あたし、いつまでもレイバーが好きなだけの女の子でいたくない。
レイバーが好きな自分に、甘えていたくないの。
CV:冨永みーな
概要
機動警察パトレイバーの主人公。茶色のくせっ毛なショートヘアが印象的な、小柄な女性。
警視庁警備部特殊車両二課(特車二課)第2小隊に所属する警察官であり、警察用レイバーイングラム1号機の操縦担当を務める。
すでに死別しているが実家では犬や猫を飼っていた経験があり、アニメ版で愛機イングラムに与えた「アルフォンス」の愛称は、これら歴代ペットにつけていた名前とのこと。
中学の部活動ではバスケットボールをしていたが、身長に恵まれなかったため、その道に進む事は断念していた。その為、高校では卓球部。
高校生の時はロングヘアーだったが、ある理由で短くした。このエピソードはアニメディア90年小冊子に掲載されている。
高校卒業後は単身上京し、警察予備学校に入学。かねてからのレイバー好きが高じて警視庁初のレイバー部隊に入隊。
その後は劇中で描かれている通りの活躍を見せる。
ストーリーが進む中で、徐々に篠原遊馬と仲を深めていった。
特車二課にいたのは数年であり、劇場版2作目の時点では、本庁内に新設された装備開発課に遊馬と共に転属しており、篠原重工八王子工場にテストパイロットとして出向中だった。
この頃には、自分の中の『正義』にきちんと向き合った上で「レイバーが好きなだけの女の子でいたくない」と語るなどただのレイバー好きではなくなっており、警察官として内面的に大きく成長している。
人物
正義感が強いまっすぐな性格で、明るく溌剌としている。
よく言えばのびのびとした、悪く言えば単純なところもあり、「ひねくれ者」とよく言われるパートナーの遊馬とは対照的。
微妙に短気で、太田功程ではないが感情的になり相手のレイバーを叩きのめしたこともある。追い詰められてからの爆発力が結構凄まじく、劇場一作目の対零式戦、漫画版の対グリフォン戦など、ボロボロになり窮地に立たされながらも最終的な勝ちをもぎ取る技能と根性の持ち主。
言動から幼い印象もあるが実際に未成年であり、劇中で20歳の誕生日を迎えている。
成人式は警察で制服(儀礼服)を着ることになったため、着物を着れないことを残念がる年相応な一面も見せていた。
年齢の通り飲めるようになったばかりのはずだが酒には非常に強い。深酒しても少々下品な言動になるだけで潰れたりはしないし、小隊全員で深酒した際も、翌朝ひとりだけケロリとしていたほど。小説版ではビールと日本酒をチャンポンしたりしている。
酒豪なのは父親の晩酌につき合わされていたおかげなのだとか。高校卒業と同時に実家を出て上京したのに晩酌に付き合っていた? 「それは聞かない約束」らしい。
警察官としての職務に対しては、不器用な面もありつつ真剣に取り組んでいる。
そのため、「真面目な野明が太田が起こすトラブルのとばっちりを受けている」という印象を持たれがちだが、野明もそれなりにやらかしている。
操縦技能や戦法の違いで周辺への被害などは出しにくいものの、感情に任せて相手のレイバーを必要以上にメタメタに叩きのめしたことが何度かあり、そのうちの1回は完全に八つ当たりであった。
また、悩みに気を取られての操縦ミスなど、人生経験不足や精神的な未熟さを見せてしまうシーンもある。
レイバー好き
根っからのレイバー好きで、生まれつき機械との相性が良いと言われるほどに、操縦の腕も良い。
特に愛機イングラムの操縦に関しては実戦を伴った研鑽を続けているため、同機の特徴である動作学習型ソフトウェアも相まって、激しい格闘はもちろん「目標を指さす」といった簡単な動作も綺麗に最適化されるほど自身にも機体にも経験を積ませている。
