概要
ベネリットグループ内の御三家、グラスレー・ディフェンス・システムズのCEOサリウス・ゼネリの養子。アスティカシア高等専門学園パイロット科3年生で、ミカエリスのパイロット。学籍番号KP003。
養子ながらもミオリネ・レンブランやグエル・ジェタークとは対照的に、サリウスとの親子関係で表立った確執は現時点では見受けられないが……(後述を参照)。
ガンダム・エアリアルには個人的にも興味を抱き、サリウスの命令も合わさって密かに探っている。
人物像
一人称は「僕」や「俺」。公私の場合は「私」。長い金髪に翠眼、褐色肌の軟派で飄々とした色男であるが、感情豊かに見えながらもグエルのように感情に飲まれず、冷静であるがエランのように突き放す素振りも見せないと、上記にある通りTPOに応じた言動を忘れずに立ち回れる、中庸かつクレバーな切れ者。
元々は孤児でグラスレー社の施設で育ち、そこからサリウスに引き取られたと思われる。
グラスレー寮を束ねる立場に就く他、学園では〈決闘委員会〉の委員長を務め、人付き合いを避けるエラン・ケレスともそれなりに見知った間柄。また、学生ながら会社でも多くの実績を上げている、次世代のグループ幹部候補。ベネリットグループの審問会にも、養父サリウスと共に出席を認められるだけの実績を誇る。
学内では制服の上半身をはだけて着崩しているが、公的な場への出席の際には髪をまとめ上げるなど身なりを整えTPOを弁える事が出来、資料を基に鋭い質問をぶつけるなど、正反対の真面目な振る舞いを見せている。
それもあってか、学園に転入早々から騒動を起こし良くも悪くも注目されるスレッタ・マーキュリーに対しても、敵愾心や不信感を見せず「水星ちゃん」と呼んで、初対面から手を握りフレンドリーに接している。彼女の出現による状勢の変化を面白がっている一方で、暗に「スレッタが来る前の頃の知己の面々が好きだった」ような発言もみられる。
もっとも、若くして企業経営に携わる身の上からマクロな視点で見る事が出来る半面、目的の為ならそうした知己の頼みを容易く切り捨てる等、冷淡に振る舞う場面も見受けられ生い立ちや現在のポジションを得るまでの経緯もあってか功を焦り出しゃばりなところも。
見た目通り女性関係が派手らしく、グエル曰く女を掛けて〈決闘〉しているとされる。大方取り巻きに手を出そうとする事態などのトラブルの調停が大半だと思われるが……。
人間関係
コミュニケーション能力の高さから、極端に警戒心・敵愾心を抱く相手以外とは広く浅く付き合っている。
しかも、グエルの取り巻き3人組と違い、多岐に渡る才能を備えた女生徒達を自分のシンパにしている等、若くして企業経営で培った慧眼を用いた上で人脈を作っている。
他者に無関心なエランの決闘を物珍し気に見ており(表向きには明かされていない彼の不遇な境遇から)感情を剥き出しにした際にはらしくないと評したりと、『エラン』との付き合いが長かったのか人物像の把握に長けているのかは不明だが、相手のコミュニケーション力を問わず(最小限の)パーソナリティを知る事が出来る程度には関係を築ける模様。
だが、先述のシンパ以外に本当の意味での深い付き合いが出来ず、好意や信頼を抱く人物ほど淡白かつ本心を隠す言動で接してしまい、(視聴者を含め)かえって不信感を抱かれてしまっている。
後述する主だった人物との関係性に加え、〈決闘委員会〉のメンバーへの遣り取りも事務的なものが大半と、表向きのコミュニケーション能力の高さに反比例するかのように弱みを見せまいと内心の吐露を避け続けた結果、不得手としていると思われる。
サリウス・ゼネリとの関係
義父のサリウスに対しては表面上は問題はないが、シャディクは胸中では「(義父の)視野と思想の狭さ」を不満に思い別の方針を求める。
また、孤児だったシャディクをサリウスが養子として引き取ったのも、情愛ではなく「自分(=サリウス)にとって有用あるいは信頼に足るか否か?」の冷め切った関係で、シャディク自身「信頼を得られるだけの努力をしたからね(要約)」と自嘲している等、複雑な本心を抱えている。とはいえサリウスからは情が全くないわけでもない。
グエル・ジェタークとの関係
