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概要

旧ソ連が生み出した人類史上最大の水素爆弾であり、1961年10月30日に北極海のノヴァヤゼムリャ島の上空から爆撃機で投下された。

その規模は実に50メガトン、あの悪名高きビキニ水爆の3倍以上にも及ぶ。

核兵器、というかそもそも人類が手にした兵器の中では最強(最凶?最狂?)の破壊力を有する。というよりこいつよりも高威力の兵器など存在してはいけない。

なお、当初は100メガトンにする予定だったとか。

ちなみにツァーリ・ボンバとは「爆弾皇帝」という意味である。

さらにこの名称、実は西側諸国で付けられたコードネームだったりする(ちなみに旧ソ連側での開発コードは『イワン』、完成品は『AN602』という名称)。…が、現在ではロシアでも「ツァーリ・ボンバ」で通るらしい。モスクワクレムリンに展示されている有名な「ツァーリ・プーシュカ(大砲の皇帝)」「ツァーリ・コロコル(の皇帝)」を思わせるからだろうか。

「イワン」というコードネームだが、威力はイヴァン雷帝どころではないのは上述の通り。

なんでこんなものを作ったんだ?

結論から言ってしまえば「テキトーに落としても目標を確実に吹っ飛ばせるようにするため」というのが核兵器の高威力化の目的の一つである。

多少目標から外れても、威力を上げれば爆風の範囲を大きくできる→直撃しなくても目標を吹っ飛ばせるという単純明快な理屈である。

ツァーリ・ボンバはこの発想の行き着く先といってもいい。

現在では核爆弾の多弾頭化により危害面積を広げる方が効率的とみなされるようになっており、ツァーリボンバのような「単一弾頭で高出力化により危害面積を拡げる」コンセプトの核兵器はもはや「過去の技術」として見向きもされなくなっている。このため今後単発威力でツァーリボンバを上回る核爆弾が登場する可能性は非常に低いと考えられている。

また、実用的価値の他にも「ソ連の国力を見せつけるため」という側面もあると言われている。

ツァーリ・ボンバ最強伝説

  • 【Russia releases secret footage of 1961 Tsar Bomba hydrogen blast】

  • 本来は100メガトンにする予定だったが放射性物質の飛散を抑制するため鉛を入れるなどして50メガトンに抑えた。(核分裂で起爆→核融合で爆発→さらにそのエネルギーで核分裂を起こすという3段構えの仕様だったため、フルパワーで爆発させると大量の放射性物質をまき散らす)
  • それでも爆発の威力が大きすぎて衝撃波が地球を3周以上もした
  • 爆発時の火球は投下した高度(10,500メートル)にまで達した。
  • 爆発時のエネルギーはジュール210ペタジュールワットに直すと5.3ヨタワットに達した。これは計算上富士山を跡形も無く破壊できる火力である。
  • 運搬、投下にはTu-95が使われたがあまりのデカさに専用の改造を施さなければならず、それでも爆弾倉には収まらず半埋め込み式で搭載したトールボーイグランドスラムを運んだランカスター同じ方法)。機体には耐熱塗料が塗られ、投下母機に被害が及ばないよう爆弾には800kgもの多段階式減速用パラシュートをつけた上で超高高度で投下したが、それでもTu-95が一時的にバランスを崩してしまうほどの衝撃波を発生させた
  • アメリカ軍もRC-135(空中給油機を偵察用に改造した機体)を派遣して核出力の算出を行ったが、強烈な熱線により機体に塗装された耐熱塗料はほとんど焦げて消失していた

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