲の肝は対消滅によって生じる膨大なエネルギーによる破壊であり、対消滅による物体消滅はおまけに過ぎない。1㎏分の物質を対消滅させただけでもその破壊力はツァーリ・ボンバの約80%ほどとなり、爆心地から半径約6㎞内に即死レベルの放射線をばら撒き、半径約15㎞内の建物を全て吹き飛ばし、半径約100㎞内の窓ガラスを全て粉砕する。
エネルギー効率
肝である陽電子を生成しなければならず、それに莫大なエネルギーを使うため、破壊エネルギーは消費エネルギーを必ず下回ることとなる。結局のところ、電気エネルギーをローレンツ力等で運動エネルギーに変換するか(レールガン・荷電粒子砲)、質量エネルギーを介して熱(光)エネルギーに変換するか(陽電子砲)の違いでしかない。
ただし、陽電子砲の場合、陽電子をロスなく対象へ衝突させる手段さえ確立していれば電力の許す限り威力を上げられるという利点がある。
- 運動エネルギーに変換するタイプは、速度に上限がある上に空気抵抗等にも大きく左右される。
関連イラスト
関連タグ
ショックカノン - 同じ陽電子を利用した武器だが威力が高すぎポジトロンライフルが全く、相手にならない。
KARASAWA - 形状がポジトロンライフルに酷似した他作品の武器。
プロトンビーム - 関連性のある作品において、特性に類似した点を持つ光線兵器。