榴弾
広義の榴弾
広く爆弾のこと。
手榴弾、対戦車榴弾、粘着榴弾、徹甲榴弾、中に炸薬が入っていて爆発するものはなんだって榴弾である。戦車や榴弾砲、機関砲などの弾種としても用いられ、HE(High Explosive)とも表記されているのがそれ。
起爆ないし着弾時に爆発し、周囲に破片が高速飛散することで敵兵を殺傷することから炸裂弾とも。利点として目標への直撃が必要なく、周囲に投げ込んだり撃ち込むことで対象を殺傷ないし無力化することが可能。(戦闘ヘリや攻撃機の機関砲などが良い例)手榴弾では半径5m、大口径の榴弾砲では半径20m近くの人間を殺傷ないし無力化する能力がある。
半面、装甲目標への貫通力は徹甲弾と比較し控えめであるため、機関砲などはそれと必要に応じて切り替えるか双方を混ぜておくといった方法がある。戦車においては貫通力と榴弾の双方の特性を持った多目的榴弾などもある。
銃弾における榴弾
小火器においては炸薬を詰める弾頭自体が小さすぎて実用性以前の問題となってしまうが、重機関銃以上の弾薬においては採用例がある。
由来
熟した柘榴(ザクロ)の実の様に弾けることから「柘榴弾」と名付けられたのが略された、という説が有力だがこれはキャニスター弾などの属する「榴散弾(別名ブドウ弾など)」と元々は同じ物から分化した(榴散弾は内包した散弾子弾をバラ撒く弾種へ、榴弾は内部の炸薬の爆発効果を重視した弾種へ)物である為でもある。
最も単純なものは、茶碗二つに火薬を詰め込み、可燃性の紐を挟むだけ。そのためこの意味での榴弾の歴史は火薬の歴史と言ってもよく、紀元前のギリシア火薬まで遡ることができる。
熱心に社会科の授業を聞いていた方はてつはうという名前を聞いたことがあるだろう。あれも立派な榴弾だ。
基本的には「爆弾」と呼ばれる事が多い。
狭義の榴弾
“広義の榴弾”の内、砲弾に使用されるもののことである。
大砲の初速に耐えるため金属製の堅固な弾殻に包まれている。
前述した様に“広義の榴弾”は爆弾と呼ばれることが主で、榴弾と言えばこの辺を思いうかべる方が大半であろう。
だがこれについてもまだ対戦車榴弾、粘着榴弾、徹甲榴弾等の支流が含まれる。
更に狭義の榴弾
“狭義の榴弾”から更に対戦車榴弾、粘着榴弾等の特殊な効果を用いる砲弾、徹甲榴弾のような貫通力を持つ榴弾を除いた、「ほとんど貫通力を持たず、破片効果による殺傷、制圧を主目的とする砲弾」のことを指す。
榴弾砲と呼ばれる兵器によって発射されるのがこれで、軍事的な分野で「榴弾」という単語が断りなく出てきた場合はこの用例だと思ってほぼ間違いない。
昔の高射砲で対空射撃に使われたのも基本的にはこれ。時限信管やVT信管を取り付けて使用された。