プロフィール
本名:松本晟(まつもと あきら)
1938年1月25日、福岡県久留米市に誕生。生年月日は石ノ森章太郎と同じである。
妻は漫画家の牧美也子。
「スペースファンタジー」の巨人。宇宙空間を「未知の空間」から「壮大なドラマの舞台」へと昇華させた。
多くの作品がアニメ化されたが、松本自身もアニメ制作に深く関与し、商業的な成功を収めてアニメ市場の育成に大きく貢献したため、日本のサブカルチャーにおいて功績が大である。
後続のクリエーターたちに絶大な影響を与え、日本の漫画・アニメ文化に対する貢献から、紫綬褒章、旭日小綬章を得ている。没日付で正六位に叙された。
近年は、漫画家団体の要職を務め、業界の発展にも寄与した他、宇宙戦艦ヤマトの著作権関係や槇原敬之の歌詞絡みなど、アニメーションや漫画におけるクリエーターの著作権保護について積極的な言動を行って、時には訴訟にもなって世間を騒がせたが、サブカル界の著作権意識向上にも繋がり、結果的には後輩たちの権利強化に貢献した。
その後、槇原とは和解し、槇原のファンクラブのクリスマスカードのイラストを松本が描いた。
表現規制問題について赤松健らと共に積極的に活動し、児ポ法改正反対運動では政治家にロビー活動活動を行い、マンガやアニメなどの創作物を規制の対象外とする事に貢献した。
アシスタント出身の漫画家に新谷かおるがいる。松本の作品に新谷が、そして新谷の作品にも師匠の松本がそれぞれ登場しており、『キャプテンハーロック』の登場人物ヤッタラン副長は新谷がモチーフ。
トレードマークは45年以上にもわたって被り続けた赤いドクロのマークが入った帽子(通称:零士キャップ)。
当初は執筆するときに髪が邪魔になるからと市販のベレー帽や野球帽を被っていたが、それを見かねたアシスタントの女性が手縫いで帽子を作って松本にプレゼントしたもの。その後も古くなるたびにそのアシスタントが新調してくれていた。
素材はニットでドクロマークも手縫いで縫い付けられたもの。最初は白い糸で縫い付けられていたが、松本が「俺は生きているから血の通った赤に」とペンで赤く塗ったので、その後新調されるときは赤い糸で縫い付けられるようになった。
また、取材に答えて「ドクロは生きる証、そしてペンを持って戦う戦士の象徴」と言っており、生きている間ずっと被り続けた。
なおちばてつやと一緒にトークショーに呼ばれた際、互いの帽子を交換して登壇するし観客席を沸かせたというエピソードもある。
趣味は漫画単行本の古書を収集することで、古本屋などに足を運んで地道に集めたコレクションは数万冊に及んだ。
中には著者も持っていない貴重な古書もあり、藤子不二雄の連名による唯一の書下ろし単行本『UTOPIA 最後の世界大戦』は松本所有の原本を元にして完全復刻版が出版された。
経歴
誕生
敗戦の年となった1945年は日本上空に多くのアメリカ軍航空機が襲来していたが、松本は敵味方機問わず航空機に憧れた。グラマンF6F「ヘルキャット」に機銃掃射され命の危険にさらされたこともあったが、その後も来襲するアメリカ軍機を眺めていた。
松本の父・松本強は叩き上げで陸軍少佐にまで登った軍人で陸軍航空隊のテストパイロットも務めたが、戦後は「敵国の兵器に乗るつもりなどない」と自衛隊(当時は警察予備隊)への勧誘を蹴って貧乏暮らしだった。松本は父の誇り高い姿に感化され、漫画家となってからは父の性格をモデルにしたキャラクターを幾人も世に送っている。
母は教師で、よく自分の宿題を細かく添削してくれた。頑固一徹の父に苦労しつつ、それに耐えて家族を支える姿を間近で見ていた。
駆け出し漫画家時代
幼いころから海野十三をはじめとしたSF作品に親しみ、小学校の学級文庫にあった手塚治虫の作品群に触れ、高井研一郎らと同人サークル「九州漫画研究会」(石森章太郎主宰の「東日本漫画研究会」の九州支部)を結成し、同人誌「九州漫画展」を主宰する。
