スペック
デザイナー | 形部一平 |
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型式番号 | MDX-0003 |
頭頂高 | 18.7m |
重量 | 73.3t |
パイロット | ラウダ・ニール (無断借用) |
製造 | ジェターク・ヘビー・マシーナリー |
武装 |
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概要
ジェターク社がシン・セー開発公社の技術供与のもと開発した、次世代コンセプトモデルのGUND-ARM。
開発計画はガンダム・エアリアルの存在がベネリットグループに明るみに出た後、CEOのヴィム・ジェタークによって秘密裏に進められており、ヴィムの息子たちであるグエル・ジェターク、ラウダ・ニールらにも当然知らされていなかった。
ヴィムの死後、グエルはCEOの地位を引き継いで初めて、ラウダは最終調整のために搬入された実物を見て漸くその存在を知ることになる。
外見
胴や両腕は黒色、それ以外は白色を基調としており、内部フレームは小豆色。全体的に従来のジェターク社製MS(特にダリルバルデ)を思わせる意匠が強い。また機体各部にシェルユニットを持つのは他のガンダムと共通している。
頭部のアンテナや口の造形も特徴的で、歴代のガンダムの中でも類を見ないリング状のアンテナと縦線のスリットになっている(デザイナーの形部一平曰く、縦線スリットは骸骨の歯をイメージしていることから頭部造形は「髑髏」をモチーフにしていると思われる)。
外見が判明してから半年以上の間シェルユニットが何色に発光するのか不明だったため、他のGUND-ARMと同じ赤色や、ダリルバルデのようなドローン兵器技術によるAI制御の緑色に塗られた予想イラスト(その大半は赤)が存在する。
しかし実際の発光色は赤でも緑でもない濃いピンクと薄紫のツートンであった。
この特殊なシェルユニットにどのような効果があるかは明示されていないが、劇中ではラウダがビットを使用していた(少なくともパーメットスコア3以上のデータストーム)にもかかわらず、多少息が上がる程度の影響に留まっていたので、上記2つの技術のハイブリッドの可能性がある。
武装
ガーディアン
シュバルゼッテの主兵装となる多目的攻防プラットフォーム。
エアリアルの兵装『エスカッシャン』を参考に作られているが、エアリアルが「盾」のGUNDビットに対し、シュバルゼッテは「剣」のGUNDビットとなっている。
刀身型の「攻撃用ビットステイヴ」4基と鍔飾型の「防御用ビットステイヴ」2基、手持ち武器のビームブレイド1本の計7パーツで構成されており、各ビットの配置を変えることにより参考元を上回る様々な形態での運用が可能。
作中では、ビームブレイドを軸に全ビットを鞘(シース)のように集合させた基本モード「ガーディアン・シース」
ビットを分離して群体遠隔操作攻撃やポイントバリアによる防御を行わせる「ガーディアン・ドロウ」
各ビットを機体各所のハードポイントへ翼やマントのように接続し、攻防能力を維持したままビットの電力や推進剤を急速補給できる「ガーディアン・マリオネット」
といった運用形態が披露された。
遠・中・近と全レンジに対応した兵装と言えるが、一方でデータストームの問題は完全に解決できておらず、使用し続けるとパイロットに多大な負担がかかる。
実際、GUNDビット使用時は機体そのものはあまり動かず、逆に不使用時はシュバルゼッテのみで攻撃しており、GUNDビットの操作による負荷が強いのでは?といった意見もある。(あるいはこちらの問題)
ビームガトリング
攻撃用ビットステイヴの剣先に搭載された火器。
シース形態では剣先を前に向けての手持ち武器(この時、防御用ビットステイヴ側面からグリップを展開し射撃精度を高めることもできる)として、ドロウ形態ではオールレンジ兵器として扱われる。
なお各形態でビームの形状が異なり、シース形態では光線の長さが短く、1発1発の間隔も狭い。
オムニ・アジマス・レーザー
全ビットの出力を解放することにより、多数の火線を同時展開する全方位攻撃。シース形態・マリオネット形態で使用された。火線自体は攻撃用ビットステイヴの側面から展開され、全方位へ拡散させたものを収束して高威力攻撃にする事もできる。
電磁バリア
防御用ビットステイヴによる防御システム。
シース形態・マリオネット形態ではガーディアン全体に、ドロウ形態では防御用ビットステイヴ単独によるポイントバリアを形成して機体を守る。
またシェルユニットや攻撃用ビットステイヴとは異なり緑色に発光する。常時発光しているわけではなく、描いた機動の軌跡自体は他のビット同様赤色の光であるため、パーメットの発光ではなく電磁バリアの色彩だと思われる。
ビームブレイド
