概要
ゲーム『MGSPW』に登場する兵器。
コスタリカで極秘裏に開発が進められていたAI搭載自動報復歩行戦機であり、ピースウォーカー計画により生み出された無人兵器群の完成形。
人間の判断では躊躇や恐怖という感情がある以上、相互確証破壊(MAD)は不確実であり現在の核抑止は不完全であると考えたCIA中米支局長ホット・コールドマンの主導の下、『人の意志を介さないAIの判断による確実かつ合理的な核報復』を行う完全なる核抑止力の確立を目的として開発された。
「騎士に槍で突かれるも、体内の毒で騎士を道連れに殺した」という核抑止の概念にも通じる伝説から開発中の胴体部分は『バシリスク』と呼ばれていた。
作中ではメタルギアとは呼称されることはなかったが、兵器としての定義でいうならば世界で初めて製作された核搭載二足歩行型戦車・メタルギアでもある。(MPOに登場したメタルギアRAXA及び弾道メタルギアは飛行型であり、二足歩行戦車ではない為)
機体解説
基本は二足歩行だが折りたたまれた脚部を展開することで四足歩行も可能であり、中米のような険しい地形の多い土地でも走破することができる。
他のAI兵器と違い二つのAIポッドが詰まれており、頭部下部にある姿勢・動作制御を司るレプタイルポッド・AL-aurelia8000、胴体後部にある核報復や各種戦略判断を司るママルポッドのBS-imagoの二つがそれぞれ小脳と大脳の役割を持つ。
(本編外に登場する弐式や改は核攻撃を行えるものの、報復の判断が必要ないのかストレンジラブが計画から離脱したからかは不明だが、ママルポッドは搭載されていない)
レプタイルポットの製作はヒューイが、ママルポットはストレンジラブが担当。
二脚歩行制御関係はMGS3に登場したソ連のアレクサンドル・レオノヴィッチ・グラーニンからヒューイに託された設計図を元に開発されている。
AI搭載自動報復歩行戦機の名の通り核攻撃を探知すると、AI上に再現された「ある人物」の思考パターンに基づいて報復攻撃の判断と攻撃目標を決定する。
攻撃の必要があると判断されれば搭載された1メガトン級核ミサイルの発射、もしくは頭部に搭載された水爆による自爆により自動報復攻撃を行う(自爆攻撃を行う際は敵地へと単機突入、もしくは敵地に潜伏した機体が自爆する)。
自爆用の水爆はソ連のツァーリ・ボンバに対抗するためだけに搭載され、威力の面では完全なオーバーキルである。
核報復の観点から米ソ両陣営を射程に収めることの出来る中米に複数体配置する必要があるため、コールドマンは本機を量産するつもりでいた。
自衛の為にミサイルや火炎放射器など、多くの火器を積み、電磁パルスによりミサイルを逸らす事も出来る。また核戦争や本機が核攻撃を受けることも想定しているため、AIポッドは核シェルター並の堅牢さを誇り、機体装甲もそれに準ずる強固さを持つ。
頭部の球体部にはモルフォ蝶(ペレイデスモルフォ)のシルエットが描かれている。
二足歩行形態
どことなくREXを左右逆にしたような意匠がある形態。この時球体は後部側になる。四足歩行形態からするとまるで逆立ちしているようにも見える。なんか動きはぎこちないが、間違いなくその有様はまさにメタルギアである。
四足歩行形態
球体側が前部としてまるで四足歩行動物みたいに駆け回る。ちなみにこの形態だと巨体であるにもかかわらず移動速度が物凄く速くなる上に崖があろうが登り、馬で追いかける場合でもやっとである。言うならば足が生えたシャゴホッドといったものか。
劇中の活躍(ネタバレを含みます)
KGBのザドルノフと結託したコールドマン率いるCIAの一部勢力によって、コスタリカの採掘場跡や遺跡を利用して造られた研究施設で開発されていた。
偽装採掘場研究所にスネークらMSFが駆けつけた時にはまだママルポッドは未完成だったが、拘束されたスネークに対する尋問によりついに完成してしまう。(スネークは何も語らなかったが、その沈黙こそが未完成の部分=ボスの最期の確信になってしまった)
ザ・ボスの愛馬アンダルシアンを駆るスネークの必死の追撃を躱してパスを人質にしたコールドマン達と共にニカラグアへと逃亡。
物語終盤、ニカラグア湖畔の米軍ミサイル基地にて、コールドマンは核報復の確実性を実証すべく「ソ連から米本土への核攻撃」という偽装データをピースウォーカーに送信して自動報復モードを起動し、コスタリカ近海にある目障りなMSFのマザーベースに向けて核ミサイルを発射させようとするが、ザドルノフが裏切ったことでキューバを標的に変更させられる。(「アメリカが親ソ連のキューバに核攻撃を行う」というシチュエーションにより中南米の反米感情を爆発させ、一気に共産化する、というKGBの目論見)