グエルとの関係性も複雑なものである。彼の突然の婚約には、地位を投げ打つかのような可笑しな行動に笑みを見せていた。
かくかくしかじかで〈決闘〉禁止令を下され、ジェターク寮を去ったグエルは、追い討ちをかけるように(恐らく過去に〈決闘〉に負けたと思しき)男子生徒数人に囲まれ、イジメを受けていた。
グエルは自身との〈決闘〉を避け続けた(本人曰く『ヘタレ』の)シャディクに助けられた事実に不甲斐なさを感じてか、彼からの勧誘を断り立ち去った後に連絡先を書いた紙を振り払うように捨てている。
シャディクは“ミオリネを預けるに値する人物”と認めて、ホルダーとなったグエルと〈決闘〉をしなかったのだが、当の本人は逆に彼に対し「〈決闘〉しないのは、シャディク自身の『弱さ』を見せたくなかった」と見抜いていたのかも知れない。
さらに2期においては後述の通りグエルに対して非常に複雑な拗れた感情を抱えていることも明らかになっている。
ミオリネ・レンブランとの関係
御三家の関係者の生徒の中では濃密な関係であり、ミオリネとグエルの決闘の時点で、彼女が私のケンカと発言した事に何か思うところがあったらしくハッとした表情を見せており、審問会で現れた際どこか嬉しげな表情を見せサリウスの勅命を聞いている最中に通り掛かった彼女に視線が向いていたほど。
明確な時期こそ不明瞭だが、かつてはミオリネと共に事業プランを作成・提出する仲(だが、途中でバレてしまい、保護者から叱られたらしい)。
それもあってか、ミオリネの『GUND-ARM Inc.(株式会社ガンダム)』に対しても「軍需部門の起爆剤になる」と好意的に見て、積極的に支援しようと声を掛けているが、彼女は立場(=ベネリットグループ総裁の娘であり、自身と共に居る者は『次代のベネリットグループの総裁』となる)を理解しているのもあり、にべもなくスルーされている。
ミオリネには強い感情を抱いている様で、打算から強硬策を露にしながらも、シャディクは「彼女とまた一緒に仕事をやりたい」と思いを吐露している。
だが、先に述べたグエルとの関係にある通り、ミオリネに執着を持ちながらグエルに彼女を預けると、端からは矛盾そのものな言動を見せており、恐らくその部分を見透かされてミオリネから距離を取られていた。
なお、ミオリネは対人関係において自身に利する行為よりも、結果の有無を問わず寄り添おうとする姿勢を強く評価しており、結果を重視して相手に向き合おうとしなかったシャディクの接し方とは実は相性が悪い。
彼が一歩踏み出すことで、ミオリネへの認識を改めて対等に立つ機会を得られたならば、二人の関係はまた違ったことになっていたのかもしれない。
2期においてはミオリネに彼の「目的のためなら多大な犠牲を出すことに躊躇しない」面を見抜かれており、後述のような行動を取っても驚かれておらず、どこか彼の本質について冷ややかな見方もされていたようである。
動向
グエルとパーカー・イーストコットの決闘中、(恐らく)戦術試験区域を離脱していたが戻らせる事はせず委員会の権限を振るい授業場所で続行させるという形で初登場。スレッタがミオリネに無断出撃されたエアリアルに乗り込もうとした際は痴話喧嘩に呆れるも乗り換え後の八面六臂の活躍やエランのぼやきを見て、自身にとって利用価値があると判断したのかドヤ顔を見せた。
パーメット個体コードをロウジ・チャンテに識別させ、ある機体との酷似からオックス・アース・コーポレーションの「魔女」として注視する事に。ベネリットグループ本社の「魔女裁判」へ出席し、エアリアルのパーメット流入値がGUNDフォーマットのそれである事を指摘、その後養父サリウスからスレッタの調査を命じられた。
その後グエルとエランがスレッタを巡って決闘に至ったのだが、グエルの行動に彼女が疑問を呈した際は決闘の結果と決定事項が学園の全てであると納得させた。ラウダ・ニールが兄の決闘禁止令を理由に決闘の取り消しを申し立てるが、御三家同士の決闘という異常事態を面白がって握りつぶした。
スレッタとエランの決闘では、申し立て後に彼女へエランが心を閉ざしグエルが豹変する事態に興味を持ったとからかい、グエルに代わって寮長と決闘委員となったラウダを歓迎、戦闘中にエアリアルが起こした謎の現象に思うところがあったのか見つめていた。
