概要
1951年3月18日生まれ。本名は半田 晴久(はんだ はるひさ)。
神道系新宗教である「ワールドメイト」の教祖(組織内では「リーダー」と呼ばれる)。前世は聖徳太子と自称する。
宗教家・芸術家としては「深見 東州(以前は「深見 青山」)」、実業家としては本名、文筆家としては「戸渡 阿見(とと あみ)」と、活動内容に応じてそれぞれ名義を分けている。このほか「レオナルドTOSHU(-トウシュウ)」などの名義がある。
本人は名義の使い分けについて「それぞれのキャラになりきるため」と語っている。本記事では特記なき限り「深見(東州)」で表記を統一するものとする。
霊能力者の橘カオル(植松愛子)との出会いをきっかけに、1978年頃から本格的な宗教活動を始める。
1984年に橘と任意団体として「コスモコア(後のワールドメイト)」を設立、同団体の教祖を務める。また実業家として国内外問わず様々な企業の経営を手掛け、同時に文筆家としても熱心に活動を続けている。
メディアへの出演を積極的に行っており、公演にコスプレ姿で登壇したり、著書やトークでふんだんにギャグを取り入れたりと、個性的な人物像で知られる。
公式サイトでは「現代のルネッサンスマン」、「現代の弘法大師」、「21世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と呼ばれると紹介されており、マルチな才能の持ち主であることが強調されている。
書道、絵画(油彩)、声楽、演劇などの芸術を「日本の神々を喜ばせる」としてライフワークの一つにしており、個展やコンサートも数多く開催している。
またスポーツにも関心が高く、国際スポーツ振興協会という団体を立ち上げ、プレイヤー支援・大会開催などを行っている。特にゴルフに力を入れており、ワールドメイトの福祉活動として日本盲人ゴルフ協会(現日本ブラインドゴルフ振興協会)を設立し、ブラインドゴルフの援助を行っている。
「人権の確立こそが、普遍的な宗教性の顕現になる」として、自然災害の被災地や海外を中心に人権活動を行い、様々な人道支援団体に参加している。
首都圏に展開している学習塾みすず学苑の経営者であり、同塾の宣伝広告などにも時折顔写真が掲載されていることから、「その他の活動はあまり知らないが、みすず学苑の『学苑長』だということはわかる」という人も多いと思われる。
来歴
自叙伝によれば、生家は酒樽製造業者である。両親の関係は悪く、母はたびたび父から暴力を振るわれ、家庭環境が荒んでいたという。
母が世界救世教の信者であり、深見本人も母を助けたいと思い、高校入試を控えた時期に入信した。
高校在学中には教団支部の学生部を結成するほどであったが、母の病気が大本(大本教)の「お取り次ぎ」により治ったことをきっかけに、霊の実在や神霊による病気治療の可能性を信じて大本に転向。以降神道に基づく信仰を自身の宗教的思想の中核とする。
高校卒業後、浪人生活を経て同志社大学経済学部に進学。ESS(英語研究会)などに所属していた。
本人によれば大学在学中に具体的な霊能力に目覚めた(「六神通」のうち天耳通、他心通、宿命通を習得し、その後25歳までに全てを身に着けた)とのこと。大本の幹部である出口京太郎から直接指導を受けたこともあるという。
大学卒業後は大和ハウス工業に営業マンとして就職。この頃から大本と提携している道院紅卍字会(日本紅卍字会)に入会し、霊的存在、能力についての研究だけでなく、広く宗教そのもののあり方について勉強に励み、また同会にて数々の宗教家との繋がりを持つようになる。
1977年、霊能者である橘カオル(植松愛子)と出会い、その思想や信仰のあり方、霊的な活動への取り組み方に大きな衝撃を受ける。橘にすっかり心酔した深見は、家族や宗教関係の仲間とともに橘の自宅とその周辺に転居。集団生活を送りながら橘に師事し、公私にわたって密接な関係を築くことになる。
翌1978年に大和ハウス工業を退職。
1978年に橘が親戚と株式会社三十鈴(現ミスズ)を創業し、深見も入社。同社の事業の一つとして学習塾「みすず学苑」を設立し、深見は「学苑長」の肩書で経営を行うようになる。
