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曖昧さ回避編集

  • 「洞察力」「識見」などを意味する英単語(insight)。
  • アメリカ航空宇宙局(NASA)が2018年5月に打ち上げた火星探査機(InSight)。Interior Exploration using Seismic Investigations, Geodesy and Heat Transportの略。
  • 本田技研工業が製造・販売している乗用車の車種名「ホンダ・インサイト」。本項目で解説。

概要編集

初代(ZE1型)編集

2005 Compact JDM: インサイト

1997年の東京モーターショーで発表されたコンセプトカー「J-VX」をベースに1999年9月に発表、同年11月に発売開始。この時は次世代ライトウェイトスポーツカーとして開発された2人乗りのクーペだった。

かなり個性的な外観が特徴だったが、空気抵抗を考えた上でのデザインだった。後輪フェンダーが古いシトロエン車のようなハーフスカート形状なのも空気抵抗を減らすためである。


エンジンを主体にモーターが補助する、パラレル系のハイブリッドシステムである「IMAシステム」を採用。エンジンは小型の直列3気筒1000cc 70馬力に10kWのモーターを組み合わせて、贅沢なアルミフレームを使用した800kg強の軽量な車体に収めた。最高出力は84馬力。IMAはトヨタのTHSシステムと異なりトランスミッションがあるため、ベルト式CVT仕様と5速MT仕様があった。極端に低い車高から通常の窓配置では後部視野が確保しにくいため、2枚のガラスで組んだスクープドウインドウをリヤに配置した。


しかし2人しか乗る事が出来ないのは実用上問題があり、車体の製作コストも高額(本来NSXのようなスーパーカーに使われる技術で製造される)で、車格の割に大変高価な(ベースグレードでおよそ230万円)自動車となったことから結局17000台しか生産されず2006年7月に生産は打ち切られた。


2代目(ZE2型、ZE3型)編集

インサイト・1.3L(ZE2)

2009年1月に2代目が発表(復活)、2月に発売を開始。コストダウンを徹底し、ハイブリッドカーとしては画期的な低価格を実現した。


初代とは全体的なプロポーションこそ似ているが、系統からして全く別の自動車で、フィットのシャーシを流用した5人乗り乗用車である。実のところ初代インサイトよりもインテグラの後継車種と言った方が実態に近い。2代目以降のプリウスとも車体形状は類似するが、その2代目プリウスは、初代プリウスのセダンボディを、初代インサイトに似たハッチバックボディに変えたものなのでパクリ扱いするのは適切ではないだろう。


フィットがベースなので5ナンバーサイズであり、よく比較されるトヨタの2代目プリウスよりも小型で、後にトヨタから販売されたアクアに相当する車格である(ただしアクアより全長は30cm以上長い)。


ハイブリッドシステムは引き続きIMAシステムであるが、初代よりも大きな車格となったためエンジンが4気筒1300ccになり、出力は100馬力程度まで強化されている。後に1500cc・133馬力仕様も登場した。車の位置づけからMT仕様は存在しないが、スポーツグレードではマニュアルモード付CVTとなっている。

空気抵抗を減らすため車体形状は5ドアながら先代のクーペ型ボディを引き継いだだめ、着座位置はスポーツカー並みの低さで、後席は低い天井と高い着座位置のシート(後席下にガソリンタンクがあるため)に挟まれて極めて狭くなり、大人が座ると頭が天井につかえてしまう(この辺はインサイトより小型ながらハッチバックボディとし、大人でも後席にまともに座れるようにした後発のアクアの方が商品としての完成度は高いといえる)。


その一方でラゲッジスペースは広く、車室の高さこそ低いが、後席をたためば車中泊ができるほどのスペースが生まれる。クーペ特有の装備であるスクープドウインドウも初代に引き続き採用されたが、やはり通常の乗用車と比べると後方視界は良好とは言いがたい。しかしトヨタもプリウスで採用したように、他に視界確保の手段がないのが実情であった。


燃費を改善するために『ECONボタン』という、今で言うエコモードスイッチが採用されているが、これをONにしている間はアイドリングストップ時にクーラーのコンプレッサーが止まってしまうため、「インサイトは夏エアコンが効かなくて地獄だ!」という風説が流布された。


当初は低価格を武器に結構売れたものの、乗り心地の異様な固さ(ごく初期型のみで、間もなく改善されているが、それでも固い)、5人乗りであるにもかかわらず後席の居住性が劣悪なことが批判された。

更に、登場から僅か3か月後には3代目プリウスが革命的なスペックと低価格で発売され、プロモーションでもインサイトをボロクソに叩く「インサイト潰し」を行ったことで以降は販売が低迷。例えば、トヨタディーラーで比較用にインサイトを展示し、短所を体感させたうえでプリウスのセールストークの材料にするという明らさまなこき下ろしが平然と行われていた。しかし裏を返せば、2モーターハイブリッドでEVモードを備えるプリウスに対してカタログ燃費/実燃費ともに大差で敗れており、トヨタが明らさまに比べても平気でいられるほど2台の性能差は大きかったということでもある。


ホンダ自身もインサイトでは勝ち目が無いと踏んでか、母体であるフィットにハイブリッドを追加したことも、インサイトの販売への追い打ちをかけた。

後期型は排気量を拡大し、シート形状を変更して後席の居住性を若干改善するとともにホンダらしいスポーティな走りを打ち出したものの、破竹の勢いだったプリウスの攻勢の前には焼け石に水であった。


そして2014年3月いっぱいをもって国内向けの販売が打ち切られ、6月には輸出向けも製造終了し、これをもっていったん車名消滅。後継車は3代目シビックハイブリッドだが、日本市場へは投入されない。


3代目(ZE4型)編集

メイン画像の世代。

2018年6月に北米でシビックの上位版として2度目の復活。12月には日本でも発売が「再開」された4ドアセダンである。

初代・2代目は国外仕様も含めて日本で製造されていたが、3代目は国内向けは日本で、北米向けはアメリカのインディアナで製造される。

プラットフォームは10代目シビックのものを踏襲しており、スタイルはシビックセダンとほぼ同じである。フロントマスクとリアに若干の違いはあるが、シルエットはシビックセダンほぼそのままである。


クルマの立ち位置としてはアコードとシビックの中間であり、価格も2代目とは打って変わって300万円台に上昇している。

ホンダが新開発した2モーターハイブリッド「e:HEV」(2020年5月まで「SPORT HYBRID i-MMD」)を採用しており、使用状況によってEV走行・エンジン発電走行・エンジン走行の3つのモードを使い分けて走る。

これによりプリウスに負けない性能を手に入れたが、ミドルクラス以上の車を売ることが苦手なホンダの例に漏れず、販売は伸び悩んだ。結局プリウスの牙城を崩せないまま、2022年に国内向けCR-V、シャトルと共に生産終了した。後継は再びシビックハイブリッド。


余談編集

実は2代目は当初インサイトという車名で発売される予定ではなく、別の車名がつけられる予定であった。しかし欧米の現地法人の強い要望や現地顧客調査の結果、インサイトの名前が引き継がれることになった(日本では全くの無名であった初代も欧州や北米市場ではそれなりに知られており、特に米国ホンダは「ハイブリッド=インサイト」のイメージをマーケティング上維持したかった)。

つまり初代と2代目が何から何まで異なっているのは、そもそも全く別の車のはずだったからなのである。


なお、本当の初代インサイトの後継車は「CR-Z」として発売された。


関連タグ編集

ツイン - スズキの軽ハイブリッドカー。初代インサイトと同じく2シーターにしたせいでさっぱり売れなかった。

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