エランの決闘後、インキュベーション・パーティでミオリネと出会うが、シャディク以外の人間のために動くようになった事を惜しむ言葉を掛けられ別れる。その後、社長となったミオリネにMBO(Management Buyout、マネジメントバイアウト)を提案するなどあの手この手で影響下に置こうとするが、交渉は決裂し企業母体である地球寮との〈決闘〉沙汰に発展。
決闘が行われると、狙撃担当のチュチュを真っ先に排除し、他の地球寮が乗っていたザウォートも戦闘不能にした上でアンチドートでエアリアルを追い詰めるも再起動。僚機が撃破されて行く中エアリアルの足を撃ち抜き勝利寸前まで行くも、最終的にはとどめを刺すために着地したところをチュチュに狙撃され敗北してしまう。しかしスレッタやミオリネとは和解したかのように見えた。
しかしこの敗北は、皮肉にも彼の秘めたる計画を促すことになってしまう。
余談
- エアリアルを知った際には笑みを見せていた半面、ファラクトに対しては険しい表情を見せており、仮想敵になりえるペイル社がGUND-ARM(と思われる機体)を所有している事態に危機感を持ったものとみられる。
- ラウダの〈決闘〉取り下げを受け入れなかったのも恐らく新型機のファラクトのデータ収集に協力するためであると思われる。実際には(旧来型の)GUND-ARMであったのだが……。
- ロングヘアーだからか、男性キャラクターでは珍しくヘアスタイルのバリエーションが豊富である。
- 第1話のエンディングクレジットでは「シャディック・ゼネリ」と誤記されていた。
- 第7話から第12話までを総括する振り返り特番では、前回の1話から6話までの振り返り特番でナレーターを務めた阿座上洋平氏からバトンを受け取った(詳細はこちらの記事を参照)。エンディングでは「俺からナビゲーターの座を奪ったのはお前だったのか、シャディク!!」とグエルに迫られる。どうやらグエルがキャンプ生活を送っている間にナビゲーター役のオファーがあったという設定らしく、最後に「俺の寮に来ていればオファーがあったかもしれないのにな」「いつでも歓迎するよ、ボブくん?」といじるお遊びが入れられた。
- 取り巻きを従える様が(一見すると)プレイボーイにも思えるからか、過去のガンダムシリーズで理由はどうであれハーレムを築いた人物と比較やネタ視される事も。後述するが、視聴者からの取り巻きの愛称も彼らに由来している。
- アイマスシリーズに登場するアイドルの一人ライラは金髪長髪・褐色肌・実家は富裕層側だが訳ありといった共通点があり「知らない人に『ライラはシャディクの妹』と説明したら騙せそう」と冗談で言われていた…
- …が!2023年6月29日にライラの声優は本作のスレッタ役で知られる市ノ瀬加那だと発表され前述の冗談を話していた面々が一斉に目を点にする展開となる。そのせいなのか、発表当日のTwitterのトレンドにガンダムの話題でもなんでも無いのに『シャディクの妹』というワードがランクインする珍事が起こっている。
- ちなみに「水星の魔女」自体元々アイマス声優が多く参戦しており、シャディク役の古川慎もアイマスではアスラン=ベルゼビュートⅡ世を担当している。
- 多くの実績を上げている、という設定がありながらも作中だと出番の都合上言及されることが少なかったが、小説版で『グラスレー研究開発(Grassley R&D)』なる会社の代表を務めていることが明かされた。
関連タグ
シャディクの取り巻き
視聴者からはシャディクガールズ(Gガン風)シャディク隊(Vガン風)等の愛称で呼ばれる場面も。
出撃時の映像にはアイドルよろしく紹介キャプションが表示され、また、学内には相応にファンも存在している。
サビーナ・ファルディン / レネ・コスタ / イリーシャ・プラノ
主要人物
〈決闘委員会〉
ALERT
閲覧中、失礼する。
これは、水星視聴委員会が承認した正式なネタバレである。
※以降から第10話以降のネタバレが記されます! ネタバレが嫌なユーザーはブラウザバックを強く推奨します!