イングラムの自慢の一つである「器用さ」を発揮できる手先を使った作業には特に熱心で、操縦者の指の動きをそのままイングラムに伝えるモーショントレーサー装置を使い、ロープで蝶結びや綾取りをしてのける、人間用の小さなレバーやクランクを操作するなど、器用かつ繊細な動きを好んで学習させていた。
戦闘技術に優れ、猪突猛進気味である太田とはこれまた対照的であるといえる。
漫画版では着任したての熊耳から「イングラムはもっと応用力のある動きができる」という旨の指摘を受けたことでさらに学習意欲を高め、レイバー版の柔道技や逮捕術と言えるような動きも扱えるようになっていった。
その反面、格闘だけで犯人を取り押さえられる事が多く、野明自身も銃の使用を避けている節があるためかイングラムが装備するリボルバーカノンの射撃は苦手としている。
散弾銃であるライアットガンに関してもギリギリまで撃とうとせず、結果的に敵機に間合いを詰められてしまうシーンがあった。
撃たないが故に特に問題が起きなかったので本人もバックアップの遊馬も気づいていなかったが、訓練時でも「とりあえず的には収まる」といった程度の腕で、後藤隊長にも「銃を使わないことは正解」とまで評されている。
特に漫画版では、「発砲をためらうせいで照準が定まらない」というクセをイングラムがそのまま学習してしまい、迷うような動きを見せる事を指摘されていた。
この点も発砲の経験が必要以上に豊富な太田とは対照的。
また、自らが乗り育ててきたイングラムへの愛着が強過ぎるが為に、イングラム以外のレイバーの発展や高性能化を素直に受け入れられない親馬鹿のような面がある。
篠原重工がイングラムの量産型を目指して開発したAVS-98MK2「スタンダード」のテストパイロットをした際にも、総合的な改善型として扱いやすくなっているはずのスタンダードに対し「いまいち」と評する等、無意識的に歯切れの悪い評価しか出来ずにいた。この点に関しては、同じくテストパイロットを務めた太田からも見透かされてしまい「依怙贔屓」「テストパイロットたるもの、偏見無く客観的な評価を下さねばならん」と苦言を呈されてしまっている。
同様に簡易量産試作機の「エコノミー」を「安物」呼ばわりし、「イングラムを売却して、その代わりにこれを数機導入、それで小隊数を増やそうという動きがあるらしい」と告げた遊馬の言葉を「イングラムの売却とエコノミーの導入が決定した」と早合点して、単身後藤のところへ乗り込み、「導入反対」の陳情をぶったりしている。
終盤でAVR-0に乗った際はグリフォン(バド)に「イングラムじゃ勝てないから、そんなのに乗り換えたのか」と挑発され、イングラムの上位改修機であるAVR-0を指して「あたしだって、好きで『こんなの』に乗ってるんじゃないッ!!」と『こんなの』呼ばわりして、その場にいた篠原の技術者を嘆かせるなど、イングラムに対する思い入れは並々ならぬものがある。
パイロットとしては感覚で操縦している部分があるためか、ソフトウェアが介入してくるようなシステムを積んだレイバーとの相性は悪い職人気質な一面もある。同じ理由から背面視界、下方視界など『通常の人間の視界を超えて周囲の状況が見えてしまうシステム』も苦手。
ソフト側で動作の最適化を行ってくれるOSのHOSに対して「動きに迷いがなくなる」という理由で苦手意識を見せたり、HOSの拡張機能で半自動操縦を実現するAVR-0にも「勝手に動く」「気持ち悪い」と訴えたりもした。
もっともシステムの進歩については「レイバーがより便利な機械になる為には必要なこと」だと渋々ながら理解はしており、本人も人間側の操縦感覚と機械の反応が一致した時に喜びを感じるような自らの気質的を指して「こういうのって古いのかな?」と述懐している。
特に漫画版ではハードには強いようだがソフトに対してはからっきしと言った感じで、イングラムの初期設定にも手間取っていた。
