概要
機動武闘伝Gガンダムに登場するモビルファイター(MF)の操縦システムを言う。
文字通りパイロット(ガンダムファイター)の動きをトレースし、俺がガンダムだ(物理)になるシステム。Gガンダムに登場するガンダムは他シリーズとは違いこのシステムが主要となっているためコクピットブロックにリニアシートが存在しない。
パイロットは全裸になって多数のセンサー(アンテナ)と電子回路の通ったファイティングスーツを着用する。このファイティングスーツが搭乗しているMFとペアリングし、パイロットの動きや五感をフィードバックしてMFにそのまま反映されるという仕組み。また、周囲360°には全天周囲モニターが映し出される。基本的にシステムの対象は人間だが、馬がこのシステムを利用する例もある。また、装着されるファイティングスーツは機体毎ではなく搭乗者毎に模様が異なる仕様のようである。
MFが武装を持つ場合はコクピット内ではビーム状に再現され、バルカンなどのMF内蔵の火器を発射する場合は脳波がトリガーの役割を果たすようになっている。しばしば音声認識で発動させていると言われるが、これらは強いて言うなら気合を入れるためのシャウトであって、発動には関係しない。
パイロットがダメージを受けるとその部分の電子回路の模様が浮き彫りになり、相手に腕を引きちぎられるなどしてMFが身体の一部を失った場合は失われた部分が真っ赤に発光する。
人型以外に変形した際はファイターも同じ格好に…とはならず、この時はトリガーと同じように脳波で指示を出すようになる。マンダラガンダムと言った一部人型でない機体も同様。
ちなみに別作品だが『アイアンマッスル』では、反応速度を上げるためにシンクロ率を最高にした結果、ロボの首をへし折られると同時にパイロットの首もへし折れていたりしている。
Gガンダム以外の作品のキャラだとパロディ漫画がんばれ!ドモンくんでモビルトレースシステムが組まれたガンダムエピオンにヒイロ・ユイも搭乗している。エピオンは下半身が海老反りに折れ曲がってMA形態に変形するため、高速移動時にヒイロも海老反り体位になっていた。
余談
モビルトレースシステムと同じ仕組みの技術は現実にもマスタースレーブ方式という名称で実在し、普及に至っている。代表的な用途としては手術支援ロボットが挙げられ、医師の動きをトレースしてロボットの手に伝えることで遠隔地や体内での手術を可能にしている。また、バトロボーグシリーズは本技術を応用した玩具であり、マスタースレーブ方式による操縦を実際に体験できる。柳田理科雄氏も、「関節や駆動部位の多いロボットの操縦には、これが一番手っ取り早い(エヴァンゲリオンやグレンラガン、ザンダクロスなどのように思考が即行動に直結する機体は、作戦を読まれる可能性があるため。ただしレッドバロンのメタルファイターのように思考が挟むことによりコンピューターのハッキングを阻止できる利点はある)」と評している。
Gガン以外の作品だと『ジャンボーグA』のジャンボーグAや上記の『アイアンマッスル』のグラップルマシン全機、『獣拳戦隊ゲキレンジャー』のゲキトージャ他、『トリコ』のGTロボ(鉄人28号のような完全無線型だが)もこれに該当する。
上半身だけではあるが『闘将ダイモス』のダイモスもこれに近い動かし方をしている(パイロットは空手家であり、スパロボではドモンと友情を結んだり時にはガンダムファイターと互角扱いされたりしている)ほか、『機動警察パトレイバー』のイングラムは普段はレバー操作であるものの、精密作業用として同機能が搭載されており、パイロットは自主訓練であやとりをやってみせた。
また『魔法騎士レイアース』の魔神や『覇王大系リューナイト』のリューなどGガンと同世代の作品にもこのシステムが採用されている例もあり、同様にダメージがパイロットにフィードバックされるルールが設けられている。
更に『GEAR戦士電童』の電童や『パシフィック・リム』のイェーガーなどは複座式でありながらこの操縦システムが採用されている(イェーガーの場合は右半身と左半身を分担しているらしい)。