「この世に漫画を描く以上に面白いことなんてあるのかしら」
「マンガを描く上で何かメッセージを伝えたいとは思っていないんですよ。
ただそのマンガを読んでる間、何かつらいことがある人でも楽しくなってくれればいいな、
元気になったらいいな……と、それだけです。」
人物
1957年10月10日生まれ。新潟県新潟市出身。高橋家の末っ子長女(2男1女の長女)として生まれる。
少年漫画雑誌の第一線で活躍し続ける、女性漫画家の草分け的存在。
小池一夫の劇画村塾の出身作家であり、そこから『勝手なやつら』で小学館新人コミック大賞において佳作を受賞し、デビューに至った。
愛称はるーみっく。制作プロダクションの名称にも用いられ、代表取締役も担う。
彼女の描く作品や独特の世界観は、『るーみっくわーるど』と呼ばれており、日本のオタクカルチャーに彼女が与えた影響は、絶大なものがある。
恩師である小池一夫からはいち早くその才能を見込まれ、「お前はプロになれる」と評された。
「ラブコメしか描かない」と公言しており、「漫画を描くのに男は邪魔だから(おそらく恋愛したり家族を作るのが)」との理由で独身を通している豪傑で、アシスタントも同じ理由から女性で統一している。長期連載が終わっても休む間もなく「早く次の連載をやらせて!」と編集に要求するなど、漫画と結婚した女性とも言える。
永井豪は特に強い影響を受けた漫画家であり、彼の作品『ハレンチ学園』は、自身の血肉となったと語っている。しかし、下ネタは見るのは好きだが描くのは苦手らしい。
中学高校時代、山上たつひこ作品『がきデカ』はもちろん読破した!ふざけてブリーフパンツに動物の絵を描いてしまった…(練馬倶楽部のマネ)
さくらももこの漫画『コジコジ』の中に登場する物知りハンドブックなるものでは、高橋のことが紹介されている。本物のハンドブックには「人間界の東京に住んでいる」こととサインが紹介された。しかし、偽物のハンドブックにはなぜか「犬と焼きそば、肉団子が好き」「趣味はメンコ集めと手芸」であることと偽のサインが紹介された。どうしてこうなった…。
知る人ぞ知る、熱烈な虎党。だが一時期阪神タイガースが不調だったため、ファンを本気でやめようと思ったことがある。
代表作など
『うる星やつら』(SFギャグ)から、『人魚の森』(シリアスホラー)、『めぞん一刻』(青年ラブストーリー)、『らんま1/2』(格闘バトルコメディ)、『1ポンドの福音』(スポーツ)、『犬夜叉』(戦国時代劇)、『境界のRINNE』(オカルトコメディ)、『MAO』(大正怪奇浪漫)など、幅広い作風を描ける実力派。
現時点で『MAO』以外の長期連載作の全てがアニメ化や実写化が成されている。また短編も『高橋留美子劇場』や『るーみっくわーるど』のようにアニメ化されているものが多い。
1995年には単行本が累計1億冊を、2017年には遂に累計2億冊を突破した。
2018年にはアメリカで最も栄誉ある漫画賞・アイズナー賞で日本人6人目の漫画家の殿堂入りを果たし、アングレーム国際漫画祭ではグランプリを受賞した。
これらの記録は、女性漫画家として初であり、かつ唯一の快挙である。
2020年には、芸術文化分野において優れた業績を挙げた人物に授与される紫綬褒章を受章。
2023年に、フランス政府から芸術文化勲章「シュヴァリエ」を受勲。
1978年のデビューから実に42年、絶えず少年誌で活躍し続ける。
このような数々の功績を称え、人は彼女を「天才」「生ける伝説」等と崇める。その名に恥じず、同業者にさえ熱狂的なファンがいたり、一目置かれる尊敬の対象とされたりするなど、今なお多くの人々に影響を与え続ける。以下は、そんな一握りの人物。
- あだち充…サンデー漫画家。数十年にわたり高橋とともにサンデーを支え続けてきた戦友。あだちが少年誌にこだわるのも、高橋の存在が大きいと語る。互いに実力を認め合うほどの仲。一番好きな高橋作品は『境界のRINNE』で、一番好きなるーみっく主人公・るーみっくヒロインには同作品の六道りんね、真宮桜をそれぞれ挙げている。
- 藤田和日郎…サンデー漫画家。高橋の作品を読んだことで漫画家を志した。るーみっくオタクであり、「好きな漫画家は誰か」という質問には必ず真っ先に高橋の名を挙げるほどの熱狂的ファン。今なおリスペクトかつ敬愛しており、漫画の描き方などを参考にしている。
- 椎名高志…サンデー漫画家。妻が高橋の元アシスタントであり、自身も「僕の漫画家人生を変えてくださって有難うございます」と感謝の意を表している。2022年現在、念願だった高橋留美子キャラのコミカライズを執筆中。
- 島本和彦…漫画家。自身の作品の中で、「高橋留美子はタイミングだけで生きている」と迷言を書いたことで有名。
- 荒川弘…女性漫画家。人生で一番影響を受けた漫画に『うる星やつら』を挙げており、漫画の描き方を参考にするほど。2013年には、高橋とサンデー誌にて対談を果たしている。