1954年、高校一年の時に「漫画少年」(学童社)に投稿した『蜜蜂の冒険』が掲載されてデビューを飾り、その後に『毎日小学生新聞』から正式な掲載依頼があり、商業漫画家としてのデビュー作となる『三ツ太郎都へ行く』という作品を執筆している。当初の作品は昆虫ものが多かった。
その後も『毎日小学生新聞』に多くの漫画が掲載され、手塚からも知られる存在となり、手塚が福岡に逃亡した時は高井研一郎と共にアシスタントを務めた。
1957年、少女漫画誌『少女』(光文社)での連載が決定して上京。
手塚は上京したばかりの松本に目をかけて、自宅に泊めたりと何かと世話をやき、『鉄腕アトム』の連載で臨時アシスタントを頼んだこともあった。手塚は多数のレジェンド漫画家とこのようなエピソードを持っている。
ペンネーム「松本あきら」として少女漫画誌で活動し、本郷(文京区)の「山越館」に下宿した。
ちばてつや、高橋真琴、牧美也子らとは本郷にあった講談社御用達の缶詰用旅館「太陽館」で始終顔を合わせており、同人誌を作るなど親しく交流した。
『トキワ荘』グループとは直接関係がなかったが、入居者とは交流があり、特に手塚や石ノ森とは親しかった。
石ノ森から「手塚先生が(締切に間に合わず)原稿を落としそうだから手伝ってくれ」という連絡があったが、松本も自分の連載で手が離せず、散々悩んだうえで石ノ森に断りと入れた時に目が覚めて(夢オチ)、ホッとしたということもあった。
ちばてつやとは、半同棲生活の時代から70年近くの付き合いとなる親友で、松本の猿股(腰から股のあたりを覆う男子用下着)に生えた謎のキノコ(のちにヒトヨタケと判明)を炒め、ちばに食べさせたというエピソードも残っている。
松本も手塚からイタズラでチョコレート入りうどんを食わされたことがあったが、手塚を敬愛していた松本はそれをイタズラとは思わず喜んで食べた。
1961年、「太陽館」グループの牧美也子と結婚。
当時の牧は少女漫画家のトップグループに君臨し、様々な実績も挙げていたが(タカラトミー(旧タカラ)の着せ替え人形『リカちゃん』のデザインも担当している)、松本はヒット作に恵まれず牧に養われていた。
しかし夫婦仲はよく、編集者(のちの少年画報社社長)がいつもあてつけられているほどであった。
1968年に『漫画ゴラク dokuhon』(日本文芸社)で『セクサロイド』(ペンネーム:松本零士)を連載し、青年誌に進出。現在の作風が確立された。
1971年、『男おいどん』がヒットし、講談社出版文化賞を受賞。実写映画化の企画が進んでいたが、主人公の大山昇太役がイケメンの郷ひろみに内定し、松本は「イメージが違いすぎる」と直前になって断りを入れ企画がボツになった。
アニメとの関り
アニメに興味を持っていた手塚や石森と「本格的なアニメを作りたい」と夢を語り合い、舶来のレアなAV機器を共同購入して共有したこともあった。しかし、警察から何か怪しい闇商売に関与していると疑われ、3人とも自宅を家宅捜索された。
やがて手塚が虫プロを立ち上げ、本格的なアニメ制作にとりかかっていく。
ある晩、アニメ『鉄腕アトム』を制作中の手塚から「映写機が壊れたから編集ができん助けてくれ」という連絡があった。車に映写機(共有していた機材かは不明)を積んで駆け付け、編集が間に合って試写会を開催できた。
1974年、西崎義展が倒産した虫プロのアニメーターらを使って企画したテレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト』に、松本の『セクサロイド』を評価していた西崎から声が掛かった。当初はメカニックデザイン担当だったが、かねてからアニメ制作に強い意欲があったことから、全面的に監修する立場となる。
西崎以外の虫プロ勢が途中で脱落していくなか、世界観構築やメカニック、キャラクターデザインなどを手掛け、絵コンテも描くなど松本がこの作品に果たした役割は大きかったが、あくまでも原案は西崎である。
1997年に西崎が逮捕され、東北新社が新作を作るため暫定的に松本に原作権を持ってくれるよう頼み、松本もこれを請けたが、次第に自分が本当の原作者と主張するようになった。