ガーディアンの芯となっている、ダリルバルデのビームカタナに似た形状の刀剣。こちらには反りがなく直刀であり、実体剣にビームの刃を展開する。
腕部リボルバー式実弾兵装
両腕部に搭載された、シュバルゼッテ唯一の内蔵火器。
多数のベアリング状の弾を一斉発射した後に炸裂させており、ダリルバルデのペレットマインと同類兵装だと思われる。
原型機
次世代コンセプトモデル「シュバルゼッテ」
第18話に登場。
ジェターク社の秘密ハンガーで建造中のまま保管されていたMSで、プロスペラとジェターク社による「新型ドローン事業の一環」として共同開発された機体である。
元々はダリルバルデの後継機として開発が進められていたものの技術的問題から凍結状態にあった機体で、劇中では未完成状態でのみ登場する。
特徴的なリング状のアンテナはこの時点からあるものの、突き出た2本の黒いブレードアンテナは付いておらず、顔面もガンダムフェイスでなくディランザやデスルターのようなT字型のバイザーフェイス(よく見るとバイザーの奥にデュアルアイが確認できる)になっている。
左肩アーマーが未装着、左胸や右太腿にケーブルが接続されている状態で、シェルユニットも装着されていない。
その後プロスペラから提供されたGUNDフォーマット技術が導入されたことで、ガンダム・シュバルゼッテとして完成している。
なお完成時のデザインは形部一平氏のツイートより一部だが確認できる。
名称の意味
機体名であるシュバルゼッテ(Schwarzette)はドイツ語でSchwarz:『黒』を意味し、etteはフランス語に由来する女性形の接尾辞である。
なお、Schwarzは黒から転じて『不吉・不幸・災厄』などの意味も持ち、etteを付けた語には『紛い物』『代用品』があるため、ネット上では単語の意味だけ見て『黒い代用品』『不幸な代用品』などの訳語が広まっており、ジェターク姓を名乗らせてもらえないラウダやスレッタ・マーキュリーの境遇と重ね合わせる視聴者も多い。
なお命名者はヴィム・ジェタークであるため、『ガンダムの紛い物』という当て付けの可能性もある。
が、結論から言うと、これは誤訳である。
まず、etteは接尾辞であるため、Schwarzに修飾されているのではなく、Schwarz『を』修飾する。つまり『黒いette』ではなく『etteな黒』(『黒のette』)となるのが正しい。
そしてetteはあくまで女性的なイメージが第一義であり、意味を持たせるとしても『小さい』『可愛い』と言った意味合いが強い。『代用品』としてetteを使った場合のニュアンスは『役立たずのおチビちゃん』的な意味合いである(兵器のくせに役立たず=紛い物、と言うこと)。
つまり、不幸・代用品と言う意味に取った場合、『不幸の代わりをするおチビちゃん』と言った感じの、まるで意味がわからないニュアンスになってしまうのである。そもそも、兵器に対して『代用品』などとつけるのは明らかに不自然。
実際には、Schwarzを災厄、etteを女性と取り、『女性的な災厄』……すなわち本作のタイトルにしてキーワードである魔女と重ねるのが正しい解釈と思われる。
劇中の活躍
第18話にて、次世代コンセプトモデル「シュバルゼッテ」が建造途中の状態で登場。
プロスペラは総裁選に勝つための実績として、この機体を『株式会社ガンダムとジェターク社の共同開発』として発表する事を提案するも、ミオリネは(GUNDの平和利用を目的とする)株式会社ガンダムの理念に反する、として否定的な反応を見せる。
しかしプロスペラの言葉も否定できるものではなく、彼女から『理念を活かしたコンセプトにすればいい』と言われ、完成時のコンセプトが(一応)決まった模様。
第19話では、プラモデルで紹介されていたガンダムタイプのデザインで完成しており、最終調整の最中にラウダがスタッフにその詳細を詰問。返答は上記の株式会社ガンダムとの共同事業という旨のみで詳細は語られなかった。
第21話終盤、宇宙議会連合によるベネリットグループの解体、クワイエット・ゼロの始動、様々な思惑が交錯する中、周囲との連絡を絶ったラウダが本機を見つめ佇み怨嗟の声を漏らしていた。
「あいつのせいだ。ペトラも。学園も。兄さんが変わったのも。」
「ミオリネ」
第22話終盤、ガンダム・キャリバーンを用いたクワイエット・ゼロ鎮圧戦に挑むスレッタを見守るため、小型ポッドで戦場に赴いていたミオリネ達の前に、ロールアウトすらしていないはずのシュバルゼッテが出現。乗っていたのは、ミオリネを全ての元凶と思い込んで狂奔したラウダだった。
続く第23話では、弟の暴走を止めようとするグエルの専用ディランザと交戦。ガーディアンをGUNDビットとビームブレイドに展開しながら、多彩な攻撃方法と性能差でグエルを追い詰めた。
その言動から当初はミオリネに加担するグエルを止めるつもりだった事がうかがえるラウダだが、ミオリネに対する怨嗟や、グエルが父親殺しの件を黙っていたこと、積もりに積もった兄やジェターク家へのコンプレックスの爆発などが原因で、兄弟喧嘩は次第にヒートアップ。