アニメ版では問題なく扱っているほか、設定や操縦方法を教える側にもなっており、特に苦手ではない模様。
漫画版では異常なほど乗り物酔いに強いという様子が描かれており、試験官の悪ノリで激しい動作セッティングになったシミュレーターに乗せられ、受験者が嘔吐したり諦めたりしていく中「もっとゴツゴツ動いてもいい」などと平気な顔をしていた。
ちなみに第二小隊長の後藤も興味本位で試乗して吐いていたのだが、彼は「競馬の騎手とレイバー乗りは小柄な方が良い」という持論を述べており、まさにその通りの人材が野明であった。
隠れた彼女の魅力
ボーイッシュで女性的な色気は薄く、本人も自分のルックス等については何とも思っていない。
しかし明るい性格と可愛らしい顔立ちから、町でナンパされたこともあり、特に女性との出逢いが絶無であった特車二課整備班員達の間では密かなファンがかなりいる。
その為か、劇場版一作目では整備員たちの前で遊馬が『デートしてやる、っちゅーとるんだ!』と強引に連れ出した(実際にはかなり深刻な話をする為だったのだが)際には大ブーイングが巻き起こった。
その他
北海道生まれ北海道育ちのこだわりで鮭にはうるさく、コンビニあたりに出回っている鮭はバカにしていて食べないことが劇場版2のノベライズで判明している。
これもあってか、コンビニのおにぎりではおかかがお気に入り。目の前に鮭とおかかのおにぎりがあったら、そのおかかがたとえ他人(遊馬の場合に限られるが)の分でも食べてしまうほどの徹底ぶりであり、二課時代にもほか弁の塩鮭だけは頑として拒んでいたらしい。
TVアニメ版第38話「地下迷宮物件」では熊耳武緒など他の特車二課のメンバーとともに、夏用の制服に下水道での任務のため、『水中長』と言う太ももまでもある長さの黒い長靴をはいていた。
ゆうきまさみ原作の究極超人あ~るに登場する大戸島さんごに似ているのもネタ話のひとつである。
2課への配属直後は、自分に理解し難い事象に遭遇したり、処理し切れない情報量に触れると『頭がスポンジーッ!』と叫んだり『頭がスポンジになりそう』と嘆いたりしていたが、割と早い時期からそのような言動は取らなくなっている。
実写版では、冒頭シゲさんの回想でちょっとだけ登場。
岡田夏海さんが演じているが、顔は見えず、台詞もない。
警察を退職しており、篠原重工のレイバー開発主任に納まった遊馬の下、専属のテストパイロットとして働いているとのこと。遊馬とは「公私に渡るパートナー」となっているらしい。
漫画版の最終回では、顔にごくうっすらと残った任務での傷跡をして「嫁に行けなかったら悪女にでもなるか」と笑う野明に遊馬が何やら言いかけるシーンがあったが…はっきり伝えたのだろうか。
関連イラスト
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実写版:泉野 明(いずみの あきら)
演:真野恵里菜
3代目第二小隊操縦担当。
自他ともに認める廃人レベルのゲーマーで、ロッカーは歴代の据置型ゲーム機とその周辺機器やソフトがぎっしりと詰まっている。
ゲーム(特に格闘ゲーム)で負けるとムキになる面があり、周囲をも巻き込んでリベンジしようとする。
悪い意味でマイペースな一面があり、バックアップ担当の塩原佑馬に「お前友達いないだろう?」とよく言われている。
操縦技術は野明にも劣らないほどなのだが、いかんせんイングラム自身が老朽化しているため、彼女が本気で振り回すと簡単に壊れてしまうのがネック。
名前の漢字が初代(野明)と同じで、なおかつ自身もボーイッシュ・男勝りな面があることから野明と勘違いされることが多く、悩みのタネになっている(ちなみにTV版第09話「上陸 赤いレイバー」においても野明が泉野 明と勘違いされたことがある)。
ベスパを愛車にしており、通勤に使っている。