概要
平和歩行計画を阻止した後、最早一介の民間軍事企業の範疇を超えるまでに勢力を拡大したMSFの独立と、軍事的優位性を守る為の抑止力とするべく、ビッグ・ボスの指示で開発・建造された核搭載二足歩行戦車。別名「AI搭載汎用換装二足歩行戦機MSF仕様」。
ピースウォーカー事件収束後に、MSFに身を寄せていたヒューイとストレンジラブが設計と開発を主導している。本体や二足歩行システムをヒューイが、AIポッドの開発と調整をストレンジラブが担当しており、核抑止によってMSFの軍事力を決定付ける事を目的に建造された。
コードネームの「ZEKE」の由来は、第二次世界大戦中に連合国側が日本の戦闘機「零戦21型」に対して与えたコードネーム「Zeke」からで、外見は後にヒューイの息子であるオタコンが製作するメタルギアREXに似ている。本体の左右に武装を配するデザインは基より、レールガンとレドームを配置している点はREXと非常によく似ており、REXの系譜の最初の機体であると思われる。
プレイヤー側で任意に稼働させられて、かつ常備戦力として保有出来るメタルギアはシリーズ中でもZEKEだけである。しかし、これは元々「反戦」や「反核」をテーマとした「メタルギア」シリーズにおいては、主人公側が抑止力の名の下に忌むべき核兵器を保有してしまうという一種の矛盾の象徴であるとも言える(尤もビッグ・ボスがメタルギアを保有するという事自体は、初代の頃からの既定路線だが)。
さらにメタルギアの歴史においては非正規戦ではあるが、初めて戦地実戦投入が行われたメタルギアでもある。ただし小説版では、あくまで核抑止の為の兵器として実戦投入はされていない。これについては、そもそも本機がマザーベースにいなければ核抑止が成立しないので、普通に考えて直接戦場に投入する方がおかしいので当然だと言える(ゲーム版も、メタ的に言えばあくまでゲーム要素として投入可能なだけであり、ストーリー上で本機が直接実戦投入される事はない)。
機体解説
AIによって制御され、指揮官の命令に従い高度に戦術的な行動が可能であるとされており、歩兵との協働を想定して、AI兵器同様に音声合成システムが搭載されている。
MSFマザーベースでのパーツ生産が予算的に限られている為に、本体及び搭載AIには「平和歩行計画」のAI兵器群(ピューパ、クリサリス、コクーン、ピースウォーカー)の残骸から回収された武装パーツや、ジャンクパーツやAI記憶板などが多数そのまま流用されている。
機体本体はヘッド、パワー、ウォーク、フットの4ユニットからなる基本フレームと、ヘッドユニット上に搭載されるAIから構成されており、固定武装はヘッドユニットに2門、ウォークユニットに1門搭載された機関銃と、パワーユニットに内蔵された誘導ロケットランチャーがあり、後のメタルギア同様に踏みつけや体当たりなどでの攻撃も可能である。
さらに無人型である為に、搭乗者の安全を考慮する事無く高速機動を行う事が可能であり、後に登場するメタルギア群と比較しても遜色のない高機動性を持つ。というよりこの時代では、まだ搭乗者へのGなどの負荷を軽減した上で、有人で機体を制御する技術が未完成だった故である(仮に有人で操作する場合は、水などをコックピット内に満たす事で衝撃緩和を行う必要があった)。
機動性を司るAIを全て入手した後の動きは、機械とは思えない程にスムーズかつ高速であり、対戦時には苦戦は免れない。この為に、演習としてのZEKEとの模擬戦ミッションは、AIがあまり揃っていない初期の状態で攻略しないと後々面倒な事になる。またゲーム中でも、傭兵派遣ミッションで本機を出撃させられるが、AIの記憶板や武装やパーツなどを全て揃えた時の性能は半端な物ではない。事実ZEKEだけで最高難易度である「SS」ランクミッションがクリア可能である。
本来であれば、本機のような大型機は局地戦を想定していない為に、直接実戦投入するのは非効率的なのだが、本機が大型機である理由については、一つは本機はあくまで核搭載兵器である事を主目的に作られたという事と、もう一つはこの時代の技術ではまだこれ程の高機動性を実現できるAIは、ポッドタイプの大型のものしか存在せず、それに比例して搭載する機体も当然ながら大型化するしか無いという二つの理由が挙げられる。ちなみに局地戦に完全に適した戦車などに直接変わるような、小型のAI搭載型無人戦闘兵器の実現は、MGS4の月光の登場まで待つ事になる。
AIポッドを除き、基本フレームやオプションパーツは組み上がっているZEKEのものを含めて複数ストックできる為に、実質的にはZEKEはMSFに最大で五機存在する事となる。
ただし、運用は基本的にはAIポッドが必須である為、稼働できるのは常に一機のみ。
AIポッドはZEKE用に新規に作成されており、形状はAI無人兵器群のような円柱状のものから球状に変化し、記憶版の搭載枚数も従来の40枚から最大400枚に増加している。AIは指揮官の命令に従う高度な判断能力を持っているが、ピースウォーカーとは違い、核報復のような更に高度な判断を行える能力は持っておらず、あくまで人間が判断を行う事が前提のシステムである。
