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帆場暎一

ほばえいいち

メディアミックス作品『機動警察パトレイバー』に登場するキャラクター。

人物編集

劇場版パトレイバー1に登場。篠原重工が社運をかけて制作したレイバー用OS『HOS』の開発者。

HOSにコンピュータウィルスを仕掛けた後、バビロンプロジェクトの要となるレイバー用海上プラットホーム「方舟」に派遣された彼は東京湾へ投身自殺する。作中まったくその素顔、犯行の動機を見せない(動機に関してはそれを探る者に対して、ヒントらしきものを意図的にいくつか残しており、劇中で推察されている)。


東京都出身。推定年齢30才、本籍不明、経歴不明、係累不明、身長約170センチ、病歴を含むその他の身体的特徴不明。(松井刑事の報告による。これは帆場が篠原重工の人事課の彼自身のデータを抹消した為。南雲しのぶ曰く「何なのこれ」)


学生時代アメリカのMITに留学しており、そこではイニシャルのE-HOBAをもじって、神の名称の1つであるエホヴァというあだ名で呼ばれていた。しかし、それが間違った呼び方(正しくはヤーウェもしくはヤハウェ)であると知ると狂喜したという。


役場に唯一残されていた転居データを手掛かりに、松井刑事らが調査した帆場の住居(HOS開発に携わったわずか2年の間に頻繁に転居を繰り返していた)は、高給取りのシステムエンジニアにはおよそ似つかわしくない再開発地区の場末にある老朽化したアパートや借家ばかり(調査前に取り壊された物件も多い)で、置き去られた空の鳥籠や、窓から同じ超高層ビルが拝めるといった共通点がある。

鳥籠の描写や、劇中で帆場が自らのIDタグを愛でていたカラスの肢に託していた点から見ても、彼が鳥類に強い愛着を持っていたことが窺える。そもそも帆場がHOSによって目論んだ大規模破壊計画は、超高層ビルを乱立させることで、本来なら鳥類の独壇場であるはずの空を汚した現代人に、旧約聖書に描かれるバベルの塔建造を企てた人類の傲りと同じものを見て、彼らの自業自得という皮肉を以て神に代わって天誅を下そうとした

(また、劇中では帆場の生家含む彼にとって思い出のあった土地も経年によって大多数の人間(政府等上級国民に限らず東京に住む一般市民を含める)にとっては無価値な物と断じられ、発展の名の元に消えていくことへの細やかな復讐もあった)のかもしれない……。


漫画版では城南工大から篠原重工に進み、HOSを送り出した。大学時代はグリフォンの開発に関わったメンバーも在籍していた古柳教室の異端児と呼ばれ、「ハードウェアの性能を最大限に引き出す」ソフトウェアの研究をしていた(グリフォン開発に関わったメンバーは、古柳研究所で研究されていた特殊なソフトウェアの能力を活かせるハードウェアの開発を目的としていた)。漫画版でのHOSは、彼の研究テーマの成果の一つとして描かれている。こちらの彼はソフトウェア部門の部長として存命で事件とは無関係であり、眼鏡をかけた全身像が描かれている。


余談編集

劇場版における「黒幕でありながら作品開始時点ですでに死んでおり、主人公達の前に実体として現れることは一切無い犯罪者」というキャラクター造形は当時アニメ作品においてはかなり斬新なものであった(文学としては、アルセーヌ・ルパンシリーズの『虎の牙』のような前例がある)。また、パトレイバーシリーズから影響を受けていることで有名な刑事ドラマ『踊る大捜査線』シリーズの中でも、スピンオフ作品『交渉人真下正義』では犯人像から「大都市で発生するパニックをシミュレーションする」というパトレイバーおなじみの作劇手法も含めて、非常に色濃くオマージュされている。更にゴジラシリーズより、シン・ゴジラに登場する牧悟郎も帆場と比較されることもある。

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