1999年、獄中の西崎を相手取って訴訟を起こし「自分こそが生みの親だ」と主張。西崎も松本を逆提訴した。裁判は、「著作者」、「著作者人格権者」は西崎、「総設定・美術・デザイン」などは松本として法廷外で和解している。
よく勘違いされるが、松本の描いた漫画版は原作ではなくコミカライズである。
『宇宙戦艦ヤマト』は裏番組(『アルプスの少女ハイジ』など)が強力だったため低視聴率で途中打ち切りとなったが、再放送で人気が高まった結果、数年後に映画化されて社会現象となり、『さらば宇宙戦艦ヤマト』などの続編も制作され、宇宙戦艦ヤマトシリーズとして続いていくこととなる。
『宇宙戦艦ヤマト』のヒットによってそれまでの『テレビまんが』が『アニメ』として社会に定着し、月刊OUTやアニメージュといったアニメ専門誌が出版された。
『宇宙戦艦ヤマト』の人気に目を付けた東映動画から松本にアニメのイメージクリエーターとして声がかかり、『惑星ロボダンガードA』や『SF西遊記スタージンガー』の制作に関わってアニメ業界での存在感を高めた。
その後、自らアニメ化を想定して原案をあたためてきた『銀河鉄道999』や『キャプテンハーロック』などのスペースオペラ作品のアニメも大ヒットとなった。
特に『銀河鉄道999』が残したアニメ界における貢献は絶大であり岡田斗司夫によれば、それまで日陰的な扱いで上映する映画館が少なかったアニメ映画を、商業的成功によって実写映画と同じ位置まで引き上げたのは『銀河鉄道999』の劇場版であったという。
それは『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』でもなし得なかったことであり、今日アニメ映画が多くの映画館で上映され、隆盛を迎えるようになったのは劇場版『銀河鉄道999』の功績であった。
『機動戦士ガンダム』は『宇宙戦艦ヤマト』にも関わった富野由悠季が、打倒『宇宙戦艦ヤマト』を目指して制作したと語っており、多くの共通点も見られる。
1980年、フジサンケイグループとのコラボで『新竹取物語1000年女王』のメディアミックスを展開。新聞紙面での漫画連載、フジテレビでのテレビアニメ放映、ニッポン放送でのラジオドラマ、それに完全新作で劇場版も制作したが、松本零士ブームにも陰りが見えており、商業的に成功とは言い難かった。
テレビアニメ『クイーン・エメラルダス』が企画化されたが頓挫し、以後、松本作品がアニメ化されることは無くなった。
伝説的漫画家として
1980年代からは自身の作品群の総括に入るなど、舞台袖でのまとめに取り掛かっていく。漫画や宇宙開発に関連する団体に積極的に加盟して役職を務めた。
宇宙関連団体に関与した理由については「子供たちに宇宙に関心を持ってもらいたい」と述べている。松本の作品に触れて宇宙に興味を抱いたという関係者も多い。
『郡山市ふれあい科学館』の館長として直接JAXAと交渉して現物のロケットの展示を成功させた。
1990年代になると、松本作品で育った世代のアニメーション監督が増え、再び作品がアニメ化されるようになった。
また、過去の作品がゲーム化され、若い世代にも知名度が広がった。
2000年以降は第一線を退いて、宝塚造形芸術大学の客員教授となったり、夫婦で作品展を開くなどの活動が主となった。
同世代の漫画家が次々と亡くなって業界の重鎮となった松本は、日本漫画家協会の常務理事を務めるなど、業界の取りまとめや後輩の育成にも尽力し、業界の危機となった児ポ法改正反対運動では先頭に立って政治と交渉した。
運動の中心だった赤松健によれば、政党の党首であろうが大臣であろうが、松本やそのとき協会理事長であったちばてつやの名前を出せば面談を断る政治家はおらず、交渉の場でもレジェンド2人の前では終始ニコニコしており、松本が熱弁する「日本漫画のすばらしさ」に対して反論することもなく、自然と「漫画を守ろう」という流れになったと言い、圧倒的な存在感を示した。