だがスネークとカズ率いるMSFの部隊が駆けつけて両者を拘束したことで、一旦は事態は沈静化したかと思われた。
しかしAIの解体のためにスネークとストレンジラブを残して部隊が撤収した後、ザドルノフに撃たれたコールドマンが死に際にピースウォーカーを通してアメリカのNORADへも偽装データを送信したことで、放っておけばピースウォーカーは既に受け取っている偽装データを本物と信じ込み自動報復を行ってしまい、さらにアメリカ政府が偽装データを本当のミサイル攻撃と誤解したことで世界は全面核戦争の危機、という最悪の事態に立たされることになってしまう。
ただしコールドマンは「安心しろ、何も起こらんさ、破壊者として記録されたくはないからな」と言っており「人間に核は撃てない」と証明するための行動であった。
スネークはキューバへの核攻撃と偽装データを止めるべくこの化け物に戦いを挑む。
死闘の末にピースウォーカーのママルポッドは停止し、ボディも破壊されたことでキューバへの核攻撃は阻止されたが偽装データの送信は止まらず、身分を明かしたスネークによる米政府への説得も電話に出ていたビッグボスと面識があった人物(当時の陸軍参謀総長、「兵士(ソルジャー)と工作員(エージェント)を併せ持つ部隊(=FOXの正式認定)が必要では?」と言っていた人物)彼こそ説得出来たものの、彼を信じきれなかった政府高官たちが報復を強調したために失敗してしまう。
(これにより「人間に核報復はできない」とするコールドマンの理論は、「狂気に陥った人間は容易に破滅へ突き進む」という現実の前に崩れ去ったと言える)
途方に暮れるスネークだが、突如ピースウォーカーはママルポッドを展開、招き入れるようにハッチを開け、スネークの名を呼ぶ。
記憶盤を全て抜き去れば偽装データが止まるかもしれない、そんな一縷の願いに賭けて全ての記憶盤を抜き取り、再び彼女を殺害するも、レプタイルポッドと結合されていたことで破壊されたママルポッドに『機能代償』が発生、小脳であるレプタイルポッドがママルの機能を代行し始めてしまい、偽装データを送り続ける。
無駄と知りつつも必死に機能停止したピースウォーカーに銃撃を浴びせ続けていると、突如ピースウォーカーがもがくように立ち上がり、カーペンターズの「Sing」を歌いながら再起動、ピースウォーカーはまるでザ・ボスの最後の意志を再現するかのように自らをニカラグア湖に沈めて完全に機能停止させ、偽装データの送信を止めるのだった。
そしてそれは真実を知る者にとってはザ・ボスの無実を証明する行動でもあった(「如何なる状況においてもザ・ボスが核攻撃を行うことはあり得ない」=「スネークイーター作戦の理由であるソコロフ設計局への核攻撃は彼女の仕業ではない」)
自己犠牲、機械には決して選択のできない、平和のための行動である。
彼女は自分から銃を捨てた、心底望み続け、そしてなお届かなかった平和、それでもなお願わずにいられず、追い求めるべき幻想、それを彼女は体現したのである。
その際、NORAD指令室のスクリーンに映しだされた世界地図は平和を意味するピースマークに埋め尽くされ、その歌は世界中に響き渡った。
(それを裏付けるように、ローディング画面もピースマークで埋め尽くされる、この時のピースマークは普段ローディング画面で見るバーコード状の壁に囲まれたピースマークという「穴だらけの抑止力に囲まれて成り立つ平和」ではなく、本来のピースマークになっている。)
後に搭載されていた核ミサイルは回収され、MSFの抑止力としてメタルギアZEKEに積まれる事となる。
PW以後
MGSVTPPではストレンジラブによりママルポッドの機能が移りハイブリッドAIとなったレプタイルポッドも後に回収され、サイファーのもとでメタルギア・サヘラントロプスの制御AI製作の参考にされた後、愛国者達の代理AIの雛形となった。
ストレンジラブの死後、ヴェノムにより飛行能力を用いてアフガニスタンのソ連基地より回収され、ダイアモンド・ドッグズのプラットフォーム上に保管される。
中にあったストレンジラブの遺体はその時に回収されて葬られた。
CV:井上喜久子
PWクリア後はおまけとして強化改良型のピースウォーカー改などと戦闘できる。
こちらは胴体後部のママルポッドが無く、攻撃時もザ・ボスの声は発さず他のAi兵器同様にストレンジラブの声がシステム音声になっている。
関連タグ
イマジン:野島一人著の小説版ではSingの代わりにイマジンが歌われる