以降「深見青山」の名前で、表立った宗教活動、執筆活動を始め、またミスズにて腕時計の輸入販売などの事業に携わりながら国内外で複数の企業を立ち上げるなど、経営者としても活動を活発化させていった。
1984年に橘と任意団体「コスモコア」を設立。開祖たる橘の受ける啓示を、教祖たる深見が仕組みを解明し広く伝える、という体制で布教を行い、宗教活動にますます精力的に取り組むようになる。「コスモコア」はのちに「コスモメイト」、そして「ワールドメイト」に名前を変えている。
1990年代は直弟子の離反による分派やいわゆる「マルサ」の監査が入るなど組織運営にあたって様々なトラブルが起こるが、エンターテイメント性を重視した布教や、当時の霊的世界、オカルトブームの影響もあって(賛否両論ありつつも)少しずつ注目を集めるようになる。
1994年に現在の「深見東州」に改名した。
2012年にワールドメイトが宗教法人として認可される。その後も宗教家として、実業家として精力的に活動している。
宗教的思想
宗教家としては神道系に位置するが、他の宗教、特に仏教についての造詣も深い。
なお、ワールドメイトの教義や宗教としてのあり方には深見自身の思想が色濃く反映されていることから、本記事においては深見の宗教観・信条とワールドメイトの教義について明確に区別せず、並行して記述するものとする。
ワールドメイト公式の案内では、深見は神道に「聖と俗を区別して、共存する」「生業や家を栄えさせ、コミュニティーを繁栄させる」「現実を生き貫く精神や魂の、輝きに価値を見出す」という特性を見いだしており、ワールドメイトにおいても「聖」の宗教活動と「俗」の実業活動を区別しつつ共存し、社会性を損なわず、普遍的な人類愛に基づく布教を行うと語られている。
ワールドメイトは御親元素大御神(みおやもとすおおみかみ 別名「⦿(す)の神」)、菊理姫大神、天照皇大御神をはじめ、八百萬の神々を崇敬する宗教であるとされている。⦿の神は総本部にある皇大神御社(すめらおおかみおんやしろ)の祭神である。
⦿の神は「姿なく終わり無く、無限絶対・無始無終」の宇宙的な神であると定義される。神は宇宙創造の全能神である「絶対神(主神)」と、絶対神の一部の働きが個性を持った存在として現れ、人々を守護し教え導く「顕現神(八百万の神々)」に分かれており、他宗教における「神」や、(いわゆる神社教派の)神社における「神」は顕現神にあたり、仏や龍(龍神)、天狗、またUFOなどの地球外の存在も顕現神とされる。
太陽系は、目に見える物質の世界である「現実界」、目に見えない霊の住む「霊界」、神の世界「神界」の三つの世界からなる。それぞれの世界は呼応し合っており、物質界より霊界が、霊界より神界の能力が高く、神が主導権を握っていると定義される。
人間は地球(現実界)にのみ存在する、「肉体を持った霊」であり、神界の意を受け「守護霊」によりバックアップされているという。
神を信じることで、それぞれの人々を守り導く守護霊と、本人が肉体の内側に持つ「本霊」が一体化する「神人合一」を極めることを目標としている。
人間が亡くなり(肉体的な終了を迎え)49日間が経つと、霊≒魂が生前の功徳と業に応じてそれぞれのステージに応じた霊界へと旅立つことになる。霊界は天国界、中有霊界、地獄界に大別され、またその中でも上下関係が存在している。
ワールドメイトが行う具体的な宗教活動は「ご祈願」と呼ばれるものである。
主に地縛霊やたたり霊、獄中の先祖霊などの「邪霊」、「悪霊」、また苦しむ霊によって、現実世界に起こる天変地異や事件事故の被害、様々な不調不良について、霊に宇宙や神々のあり方を説諭して癒すことで取り除く「言霊(ことたま)救霊」や、箱根大神の眷属である「九頭龍大神」に様々な願いや救いを求める九頭龍祈願、薬師如来の元の姿である薬寿龍王に、心身の不調の回復を願う薬寿祈願などがあり、修行を積んだ「救霊師」によって人々の願いが「お取り次ぎ」され、霊、神のもとに届けられるというプロセスになっている。
また、祭礼(本部で行われる祭事)は伝統的な神道に基づく儀礼の他に、深見を筆頭に信者による歌や踊り、電飾カーが駆け抜けるなどの非常に派手な宴が行われており、これは神々を芸術にて喜ばせると同時に、非日常的な体験に没頭することで、この世でたまった「ケガレ」を払い、祭礼によって「ハレ」の状態にするとい思想に基づくものであると言及されている。