さらに上記の通り、音声合成システムを搭載している為に、歩兵と協働する際などには言葉による警告なども可能である。
加えて回収したAI兵器群のパーツをオプション化する事ができ、ピューパのジェットブースターパック、クリサリスのレールガンとレドーム、コクーンの増加装甲を各部のハードポイントに搭載可能である他、ヘッド、フットユニットそれぞれの接続部はAI兵器の同ユニットと互換性があり、使用するユニットにより外観と機能が変化する。ヘッドユニットについてはZEKE専用ヘッド(機関銃)を、ピューパ(電撃ソケット)、クリサリス(誘導ミサイル)、コクーン(主砲)、ピースウォーカー(電磁パルスと毒ビーム)と換装可能。ただし、ピースウォーカーの頭部に搭載されていた水爆はZEKEでは搭載されていない。
フットユニットの方は、同じ二足歩行機であるピースウォーカー(Sマイン、1対である為に四足形態は不可)との換装が可能である。
さらに機能停止したピースウォーカーからカズが回収した1メガトン級の核弾頭が、後にカズと開発者のヒューイの後押しもあって、ビッグ・ボスの許可の下で搭載される事になる。ただし、ピースウォーカー搭載の核弾頭は明らかにZEKEに搭載するには大きすぎる他、発射用のランチャーらしきものが外観から確認できない為に、本当に常時搭載しているのかは不明である。
一応レールガンという考え方もあるが、それでもサイズが合わない。少なくとも傭兵派遣する場合は搭載していない様子(傭兵派遣に核など必要ないのでそれ自体は当然だが)。
本機の弱点を挙げるとすれば、レドームが無い場合に限りチャフによる妨害が効いてしまう点であろうか(ちなみにこれは後のREXとは真逆であり、REXはレドームがチャフに妨害される)。
後に工作員により密かに改造され、有人式のコックピットが備えられている。搭乗者の安全の為にコックピット内は衝撃緩和用の水で満たされ、搭乗者は潜水用の装備を装着して操縦を行う(このようなコックピットを丸ごと取り付ける改造を、工作員一人で行ったというのは流石に無理があるが…)。
小説版では、上記の通り改造の件で無理がある為に設定が変更されており、兵器としての確実性を考慮して、ビッグ・ボスが有人機用に設計するように開発陣に求めたものの、対Gの配慮や兵器としての安定性をヒューイとカズに反論され、ほぼ無人機として建造されたが、非常時の際には簡単な有人操作ができるように、内部に簡易的なコックピットが取り付けられたという設定になっている。さらに敵対勢力に奪われた場合に備えて、有人操作の際には核弾頭の射出は無効となるように設定された他、緊急時は外部から機体を停止できるようにプログラムされた。
しかし工作員によって、有人操作時に核弾頭の操作ができない設定を解除され、遠隔からの緊急停止機能なども停止されてしまい、奪取後は有人操作によって核攻撃を行おうとした。なお小説版の方では、有人操作時の衝撃緩和の方法は明記されてはいないが、ゲーム版と同じだと思われる。
また小説版の方は、あくまで有人操作の際の核発射と、遠隔操作のプログラムを解除しただけである為に、単独でも知識と技術があれば行える現実的な改造であり、当然ながらゲームよりも短期間で完了している。加えて彼女の「メタルギアとは本来有人で操作するもの」という持論にも説得力がある。
実はサイファーの下でその工作員が、CIAとKGBの間をトリプルクロスとして暗躍して、今回の事件を裏で操っており、ピースウォーカー計画をビッグ・ボス達に阻止させて、彼等をサイファーの世界統制に向けた準備中に世界の目を逸らす為の勢力として掌握する事が、彼女とその背後にいるゼロの真の目的だった。これこそが、真のピースウォーカー計画と言えるものだったのである。
余談だがZEKEとの対決では、レールガンとジェットパック以外を予め外しておくとそのままの状態で出てくる。
この騒動後にZEKEがなんらかの形で敵対勢力に利用された事態を想定した演習として模擬戦が採用され演習モードが追加された。
IAEA(国際原子力機関)の核査察団を受け入れる為に、本機は水密強化やフロートなどの水中移動用の装備が追加され、300フィートの海底に沈められてそこに隠された。
その後は査察団に偽装したXOFの襲撃により、マザーベースが崩壊した為に、海底に放置されたままとなっている。その後どうなっているのかは不明である(10年近くも海底にそのまま放置されている為に、当然ながら搭載された核弾頭共々もう使えなくなっている事は間違いない)。
正史ではないがメタルギアサヴァイヴでは、ワームホールを超えて登場する。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL
スピリッツとして登場。レベル99になると超化可能になるのだが、何故か同一機体ではないコイツに変化する。どういう事だ?
ただし、その機体はZEKEと同じ系列の後継機である為に、進化したらそうなるのはある意味間違ってはいない。