概要
CV:池水通洋
二号機フォワード(操縦担当)。後藤隊長曰く「問題警官」。
よく言えば生真面目で正義感の強い熱血漢。裏を返せば、直情径行で猪突猛進な熱血馬鹿。
規律重視で融通が利かない割に短気な性格をしており、些細な事ですぐに大人気無くキレては乱暴な態度を見せる。加えて年功序列、男尊女卑といった古風な考え方や上下関係主義で周囲に意地悪く当たる事も目立つ。
悪を憎み、仲間や治安の危機には勇んで駆けつけようとする警察官気質にはブレがない「熱いおまわりさん」なのだが、いかんせん、その性格は悪い方向に発揮される場面が多い。
レイバーの操縦技術にも性格が反映され、精密な動作より力任せに突撃する主義。
日本は銃刀法国家であるにも拘らず、戦闘時以外…それこそ交通整理中や救助活動中においてさえ、何かにつけてレイバー用の拳銃であるリボルバーカノンを意味も無く撃ちたがる等、一歩間違えば狂人レベルに等しい射撃中毒者となっている。
問題発言も非常に多い上に、バックアップ(指揮担当)の命令を無視して暴走することもしばしばで、レイバーを傷付けない様にしながらも着々と手柄を立てている泉野明と比べても、機体の破損が絶えず、勝手に自滅している展開が目立つ。
いつ懲戒免職を言い渡されてもおかしくないのだが、これでも第二小隊では数少ない「正規の警察教育」を受けた警官で、機動隊から異動してきた経緯を持つ。
それ故に、「どうして警官になれたのだろうか?」という新たな疑問も出てくるが…。
太田の射撃に関して
太田に関して特に話題にのぼるのが、当たりもしないのに無闇に発砲したがる射撃下手やトリガーハッピーのイメージで、実際に射撃の腕前は漫画版とテレビ版の両方でバックアップに突っ込まれている。
漫画序盤やOVAアーリーデイズでも全弾はずすなどノーコン描写があるものの、漫画版ではグリフォン戦後の修理明け訓練シーンにおいて全弾をほぼ的の中央に命中させるなど、腕前自体は悪くない事が明らかになっている。
実戦で命中しないのは、万一の誤射が無いように暴れる犯人レイバーの末端部、つまり手足の先を撃とうとしているからで、犯人を生きたまま逮捕する警察官らしい行動とも言える。これを部隊で唯一理解していた後藤隊長は「コクピットにあたっちゃったこともないだろう?」と笑っていた。
実戦でも複雑に動かない対象への狙撃は成功させているほか、山崎ひろみとの連携で生身でリボルバーカノンを発砲してグリフォンのメインカメラを破壊したり、通用しなかったがブロッケンの頭部に命中させたりしている。
また廃棄物13号の事件では映画・漫画ともに、格闘戦に持ち込まれながらも1発しか無い特殊弾頭の使いどころを見極めて命中させている(漫画版は頭部から喉のあたりを貫通してしまい決め手にならなかったが)。
…と、腕前の方だけは諸事情が明らかになっているのだが、トリガーハッピーに関しては言い逃れようがなく、漫画版の第二小隊初出動時には犯人を前に「停まらんと発砲する」と警告しつつ、内心では「停まるなよォ」だの、本当に止まらず突っ込んで来たら「えらい!」だのと言いながら嬉々として連続発砲しており、撃ち切った際には追加の弾をよこせと言い放っている。
映画版でも、銃撃戦が想定される事態となればハイテンションで弾薬の準備を始めるなど、とにかく発砲の機会を待ち望んでいるようにしか見えない。
一方、TV版で香貫花帰国後、熊耳が配属されてくるまでのわずかな間、進士が2号機バックアップを担当していた間に銃を使用する機会が訪れた際には、珍しく進士が銃の使用を指示する中、所轄の機動隊の不手際で周囲の避難が完了していないこと、さらにガンサイト越しに目標レイバーの奥に小学校があることを把握すると、「ダメだ、逸れたら小学校に当たる!」と、彼にしては珍しく発砲を躊躇うシーンがある。