日本人の精神性、国民性を形作るのが古来からの「神道」であると考えられている。世界中に神界とつながりが深い地域があるが、本当の意味での神界があるのは日本のみ、つまりそれだけ「神」と結びつきが強い地域であるためとしており、ワールドメイトもまた日本の神道と結びつく形で教えが組み込まれている。
先に述べたように深見およびワールドメイトの宗教観は、深見が母と入会した世界救世教、橘カオル(植松愛子)がかつて参加していた世界真光文明教団の影響も大きいが、⦿の神はこれらの組織の崇奉・崇敬する「神」と同一の存在であり、橘の元に現れ啓示を与えた「神」もまた同じである。
キリスト教のヤハウェ、天照大神や国常立命、守護霊などもすべて⦿の神が人間に分かりやすいように仮の姿で顕れたものであり、教祖たる深見は神の声を人間に届ける存在であると同時に、神をその身に憑依させる存在であると定義されている。
また、これらの教義や「神」の定義、目に見えない世界である「霊界」を明確に示す宇宙の捉え方には、大本の影響が強いことが指摘されている。
例えば大本の「主(ス)の神」を「宇宙万有の大根元」とし、他の宗教における「神」と呼ばれるものと同一であるという思想は、先に述べたワールドメイトのそれと非常に近い。
橘と深見の2代表制度は、大本の開祖である出口なおとその娘婿出口王仁三郎の関係にも重なるものがあり、実際にかつて深見は橘の方を優位としていた(現在は橘が引退状態にあるため、全権をほぼ深見が担っている)。
一方、他宗教を含めた「神社」への参拝を推奨する点や、代表である深見が「俗」のビジネスを重視することを公にしている点、深見が頻繁に表に出てパフォーマンスを行うという点などはある意味特殊と言える。
エピソード
- 1989年にOVA『アニメ神頼みシリーズ』(スタジオぴえろ)、1991年にはOVA『ミラクルサイキッカーSEIZAN』(スタジオぴえろ・京都アニメーション)にてそれぞれ原作監修を務めており、プロの声優に混じってゲスト出演もしている。なお、これらは主に布教用として制作されたもので、一般にはほとんど出回っていない。
- 2014年、『幸福の科学』の教祖大川隆法が「深見東州の霊言」をネットで発表した時には、「大川氏の活躍には期待するも霊言はまやかしで推奨しない」とコメントしている。
- ジャーナリストは社会を良くする重要な役目であるとし、メディアの取材にも快く応じている。
- 2024年には小林圭一郎氏が『異人 深見東州の実像』を出版し、日本と世界の首脳陣との対話や日本と世界の有名人とアスリートとの対話に関するテーマを取り上げられた。
- 宗教に関しては中立の立場で伊勢神宮を始め有名な神社仏閣へ参拝を推奨している。
安倍晋三銃撃事件について
事件に関連して巻き起こったいわゆる「宗教二世」の救済、(新興)宗教への多額の献金問題については、宗教の代表者として取材を受けた際には、中立的、慎重な立場を示している。
政府が統一教会に対して行った解散請求に関しては、「政府の決定には支持する」としつつ、一方で「信教の自由が脅かされ、また加害者の犯行には非難する一方宗教二世の救済も必要である」と言及している。
政治と宗教に関しては「ワールドメイトはあくまで中立の立場であり、与野党問わずそれぞれの政治家に政治資金を提供しているのは、団体が神事や宗教活動に専念する為、あくまで財政支援のみであり、どうしても選挙や政治活動するなら他の宗教団体か他の団体にお願いするように」と、直接的な政治関与は否定している。
また自身が代表するワールドメイトの信者には寄付を強要していない、安定的な社会生活を優先するよう伝えていると主張しており、どうしても多額の寄付をするなら日本赤十字社を始め信頼出来る団体か、伊勢神宮を始め有名な神社に奉納するようアドバイスしている。
資金経路に関しては特に隠すことはなく、報道等で情報の開示を要求された場合は速やかに公開している。
関連タグ
宗教 神道 伊勢神宮 白山比咩神社 世界平和 国連 聖徳太子 同志社大学 アニメ神頼みシリーズ ミラクルサイキッカーSEIZAN
外部リンク
TOSHUチャンネル!(本人のYouTubeチャンネル)