概要
1961年、鹿児島県種子島出身のライター。『空想科学読本』の著者として知られる。
東京大学中退。既婚者で三児の父。
ギャグのセンスと話し言葉中心の文体は、ユーモアと読みやすさに重きを置いており、空想科学読本をベストセラーたらしめている。
なお各作品の執筆に際しては、あくまでも読み物としての面白さを重視しており、分析の過程に於いてもユーモアを優先した誇張や偏向が行われていることについては公言しており、作品に対して真剣に批判する意図はこれっぽっちもないので注意が必要である。
幼少期から科学に興味を持ち、一浪の後に東京大学に合格。科学者を志すも挫折し、在学中に行っていた塾講師のバイトに興味を持ち塾講師を始める。やがて私塾『天下無敵塾』を開校するも経営に行き詰まる。以前「怪獣VOW」というネタ本に寄稿した縁もあって宝島社から『空想科学読本』を出して経営の穴埋めにしようとするも、印税が渡る直前に倒産。
以降は学習塾講師と執筆業の二足のわらじをはくが、やがて専業作家となった。現在は空想科学研究所の主任研究員を務める。
怪獣VOW時代からの相方である編集者近藤隆史(絵師の近藤ゆたかとは血縁無し)は現在、空想科学研究所の所長であり、Youtubeでの空想科学チャンネルでおバカな科学漫才を繰り広げている。
いかにも空想科学読本のためのペンネームに見えるが、れっきとした本名である。というのも、父親が「これからは理科の時代だ」と考えて命名したらしい。
また、「柳田国男は親戚ですか?」という質問はやたら寄せられるらしい。文系と理系でちょうど対になっているような名前だが、別段関係はないとのこと。
秀逸な文章の一例
著作ではセンスのあるツッコミ、ユーモアを交えた指摘など読者を楽しませている。
- 「パイロットは生きた心地がしないどころか生きてはいまい。こんな人命軽視マシンにホイホイ乗ってしまうパイロットもパイロットだ」(空想科学読本1)
- 「特にタロウ! あんな巨大な角を生やしてマッハ20を出すなんて自殺行為だ。せめて五分刈りにせい!」(空想科学読本1)
- (超音速で衝撃波を起こしながら走るバリアス7で悪党を追いながら)「いつまでも逃げてると、罪もない人がバンバン死ぬぞー!!」(空想科学読本1)
- 「しかしスペシウム光線とはどうやって撃つんだろうか? 万が一、手をクロスさせたら自動的に発射される仕組みだったら、ジェスチャーで『NO』と伝えた瞬間大爆発するし、ウルトラの星でラジオ体操などしようものならそこら中光線が乱舞する。流石にそこまで単純では無かろう」(空想科学読本2)
- 「要するに固形燃料とは、命中しようが外れようが燃え尽きるまで絶対に止まらないわけで、こんなあしたのジョーみたいなやつをロケットパンチに使おうものなら大惨事だ」(空想科学読本2)
- 「もしレッドキングが会社の中間管理職にでもいたら大変だ。肩なんか叩かれようものなら、窓際どころかあの世に直行だ」(空想科学読本2)
- 「昔からゲッター3だのガンタンクだのと言った例外を除けば、ヒーローロボットはみんな人間型であった。そりゃそうだ、戦車そのもののマジンガーZや、軍艦に首を付けただけのゲッターロボを見て、誰が熱くなるもんか。」(空想非科学大全)
- 「ゴジラが放射能火炎で戦うのを見物どころか応援までしている女の子までいた。なんという無知無知ギャル。危ないのはオマエであって、死にそうなのもオマエのほうだ!」(空想非科学大全)
- 「あなたが路上でケンカを売られたとして、相手が分身の術を使ってきたら一目散に逃げた方がいい。数多の影が一つになった時、あなたは既に死んでいる。分身の術自体は欠陥だらけでも、それを実現する身体能力は並大抵ではないからである」(空想非科学大全)
- 「もしカプセル怪獣が質量保存の法則を順守していたら大変だ。どんな頑丈な制服だろうがケースがポケットを貫通するし、ウルトラ警備隊基地の床は抜け、ポインターはパンクし、ウルトラホークは飛び立てない。というか、そもそも何万tもあるカプセルを敵怪獣に直接ぶつければ即死であろう。」(空想非科学大全)