各自ネタバレ自衛を願いたい。
ALERT
第10話以降の動向
サリウスの「ヴィム・ジェタークから『デリング・レンブランの暗殺』を持ち掛けられた(要約)」話にシャディクは「今ここでデリングが死ねば持ち株の関係上、ミオリネがグループのトップになれないから乗るべき(要約)」と進言するも、義父からは諫められてしまった。
だが自身の本心に気付いた上、義父は諌めつつも黙認した為、シャディクはヴィムと結託し『デリング暗殺』を行うべく、連絡係を介して彼女が属する組織に指示を下す。
シャディクはヴィムからの「2時間後にヤツラを向かわせろ」の指示を無視し、即座にフォルドの夜明けを奇襲させる(デリングの暗殺に加え、事実上のヴィムの謀殺まで実行する)暴挙に打って出た。
その後デリングの暗殺が失敗した報告を受けるも、無言であり真意を推し量る事は出来ない。
しかし、クエタ襲撃の真の首謀者である事が発覚すればベネリットグループへのクーデターを企てたとされる誹りは避けられないであろう。
プラント・クエタ襲撃は箝口令が敷かれ事件そのものの隠蔽が図られたものの、情報を完全に秘匿することはできず、テロリストがデスルターを使用していたことを関連企業に突かれ業績悪化の窮地に立たされたのはジェターク社であった。(これはテロ支援の疑いの目をジェターク社に向けるためのシャディク・ゼネリの工作の結果でもある。公式サイト「デスルター」の項目を参照。)
Season2
ベネリットグループ上層部の会議にサリウスの補助として参加するのが2期の初登場。素知らぬ顔でクエタの事件に関する説明をしていた。なお、この会議にはジェターク社CEO代理として学友の1人も参加している。
自身らの企みについて表沙汰になることはなかったものの、もし真実が露見したら自分達が追い込まれること、そして襲撃を実行した組織にガンダムがいたことについてサリウスから咎められ、その後の学園外への移動および社内事業や決闘への参加も一時的に禁止されてしまう。
しかしその裏では別の策を用意しており、シャディクの出迎えに来たメイジー、イリーシャ、エナオには「義父を自身の計画に引き摺り込む」とまで語っている。
オープンキャンパスのイベントとして行われたバトルロイヤル「ランブルリング」には言いつけ通り自身は参加せず、グラスレー寮からはサビーナとレネが出場。しかしこれもシャディクの計画の一環であった。
まず、自身が手引きして学園に編入させたソフィとノレアが、ルブリスウルとルブリスソーンを駆って乱入。ガンビットに相当する無人機ガンヴォルヴァ共々暴れることにより、デリングの代理で立会人となった義父サリウスを攻撃し、移動不能に陥らせる。
次にランブルリングに参加していたサビーナとレネはこれに応戦する素振りを見せつつ、避難経路の用意を通告。しかし避難誘導を装って現れたメイジーとイリーシャはサリウスのSPを無力化。その後ガンヴォルヴァに引き渡す形でサリウスの身柄を確保している。
さらにその裏では自身らに叛意を抱いていたニカにエナオが接触。フロント管理社への真実の告白を阻止した。
15話では彼が紛争地帯で生まれたスペーシアンとアーシアンのハーフという出生が明かされた。
真の目的
その真意は、ベネリットグループを地球に売却してスペーシアンとアーシアンのパワーバランスを崩壊させ、冷戦状態を引き起こすこと。
「戦争シェアリング」という形で地球上の紛争をコントロールすることで絶えず軍需産業を潤し、宇宙開発事業の予算を生み出しているのが現状であるが、ベネリットグループをただ解体するだけでは地球上での代理戦争によるパイの奪い合いと経済の先細りを加速させるだけである、というのがサリウスの言葉。
それに対してシャディクは、ベネリットグループという強大な力を丸ごと地球に移してアーシアンとスペーシアンの社会構造を支配から武力均衡に変え、アーシアンが得る力とスペーシアンに残される力を互いの抑止力とすることで、抑止力を育てる意味での軍需産業の維持と直接的な戦争の根絶を目指すと返している。
彼の出生もあって、サリウスは自分たちの行動のツケが養子とはいえ息子に突き付けられる結果になったともいえる。
一見すると戦争シェアリングによる搾取形態よりは良く見えるこの計画だが、それ相応のリスクは存在しており、視聴者からは
