概要
通称「零式」。
急速に発達したレイバー技術により、相対的に性能の陳腐化が始まったイングラムの後継機種として篠原重工が製造した、純警察用試作レイバーである。次世代オペレーティングシステムである『HOS』の搭載を前提とした設計によって、各部動作の効率化が図られている。
実戦データを欲していた製造元によってイングラム以上の開発費が注ぎ込まれた結果、警察用レイバーとしては極めて過剰な性能を有している。最大の特徴はマニピュレータ自体を武器化している点で、イングラムが脚部のリボルバーカノンを取り出すために用いるアーム伸縮機能を転用し、更に強度の向上や指先の先鋭化といった改良を施す事で、空手の技である貫手を応用した本格的な格闘武器に仕上がっている。それに加えて、レイバーを楽々持ち上げるパワー、ペンデュラム・バックブリーカーよろしくレイバーを膝に叩きつけて粉砕出来る程の頑強さを併せ持つ。頭部は軍用パーツを改造したレーザースキャナー搭載の開閉式で、各種センサーも強化されている。
泉野明は、本機の外見を「悪役みたい」と冗談めかして発言していた。実際、肩や指先、腕部に備えた盾など、鋭角(攻撃的)な部分が目立つ。
(少なくとも実機は)劇場版世界線だけの存在。TV版ではピースメーカー登場前の篠原重工のラボに縮小模型が置いてある事だけが描かれ、漫画版では似て非なるAVR-0が登場するに留まる。
劇中の活躍
特車二課第一小隊への納入に先駆け、洋上プラットフォーム『方舟』で南雲しのぶによる最終調整が進められていた。が、自衛隊でHOS搭載の試作レイバーが無人のまま暴走する事件が起き、同時期に行っていた第一小隊の機種転換訓練は延期される。その後も結局、特車二課に納入される事はなかった。
事件の真相に行き着いた特車二課第二小隊によるプラットフォーム解体の折、大量の暴走レイバーに苦戦する太田功のイングラム2号機を援護するため、香貫花・クランシーが暴走のリスクを少しでも下げるためHOSをシステムから分離した状態で、篠原遊馬の反対を押し切って搭乗する。
だが、危惧していた通りHOS搭載を前提としていた零式も前述の最終試験でウイルスに汚染されていて案の定暴走し、2号機を撃破。直後に起きた倒壊に巻き込まれて左腕を損傷し、起動用ディスクを抜かれてもバックアップメモリ内のウィルスが修復したプログラムによって暴走し続けた。
最終決戦では、搭乗している香貫花に当たる恐れがあるために銃が使えないイングラム1号機をその格闘性能で追い詰めるが、野明の機転でワイヤーに絡め取られ、身動きが取れなくなった隙に背中のコンソールをショットガンで直接破壊される。頭脳を失った零式は朝焼けに照らされる中で、静かに停止するのだった。
その後、暴走事件を受けてニューヨークに先行配備されていた3機は日本で全面改修され、『クラッシュバスター』として正式にロールアウトされた。
立体物
バンダイから1/60スケールのプラスチック模型として販売。劇中で使用されたシールドが同梱されていて、センサーパーツにはクリアパーツが採用されている。通常状態⇔貫手状態へは、差し替えによる再現となっている。
コトブキヤのD-スタイルシリーズにラインナップ。通常状態⇔暴走状態へは頭部パーツの差し替えで再現され、腕部の通常状態⇔貫手状態も差し替えで再現される。 また電磁警棒とシールドが同梱される。
Good Smile Companyより、2023年2月14日よりMODEROID AV-X0零式の予約が開始された。シールド、貫手再現用パーツおよびフェイスオープン時頭部パーツが付属している。