- さくらももこ…漫画家。自身の作品『コジコジ』の中でたびたび名前が挙がる。ゲランというキャラクターが高橋の大ファンという設定で、サインも持っている。
- 岡田斗司夫…評論家・プロデューサー。手塚治虫が「漫画の神様」なら、高橋は「漫画の怪物」であると評した。
作風
- 基本的にラブコメディを主軸とした作品が多い。また、主人公とヒロインの関係は時折心がすれ違いつつも付かず離れずの距離感を保っていることが多い。また、登場人物の殆どは変態の域に近いほど、限りなく自分の欲望に対して非常に忠実である。
- 高橋が描く主人公の特徴として、男のダメな部分が顕著。詳細は、るーみっく主人公を参照。もっとも主人公以外の男性キャラクターもイケメンであろうが父親キャラクターであろうが大概ダメ男であるが…。
- 高橋が描くヒロインの特徴は大きく三つある。詳細は、るーみっくヒロインを参照。
意外なことに主人公またはヒロインが互い以外の相手を過去に恋していることがほとんどであり、愛憎や私欲渦巻く三角関係や四角関係に発展することも珍しくない。
例を挙げるなら『犬夜叉』では、主人公が初恋の相手とキスを2度もしてるが、ヒロインとは一度もしてない。
『MAO』も主人公が最初からヒロイン以外の女性を好いており、ヒロインは主人公に思いを寄せ、更に主人公が好いている女性そっくりの恋敵も登場という恒例の展開である。
ただし『境界のRINNE』では主人公とヒロインが互いに初恋で結ばれたという王道であり、ラブコメを描くにあたり柔軟で引き出しが多いことが見て取れる。
作品 | 主人公 | ヒロイン | 主人公の初恋相手 | ヒロインの初恋相手 |
---|---|---|---|---|
うる星やつら | 諸星あたる | ラム | 三宅しのぶ(彼女) | レイ(婚約者) |
めぞん一刻 | 五代裕作 | 音無響子 | 音無惣一郎(旦那) | |
らんま1/2 | 早乙女乱馬 | 天道あかね | 小乃東風(思い人) | |
犬夜叉 | 犬夜叉 | 日暮かごめ | 桔梗(恋人) | |
境界のRINNE | 六道りんね | 真宮桜 | ||
MAO | 摩緒 | 黄葉菜花 | 紗那(婚約者) |
※初恋の相手が主人公・ヒロインの場合は空欄とする。
主人公またはヒロインの恋敵となるキャラクターは、大抵相手が自分に靡かなくてもお構いなしにアプローチをする強引な性格である。しかし、恋敵キャラクターも決して蔑ろな扱いをされているわけではなく、主人公やヒロインにふられても新たな恋の相手を見つける(ただし一部例外もある)など、基本的に最後は皆が笑って幕を下ろせるような大団円が多い。
エピソード・諸説
- 高橋作品のアニメに参加した声優(特に主人公・ヒロインなどの主演級)は、必ず売れっ子になるというジンクスがある。勿論、それ以前に売れっ子で主役に抜擢されるケースもある。
- 高橋作品のアニメに一度出演した声優は、本作者の他作品で再び起用されることが多々ある。特に、メインキャラクターを演じた声優が別作品で再びメインに起用される…ということも、決して珍しくない。
- 高橋の代表的な作品のタイトルの頭文字は、自身の名前「留美子」のローマ字表記「RUMIKO」から、1文字ずつ取られている。
R…『らんま1/2』
U…『うる星やつら』
M…『めぞん一刻』
I…『犬夜叉』
K…『境界のRINNE』
O…『1ポンドの福音』 ※英数字「one」=1から。ただし、含まれない場合もある。
もちろん、これはあくまで噂であって、高橋自身が意図して付けたのかは定かではない。しかし、あまりにも偶然すぎるので、一部のファンからは「RUMIKOの法則」として、まことしやかに囁かれている。
因みに、上記6作品ともすべてアニメ化されている。
- 歴代の定期連載作品のタイトルの頭文字を並べると、奇しくも「RUMIC」=「るーみっく」となる。
R…『らんま1/2』
U…『うる星やつら』
M…『めぞん一刻』
I…『犬夜叉』
C…『境界のRINNE』 ※英語名「Circle Of Reincarnation」から。
―― ただし、上述の通り、これもあくまで噂である ――。
- 自身の作品に登場する女の子に負けず劣らずのプロポーションの持ち主であるのだが、若い頃に披露した水着姿に至っては読者に強烈な印象を与えたらしい。
島本和彦のアオイホノオでも登場し、グンバツなプロポーションにチャイナドレスかつタバコという、ただならぬ色気の持ち主として80年代当時の高橋を描いている。
代表作
※☆…アニメ化、★…実写化
定期連載作品
●『週刊少年サンデー』(1978年39号 - 1987年8号)
