「捨てただろ。いらないんだよ そんなものは!」
CV:三上哲
概要
日本を拠点とするアーシアン組織『フォルドの夜明け』のMSパイロット。GUND-ARMに搭乗するソフィ・プロネおよびノレア・デュノクとは異なり、正真正銘の正規メンバーである。
額から左眉にかけて筋が入ったスカーフェイスの中年男性で、ボンバージャケットにカーキのパンツといかにもパイロットらしい服装に身を包んでいる。左手のみに手袋をしているが意図は不明。
人物像
MS隊の指揮官を務めている。部下としてベッシ、グリスタンの両名が確認されている。
一見人当たりがよく見えるが、ソフィの独断専行を咎めもせず、ノレアや整備兵など組織のメンバーとも事務的な対応しかしていない上、登場シーンの少なさによる内面描写の薄さを考慮しても、本質的には利用価値のある駒かそれ以外で選り分けているようにも思える。
一方で代表にも事務的な対応しかしていないが、作戦中の通信であるため彼に対してはどのように接しているのかは定かではない。
避難民キャンプ側のスタッフとナジの橋渡し役も務めてはいるが、避難民の子供達に対しても殊更に甘くしたり一緒に遊んだりはせず、状況によっては厳しく注意もするが嫌われているわけではない。
パイロット技能は高く、旧型や低性能な機体でも機動力を引き出し現行型の機体と渡り合う戦果を挙げている。
作戦遂行においても欠かせない力量を有するためか、代表のナジを筆頭として組織メンバーからの信頼は厚く、ナジも多少の彼の独断に近い行為は咎めずに追認していたり作戦中に「頼む」と声を掛けるなどと、戦闘に関しては采配を一任している節もある。
動向
Season1
旧式MSのデスルターに搭乗し、デリング・レンブラン暗殺任務のため、袖口に装備されたワイヤーで拿捕したベネリットグループの開発プラント・クエタに向かう輸送船と接触回路によって通信し、クエタ到達後は部下達と宙域の通信ジャミングを行った。
エアリアルの砲撃で僚機が損傷しドミニコス隊の出現により、数的不利に陥ったフォルドの夜明けは撤退するが、放置されたデスルターの機影を確認しており……
Season2
プラント・クエタの戦いから撤収する際にグエル・ジェタークを捕虜にし、地球のキャンプまで連行。
グエルの身元もあっさりと判明しており、事件のショックで食べ物を受け付けようとしないグエルに強引に食べさせてでも生き延びさせようとする(※)。グエルを連れ帰ったのはナジの指示ではなく、彼の独断に近い行為だった模様で、この時点では「御曹司は切り札」と嘯いていた。
(※:状況もあるがあの食べさせ方では、誤嚥による窒息死を誘発する可能性の方が高いので、一部の視聴者から「グエルを生かしたいのか殺したいのか分からない」と突っ込まれたとか。一応、スープから口に入れて、その後にパンなどを詰めているので、飲み込みやすい処置はしている)
ケナンジ・アベリーの口からは元ドミニコス隊メンバーであり、(恐らく)スペーシアンであると語られた。オルコットはコードネームであり、本名はリドリック・クルーヘル。
ケナンジ曰く「青臭い奴で上にも臆せず自分の正義を貫いていた」人物だったが、ある時アーシアン側の攻撃を受け、巻き添えを喰う形で家族を喪っている。表面的には平静を装っているが、実は当時息子を助けられなかったトラウマが度々フラッシュバックしている。この影響からか腕は義手であり、前述の手袋はこれを隠すためのもの。
その後フォルドの夜明けに寝返った模様で、私物をほとんど持たない生活をしていた(上記の淡々とした言動は、恐らく人付き合いすら私物と見なしているからではないかと思われる)。事実、避難民の少年セドから気絶した際に身を案じられており、ドライな人付き合いであるが冷酷漢ではない模様。
