ガサラキ
がさらき
あの闇に、俺の知らない俺が棲む…。
1998年10月4日から1999年3月28日までテレビ大阪発テレビ東京系列で放映された。全25話。
監督は高橋良輔。また、シリーズ構成および小説版の執筆を担当した野崎透氏がストーリー構築の中核を担当したと目される。
「二足歩行型ロボット兵器が現実に活躍出来るのはどんな状況か」というテーマに真っ向から挑んだ、リアルロボット路線の挑戦作。
ファンタジーが突っ走る平安編の存在や複雑な政治フィクションを積み重ねた重層的な物語は、全て「ロボット兵器が現代に暴れる状況を作り出すための舞台装置設定」であるという。
1998~1999年に制作されたアニメでありながら「日本に違法滞在するアジア人のネットワーク」「日本の自衛隊が実戦部隊を中東に派遣」「アメリカの穀物生産の行き詰まり」「食糧生産危機とシカゴ・マーカンタイル取引所のパニック」「日米貿易対立の破滅的結末」など、当時日本人にはあまり知られていなかった用語を駆使してまるで2020年代の状況を見透かしたような背景設定は今の目で見ても驚き。
各話のサブタイトルに和歌を用いている。
サブタイトルは略記を用いられる事が多いが、和歌が正式なものとなっている。
ドラマCDとゲームではアニメ終了後の話が扱われた。
日本の経済に重きをなす「豪和」家は、家に代々伝わる巨人甲冑「骨嵬」(くがい)の組成を研究応用し、特務自衛隊と共に「タクティカル・アーマー(TA)」と言う二足歩行兵器を開発した。
「骨嵬」とそれを起動するシャーマン「嵬」(かい)の謎を解明すれば、一族に伝わる謎、「骨嵬」をこの世に生み出した異界の力「ガサラキ」を解明出来ると考えられる。
ガサラキを現世に呼び出す儀式「餓沙羅の舞」を現代に伝える余流(あまりりゅう)能楽の継承者である豪和家四男ユウシロウは、「餓沙羅の舞」の実験途中にミハルという名の少女と精神接触をする。ミハルを擁する組織「シンボル」もまたガサラキへの接触実験を行っていた。
物語は「ガサラキ」にまつわる古代からの因縁と、現代におけるTAの戦いおよび政・軍の相克の多重構造で進み、ユウシロウとミハルは両線の中核に関わっている。
本作の主人公。
日本の名家、豪和家の四男。特務自衛隊の教導団第3実験中隊に大尉待遇のパイロットとして委託配属されているが、彼自身の立場はあくまで民間人となっている。幼い頃から空知検校により余流能楽の手ほどきを受けるが、現在のユウシロウには10歳以前の記憶がない。
後にミハルとの出会いを通じて自分が「手段」として利用されていることに疑念を抱き、自分が何者なのかを模索するようになる。
本作のヒロイン。
海外に拠点を置くコングロマリット「シンボル」に所属する少女。豪和ユウシロウと同じ「嵬」の能力を持を持ち、組織内では「インヴィテーター」と呼ばれ、豪和家におけるユウシロウと同じく実験体としてシンボルに利用されていた。
ユウシロウとは、同時に同種の実験を行っていた事で精神接触を起こし、互いに惹かれ合うように再会と離別を繰り返す。
兵器はTAのような二足歩行兵器でオーバーテクノロジーが使用されている点を除けば超兵器は存在していない。
XM8AGSのようなキャンセルされた兵器や架空兵器も登場するが、コンセプトモデルのような実現できていない兵器は登場していない。
TAもまた限定された状況でこそ効果を発揮する兵器であり、正面から戦闘を行えば対戦車ヘリや主力戦車といった既存の兵器に勝つことが出来ないものとなっており、多くの作品でのロボット兵器とは違う扱いとなっている。
二足歩行兵器に搭載される兵器もEMガンやアルムブラスト(液体爆薬を立体噴射して点火する、瞬間爆発機構)、ブラストロッド等のものを除けばエリコン30mm機関砲や75mm低圧砲、50mmグレネードランチャー、ASDIC(投射設置型振動センサー)といった現実的なものとなっている。
使用される弾薬もHEやAP、HESHといった現実的なものだが、暴徒鎮圧用の低殺傷弾とはいえ対人に25mm機関砲を使用するなど本来ならオーバーキルとなる火力を用いたり、LOSATのKEM(2004年に開発中止)は加速距離を必要とするが至近距離でも十分な威力を持つなど物語の嘘もある。
本作に登場する二足歩行型兵器。豪和が開発したものは「タクティカル・アーマー(TA)」、シンボルが開発したものは「メタル・フェイク」と呼ばれるが、兵器としての完成度の違いはあれどどちらも土台となる技術は同じものである。
豪和は「骨嵬」の体組織を複製・培養し、一種の高分子モーターからなる人工筋肉「マイル1」を開発した。これは人体の筋肉・神経と似た学習能力を持っており、使うほどに条件反射を蓄積し、軽い情報処理で敏捷・柔軟な動作を行う事が出来るように成長する。この性質は二足歩行機械の最大の問題である運動情報処理を解決し、TAは実用化に至った。