- 既に一部アーシアンの反スペーシアン感情は根強く、大きな力を得たら出血覚悟でそれを行使して大戦状態に陥る可能性を秘めている(事実シャディクの部下に合理性よりも憎しみの感情が優先されそうなアーシアンもいるし、全面戦争に陥って地獄のようになった世界を前例として挙げることもできる)
- アーシアンだけでなく、特権階級から引きずり降ろされることを嫌うスペーシアンの暴走の懸念もある
- あくまで対立関係の維持を想定した社会構造であり、根本的な解決には至らない(上記のような暴発の危険を常に孕むことになる)
- これらを管理する立ち位置にシャディクが就くと仮定した場合、平和よりも自分が世界を支配したいだけではないのか
またシャディクの出自がアーシアンとスペーシアンのハーフである点や、地球側の待遇改善を目指しているにしては必要以上にアーシアンに罪を擦り付けるようなやり方で徹底的に利用している事実からして、結局はどちらも恨んでおり、最終的にスペーシアンとアーシアンの共倒れを狙ってるとの声も存在。
実際この計画におけるシャディクにとっての利益ははっきりせずサリウスには「自分が復讐をしたいだけではないのか」といった旨の指摘を受け、「恨みで腹は膨れない」と返答している。
一方で現状作中で他に示されている社会構造の改善案がより極端なものくらいしかないことから、個々人の認識にもよるがそちらと比較してマシではないかというような考え方もある。
ベネリットグループの総裁選に際してはグラスレー社の代表として立候補する意向を固め、グループのフロントに行動拠点を移し、ペイル社の合同CEO達に接触。当選の暁にはペイル社に便宜を図る約束で協力を取り付けるなどの根回しに奔走した結果、対立候補のミオリネに対して初動で大きく差をつけることに成功する。
また、これと同時にサリウス誘拐犯の要求に応じる形での事業譲渡という表向きで、上述の「ベネリットグループの地球への売却」を進行させている。
ちなみにラウダがCEOになった際はペトラ・イッタがそれを支える文官として補佐したが、彼の場合はエナオ・ジャズがその役回りに立ち、シャディクをサポートしている。
さらにシャディクとプロスペラとの会合中にグエルとミオリネが訪れた際には二人に対し「婚約おめでとう」との祝福の言葉を送りつつ総裁選での宣戦布告を行い、わざわざ二人の間を通り抜けて立ち去っていく。
そして第19話では、一人のアーシアンの少年の発言とそれに対するある人物の反応により、シャディクの本名(養子になる以前の名前)と彼の同志である5人も揃ってシャディクと同じ施設『アカデミー』出身の元孤児であること、そして『プリンス』という名義で地球に経済支援等を行っていたことが明らかになった。
本人は本物のエラン、ニューゲンと集まっており、「ガンダムでアーシアンを潰せばミオリネの支持が上がる」と悪趣味な予想を言い放ったエランにありえないと一蹴していた。その後、地球でのプロスペラの行為を受け彼女らに自身らの詳細を知られたと勘付いたのか、艦艇とモビルスーツを召集。そして矢面に立たされたミオリネを守れなかったグエルに「グエル、汚したな。ミオリネを……」と苛立ちを露わにした。
因みに、シャディクがテロの首謀者という疑惑をグエルから告げられてもミオリネは全く否定していない。それどころか躊躇なく即座に首謀者前提で証拠固めを提案しており、本編開始前までは好感度が高かっただろうミオリネにすら欠片も信用されていないという何とも切ない評価がうかがえる一幕である。
※ちなみに本編ではこのイラストよりも判断・提案が早い。
第20話では左手にランスを装備したミカエリスに乗り、サリウスの身柄を保護しに学園へ向かうグエルおよびドミニコス隊の前に立ちはだかる。サリウスを議会連合との合流地点へと移送する時間稼ぎのため、ガールズにドミニコス隊の足止めをさせている間にダリルバルデを駆るグエルと一騎打ち。決闘用の仕様を解除し、本気で彼を殺しにかかる。さらに学園で捕らえていたニカ、ノレア、エランをあえて解放するように指示を出す。ノレアのスペーシアンへの憎悪を利用し、学園を襲撃させることでケナンジらによる捜査を撹乱した。
