概要
太平洋戦争末期、日本軍は乾坤一擲の兵器として有人ロケット攻撃機「桜花」を実戦投入する。
「桜花」パイロットとして出陣した野中少尉は他の攻撃機が撃ち落とされてゆく中、射出を急ぐが機長の機転で脱出させられ、ただ一人生き残ってしまう。
基地に帰った野中は翌日自分と「桜花」を戦場へと運ぶ山岡中尉以下一式陸攻クルーと最後の夜を過ごす...。
1993年に公開されたOVA版三作品の一つとしても知られる。
登場人物
日本軍側
- 野中(CV:緑川光)
主人公の「桜花」パイロット。階級は少尉。
「桜花」パイロットになる前はロケット工学を勉強しており、いつか月へ行くことを夢見ていた。
OVAでは野上に変更され、「靖」という下の名前も決められた。
- 山岡(CV:緒方賢一)
生還した野中を再び戦場へと運ぶ一式陸攻の機長。
出撃前夜の別れの宴に野中を誘い、クルーを紹介する。前回の出撃での攻撃隊全滅を受け士気の低下するクルーや「桜花」という常軌を逸した兵器への怒りを代弁する。
- 一式陸攻クルーたち
沖海上飛曹(OVA版では兵曹長)(CV:小野坂昌也)
股上一飛曹(CV:塩屋浩三)
鳥目一等水兵(OVA版では二飛曹で名前も"長目"に変更)(CV:北島淳司)
遠山三等水兵(OVA版では上飛曹)(CV:太田真一郎)
畑二等水兵(OVA版では二飛曹)(CV:星野充昭)
大川二等水兵(OVA版では二飛曹)(CV:茶風林)
山岡中尉指揮する一式陸攻のクルーたち。沖海が副操縦士で、鳥目、遠山、畑の3名は銃座手。股上、大川については描写がない。前回攻撃での攻撃隊全滅を受け自分たちも生きて帰れないことを覚悟しており意気消沈しているが、それでも誰一人脱走することなく出撃した。
- 護衛機パイロット(CV:堀内賢雄(土方))
別れの宴最中に野中を訪ねたパイロットたちで攻撃隊を護衛する戦闘機隊所属。
前回の出撃で攻撃隊を守れなかったことを悔やんでおり、「今回は体当たりしても守り抜く」との決意を野中に伝える。
二人が登場するが、そのうち片目に包帯を巻いている方はOVA版では「土方」という名前が付けられた。
- 琴の女
劇中で何度か登場する女性。
別れの宴の最中、野中のいる基地の近くまで赴き涙を流しながら琴を演奏した。
彼女の写真を野中が懐に大事にしまっていた事から、彼の関係者(恋人？)と考えられる。
アメリカ軍側
- 護衛機パイロット(CV:藤原啓治)
野中の攻撃目標である米空母に所属するF6Fパイロット。OVAではランバート中尉という名前が付けられた。
艦長から敵が「人間爆弾」である「桜花」を使っていることに嫌悪感を抱き、日本軍を「クレイジー」「いかれた奴ら」と呼ぶ。一方で、戦いで死んだ仲間を偲ぶ人間味もある。
2回目の攻撃でも迎撃隊として山岡機を含む攻撃隊と戦う。
愛機を見る限り、海軍機5、陸軍機5を撃墜したエースである。
- 偵察機パイロット
劇中冒頭の1回目の攻撃で日本軍の攻撃隊を発見した偵察機SBDドーントレスのパイロット。OVAではロバートという名前がつけられた。
攻撃隊の護衛機に発見され、そのまま蜂の巣にされ撃墜されるという悲惨な最期を迎え、ランバートたち同僚から「ロバートのやつ、死んじまったか」「世界一の漫画家になるってのが口癖だったのにな...」と偲ばれた。実際、彼の書いたイラストは上手く、野中同様「この戦争で死んでいったもんらが、あと三十年生きていたら、いろんなことをしただろうに」という「死んでいったもんら」の一人として描かれている。
- 空母艦長(CV:大宮悌二)
ランバートらの所属する空母の艦長。襟章などから中将と思われる(OVA版では少将)。
敵が「桜花」を使用していることをランバートらに伝えた。
終盤、野中の攻撃を受けた際には彼の懐に入っていた写真を見つけ、想い人を遺しながら自らの命を犠牲にする日本軍を「クレイジーだ」とするが、同時にヒロシマの一報を聞き、「おれたちも、バカか...... 敵も味方も、みんな大バカだ...」（OVA版では「狂ってる...... 敵も味方も、みんな狂ってる...」）と嘆いた。その後、空母と運命を共にしたと思われる。
登場機体
ロケット式特殊攻撃機。野中の乗機(2回目の出撃)はI-99。
桜花を戦場まで運ぶ母機である雷撃機。おそらく桜花が懸架できるよう改修を受けた丁型と思われる。
2回目の攻撃隊の護衛機として登場。航続距離が短く防空任務が専門の局地戦闘機だが、攻撃隊護衛のため燃料を使い果たしても使命を果たそうとする。
1回目の攻撃隊の護衛機として登場。
ランバートらの乗機。攻撃隊を迎撃する。
劇中冒頭に登場した空母所属の偵察機を務める艦上攻撃機。ロバートが搭乗。
- 米空母
野中らの攻撃目標。艦名は明かされていないが、艦影からエセックス級航空母艦と思われる。
