概要
ATセキュリティ社により製造された大型多脚歩行戦車。「エクセルサス」は「至高の」を意味しており、また恐竜のアパトサウルスの一種、ブロントサウルスの名でもある。
機体解説
メタルギアの名を冠しているが、厳密には本来の定義でのメタルギアではない。あくまで商品名として冠しているだけで核搭載能力などはない。
そもそもMGS4以降の戦争は、敵の根絶、報復攻撃などでは無く、それらしい火種に首を突っ込んで激化させて起こすものであり、経済活動が目的の代理戦争や非対称戦争が主流になっている。
そのため敵の殲滅こそ成せるが、戦闘が発生しないため経済活動も何も無く、環境を汚染することで手に入るものもなく、むしろ維持費・製造コストは無駄にかかり、世論から批判されるだけである核兵器および、核搭載能力を持ったかつてのメタルギアの需要などは既に消滅している。(殺すために行う戦争が金儲けのために行われるようになった結果、何の旨味もない金食い虫に成り下がったために却って核廃絶が進むという皮肉が起きている)
つまりメタルギアという兵器の定義そのものが既に変わっていたのである(MGS4の時点で、既にメタルギアとは月光のような小型無人兵器を指す名称になっている)。
当時の無人機は小型化傾向に有ったが、既存の小型~中型の無人戦闘機や月光を始めとしたメタルギアは、性能面でも思考能力でもサイボーグ相手には太刀打ちできなくなっており、特に月光の需要低下は凄まじく、MGS4の時代はそこそこの強敵ではあったが、雷電が既に月光の倒し方をマニュアル化してしまった為に、一応技術進歩のおかげで4当時よりは頑丈かつ俊敏になってはいるが、同じだけサイボーグ技術も進んでしまっているため、今やある程度強化されたサイボーグ兵士であれば倒せる雑魚、配備する側からすれば「配備に金がかかる上嵩張るガンカメラ」でしかなくなっている。
加えてあのメタルギアRAYですら、サイボーグがある程度の数で掛かれば破壊できる(その上に月光より更に金が掛かり、挙句使える戦場すら選ぶ)為に、メタルギアの需要は一気に低迷しつつあった(ドクトル曰く、「同じ大きさなら人間の判断力と思考能力を持ったサイボーグの方が強い」「既に歩兵と戦車を繋ぐ歯車とはサイボーグの事である」との事)
そのため、いろいろ試行錯誤して特殊な機能の無人機を色々作っては見ているのだが、ぶっちゃけ初見でもそこらの兵士で倒せそうな無人機しか作れておらず、高い金をかけた嫌がらせにしかなっていない。
これは!というモノでも結局同じものを持たせたサイボーグのほうが強い始末。
AT社顧客用Q&A
Q.…というわけで我が社ではとても苦心しています。サイボーグを蹴散らせる画期的な商品ありませんかね?
A.もちろんあります!そこら辺のサイボーグなんかコイツでペシャンコですよ!
というわけで「同じ大きさの場合ではサイボーグの方が強いのならば、サイボーグでもどうしようも無い大きさにすればいい」という逆転の発想と、ゴリ押し脳筋思考の権化の大型蹂躙用兵器として開発されたのが本機であり、AT社としても久々に開発した大型機のメタルギアである。
なんですって?「市街地が戦場となり得る時代なんだから大型兵器は使用できないだろアホか」?
心配ご無用、途上国での民家への被害は「戦闘機が誤って連邦直轄部族地域の民家を爆破しても、アメリカ国民はさして気にしなかった」んだから、「民家を全て踏み潰して踏破しても誰も気にしない」に決まってますよ!
市街地の人命にしたって「爆撃機の爆撃じゃ逃げる間もないが、こんなデカい機械がゆっくり迫ってきたら民間人は逃げる、残っている人間はゲリラだろうから、遠慮なく踏み潰せ」ばいいんです!
……という狂気のトンデモ発想で生み出されている(病人など動けない人間の事は微塵も考慮されておらず、何ならそのまま死んでもゲリラ扱いすれば誤魔化せる)。
しかしあまりにトンデモ発想が過ぎて、開発当初はその方面では悪い意味でのニュースになったらしく、流石になかなか買い手がつかなかった模様(こんなものを買うという事はつまり、「そういう使い方をする」と喧伝するも同義であり、流石に企業にしろ国家にしろイメージの悪化とバッシングが避けられないし、「そういう使い方」をしないで済む場所で使うんですよと言おうにもまさか、こんな特異極まりないデカブツを作業用や警備用と言い張れるはずがなく、ましてやRAYですら持て余しているのにこんなもの投入出来る戦場などあるはずもなく、あったとしても人道に配慮するとその場から動けずいい的であるので、真っ当な人間であれば忌避するのは当然の事である)。
二足ではなく二本の腕と六本の足を持つ蜘蛛型をしており、コックピットは後部の腹にあたる部分に搭載されており、大型の機体ながら壁面をよじ登れる機動性も持っている。
普及したサイボーグに対する無人機での限界が開発の出発点だったからか有人機であり、球状のコックピットで操縦でき、しかもこれだけの巨体にもかかわらず、1人での操縦が可能な上に操縦自体もかなり手軽にできる。搭載兵器は腕部の格納式大型ブレード、頭部の主砲のみだが、その大型の機体の重量や質量そのものが強力な武器となる(加えて作中で操縦した男そのものが1番の兵器とも言える)。
また、相当頑丈で、個人用携行兵器程度がコックピットに直撃したとしてもかすり傷ひとつ負わないため搭乗員の安全性にも優れており、挙げ句足を折りたたむ事で飛行まで可能とデカさに物を言わせた過剰積載兵器である。