- 「『アボラスの弱点はスペシウム光線だ』…それはやられ方であって弱点ではないだろう。すると日本人の一万人に一人は交通事故に弱く、織田信長の弱点は本能寺の変なのだろうか?」(空想科学読本4)
- 「イデオンとガンダムの戦いなど、お釈迦様と孫悟空のようなものだ」(空想科学大戦3エピローグ)
- 「昔からニヒルなヒーローときたら、島村ジョーしかりキャプテンハーロックしかりどいつもこいつも長髪をたなびかせていたものだ。短髪を見ろ。左門豊作! みみずくの竜! 蔵王権太! ダサさを極めたような人たちばっかりじゃねえか!」(空想科学読本5)
- 「大悪獣ギロンは頭から手裏剣を出すが、なんとそれは脳が変形したものだという! 脳を千切って投げてまで守らねばならんものとは何だ!? 頭がドンドン悪くなるぞ!!」(空想科学読本5)
- 「このマシンで馬力(瞬発力)を上げるには走り続けるのではなくベルトコンベアから脱出するトレーニングにしなければならん。つまり一瞬でも遅れたらベルトに運ばれて丸鋸でギャ~ン! だがこのベルト、ローラーの隙間が靴一個分ほどある。もし踏み込みすぎて隙間に足がハマったらそのまま運ばれてまたしてもギャ~ン! 更に横幅も広く、ガニマタで走るしかないが加速に失敗したらやっぱりギャ~ン! うーむ、このマシンではレスラーが鍛えられる前にジャンジャン死んでしまう。」(空想科学漫画読本2)
- 「しかしウォーターカッター並みの威力だとすると木に穴が開くのに32分かかる。いくら何でもライオン丸が『これはスゴイ』などと32分間も木に穴が開くのをシゲシゲと見つめているわけがあるまい。だとすれば、一瞬で木を貫通したと考えるべきだ」(空想科学漫画読本3)
- 「崖に衝突した時、魔物のザバスはともかく使い手のガリオントは死んだな、こりゃ。(中略)いや、接触した段階でガリオントは死んでたかも。(中略)感電するしない以前に、吹き飛ばされた時点で、ザバスも死んでたりして。」(空想科学漫画読本4)
- 「だいたい、かぐや姫が提示した者の中で、蓬莱の玉の枝以外にかぐや姫が実態を把握している物があったのか。火鼠の皮衣ってピカチュウの皮を剥いで来いというようなもんじゃねえか。竜の首の玉に至ってはウルトラの父の角をへし折れというようなものだ。出来ないなら出来ないと言ってほしい! 筆者はこういう試すような言い方が大嫌いなのだ」(空想科学日本昔話読本)
- 「無礼な婚約者は甘露寺さんに『君と釣り合うのは熊か猪か牛くらいだ』と暴言を吐いた。なんと酷いことを言うのだろう! 熊や猪や牛なんて、蜜璃の身体能力の比較にすらならないのに。」(ジュニア空想科学読本17)
- 「ダイアーさんの稲妻十字空裂刃はすごい技だ。わざわざ股間を大開脚しながらとびかかるのだ。普通、そんな体制で飛んだら相手の頭で股間を強打してしまうだろう! しかし、脚を突き出しているのだから先に命中するのは靴。つまり、キックを防ごうとしたら、そのまま相手の顔面に股間が直撃。これは敵に対する精神的ダメージがスゴかろう。なんという発想力であろうか。」(ジュニア空想科学読本21)
- 「こんなすさまじく強い王騎将軍だが、残念なことに序盤で戦死してしまう。なんで!? オレの推しを殺さないで!とか言いたくなるが、史実だからそれは受け入れるほかあるまい」(ジュニア空想科学読本23)
また、勝手にキャラクターのセリフを妄想したりすることもある。
- 「どうしてこうウルトラ戦士は超年寄りか超若手しかいなくて、中間がスッポリ抜け落ちているのか。もしや『地球が狙われてる? ガキどもでも送っておけば良いっしょ? ガキどもじゃ対処できない問題が起きた? 年寄りでも派遣しとけ!』とでも思っているのか!?」(空想科学読本2)※刊行当時はまだウルトラマン80が最若手だった時代である点に注意
- 「たとえ伴が『うおお、星よ~なぜこの感動をオレと分かち合おうとせん! うおおん、おんおん!』と泣いて縋り付いてきても、全力で逃げねばならん」(空想科学読本2)
- 「ハム太郎の世界では1と6と8しか数字が無いが、これではハム太郎がリボンちゃんとデートに行ったときどうするのだ。あ、『ボクとリボンちゃんに1皿づつ欲しいのだ』って言えばいいか」(空想科学読本5)