第二小隊の『やたらめったら撃ちまくるので有名』とか『通った後にはペンペン草も生えない』とかいう悪評はほとんど彼が原因である。まあ、野明は野明でリボルバーカノンこそ使わないものの、感情的になって相手のレイバーを必要以上にメタメタに叩きのめしたことが何度かあり、しかもそのうち1回は虫歯の痛みの八つ当たりと、やはり言い逃れできない所ではあるのだが。
※正規の警察官です(人物像)
面倒くさい熱血漢の典型のような人物ではあるが、実は第二小隊で生え抜きの警察官として正規の教育を受けたのは小隊長の後藤と、熊耳、太田だけである。
野明たち若手は「警察予備校」と呼ばれる劇中独自の候補生制度から他の現場などは経験せず第二小隊入りし、進士はサラリーマンから転職という異色の経歴、香貫花はアメリカ合衆国カリフォルニア州のカリキュラムを受けているニューヨーク市警の警察官。熊耳も研修留学で香港に派遣される公安系の道を歩んでいたため、新人時代から事件事故の場数もそれなりに踏んでいる太田は、数少ない「ニッポンのお巡りさんらしい経歴」の持ち主。
その上で機動隊員としての実地経験も積んでいるため、新人同然の他の小隊員を見下す傾向もあるが、漫画版では進士とのやり取りで“レスキューの応援”について警官としては間違っていない認識で言い返しており、良くも悪くも部隊では一番「現場の警官」らしさを持つ。
正規教育を受けてなおトリガーハッピーだったりする方が始末に負えないという話でもあるのだが…他の隊員連中や整備員たちも曲者揃いなため、階級の上下関係や礼節にうるさい太田は平時においての常識人でもある。
職場放棄、無断外出、公私混同など処分を食らいかねないレベルの遊馬が悪目立ちしているのもあるが、太田の警官としての問題点は先のトリガーハッピーのほか、警察予備校組への上から目線、荒っぽい行動のせいで出動時の装備破損や周辺被害が多いことであり、勤務態度に限れば職務熱心で割と模範的なのである。
冒頭でも触れているように直情径行の熱血漢なので、目の前の物事をまずは力技で解決してしまおうという傾向が強く、事件の裏に潜む事情を推理したり、深読みするのは苦手。
その意味でも、事後の影響や背景を必要以上に深読みしたがる慎重派の遊馬とは相性が良くない。一時期、遊馬が野明といざこざを起こした為、後藤の判断で太田と遊馬が組まされた際には問題行動が頻発し、熊耳から後藤に苦言を呈されるレベルであった。
周囲からも満場一致で短気と思われているため、ある事件で容疑者の動機について「だからって復讐ってのは短絡的すぎやせんか」と発言した際には周りがざわつき、熊耳まで「太田君の口から『短絡的』なんて言葉が出てくるなんて…」と驚いていた。
硬派で生真面目な言動が目立つ一方、意外なことに今で言うドルオタでもあり、若い女性アイドルに目がない。TV版では「妹にしたいタレントNo.1」とされる松本加奈にデレッデレになっており、しかもファンクラブ会員ナンバー「0001」だったりする。
漫画版でアイドル絡みのエピソードは無かったものの、珍しく定時上がりを繰り返した際は、第二小隊メンバーから「彼女でも出来たのでは」「ストレスで銃犯罪に手を染めているのでは」という憶測の他に、「TVアニメの再放送を録画するためじゃないか」「コミケットに参加するため同人誌を書いているのでは」など、隠れオタク疑惑をネタにされていた。
真相は夏季限定の大盛メニューが売り切れる前に食堂に寄るという、色気より食い気だったのだが。
対人関係では上記のように古風で頑固な熱血漢、無神経というイメージが先行しがちだが、「女性は男が守ってやるもの」という古風さも併せ持っているため、見合いの相手を不器用ながらもエスコートしてみたり、パイロット仲間として野明の悩みや疲労を気遣ったりするシーンもある。
TV版ではそんな彼の「大人の男」としての部分がクローズアップされた回があり、周囲が言うほど無神経でも単純でもない太田の一面を垣間見ることができる。