こうした経緯もあってか、キャンプがベネリットグループの部隊に襲われた際、巻き添えで瀕死になったシーシアを助けようと尽力、結果的に救助が間に合わなかったものの、彼女の遺骸を弔ったグエルに何か思う節があるそぶりを見せる。
ドミニコス隊が襲撃を仕掛けた際には、先述の理由で他のメンバーに遅れて自らもプロドロスに搭乗し応戦。
随伴機が次々と撃破される中、ハインドリー・シュトルムやザウォート・ヘヴィに接近戦を仕掛け、一方的に撃破する武功を立てた。
ナジには「考えたいことがある」と告げ、グエルの頼みを引き受けて軌道エレベーターまでの道を教えてあげた模様。
グエルが着たラフな私服はオルコットの提供とのこと。
その後の消息はセドの発言から生存が示唆されており、最終話ではナジ共々難民キャンプにて登場。ミオリネの「ベネリットグループ解散」宣言を聞いていた。
ヴァナディースハート
監査組織カテドラルもといドミニコス隊に所属していた頃の彼(=リドリック・クルーヘル)が登場している。
リドリック小隊を率いてベギルベウ・トルシュに搭乗。
余談
- 本作のネームドキャラでありながら珍しくファミリーネームが存在しない。現時点で同様の措置が取られているのはペイル社CEOとシン・セー開発公社のプロスペラ・マーキュリーに協力するゴドイなど一部の人物に限られている。
- プロスペラもクレジットではマーキュリー姓が省かれている。
- 彼の義手がGUNDか否かは明かされていないが、元スペーシアンでありグエルを見て息子を思い浮かべている(≒同年代の可能性)、実際にGUND義手を用いている人物と共通項が見受けられつつも対比されている点から、GUNDが断絶されて以降に施術された通常の義手の可能性が高い。
- (左右反対の)義手や子も含めた性別、元の所属が対称となっており、中年相応とみられる年齢に対して若々しい外観の持ち主(≒過去に囚われている暗示と思われる)共通項がある。
- 一方で、過去作では「MSの自爆に巻き込まれた人物がなぜ宇宙〈そら〉に上がれたのか?」との描写の疑問について、公式外伝でその作品の登場人物が関与していたとする事例が存在し、水星の魔女にも外伝が用意された場合、同様の掘り下げが行われる可能性もありうる。
- ケナンジが閲覧していた『プラント・クエタ襲撃』について(作中世界で)ドミニコス隊あるいはベネリットグループが把握している情報では「MSプラントとオフィスの爆破・要人の暗殺」の容疑が掛けられており、デリングとヴィム・ジェタークを巻き込み、後者を含めた20人以上の人員を殺害した事件となっている。
- 罪状は他にも「ベネリットグループ地球駐留基地の北半球本部爆破」「地中海でのスペースシャトル襲撃」「Global Security社代表射殺」「太平洋に位置する鉱山の占拠」が確認できる範囲で記載されていた。
- 第15話ではなんと脇役でありながら、グエルに次いでクレジット2番目に配置される驚きの厚遇を受けている。内容を鑑みれば当然か。
- オルコットがボブ(グエル)を回収するに至ったのは彼の通信を傍受していた説が存在する。グエルが強奪したのはフィリップが搭乗していた友軍機であり、恐らくオープンチャンネルでヴィムに通信を試みたが、コンジャムポッドによってそれが叶わずオルコットが(偶然)傍受したものと思われる。
- 出番が少ないながらもバックボーンがかなり作り込まれていたことから、外伝向きのキャラと一部から言われていたが、実際に外伝のヴァナディースハートにて登場が決まったことから、ある程度過去編の外伝に登場させることは織り込み済みだったと思われる。
関連タグ
- ナジ・ゲオル・ヒジャ:代表
- ソフィ・プロネ:客員その1。
- ノレア・デュノク:客員その2。
- デスルター:ジェターク社の旧式機だが、襲撃にあたって貸与された。