概要
空想科学読本でおなじみの柳田理科雄が原作のSF漫画。作画は筆吉純一郎。全5巻。
今まで特撮やアニメでなんの問題もなくホイホイ描かれてきた行為を、科学に忠実に行ったらどうなるかを検証するのが主なストーリーであり、空想科学読本そのままのギャグが縦横無尽に描かれている。しかし、あまりに科学検証にこだわっていては話の大半が科学講座になってしまうため、「一度触れた問題に関しては何らかの方法でクリアしたものとする」という聖闘士星矢方式の強引な弁証法が行われ、物語は進んでいく。
原作は柳田氏の文壇デビュー作でもある(あくまでコラムだが)宝島社の『怪獣VOW』のおまけ漫画、「タカラジマン」シリーズ。モドキングとパッチーのモデルになった宇宙犬人コリーと部下のパーも本作で登場するが、こちらは少々下ネタが多かったり、「あら死んでるわ 『ゴキブリフマキラー男』」などと言ったブラックなネタもあったりする。
あらすじ
200X年、突如日本上空にUFOが現れた。UFOの船長である、「宇宙帝王」を自称するモドキングは怪獣ジラゴを送り込み、地球を征服しようとする。それを止めるために300年前から地球に潜伏していた光の巨人・ソフィーは超音速で東京まで駆けつける…。しかし音速の壁の前にソフィーの首は吹き飛び、その後を追うかのようにジラゴも自重に耐えきれず圧死する!
そう、この世界は科学の法則に逆らえない世界。モドキングは様々な方法で侵略の魔の手を伸ばすが、それを阻止すべく地球人たちも立ち上がった。
主な構成
第1巻
ウルトラマンなどをテーマに、巨大生物の非現実性、怪獣退治の正しい方法などを研究。
第2巻
地球侵略のための方法を柳田が立案! 正義の改造人間の活躍を検証する。
第3巻
巨大ロボット同士の戦闘はこんなに大変! 柳田式巨大ロボットの実用性の考察。
第4巻
自然の猛威を食い止めろ。人類の逆らえぬ巨大な敵、自然災害とその防止についての考察。
第5巻
物語は宇宙へ! 現在の科学は、SFスペースオペラにどこまで近づいたのか?
主な登場人物
正義陣営
- 猫柳田愛吉:SAMONに務める老科学者。専門は「ウニの刺の分布について」だが、生化学から宇宙工学まで何でもこなす万学者。科学の壁についてこだわり抜くマッドサイエンティスト…だが、徐々に突っ込み役などとしての側面も目立つようになる。
- 番外編『Dr.猫柳田の科学的青春』では主人公を務めた。若い時分から科学バカだったようである。
- ウーターマン/ヒカガク・アソブ:地球を守るためにやってきた巨大宇宙人だが、地球に潜伏するために地球人に変身したせいで質量保存の法則の前にてんてこまい。
- なおソフィー先輩は質量問題を理解していて、巨大なまま洞窟(?)に隠れて住んでいた。…食事は?
- SAMON:Science Attack Members Of Nipponの略。日本の平和を守るべく尽力する防衛組織だが、隊長のアサハカ・ボケツを筆頭にバカの集まりで、見た目重視な発進シーンを考えては自滅する。
- 仮名ライダー/リフジン・トオル:モドキングのテロを止めようとして逆に被害をでかくしてしまったため、仮面で顔を隠した正義の改造人間。ちなみに改造したのはズキンちゃん。
- サラワレ・ヒメイ:リフジンのガールフレンド。SAMONを辞めた猫柳田のスナック兼研究所で助手を務める。猫柳田と同様、豊富な科学知識を有しており、猫柳田不在時は彼女が3馬鹿ヒーローに対して的確な指示を出していたが、最終巻には登場しなかった。
- ネッケツ・モユル:シズカのアッシー君で超人的なドライビングテクニックを持つ少年。猫柳田と父・ネッケツ博士の作った巨大ロボ「カガクゴー」を操縦出来るのは彼のみである。
- ミヤビ・シズカ:モユルの勤める万能科学研究所所長の一人娘。令嬢だが喧嘩っ早い性格。浪漫重視の非科学的な機能をカガクゴーに搭載させては、猫柳田博士にツッコまれている。ただし本人はカガクゴーに乗っていない(乗りたがってはいるが)ので、被害にあうのはモユルだけ。
モドキング一味
- モドキング:犬にそっくりな宇宙人で「宇宙帝王」を自称する大バカ。特撮やアニメの悪の組織的な作戦を実行しては、科学と言う現実の前に敗北する。
- パッチー:モドキングの腹心でゴリラにそっくりな宇宙人。モドキングが作戦失敗の腹いせににボコボコにし続けたせいでドMになってしまった。
- ズキン:モドキングが宇宙船の掃除の為に雇ったお手伝いさん。この3人の中では一番マトモな科学知識を有するが、あくまでも掃除の為に雇われただけだからか侵略を手伝う気は無いツッコミ担当。さらに惚れっぽい性格で、地球側のヒーローに惚れては事件をややこしくする。
- ワルサー:最終巻にてずうずうしくもズキンに惚れて彼女を娶ろうとしたスケベな宇宙人。宇宙総帥を名乗り、モドキングとパッチーを配下に置いた。
怪獣軍団
- ジラゴ:召喚された瞬間、自重に耐えきれず死んだため詳細不明。
- ピラミッドン:強力な足腰を持つ恐竜のような怪獣。しかし体が重すぎて恐ろしく鈍足なため大して被害は出なかった。緊縛フェチらしく、縛り上げられたズキンを見て興奮し加速していった。
- ラメガ:発泡スチロールよりも軽い身体を持つ亀怪獣。石油を飲んで歯をカチカチと鳴らし、強力な火炎を吹く。
- スモラ:巨大な蛾の怪獣。こいつだけまとも。
- ウナギング:デンキウナギとトカゲの合体怪獣。ウーターマンを倒すほどの強力な電流攻撃を放つ。
改造兵士
- エリート脳味噌男/ホリノ・タツロー:リフジンの旧友。モドキングに掴まって改造手術を受け、ブレインに納まった。野心家。
- ギャラクティカ男:象すらも倒す超音速パンチを放つ改造人間。しかし定期的に人間を殴っていないとストレスで死んでしまう豆腐メンタル男。
- ビューティフル女:ある意味一番有名な改造兵士。配下の美女サイボーグ軍団と共に、その美貌でエリート達のプライドを粉砕して拉致しようと企む。
- ガッデーム男:ヒメイちゃんの先輩を攫って改造した怪人。マッハ1の超スピードで社会に混乱を巻き起こす。
- 鉄腕エース男/金星飛雄馬:脳味噌男が直々に攫ってきたプロ野球選手を改造した怪人。マッハ20の超剛速球が武器。猛烈に暑苦しい性格でズキンに惚れている。
- メートル女:ワルサーに依頼されてモドキング一味が急遽こしらえた新型改造人間。酒を飲んで火を噴く。
- 「メートルが上がる」という昭和の言い回しをキミは知っているか?
トラディショナル重工
- アヤノコウジ・ミツル:日本最大の重工業会社『トラディショナル重工』の社長。重役共々モドキングに洗脳されて巨大ロボを作らされる。妻に先立たれたせいか、ものすごい親バカ。巨大ロボのデザインにスミレの顔を反映させるため、事件が起こる度にスミレの顔が青くなる。
- アヤノコウジ・スミレ:ミツルの愛娘でシズカのライバル。シズカをものすんごく見下しているイヤなお嬢様だが、シズカよりは常識がある。