なおメタルギア特有の咆哮はコイツでも残っている。
REXの記事でも書いてあるがこの咆哮はパーツの干渉による軋みで、パーツの寿命を削る悲鳴である。
この時代になってなおまだ残しているのは改善が物理的に不可能なのか或いはロマンなのか
劇中では、スティーヴン・アームストロングが操縦するデスペラード社仕様が登場。パキスタンのシャバッザバード基地にて雷電と対峙する事となる。
前述の通り、デスペラード社にバッシングが来そうなシチュエーションではあるが、ボリスが予想する通りデスペラード社はあくまでも傭兵組織に過ぎず、単なる傭兵組織が本機を買える筈もない為に、「パキスタンの武装組織が購入したものを貸与した」「何処かしらのテロリストが資本援助した」「いや、もしやどっかの国そのものがバックにいる……?」という、対テロ戦争名義での介入の為の大義名分をつくる材料として、とにかくインパクトが派手な本機が使われたのだろう。
作中では、もし雷電がアームストロングの野望を打ち砕く事ができなければ、量産化された本機の群れが、連邦直轄部族地域(FATA、俗にいうトライバルエリア)をコンセプト通り蹂躙するだろうと、推測されている。
一見トンチキな思想によって産み出された狂気の兵器と思われるが、雷電が自分やサニーのような存在を生み出す元凶の一つとして憤る、「世界に対する無関心や、無自覚に誰かのミーム(文化的遺伝子)に流され、思考停止してただ享受するだけのバカ」が、『愛国者達』が崩壊した後も、彼等の残した『戦争経済』という規範が「民意」の上で世界を周している以上(アームストロングからは、今ではアメリカの全国民こそが、新たなる『愛国者達の息子(SONS OF THE PATRIOTS)』になったと評されている)、メタルギア・エクセルサスは狂気の落とし子などではなく、劇中社会において必然的に生まれた怪物と言える。
そもそも「誤爆で民間人が死んでも気にしないんだから、踏み潰しても問題ないだろう」という発想も、「自分には関係ない」として聞き流し、すぐに忘れ去る人間が大多数だろうと踏んでいるからこそ出来る発想である。とはいえ、そんな人間すらわかるような、流石に人道的な問題が多過ぎた為に、結局デスペラードのような特殊な事情の組織以外に買い手は全くつかなかった模様(というかその程度の反発を想定できなかったのかと問い詰めたくもなるが、それだけメタルギア系兵器の型落ち化・需要低迷が深刻だったのだろう)。
そんな社会的価値観を嫌悪する雷電とアームストロングの二人のうち、アームストロングは「自分の理想の実現の為には仕方ない」と、妥協して嫌悪する対象の象徴たるエクセルサスを利用し、雷電は問答無用で真正面からブッタ斬る事になる。そして雷電は、それが規範に対する唯一の抵抗であると信じて、自分自身の意思に基づく戦いを続けていく事になる。
しかし同時に、サイボーグ化によって個人の持てる武力が高まり、破滅を呼ぶ風の面々や雷電など一般歩兵を踏み潰す為だけに、このような無茶苦茶な兵器を生み出さざるを得なくなったという事こそが、正しくメタルギアという兵器の時代の終わり(時系列的にもMGRが終着点であり、以後の正史のメタルギアシリーズにMGR以降の時系列の作品は存在しない)を象徴しているとも言える。
更にいうなら「最新技術で武装したたった一人のテロリスト」が大暴れしたとして、その「たった一人の狂人を殺す」ために、兵站切れを待とうにも電解液の互換性から「阻止しようと集まった傭兵が補給源(おやつ)となる」ため事実上無補給で戦い続けられるため、真っ向から戦闘するしかなく、その為にこのレベルの武力か同等以上のサイボーグが必要になってしまった(最悪これでも止められない、事実として雷電を止められていない)時点でこの世界に正しい意味の平和など二度と訪れないことの証左でもある。
ゲーム中での性能
戦闘開始直後は格納式大型ブレードを振り下ろしたり、横方向に薙ぎ払って攻撃してくる。
攻撃範囲が広いのでシノギでガードするしか無いように見えるが、あまりの巨体故か防いでもかなりの削りダメージを受けてしまう(ただし削りダメージで死ぬことはない)。その為、回避するにはニンジャランで横方向に走る、あるいはスキル攻防一体の無敵時間を利用する必要がある。
ブレードを回避しながらアームに反撃を加えていくと、やがて機体の向きを変えて脚部による攻撃を開始する。こちらも同様に回避しながら一定ダメージを与えるとチャンスアタックが発生。斬撃モードで脚を切断し、一定時間ダウンさせる事が可能になる。
ダウンから回復すると第二段階となり、アーヴィングを召喚しつつ主砲からプラズマ砲を発射し始める。高威力なうえに攻撃範囲は広いものの回避はしやすく、アーヴィングを砲撃に巻き込めば一発で破壊されるので斬奪による回復チャンスでもある。
砲撃が止むと再び大型アーム、脚部による攻撃が始まるので第一段階と同様に攻略。チャンスアタックでもう一本の脚を斬り落とす。
最後は雷電が大型ブレードを掴んでその巨体を投げ飛ばし、更にアームを引き千切って自らの剣として利用し始める。大型ブレード同士による剣戟の末にダウンしたエクセルサスは、斬撃モードを発動した雷電によって自らの大型アームで頭部を斬り裂かれ、完全破壊される。
しかし、操縦席から出てきたアームストロングは「俺が直接ぶちのめしてやる」と言い始め……?