「自ら 引き金を引き 奪った命の尊さと あがないきれない罪を背負う。」
「戦争とは… 人殺しとは そうでなければならない。」
「そして 我らカテドラルは 全てのガンダムを 否定します。」(※PROLOGUE時の台詞)
CV:内田直哉
概要
巨大企業複合体「ベネリットグループ」の総裁兼監査組織カテドラル統括代表。元軍属で、野心家と評されている。
ミオリネ・レンブランの父親だが、娘からは後述の事情もあって反抗意識を抱かれている。
ミオリネは周知していないが、エリクト・サマヤの父ナディム・サマヤや彼女の家族同然だった、フォールクヴァングのスタッフ達を死に追いやった首謀者でもある。
人物像
PROLOGUEの時点ではグラスレー・ディフェンス・システムズ幹部であり、かつて無人兵器であるドローンによる戦争が起こっていたアド・ステラの世界において、軍人としての経験から『人殺し』に対する独自の理論を持つ。
GUNDフォーマットの安全性が取り沙汰される中、「兵器はあくまでも人殺しの道具であり、使用者の命を危険にさらすようなものは必要無い」 「戦争とは人と人の命の奪い合いこそが最低限の作法」などと強弁し、それに纏わる技術を否定。
『ガンダム』を呪いと批判し開発評議会に於いては強硬手段の必要性を強く主張、オックスアース社およびヴァナディース機関を対象に、ドミニコス隊による強制執行を主導した(ちなみに評議会のメンバーは「『ガンダム』の排除」は決定事項だったが、皆殺しは流石に寝耳に水だった模様)。
本編時点では、更に強引かつ冷酷な経営者となっており、グループ内で業績不振の企業は容赦なく切り捨てる。髪が白髪になっているなど、僅か十数年の経過であるが、老齢そのものなビジュアルへと変貌している。
傘下のアスティカシア高等専門学園の理事長も兼任しており、同学園において〈決闘の掟〉を作り、娘のミオリネをそのトロフィー扱いしている現状から、当然娘からは快く思われていない。
経緯は不明だが、ミオリネの母に相当する妻は既に他界している。
総裁として
現時点では独裁者の一言に尽きる。
「自分が正しい」と思えば他の意見を無視して強行を貫き、その内容を他者に一切説明する意思すら見せない。その過程や結果で受けるだろう自らの悪評をも意に介さない(しかしながら、現実においても世界的な大企業のCEOが酷く強権的だったのはよくある話であり、それによって実際に成功した例もあるので一概に言い切れない)。
もっとも、指導者としての弁舌の巧みさは本物である上、ベネリットグループ、カテドラル、アスティカシアと複数の組織のトップを兼任している事実からも、政治と経営の2点では相応の手腕を持っているのは間違いないだろう。
ジェタークを除く幹部陣営から(現時点では)声高に異を唱えず、粛々と彼の指示に応じている様からも、相当な実績がうかがえる。しかも、下記のように、状況によっては自らの意見を下げて、一歩引く等の柔軟性も兼ね備えている。
後述する起業の件で報告に来た娘のミオリネに対し、厳しい指摘はしながらも余計な嫌味を交える事無く助言を呈して(投資した以上は成功させようとするのは当然だが)おり、ビジネスの上では余計な私情を交えたりしない模様。
また、独裁者じみた性格に反しヴィム・ジェタークに対して、息子の捜索の方を優先するよう指示し、後述するように子への愛情が皆無という訳ではないようである。
ミオリネとの関係
実子のミオリネから「ダブスタクソ親父」と酷評される実態から分かる通り、親子関係は冷めている……を通り越して破綻している節が散見される。
ミオリネが母親の葬儀の時の対応にも不満をぶちまけていた様子から、妻が亡くなった時の応対も情味に欠いた行動を採っていたと思われる。
また、極端なまでの実力至上主義を掲げており、デリングが『弱者』と見なせばそれはミオリネとて例外ではないため、更に関係を悪化させている。
ただし、企業の立ち上げを目指す彼女の意外にも真摯な申し出を聞き入れてからは、一介の経営者として彼女を見ており、私としてはともかく公としてはそれなりに関係は悪くない。