グエルにはテロに関与したこと、父を陥れたことなどを糾弾されるも、シャディクも理不尽な平和を強いたスペーシアンへの報復、ミオリネを守らなかったことへの怒りといった己の胸中を吐露しながら激しい戦いを繰り広げる。ダリルバルデの武装を次々と破壊し追い詰めていき、勝負を決めにかかる。ドローンの攻撃も一蹴しビームブレイザーでダリルバルデを捕縛し、サビーナにトドメを刺させようとするが、ドローンによって失敗に終わる。
「何も分かっていないんだな…」
「グエルッ!」
なおも抵抗するダリルバルデの胴体にビームを撃ち込み、機体を真っ二つにするが、
「奪うだけじゃ、手に入らない!」
残ったドローンによるグエル最後の抵抗によってミカエリスは四肢を切断され、行動不能に陥る。そのタイミングで警備部隊が到着し、脱出したグエルは保護される。さらにサリウスも奪還され、サビーナの撃墜によって戦力を削がれた同志は全員投降し、学園で暴れていたノレアも撃墜されて死亡。双方の機体が大破するほどの激闘は、両者生還しつつもシャディクが捕縛される形で終わりを告げた。
しかし彼は、この一件でベネリットグループの信頼は地に落ちる事、そして議会連合がようやく動き出すことを言い放つのであった。
数日後の第21話では地球から戻ってきたミオリネと面会という形で再会。自身が捕まったことで総裁となれたものの、これから責任を問われるであろうことを皮肉る。もう自分の出る幕では無いと考えたからか終始穏やかな様子で言葉を交わしており、ガールズ達の減刑および全ての責任を自分一人で負わせてほしいと嘆願した。
後に彼の目論見通り、議会連合はベネリットグループの解体へと動いていったが、プロスペラが秘密裏に開発した『クワイエット・ゼロ』によって議会連合の艦隊に甚大な被害が発生し、それどころではなくなっていた。
そんな中、スレッタと再会して再び立ち直ったミオリネがシャディクと面会。先日の面会のときとは違う、いつものがスレッタの影響であることを見抜いていた。悪いようにはしないと取引を持ちかけられたシャディクは、ミオリネに毅然とした態度で「私を信じなさい」と言われ、何かを悟ったのか高笑いしていた。
最終話ではミオリネがベネリットグループの解散と企業や資産の地球への売却を、総裁の権限を以って実行。加えてシャディクの宣誓供述書の公開により一連の事件の背後に議会連合の理事会が関与していることが公になり、議会連合によるグループへの介入の口実を消し去った。
先述の取引はおそらくこの解散・売却の計画に協力することと、彼の宣誓供述書の公開により議会連合にも責任を取らせることであったと考えられる。
シャディクが志したものを土壇場で、しかも無血で実現してしまったミオリネに、彼はただ「敵わない」と感嘆する。そして決闘を承認する際の口上でもある「Alea jacta est」を呟き、何かの決心をする。
それから3年後。彼の願いが叶ったのか、ガールズ達はこの時点で既に釈放されており、ミオリネ直属の部下として行動していた。
一方でシャディクに関しては3年後でもまだ裁判が行われていたが、その際シャディクはプラント・クエタなどの事件のみならず、本来無関係であるクワイエット・ゼロに関する罪状も自身が背負っていた。
彼と面会していたミオリネはなぜわざわざそんなことをしたのか問うが、シャディクはそれを自らの意志で決めたことだと語る。そして公判の時間になると、罪の内容から極刑を免れないことを理解していたのか、ミオリネに「さようなら」と今生の別れのように言い残す。
水星の魔女における大罪を一身に背負い、志半ばで退場したにもかかわらずその表情が晴れやかだったのは、すでに覚悟がついていたからか、それとも想い人がこれから世界を変えてくれると信じていたからだろうか。
『グラスレー寮ラジオ』
2023年6月4日の『魔女ラジ』第34回の締めで未だ古川慎の出演がないと不安視されつつも、6月18日第36回は『グラスレー寮ラジオ』と称して古川がパーソナリティを務めた。レギュラーの一人であるLynnは今回ゲスト扱いとなった。
主役の古川本人はパーソナリティとなった事に狼狽え、配信時点で劇中では腹心と共に既に逮捕されているため(それと関連するかは不明であるが収録現場に衝立まで用意されるという)扱いから面会室呼ばわりされた。
古川氏からのシャディクについての印象として、作品においてはあくまでヒールとしつつもそのバックグラウンドからピカレスクに通じるものがあると評された。またロボットに乗った戦闘を行うものの基本的に裏で暗躍するイメージが強いこと、作中での統治機構に対して反逆を企てていることなどからか『某福山さんが演じている目を見たらなんでも言うこと聞いちゃう系主人公』みたいな感じのキャラなんて例え方もされれしまった。