階級が同じ野明や遊馬らに対して先輩風を吹かすような態度を取るのも、彼らが警察予備校あがりだからで、野明に向かって「女の癖に」「女の分際で」と言った台詞は聞かれない。その点では野明を異性として意識している遊馬より男女の別なく扱っているとも言える。
一方で、古風な女性像に嵌らないデキる女、強い女である熊耳や香貫花への第一印象は良くなかったらしく、信頼関係を築くまでは熊耳に対して「あんなかわいげのない女」「クソ生意気な」などと不満たらたらだった。
それでも表立って反抗せず態度も崩さず従っていたのは彼女の階級が自分より上の巡査部長だったからで、その様子を遊馬に指摘された際には、涙を浮かべるほど悔しがりつつ「警察内にあって階級差は絶対」「組織としての示しがつかん」と、これまた古風かつ生真面目な一面を覗かせた。
また、相手が柔道の腕前やレイバーの操縦、指揮などで実力を示していくにつれ、悔しがりながらも正面から教えを乞うなど、次第に大人しくなっていった。
無神経というか図太いところは警察官としての経験も関係しているようで、なぜか任官初年に悲惨な遺体の出た現場に数々遭遇したため、そうした状況には耐性がある。漫画版では他の隊員が気絶したりトイレに直行するような惨い遺体を見ても一人だけ平気で、その後の食事で平然と肉料理を食べたりしていた。その際に「一生涯分吐き戻した結果、胃袋と脳を分ける術を手に入れた」と豪語するも遊馬から「自慢になるかい」と吐き捨てられ、口論になっている。
旧OVA~劇場版世界線では2001年秋頃から特車隊員養成学校に異動、指導教官として勤務している。面倒見の良さと熱心さからそれなりに評価されてはいるものの、性格は相変わらずで、劇場版2作目ではレイバーによる射撃が下手な生徒達を大声で叱責・罵倒しながらスパルタ指導している様子が描かれている。自ら手本として、移動する標的をFCSの補助無しのマニュアル射撃で撃ち抜いてみせるが、「とどめを刺す事を忘れるな」という理由で、標的が乗った機体(備品)まで電磁警棒で破壊してしまい、本庁総務部総務課長に出世していた進士に叱責された。
小話
演じる池水通洋氏は同作品のオープニングナレーション(アーリーデイズ版(旧OVA)、テレビ版、NEWOVA)も手掛けており、そちらでは太田のキャラと打って変わって沈着冷静なトーンの台詞を聞く事ができる。
番外編短編アニメ『ミニパト』劇中でもこれを利用したネタがあるが、そこで初めて知って驚いたファンも多い事だろう。
本編後の太田
実写版
(旧OVA・劇場版世界線に属する)
山口森広氏が演じている。
回想シーンで、後ろ姿だけだが、ちょっとだけ登場。
劇場版第2作の後、警察を退職し、後藤、進士とともに警備会社を立ち上げたものの、放漫経営が祟って1年もせずに倒産。
その後、経緯は不明だがなんと暴力事件を起こし、現在は「収監中」、つまり実刑判決を受けている模様。
行方がわかっている元第2小隊メンバーの中では最も落ちぶれた現状となっており、ファンにとっては非常に悲しい事である。
ちなみに、一緒に起業した残りの2人はと言えば、進士は別に会社を起こして無事成功、後藤は行方不明となっている。
『REBOOT』
(おそらくTV・新OVA世界線)
一方、2016年の新作短編アニメ『機動警察パトレイバーREBOOT』では、直接太田の名前は出てこないものの、女性隊長が
「『現場に臨んでは臨機応変』……って先代の隊長も言ってたし」
と、太田の名台詞を借りて言っているため、後藤の後任として第2小隊々長になっていたという推測もできる(初代第二小隊のメンバーで、昇進試験を受けて巡査部長以上に昇格できるのは、太田と熊耳のみと思われる)。
関連タグ
大田原功:太田に鍛えられた後輩。破天荒さは太田に勝るとも劣らない。