松本の作品は全世界で愛読され、2012年にはフランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章した。
2019年、イベント出席のため訪れたトリノ(イタリア)で体調を崩して倒れ病院に搬送されたが大事に至らず、数日後に日本に帰国している。
ちなみに松本氏は過去にワールドメイトの教祖深見東州の前世鑑定の依頼を受けたエピソードがあり、それらの事で気になる詳細はたちばな出版スーパー開運シリーズ強運をご覧になると良いだろう。
2023年2月13日に急性心不全で逝去。満85歳没。
ちばてつや、新谷かおる、貞本義行、柴田亜美、江口寿史などの多数の同業者、銀河鉄道999シリーズでおなじみの野沢雅子や池田昌子ら声優やファン、日本政府、政財界、鉄道各社、フランス大使館、JAXAなどから追悼のことばが送られた。
作風
少女漫画、戦記、ダメ男の日常、SFその他、多くのジャンルを手掛けて、その広い作品範囲は『4畳半から宇宙ロマンまで』と言われたが、最も印象深いのがスペースオペラものであろう。これは松本が宇宙へのあこがれが強いロマンチストであり、強い拘りと豊かな想像力を駆使し執筆していたためである。
ロマンチストでありながらも、描写については徹底したリアリストでもあり「実在する兵器については、写真や設計図等を基に忠実に描く」ことをモットーとしている。
メカニック描写に対する拘りは尋常ではなく、その細かく精緻な書き込みは読者を圧倒する。宇宙船内などに所せましと書き込まれたメーターは通称『松本メーター』と呼ばれた。
メカの描写に拘った理由については「飛行機や戦車は小道具や大道具ではない。ひとつのキャラクターで、主人公と運命をともにする友達なんだ」と新谷かおるに語った。
戦艦大和が坊ノ岬沖で発見された際、船体が前後に断裂して転覆していたのが分かり、残骸に隠れて建造という『宇宙戦艦ヤマト』のエピソードはあり得ないと知り、泣いて悔しがった。
また、厚木基地を訪れた際には、当時の自衛隊の基地司令官から、終戦時に旧日本軍の航空機が大量に地下に埋められたと聞いて、すぐにでもその『宝』を掘り出したいとも述べ、実際すぐにでも掘り出しに行きそうな勢いだったが、アメリカ軍が駐屯しているので無理であった。
また、多くの漢のロマンの追求というべき作品を上梓している。
これは松本自身の口癖でもあり、常に「男は~」とか「男のロマンは~」と口走っていた。ある日、新谷かおるが「先生がいつも言ってる男のロマンってなんですか?」と聞いたところ松本は「首まで泥水につかっていても、星を見上げようとすることだ」と答え、新谷は「自分の師匠はこの人しかいない」と感動した。
このように松本の作品のせりふ回しは詩的で印象的なものが多い。
アイデアが豊富な一方、物語の風呂敷を畳むのは下手で、長編は尻すぼみになりがちだった。
後年、自分の作品群を関連させて『松本作品サーガ』を構築しようとしていたが、後付け設定で無理があったり矛盾するものも多かった(雪野弥生=プロメシューム、雨森始=メーテルの親父ドクター・バン等)。
その失敗例の一つに代表作である銀河鉄道999がある。
「アンドロメダ編」は一惑星ごとに完結なのが功を奏し、アニメがテレビ、劇場版とも見事なエンディングを迎えたこともあって、珍しく美しく終わる事が出来た。
しかし、続編「エターナル編」の連載を開始。
映画化もされたが連載中断となり、その後も『幻想新幹線0』、『無限創造軌道 80th ANNIVERSARY クロニクル』など世界が広がる一方で、松本の死により全て未完に終わった。
松本作品はアニメのコミカライズが尻つぼみに終わる事が多く、『宇宙戦艦ヤマト』の漫画は途中をバッサリとカットしたダイジェスト版となり、続編の『さらば宇宙戦艦ヤマト』は打ち切りにより未完となっている。
アニメ『惑星ロボダンガードA』にイメージクリエーターとして関与したが、松本は巨大ロボットものが好きではなく、漫画版では主人公メカのダンガードAがなかなか登場せず、最後の1コマでようやく登場、しかしただつっ立っているだけであった。