TAのオーバーテクノロジーは言い切ればこの人工筋肉のみで、それ以外の武装・装甲・コンピュータなどは基本的に、実在する兵器技術と同等アーキテクチャのものである。
兵器としては、障害物に強く狭い場所でも非常に柔軟に動作出来る、歩兵の拡大版として投入される。その本領は都市における拠点での攻防にあり、市街地での近距離戦においては無敵を誇る。反面、不安定な二足歩行と見つかりやすさ・火力の限界から、広々とした場所での撃ち合いは苦手である。また、大規模な爆撃に無力な点も歩兵と大差ない。
そもそもTAの開発目的はガサラキ召喚の儀式再現にある。「嵬」が骨嵬に搭乗して激しく戦い戦いきればガサラキが至ると伝承にあり、TAはそのための道具なのだ。
上に記した兵器としての効果は副次的な産物、あるいは真の目的をカモフラージュするために持たせているにすぎない。
オープニングテーマ
『MESSAGE #9』(第1話 - 第14話、第17話 - 第24話)
作詞・歌:種ともこ / 作曲・編曲:保刈久明
『REMIX OF MESSAGE #9:type M』(第15話・第16話)
作詞・歌:種ともこ / 作曲:保刈久明 / 編曲:松林正志
話数 | サブタイトル | 放送日 |
---|---|---|
第1話 | ただひとつ 嵬の嵬たる 証にと 石の舞台に 足打ち付けぬ | 1998年10月4日 |
第2話 | 千歳なる 淵の淀みに 風起こる さざ波渡る 水の序の舞 | 10月11日 |
第3話 | 雨風を 占いけるを 天気輪 明日を音に問う 心細さに | 10月18日 |
第4話 | うつつなる 時の流れの 間隙に 我身操る 蜃気楼みる | 10月25日 |
第5話 | 鎧われて 確(しか)とは見えぬ 君なれど たがいの傷に 接触(ふれ)た感あり | 11月1日 |
第6話 | 誘われて 地下迷宮に再会す 想いは踊る 操り人形(パペット)に似て | 11月8日 |
第7話 | そはミハル 想い残して帰還する 心の闇に 棲まう君の名 | 11月15日 |
第8話 | それぞれに 想いあふるる 三界の…何処(いずこ)も彼処(かしこ)も 火宅なりけり | 11月22日 |
第9話 | 仕舞われて 息を潜めし 古(いにしえ)の おもいは澱む 蔵の暗闇 | 11月29日 |
第10話 | 骨嵬なる 胎内廻り闇廻り 数珠と連なる連綿の嵬 | 12月6日 |
第11話 | 行き行きて また塞がるる 嵬の道 繋ぐ絆は 如何に在りすや | 12月13日 |
第12話 | 地を穿つ 火線極めて 綻びぬ 積み重ねたる 千年の禁 | 12月20日 |
第13話 | 旅立ちに 後振り向いて 今一度 捨てる人をば 父さんと呼ぶ | 12月27日 |
第14話 | 綾かなる 過去へ向いし 嵬の道 同行二人 病葉を踏み | 1999年1月10日 |
第15話 | 嵬と嵬 閾に入りて 今ぞ見る 我が源の 蒼き哀しみ | 1月17日 |
第16話 | 我を灼く 宿業の火や 古都の空 修羅と染め抜き 夜叉と照り映え | 1月24日 |
第17話 | 混沌の アジア極まる 十字路で 過去と今とを 負いて佇む | 1月31日 |
第18話 | 滾りたつ 世に背を向けて 裏窓の ガラスのくもり 頼みて潜む | 2月7日 |
第19話 | 義にて逝く 人の最期を 目に刻む 暗き海原 慟哭を吸い | 2月14日 |
第20話 | 動乱の 時のうねりの ただなかで たったひとり おもかげを追う | 2月21日 |
第21話 | 追って追う 全ての法を 踏み込えて 疾走(はし)る心の 赴くままに | 2月28日 |
第22話 | 向き合いて 想い投げ合い それと見る 捕らわれし心 権化とぞなる | 3月7日 |
第23話 | 我叫び 無間の闇に 立ち竦くむ 凍てる心 響きあれかし | 3月14日 |
第24話 | 激しくも 哀れ空しい 句読点 撃ちてし止まむ それぞれの秋(とき) | 3月21日 |
第25話 | 餓沙羅なる 遙けき便り 打ち捨てむ そは呪われし 回文にして | 3月28日 |
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C90で頒布した東方project×ガサラキのクロスオーバー作品「餓沙羅幻想」を公開いたします。 幻想入りした戦術甲冑(タクティカルアーマー)を巡る秦こころ、霧雨魔理沙らと妖怪の山のお話。 表紙はGond様(http://www.pixiv.net/member.php?id=345699)にお願いいたしました。102,698文字pixiv小説作品