また、身を挺して娘を守るなど「親としての愛」を持ち合わせていた事が判明しており、「毒親」と言うよりは、「愛情表現が下手な不器用な親」と評した方が正しいのかもしれない。
動向
上述するように、GUND-ARMの技術を自分の持てる限りの力を用いて廃絶に追い込んだデリングであったが、GUNDが世の中に普及している以上、そこから全く別の新たなるGUNDフォーマットやGUND-ARMが誕生する可能性は否定出来ず、それに対する警戒を全く怠っていなかった本心が明らかになっている。
スレッタ・マーキュリーのガンダム・エアリアルが、グエル・ジェタークのディランザを打ち破った決闘の直後に、即座にフロント管理者の警備隊を遣わして、スレッタとエアリアルを拘束。製造元のシン・セー開発公社CEOのプロスペラを審問会に呼び出して出自を問い質すが、プロスペラからエアリアルはGUND-ARM最大の懸念であったデータストームが検出されない、ベネリットグループの技術条項やカテドラルの協約に沿っている『新型ドローン』である実態を知っても尚「あれはガンダムだ。私がそう判断した。」と否定する。
だが、ベネリットグループ御三家のジェターク・ヘビー・マシーナリーCEOヴィム・ジェタークが「エアリアルをMS市場での業績回復の起爆剤」となる旨を訴え、ペイル・テクノロジーズCEOのニューゲンがプロスペラの「学園での決闘を『エアリアルのテスト』にする」発言を聞くや「エアリアルの技術情報の提供を要求して受け入れられる」など、御三家の内二つがエアリアルの活用を支持する意見を述べた事から、娘の訴えと合わせここは一歩引いてそれを認める判断を下す。
一方で、スレッタの決闘結果を取り消しミオリネを退学させて別の結婚相手を探す行為や、スレッタがグエルとの決闘に勝利した事で『エアリアルの廃棄処分』と『彼女と娘の退学』を取消し、入学とエアリアルの運用を認め自身が定めた学園のルールを敢えて曲げたりと、建前と矛盾し真意の読めない行動も取っていた。
しばらく姿を現す事はなかったが、彼も出席したインキュベーション・パーティでスレッタが事前に御三家で共謀したペイル社の罠に嵌められ、エアリアルはGUND-ARMだと糾弾される事態が発生。
反GUND派のサリウスから決断を迫られる中、ミオリネがGUND-ARM Inc.(株式会社ガンダム)の設立を宣言するのを目にする。
しかしその場にいた参列者は誰もこれに投資せず、ミオリネに対し
「お前の提案には価値が無い。皆そう言っているのだ。どんな大言壮語を吐こうとも、それを裏付ける信用がお前には、無い。」
と信用がない故の未熟さを指摘してその場を後にしようとしたが彼女は諦める事無く、意地や父との確執を捨て、デリングに頭を下げて投資を志願していった。
そんな娘の覚悟を認めたのかは不明だが「『ガンダム』と呪い」に警告しながらも3パーセントを投資した。これが呼び水となり参列者は次々と投資、晴れて株式会社ガンダムの設立が成功した。
サリウスは「やはり認めたな、ガンダムを。」と発言しており、デリングはかつて『ガンダム』を否定し廃絶に追い込んだ立場ながら、先述した不可解な行動や事実上のGUND容認と何らかの形でその技術の利用を考えている模様。
それを裏付けるかのように、子飼いのカテドラルにエアリアルと起業を認めた件で直訴したサリウスを門前払いさせ、ベネリットグループ開発プラント「クエタ」でデリング自らプロスペラの元に赴き、彼女から(グラスレー寮との決闘後の時点と思われる)GUNDに関するデータを譲渡されていた。
しかも、プロスペラが自らの正体を明かしてもその事実を既に知っていたのか、特に動じる様子を見せなかった。
この為過去のGUNDの否定と虐殺は、自身以上にGUNDを否定するサリウスへのパフォーマンスもしくは、額面通りの独断であったが年月の経過と共に行いを自省したものとみられる(小説版では彼の独断とされており、後者の可能性が高い)。あるいはPROLOGUEで描かれた事件にも、未だ明かされていない何らかの裏があるのか?
