概要
山型歯車の特許で財を成したアンドレ・シトロエンが、経営不振のモール自動車会社を引き受ける形で自動車産業に参入。
メカニズムやデザインに、極めて強い個性を持っていたことでも有名。プジョーとの合弁でPSAグループに属するようになってからはメカニズム面の独創性は薄れ、もっぱらデザインで自己主張するようになっている。
現在はPSAとフィアット・クライスラーとの合弁であるステランティス傘下。
エンブレム
ダブル・シェブロンと呼ばれる山形のマークを使用する。山型歯車(シェブロン・ギア)の噛み合わせをモチーフにしている。
メカニズム
前輪駆動
世界で初めて前輪駆動の市販車として成功したのは、シトロエンの「トラクシオン・アバン」(1934年発売)である。以降発売されたシトロエンの車は全て前輪駆動となり、メーカーとしてのシトロエンを象徴するメカニズムとなった。前輪駆動は今でこそ当たり前であるが、当時は想像を絶する先駆性であった。シトロエンは1950年代以前において、前輪駆動を積極採用していたほとんど唯一のメーカーである。
ハイドロニューマチック
「水と空気のサスペンション」とも呼ばれるシトロエン独自のサスペンションである。広義では「エアサスペンション」の一種であるハイドロニューマチックは乗り心地の特性も類似しており、雲の様な乗り心地などと評される。油圧制御により不整地走行時など状況に応じて車高を変化させられるのは他のサスペンションにはない特徴である。
現在では電気制御を組み合わせたハイドラクティブに進化している。
デザインの特異性
かつてのシトロエンはブリキ缶のような2CVや、宇宙船をイメージさせるDSなど、メカニズムのみならず外観も特異なものがあった。アヴァンギャルドとはシトロエンのためにあると言っても過言ではない程、独自性にあふれたデザインを採用する。
ひところはデザイン面での個性も徐々に薄れつつあったが、近年ではハンドルを廻してもセンターが固定したままであったり置物の様なメーターを採用したC4、運転者の頭上後方まで一枚ガラスで続くフロントウィンドウであるゼニスウィンドウなど他のメーカーには見られない特色を打ち出している。
モータースポーツ
伝統的にラリーを主に活動をしている。WRCでは、2004年から2012年にかけてセバスチャン・ローブがタイトルを制している。
しかしながら他メーカーと違いラリーベース車とレース車輌でのイメージの乖離が激しく車輌販売への貢献度は低いと推測される。
2019年シーズン限りでWRCから撤退する事を同年11月20日に表明した。
また、2014年から世界ツーリングカー選手権にもワークスで参戦していた。伝統的にラリーを主戦場としていたシトロエンにとってはサーキットレースの選手権に出場するのは初めてとなる。デビュー年から圧倒的な強さを見せ、2016年までドライバー、マニュファクチャラーズタイトルを3連覇した。しかし2016年をもってWRCに集中するため選手権から撤退した。