- 「いっそ足に三本目を巻くというのもありかもしれない。両足に巻けば四刀流だ。この場合、フェイント技はゾロならば『腿の空揚(もものからあげ)!』とか名付けるだろう」(空想科学読本6)
- 「爺さんが笠を売りに行って戻ってくるのならば、雪を被ったお地蔵様を見ても『こいつぁちょうどいいや!』とばかりに載せていくわけで、それは親切とは言い難い。笠があくまで交換したものだからこそ笠地蔵の話には深みが増すのだ」(空想科学日本昔話読本)
- 「クリスマスを『どんちゃん騒ぎ』と理解しているだけでも飛雄馬の成長が見受けられる。以前の彼だったら『キリストって方の誕生日ですよね? 今年でいくつになられたんです?』とか言ってたに違いないぞ」(空想科学読本9)
- 「いかん、このまま書いてると『わ~ん柳田が酷いこと書いた~』などとアクアファンに叱責されてしまう。別の方法を考えねば」(ジュニア空想科学読本16)
- 「優しい甘露寺さんなら、筆者ですら『原稿が遅くて素敵!』とか言ってくれるに違いない」(ジュニア空想科学読本17)
間違いの一例
上記の様な秀逸な文章も多い一方で、空想科学と謳いながら実際には、科学を追求する姿勢から遠いと思われるミスが散見される。
これらは作品のツッコミありきといった先入観から十分な考察がなされなかった結果と思われる(これは著者に限らず、ミスを指摘する側は自分自身のミスに脇が甘くなりがちである)。
- 計算ミス
- ガンダムに登場する「コロニー落とし」は大気の摩擦熱でコロニーがすべて蒸発すると考察しているが、摩擦熱の計算をミスしている。など
- 科学的な知識の不足
- スペースコロニーの太陽光を取り入れるガラス窓をコロニーの外壁と同じ厚みで製造することは困難と主張している。実際には宇宙船は複数のガラスの層を重ねる方式をとっており、構造上安全性のあるガラス窓は現代の技術でも実現可能である。
- 作品への無理解、見落とし
- 『マジンガーZ』の光子力エネルギーを太陽エネルギーとして考察する。(なお、注釈では本来の設定にも触れ意図的なものと説明されているものの、元々太陽光では不可能だからこそこのような架空設定が使われるのであり、考察自体より作品へのフォローの仕方を疑問視する声もある)。
- 『サンダーバード』の基地はチリ沖という設定があるにもかかわらず島の形だけで日本近海と決めつける。
- 映画『2001年宇宙の旅』の宇宙ステーションの回転速度はキューブリック監督が意図的に変えたのに「回転速度を間違えている」と突っ込む。など
- 『ドラえもん』のタケコプターを風圧が頭頂部に直撃し飛行不可能と主張する。公式設定では以前よりタケコプターは反重力駆動による浮遊装置と説明されており、これはネットやドラえもん百科事典で公開されている情報である。(要するに柳田氏が指摘する前からこのような考察に対するフォローがなされており、彼がそれを知らなかったという事である。)
- 研究不足
- 『ガラスの仮面』や巨大ロボットの考察において「人間が走ると頭部は20cm上下する」と記述しているが実際はそんなに上下しない。など
頻出する文章の例
- 「ヒジョーに」/「モーレツに」
- 「ゲッ! これはマズい!」
- 「どっしぇ~っ!」/「わひゃ~っ」
- 「なんたる△△!」/「なんという△△であろうか!」
- 「もし△△していたら大変だ」
- 「△△な●●は、既に●●ではない、という読者も多かろう」
- 「地球の引力を振り切って、●●はお星さまになったのよ…」
- 「アキレ果てんばかりの」
- 「言語道断である。」
- 「豆腐の上に鉄球を置くかの如く沈んでいくであろう」
- 「大したことないとか思った読者諸兄は、もう既に感覚が●●化している。」
- 「カール・ルイスの~」:速さの単位。
- 「ジャイアント馬場の~」:大きさ並びに強さの単位。
- 「人間の想像力は素晴らしい」:うまい具合に結論が出なかった場合のシメの言葉として多用される。
趣向
