「みんなで幸せになろうよ」(漫画版)
「おれたちの仕事は本質的にはいつも手おくれなんだ」(同上)
「こういうときは『警察には知らせるな』と一言いうべきだよ」(同上)
「台風がしでかしたことであれば、それが何であれ責任がどうこうという問題にはならんと思いますが…何せ台風のすることですから…」(劇場版1)
「だから!遅すぎたと言ってるんだ!」(劇場版2)
解説
CV:大林隆介
警視庁特車二課第二小隊隊長。
東京都台東区出身。後藤真帆子という姪がいる。(ということは少なくとも肉親として「後藤姓」を名乗れる彼以外の男兄弟(「夫が婿入りして後藤姓を名乗るようになった」、あるいは「後藤姓の人と結婚した」、(現代社会ならば)「夫婦別姓後に娘が母方の姓である後藤姓を名乗っている」等の条件次第では姉妹でも可)が存在するはずだが、そこにはまったく触れられていない)
「特車二課で一番偉いのは榊班長、次が第一小隊の南雲隊長。そこからぐっと下がって後藤隊長」と言われるように職場では、あまり威厳がなく昼行灯と思われている。
しかし、公安出身の切れ者だったことから、当時の周囲の人たちからは「カミソリ後藤」と呼ばれ「本庁でも有名なワル」だったらしい。
当時から制服は似合っておらず、小説版で元同僚が「お前は貸衣装だった」と語っている。
特車二課に島流しにされた理由は、松井刑事曰く「切れすぎた」かららしいが、明確に語られてはいない。小説版のみの設定ではあるが既婚者。(先輩の妹を娶ったが死別している)
主人公、メインメカとともに、パトレイバーを象徴するキャラクターであり、なんと作品30周年を過ぎた2020年に単独ムック「後藤喜一ぴあ」が出版された。(同年に先駆けて「泉野明ぴあ」も発売している)
人柄
常に飄々と全てにおいて無気力、無関心。水虫の為、サンダル履き。
しかも足を触った手でコーヒーを淹れ、南雲隊長に渡すなど、デリカシーのかけらもないオヤジ。
それでいて周囲への気配りはさりげなく行っており、また人的管理においては強制を好まず、各人の自主性を上手く引き出す方針を取る。しかし時には言葉を荒らげ、厳しい態度を見せることもある。さらにやる気のない人間は、全く相手にしない。
人望はそれなりに厚く、本庁内外に多くの人脈やコネを持ち、科捜研の持ち出し禁止の資料を入手したり、部署の違う刑事部にも顔が利き、中には彼のシンパとすら言える者たちもいるらしい。またミニパトによると、特車二課の装備する高速艇は彼が「漁業権を無視して」ハゼの漁獲のために装備させたものらしい。
旧OVA版の設定では自衛隊のクーデターを指導した甲斐冽輝と学生時代に親交があった。
この辺りの人間関係は「機動警察パトレイバー2the Movie」の南雲・柘植に移植され、なかったことになっている。
またシリーズによって南雲に気があることもあるが、
漫画版では南雲と第一小隊を敵の当て馬に使ったり、平気で利用している節がある。
基本的に現場指揮は部下の篠原遊馬や香貫花たちに任せ、事前のミーティングで部下に状況を理解させるのみで直接、指示を出すことは余りない。しかし普段は口を出さないだけで指揮能力がない訳ではなく、敵の動きを見て助言を与える場面もある。
要するに作劇上の都合、後藤さんが口を出す場面は、やられる前フリである。
切れ者としての才気
戦略家・策士としての頭脳の切れ味は健在であり、警察官という「(社会)正義の味方」として事件解決のためには手段を選ばず、命令違反や上司への恫喝、マスコミへの情報リーク、時には部下や警視総監すらペテンにかけて利用することもある。
結果、南雲隊長や福島課長らが責任を取らされたり割を食うことになり、祖父江前二課長(アーリーデイズで登場する課長)などは最終的に退職にまで追いやられている。
グリフォン関連の事件では、内海を「子供の様な男」とプロファイリングし、その行動を予測した。
劇場版一作目ではHOSの正体や帆場暎一の目論見にいち早く気づいて遊馬を煽って調査させたりなどしている他、劇場版二作目や初期OVAシリーズでは事件首謀者との頭脳戦を繰り広げ、「カミソリ後藤」としての本性を垣間見せている。
ショートアニメ『ミニパト』
特車二課の貧相な食糧事情と財政問題を解決するべく、こっそりと特車二課特製『ハゼの干物』を製造・密売する大規模なネットワークを作り上げたことが語られている。
その際に見せた行動力の高さと手腕の巧妙さ、コネの広さから、南雲しのぶをして「警察官になっていなければ、稀代の詐欺師になっていた」と評された。
元となったモチーフ、元ネタ
話し方、口調は担当声優の大林隆介に寄せて作られたらしい。
なお劇中で後藤は仲代が出演した作品で言ったセリフ「みんなで幸せになろうよ」あるいはそれに類する語を何回か言っているが、監督の押井守は機動警察パトレイバーの直前、『天使のたまご』の興行的な失敗に鑑みて「みんなでハッピーになる」をマニフェストに掲げている。
名前の元ネタは政治家の後藤田正晴(元官房長官)と宮沢喜一(元首相)から。
実際に、ova「二課の一番長い日」では松井刑事に電話をした際、お尋ね者状態だったことから『後藤田』と名乗っていた。
またカミソリのあだ名は「切れ者→切れ者と言えばカミソリ」からの着想が元になっている。
押井守の青春時代に取材した小説「獣たちの夜(BLOODの方のスピンオフ物)」において、「如何にも偽名ですと言わんばかりの」後藤田を名乗る刑事が登場する。
後藤は「銃は持たない 銃を持っている相手には逆らわない」という人物であるが、「獣たちの~」での後藤田は銃を撃っている。
安積班シリーズに登場したこともある。
実写映画「The Next Generation -パトレイバー-」
警備会社を設立したが放漫経営が祟って倒産し、現在は行方不明。
退職する際、しのぶと共に「発覚すると警視庁警備部がひっくり返る何か」を遺産として特車二課に隠していったと言われている。そのため、2013年の特車二課はレイバーシステムの衰退と共にその存在意義をほぼ喪って解隊寸前でありながらも、本庁は迂闊に手を出せない状態を辛うじて維持している。
関連イラスト
関連タグ
機動警察パトレイバー 後藤隊長 後藤さん 後藤 カミソリ後藤
アルトニー・カントロ - 後藤が容姿、性格のモデルであるキャラクター。
ゼブリーズ・フルシュワ - こちらも後藤隊長がモチーフのキャラであり、声も同じであったが流石になんだったのか変えられた。
近藤正己(恋は雨上がりのように) - 原作者・眉月じゅん氏は「後藤に似せたつもりはなかったのに、いつの間にか似てしまった」とコメントし、「パトレイバーのファンだった」ともコメントしていることから、これを知った「パトレイバー」の作者・ゆうきまさみ氏にも公認されることになった。