週刊サンデー本誌での初連載作品。女たらしの少年・諸星あたると、押しかけ女房で異星人・ラムを中心に多彩なキャラクターの登場するSFコメディ。当初は読切および短期シリーズ掲載作として始まり1980年に定期連載化された。1981年-1986年にTVアニメ化、OVAシリーズや劇場版アニメも6本製作された。
さらに2022年-2023年及び2024年冬-春にかけて分割4クールにて再度TVアニメ化された。
☆★めぞん一刻
●『ビッグコミックスピリッツ』(1980年11月創刊号 - 1987年19号)
オンボロアパート「一刻館」に下宿する浪人生・五代裕作と、彼が憧れを抱く「管理人さん」音無響子を中心としたラブコメディ。1986年-1988年にTVアニメ化、1986年秋に実写映画化。2007年にTVドラマ化された。
☆★らんま1/2
●『週刊少年サンデー』(1987年36号 - 1996年12号)
水を被ると女になってしまう格闘家の少年・早乙女乱馬と、彼の許婚・天道あかねを中心とした格闘コメディ。1989年-1992年にTVアニメ化、劇場版アニメも3本、その後OVAシリーズも多数製作された。2011年にSPドラマ化された。
さらに2024年秋から完全新作的アニメが現在放送中。
☆犬夜叉
●『週刊少年サンデー』(1996年50号 - 2008年29号)
戦国時代にタイムスリップしてしまった女子中学生・日暮かごめと、半妖の少年・犬夜叉を主人公とした伝奇作品。
2000年-2004年にTVアニメ化、2009年秋-2010年春にTVアニメ第2期「完結編」を放送。劇場版アニメも4本製作された。
●『週刊少年サンデー』(2009年21・22合併号 - 2018年3・4合併号)
幼い頃の神隠しにより幽霊が見えるようになった女子高生・真宮桜と、人間と死神による混血の少年・六道りんねを主人公とした学園&霊界ラブコメディ。
2015年にはTVアニメ化され、2017年の第3シリーズまで放送された。
●『週刊少年サンデー』(2019年23号 - )
中学3年生の少女・黄葉菜花と陰陽師の少年・摩緒を主人公としたシリアス怪奇浪漫。
シリーズおよび不定期連載
●『週刊少年サンデー増刊号』『週刊少年サンデー』(1984年8月増刊号 - 、不定期)
人魚の肉を食べたことにより永遠の生を生きることになった青年・湧太と少女・真魚の運命を描いた伝奇シリーズ。
OVA化ののち下記『高橋留美子劇場』と共にTVアニメ化されている(未放送分は15禁)。
☆★1ポンドの福音
●『週刊ヤングサンデー』(1987年9号 - 2007年3・4号、不定期)
減量の苦手なボクサー・畑中耕作と敬虔な修道女・シスターアンジェラとの恋愛を描いたスポーツ・ラブコメディ。
『週刊ヤングサンデー』に不定期連載され20年かけて完結、OVAも製作された。2008年にTVドラマ化された。
☆★高橋留美子劇場
●『ビッグコミックオリジナル』(1987年7月20日号 - 、不定期)
年1回のペースで掲載されている、サラリーマンや家族などをテーマにした読み切りシリーズ。2011年時点で4冊が刊行されている。
●『週刊少年サンデー増刊号』(1979年5月号 - 9月号)
初の連載作品。
短編・読み切り
※以下、発表年代順に記載。
☆ザ・超女
●『週刊少年サンデー増刊号』(1980年10月号)
宇宙を舞台としたSF作品。1986年にOVA化もされた。
●『週刊少年サンデー増刊号』(1982年8月号)
初のシリアスホラー作品。藤田和日郎が漫画家を志すきっかけになった。
☆笑う標的
●『週刊少年サンデー増刊号』(1983年2月号)
女の情念をテーマとしたシリアスホラー作品。1987年にOVA化もされた。
●『週刊少年サンデー増刊号』(1983年8月号)
初のOVA作品。制服姿の現代のヒロインが異世界に迷い込むというプロットは、後作『犬夜叉』や『境界のRINNE』に受け継がれている。
●『週刊少年サンデー増刊号』(1984年1月号)
雪国を舞台としたシリアスホラー作品。転生と前世からの因縁をテーマとしている作風は、後作『犬夜叉』や『境界のRINNE』に受け継がれている。
●『ビッグコミックオリジナル』(1880年10月15日増刊号)
青年向け初期作のひとつ。のちの高橋留美子劇場へと繋がる端緒となった作品とも見られる事がある。単行本『るーみっくわーるど』第3集に収録。
●『ビッグコミックスペリオール』(2014年15号)
関連イラスト
関連タグ
るーみっく るーみっくわーるど るーみっく主人公 るーみっくヒロイン
うる星やつら めぞん一刻 らんま1/2 犬夜叉 境界のRINNE MAO(高橋留美子)
関連動画
【漫画家 高橋留美子 インタビュー~アングレーム国際漫画祭最優秀賞記念~】(2019年度フランス共和国・アングレーム国際漫画祭最優秀賞受賞)
※小学館 公式YouTubeチャンネル『週刊少年サンデーTV』より転載