クラシック音楽の愛好家で、特にリヒャルト・ワーグナーの作品群には強い影響を受けたと語る。
松本の作品には、長い髪の毛、スレンダーで、切れ長の瞳が特徴的な美女、いわゆる『松本美女』が登場する。
特に『銀河鉄道999』に登場するメーテルは、声優の池田ボイスも相まって、アニメを見た多くの少年たちの初恋の女性となった。
『松本美女』については、手塚治虫に『ブラックジャック』作中でイジられたこともあった。
メーテルは作中でよく裸になるが、それは編集者からの要求であった。
パロディには比較的寛容なスタンスを取っており、ハイスクール!奇面組には議題進、成雪という古代進と森雪を模したキャラが登場したり、田中圭一のパロディ同人誌では帯に推薦文を寄稿もしている。しかし、キャラを愛するばかりにヤンキー漫画『カメレオン(漫画)』の作中でメーテルと星野鉄郎が茶化されると「大事なキャラクターを汚された」と激怒し、作者の加瀬あつしを自宅に呼びつけて一晩中説教したエピソードもあった。
ただ、加瀬は松本の永年のファンであり、訃報に接してTwitterでお悔やみツイートをしている。
食べ物の描写、特にラーメンとビフテキの描写には定評があり、ラーメンライスの知名度を上げるのに貢献した。本郷時代、ちばてつやとは「有名漫画家になって座布団のようなビフテキを食べたい」と語り合っていた。
戦争マンガ
『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』で知名度が上がり、悪書追放運動の市民団体に目をつけられ、『戦場まんがシリーズ』(『ザ・コクピット』)を以って戦争賛美の漫画家と見做された。
実際の『戦場まんがシリーズ』はけっして戦争賛美な内容ではないが、この頃の悪書追放運動家は「見たくもない醜悪な内容」ということで読まずに批判していた。
左派文化人での評価の低さは今も続いており、2023年2月16日、左派系番組として知られる「サンデーモーニング」(TBS)で松本の死が追悼された際、「世代が違うので見ていない」(田中優子)、「無知で、見ても読んでもいない」(薮中三十二)、「名前くらいしか存じ上げない」(渡部カンコロンゴ清花)とコメンテーター総崩れで、視聴者から「発言がとんちんかんすぎて見るのがつらい」「誰も松本零士作品を知らない」「見てない人が語りまくる不思議な世界」「精通している人を呼んでおいて」など落胆の声が殺到した。
両人とも兵器に対する拘りと愛情が深く、知識と描写の緻密さはマニアックだが、戦争を実際に体験した世代のため兵器が活躍する戦争に対しては賛美せず反戦的な立ち位置にある。
松本の反戦思想は、『戦場まんがシリーズ』で人気のエピソード『音速雷撃隊』によく表れており、特攻兵器『桜花』に翻弄される主人公を始めとする登場人物の敵味方問わない悲劇を描いている。
反戦思想の根幹には父からの「人は生きるために生まれてくる、死ぬために生まれてくる命はないぞ」という言葉があった。そのため、反戦運動や自殺防止運動などにも積極的に参加して、新聞紙上などで自分の想いを語ることも多かった。
松本は憲法9条死守の護憲派ではなく、改正容認派であった。「戦争に負けて惨めな想いを二度と味わわないよう、憲法を改正して必要な抑止力を整えよう」という現実的平和主義であったようだ。
ただし、松本も媒体に応じてポジショントークをしており、また、大物だけにその影響力を利用しようと発言を切り取られることも多く、主張が一貫してないようにも見えてしまう。
しかし、クリエーターやその作品に対し、過度な政治性を求めること自体が不自然と言える。
関連タグ
作品
電光オズマ セクサロイド(松本零士) 宇宙戦艦ヤマト 銀河鉄道999 宇宙海賊キャプテンハーロック 男おいどん クイーン・エメラルダス 超時空戦艦まほろば ザ・コクピット 惑星ロボダンガードA ミライザーバン