いずれにせよ、本編開始までの21年の間に一体何があったのか疑問は尽きない。
余談
過去に関して
上記の通り、スレッタにとって実父の仇であるため、Pixivでは既にこのようなイラストが作成された。
容姿の変化に関して
「容姿が10年程度経っているとは思えないほど老けている」と指摘があるが、PROLOGUEでは宇宙空間で生活する人間の筋力が、地球で生活するより衰えやすくなる(=老化しやすくなる)事実を示したと思われるグラフが登場しており、これを踏まえると宇宙で暮らしている以上、こうした影響は避けられないのかもしれない。
尚、このグラフの内容については、現実にも類似する研究結果が複数ある。負荷の小さい低重力環境では筋肉や骨格の衰えが促進され、遮蔽した上でも地上に比べ深刻な放射線被ばくによる、全身の細胞損傷も深刻なものとなる(宇宙老化外部リンク)。
デリングのPROLOGUE時点での年齢が既に高かった(ミオリネを設けたのもかなりの高齢になってから)とする考え方も可能ではある。
その真相の一端が第6話で判明した。プロスペラが復讐をするきっかけとなった『フォールクヴァングの虐殺』かと思われる出来事は21年前であった。つまりはミオリネが生まれる以前の出来事であり、それだけ老け込むのも当たり前なほどに年数が経過していたため。
その他
- ファーストネームであるデリングは北欧神話に登場するアース神族であり、「曙光」を意味する。彼の妻であり娘ミオリネの母である人物のファーストネームも同じく北欧神話に由来する「ノート」である。こちらは「夜」を意味する巨人族の娘である。
- ミオリネは一見無関係に思えるが、「デリング」と「ノート」の息子「ダグ」に相当するものとみられる。
- ファミリーネームのレンブランはレンブラント光に由来している可能性が高い。
- 2023年3月5日配信の魔女ラジ第21回ではあの名(迷?)台詞「あれはガンダムだ」で登場し、内田は監督から『リア王』のイメージとのディレクションを受けたと語っている。
- 実際に娘を持つ父親としてコメントしており、「父親はある種ダブスタなところがある(要約)」とのこと。
- 同ラジオでは回を追うごとに(父として)ミオリネに対し入れ込み過ぎるあまり、第12話のある場面ではディレクターに「冷たく演じるように」と注意されたとのこぼれ話も。
- 中の人が中の人だけに、とある放射線の濃度が濃いイラストも散見される。
関連タグ
レンブラン家
- ミオリネ・レンブラン
- ダブスタクソ親父:自身で決定した規則すら平気で曲げる様への蔑称。名付け親は娘である。
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マーキュリー家
御三家
ネタバレ注意
第10話以降の動向
訪れていたクエタにて、武装組織「フォルドの夜明け」によるテロが発生、それは自身の暗殺を狙うある人物の謀略によるものだった。
混乱の中でスレッタと離れ離れになっていたミオリネと同行する事になるが、攻撃による爆発から彼女を庇い重傷を負う。その後、マーキュリー親子の機転のお陰で辛うじて娘と共に生還するが、2週間経っても目を覚まさない昏睡状態に陥ってしまった。
そして、その間にも事態は最悪な方向へ向かって加速していき、グループの総裁選が始まろうとする中、スレッタの事でプロスペラと諍いを起こしたミオリネは、遂に彼女の口からヴァナディース事変で起きた虐殺を知らされてしまう。
そしてデリングがプロスペラと進めていた計画「クワイエット・ゼロ」にミオリネは巻き込まれ、彼の後継として総裁になることに。しかしその過程でクイン・ハーバーと学園で、そして総裁就任後にそのクワイエット・ゼロの能力によって多くの人間が死んでいく様を見てミオリネは酷く憔悴してしまう。
それでもミオリネと引き離されてなおやってきたスレッタにより彼女が再び立ち上がれたところへ、デリングが目覚めたという報せが入る。
作中では上述の1期〜2期の2週間、オープンキャンパスでの事件から地球寮が停学になっていた1週間、総裁選期間の2週間などの時間経過が確認されているため、少なくとも約1ヶ月以上の昏睡からの覚醒であった。
目覚めたばかりで声を発することはできなかったが、ミオリネの覚悟と、生きることを諦めるなという檄を聞かされ、クワイエット・ゼロに立ち向かう彼女を見送った。
その後、グストン・パーチェの協力により宇宙議会連合と接触。病み上がりの老体にムチを打つような状態だったが、自身の健在と企業内自治の安定を顕示し、グループへの介入行動を停止するように要求する。
ミオリネらの手によりクワイエット・ゼロが機能を停止した際には改めて武力介入を止めるよう求めたが、連合上層部は元よりグループを排除する算段だったためか、これを黙殺した。
以降は艦艇に同乗していたラジャンやグストンと共に、ミオリネによるグループ解散やクワイエット・ゼロの顛末を見届けている。
エピローグの3年後においては、旧ベネリットグループ経営陣に対する公聴会にサリウスらと共に出席。字幕においてはクイン・ハーバーやクワイエット・ゼロでの犠牲者遺族の憤慨は収まらず、その点は次回に持ち越される旨が記載されている。
また、クワイエット・ゼロに関する直接の責任は本来無関係のはずの人物が、当人の意向で一身に請け負うことになっている模様。