- 酒好き。「ニホンザルのもとにサワガニと栗が仕返しに来るなんて、筆者のもとに酒と刺身が復讐しにくるようなものだ」「晩酌の無い人生など人生ではない」などの文章からも伝わってくることだろう。学生時代は安酒を飲んで公園で猛烈に運動をし、酒の回りをよくしていたらしい。死ぬぞ。挙句の果てに幼少期に酒を誤飲して死にかけたりも。
- 煙草も日に40本吸うと豪語するヘビースモーカー。
- そのくせ持病は全くと言っていいほど無い謎の健康体。
- 大の格闘技ファン。プロレスの超オタクであり、大相撲も好き。
- 梶原一騎作品と松本零士作品には少年時代からの熱狂的なファン。ちなみに『銀河鉄道999』を中学時代に読んでいたら下宿先の叔母から取り上げられたが翌日には「これは聖書だわ」と返却され続きを買ってくるように言われたらしい。
- 高校時代は水泳部で某漫画にあこがれ空手を習っていたが、パワー系以外のスポーツはてんでダメで、「足が遅くても文明社会ではそんなに気に病まなくていい」と開き直る始末。
- ご飯と麺類は好きだが、パンは苦手。甘いものも予備知識なしで食べると驚いてしまうとのこと。
- ひいきの球団は西武ライオンズ。九州出身だというのもある(前進の西鉄ライオンズは福岡が本拠地)らしい。
- 新幹線が大好き。
- 本人も断言しているくらい「行間を読む」「心情を理解する」ことが壊滅的に下手で、初代所長の木原浩勝からは「モテるわけがない!」、秘書から「柳田先生はなぜそこまで女心が分からないのか不思議でたまりません」と言われている。
- このような有様の為、編集部から「小説を書いてみませんか」と言われたところ、丁重に断っている。その後、紆余曲折あって出された小説『空想科学少女リカ』ではあくまで監修・科学考証のみを担当した。
- 理系の癖にくだらないダジャレ、下ネタ、なぞなぞ等が大好きで、「宇宙ナゾナゾ連合会」略して「ウナレン」の会長を務めている他、うんこ漢字ドリルとコラボも果たした。
- ウルトラシリーズが好きすぎるあまり、「質問されると困ります。語りすぎて本が出版できなくなる」と言っている。ウルトラセブンの大ファン(勿論ダンアン派)であり、ウルトラマンゼロの存在を知った時は愕然としたらしい。柳田氏のウルトラシリーズの知識の多くは旧作品時の資料のものであるため、現在は使われていないとされる設定も多いが、だからこその良い文章になるものも。
- 昭和世代なせいか仮面ライダー龍騎のライダーバトル等の設定は釈然としなかったという。逆に、「大人の色気があった」仮面ライダー響鬼、「オルフェノクの哀愁が素晴らしい」仮面ライダー555は高く評価している。
- ガンダムには疎いが、マジンガーZは直撃世代であり、神のごとく崇拝している。これをネタにした「柳田理科雄のスーパーロボット最強決定大戦!」のネタっぷりは語り草
- 北斗神拳とケンシロウに対しても妙に好意的。前者に関しては科学では説明のつかない存在と認めてしまった挙句、極めて分かり易くていつもの作風とも正反対なベクトルの科学考察を北斗の拳の公式ファンブック『北斗の拳2000』に寄稿している。
- ゲームが大の苦手であり、あまりゲームネタを扱わないのはすぐにゲームオーバーになるかららしい。「怪獣図鑑に筆者が掲載されたら『弱点はゲームが下手なことだ』と記されるであろう」と自虐する程、腕前は散々なモノらしい。
- イカ娘を心底愛している。
- ドメル、花山薫、不二周助、土方十四郎、緑間真太郎のようなクールな大人っぽいキャラ、岩鬼正美や黒神めだか、ナツ・ドラグニルやポートガス・D・エースといった豪放磊落なキャラが好みらしい。学生時代には三国志の張飛のファンだった。
- 逆に嫌いなキャラは『キャンディ・キャンディ』のイライザ、『フランダースの犬』のハンス、『ONEPIECE』のエネルなど、まあ納得のいくチョイスになっている。この人にウルトラマンメビウスのデスレム編を見せてみたいものだ。
- 「大人気の『ポプテピピック』が、筆者には全然わかりません!」といいつつ結構用語の使いどころはうまい。さてはファンだな。なお、「ポプ子vs竹書房」では破壊に必要なエネルギーだけ求め、ポプ子が巨大化した件等については完全スルー。