『グラスレー寮ラジオ』の余談
- 番組の締めでは、『グエラジ』に次ぐ『面会室ラジオ』なる(非)公式愛称を発した。ようやくの『魔女ラジ』出演を祝われ、再出演の際はゲストとして参加出来る事を望まれていた。
- 音泉の番組ページPC表示では最新回のコメントが掲載されており、古川は「グラスレー寮ラジオもとい面会ラジオ。(原文ママ)」「シャディクは説明を敢えて省かれて描かれるキャラクターなので、あれやこれやとトークする内容が非常に多く…」「彼の過去であるとか、心情の在り方であるとか、全て明かされる機会があればいいですよね。」と作中で説明しきれなかったシャディクについて触れたとコメントしている。
- 音泉公式配信告知ツイートおよび番組ページの出演者近影は第21話エンドカードの構図を再現しており、古川は宣伝で「自供」と自嘲した。
- CM前後のジングルは一貫してシャディクが行っていたが、最後だけミオリネが行っている点(原則として『魔女ラジ』締めのジングルは彼女が行っている)がある意味彼らしいとも、ある意味仕切りたがりだった彼の成長を描いているようにも思える。
第10話以降の余談
- 地球寮との決闘前の密会では、企業に肩入れしたニカに気を使ってか交渉を検討しているかのような言葉を残しており、反スペーシアン組織からGUND-ARMが欲されているために接収しようとしたのではないかと思われる。
- 第19話から20話にかけてグエルに対する負の感情を(これでもかと)吐露しているが、これは羨望と嫉妬のみならず、ミオリネが被ってしまった鎮圧という名の虐殺の罪は(これまでのように)本来ジェターク社になすりつけようとしたのではないかと推察される事も。
- 戦闘中にグエルが背負う罪を指摘しているが、これを知った経緯は本編中で語られていない。詳細を知らずカマをかけたのでない場合、「フォルドの夜明け」からの報告、あるいは現場に残されていたデスルターの通信ログなどから知ったと思われる。
- 9話では一人で戦闘を行うシーンがほとんどなく、グラスレー寮自体も集団戦の強さがウリであることから、グエルやエランに比べてMSパイロットの腕は大したことないのではないかという声もあったが、出力の差があるとはいえ格上のパイロットであるグエルと最新鋭機のダリルバルデを最後の瞬間までほぼ無傷で撃墜まで追い込むという大立ち回りを見せた。しかし、実は自分を巻き込んだサビーナの援護射撃でアンテナを破壊されており、決闘ルールでいえば実はミカエリス本体が無事のシャディクが負けているという、何とも奇妙な結果となった。
- プロスペラとはお互い暗躍しているのを知らず、それぞれが自身の思惑で相手の思惑を妨害しあっていた(シャディクはプラントクエタ襲撃によるクワイエット・ゼロへの計画遅延をもたらしたことで、プロスペラはミオリネを利用し汚名をかぶせたことなどで)。ゆえにこの状況、誰が呼んだかシャディクとプロスペラの目隠しボクシングと例えられている。
- 最終的に言い渡される判決自体は作中で描写されておらず、実際にシャディクがどのような結末を迎えたのかは明らかになっていない。とはいえ何の罪もないプラント職員や学生を意図的に大量殺戮させたのは紛れもない事実であり、クワイエット・ゼロの件を差し引いたところで罪状には大差なく極刑は免れないという意見も多い。
- 恐らく彼に下されるであろう極刑であるが、劇中では死刑とは明言されていないばかりか、刑自体が不明。そのため、終身刑や人間の寿命を超えたきわめて長期の懲役が下された可能性も存在する。『魔女ラジ』への古川再出演など(半)公式の見解が待たれる。
- 2023年5月28日の『魔女ラジ』第33回でも、彼こそがプラント・クエタ以降のほとんどの事変に関わってきた人物であると説明された。
- これまで以上にドスの効いた演技をグエル戦で披露し、2023年6月4日の第34回ではLynnに「こんな声聞いたことない」市ノ瀬も「声色が怖かった」と評された。
- また、彼自身の人物像として(孤児のため)家族を知らず他者を蹴落とす人生を歩んできたがゆえに、愛を知らなかったのではないかと推察されている。