果ては怒りに任せ特攻同然に斬りかかるが、グエルは切り結ぶ直前でビーム刃を収納し、敢えて機体腹部を貫かせ抱擁。内心を吐露すると共にラウダを説得し、頭部のシェルユニットを握り潰した。
パーメットスコアを下げ離れるラウダだったが、しかしグエルのディランザは先程の攻撃による損傷で爆発寸前……にもかかわらず脱出の意思を見せないグエルに、直前の過去回想も手伝いまさか退場か……と思われた次の瞬間、フェルシー操るディランザの放った消火砲が爆発を阻止したことで、最悪の結末は免れた。
余談
パイロットについて
登場した第18話時点から長らくパイロットが不明だったため、視聴者の間ではパイロットが誰になるのかという考察が盛り上がった。
最終的にラウダに確定したのだが、以下のような説もあった。
- グエル・ジェターク説
プラモデル情報解禁時はジェターク製MS(特にダリルバルデ)と共通している部分が多い事から、主な候補として視聴者の間で挙がっていた(加えて機体名の意味がダリルバルデと対称的な事や、ガンダムデカールで判明していたパーソナルマークが「剣と天秤」であったことからラウダの名前もこの時点で挙がっていた)。
第20話ではフロント周辺宙域でのグエルとシャディクの戦闘でダリルバルデは腰部から真っ二つにされ爆散、グエルはギリギリのところで脱出に成功したものの機体は喪失した。
これにより、グエルが再び有力候補として再浮上したが、結局グエルはディランザに搭乗することになった。
ラウダ「計画通り」
しかしその後、ガンダムフォワード2023年12月号のインタビュー記事にてデザイナーの形部氏の話で、当初はグエル用という位置付けでデザインを発注された事が明らかになった。
ディランザからダリルバルデと来るという事でカラーリングも赤色になる予定だったらしく、見せ場を作る為にガーディアンによる多くのギミックを盛り込んだ事が語られている。該当ポスト
予想だけでなくガンプラ、イラストでグエル搭乗をイメージして制作する人は以前から見受けられたが、あながち間違っていなかったのかもしれない。
第17話の後に浮上してきた説。自身のガンダムを手放すことになったことで、スレッタが有力候補として挙がることになった。その根拠として前述の勘違いを挙げている視聴者も多いが、『魔女』と取ったとしても、スレッタが乗る根拠になる。
しかし、第21話にて、スレッタが別のガンダムに搭乗することが確定。彼女はパイロット候補から外れた。それと同時に本機のパイロットもラウダでほぼ確定した。
ガンプラ
HG1/144スケールとして2023年6月発売予定であったが、諸事情により7月8日に延期。第23話の活躍・ギミックの展開と時期的なネタバレを考慮した延期に納得した人もいた。
キット仕様としてはシールによるシェルユニットの発光/非発光状態の選択が可能で、左開き手パーツ、ガーディアン用のプラスチックシール、ビームブレイドに上から被せる形で装着するクリアエフェクトパーツが付属する。
またガーディアンの組み換えによって上記した全形態の再現が可能であり、特にマリオネットに至っては劇中で披露したのは2種類の接続パターンだったが、機体各所の3mm穴を使用することで劇中では見せなかった形態にもできるなど、非常にプレイバリューが高い代物となっている。挙げ句は複数買いして日輪ファンネルよろしくガーディアン複数装備をする者まで出てきた。
欠点をあげるとすれば水星の魔女キットでしばしば発生しているビーム用のエフェクトパーツの色が劇中と違う所。
本来は青色だが付属するのは濃いピンク。新規造形であるため流用でもなければ、付属するビームエフェクトはこれだけであるため色を使いすぎているので省いたといったコスト面の問題でもない。なのでこれは刑部一平氏の設定したデザイナーズカラーに準じたものだと思われる。
もっとも、現行のアニメ作品をリアルタイムで立体化する都合上、生産開始時の当初予定していたカラーと、最終的にアニメで使うことになった色合いとの間で若干の齟齬が生じることはガンプラに限らずよくあることである。
…と思われたが、ブルーレイ版では形部氏のデザイナーズカラーと同様のピンクに修正されており、ROBOT魂でもピンクなため、恐らくこちらが本来の色である事が確定したと思われる
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顛末
兄弟喧嘩を終えたあとはGUND-ARM.inc陣営と合流。
その後、再発射に向けて動き出した惑星間レーザー送電システムを止めるべくスレッタがキャリバーンとエアリアルを『スコア8の先』に覚醒させたのに共鳴しファラクト共々無人で起動。4機のGUND-ARMによる極大データストーム空間により送電システムをオーバーライドし停止させたあと、パーメットに変換・分解される形で消失した。