トゥデイ
とぅでい
JW1
1974年に生産終了したライフから11年の沈黙を破って登場したトゥデイは、ホンダ 自身がシティで提唱したトールボーイスタイルで室内空間を稼ぐ方向で固まりつつあった軽自動車の常識に真っ向から異議を唱える1315mmの低全高で登場。
それでも室内スペースはM・M(マンマキシマム・メカミニマム)思想によりホイールベースは2330mmの超ロングホイールベース採用でタイヤを車体の四隅に追いやり、当時の軽自動車としてはその見た目からは想像もつかないような室内空間の広さを実現している。
そのパッケージングにほれ込んだ、たまたま日本に来てたルノーの開発陣営がそのまま3台ほどフランスに持ち帰って「良かったからパクッた」とトゥインゴを作ったのは有名である。
エクステリアとしてはピステフェイスと名付けられたボンネットからフロントウィンドウが一直線のフロントセクションに当時クラス最大のフロントウィンドウにダブルリンク式1本ワイパー、バンパーまで食い込む丸目2灯のヘッドライトはJW1トゥデイのみの特徴であり、今でも「この顔が好きだ!」とどこぞのオークションでは高値で取引されることも多いが、最近ではあろう事か動く個体から顔面スワップするバ○も居るので、是非動かなくなった車から部品もいでやってください。
一方メカニズムは大人の事情もあり先進的なそのデザインとは裏腹に旧来のアクティ用EH型2気筒OHCエンジンを約90度寝せて搭載したが、これはGL1000の片バンクを使用されたためだといわれる。
最高 出 力:31ps/5500rpm
最大トルク:4.4kg-m/4000rpm
アクティ用のそれを若干チューンして搭載したとしてもさすがにエンジン自体のかったるさは隠せず、しかしそれでもホンダのエンジンらしく天井知らずに回ってゆき、550kgしかない軽量な車体と相成って峠道の下りなどではそこそこ面白い車である。
ミッションは基本的に4MTとホンダマチックといわれるOD付き3速セミオートマ。変速ショックのないオートマとのことであるが、走り出しからずっと2速ホールド状態で走るだけなのだからショックもクソもないだろう(笑)
因みに、通常の走行レンジはDではなく「☆」。メーター内の標示にも☆が映る。
Q:「☆」とは何ですか?
A:「スター」です(`・ω・´)キリッ
スターだからとマリ○カートのように無敵状態にはなりません。
追記すると決して某アニメーションのようにはじめからビート用のMTRECエンジンが載ってるわけではないので動力性能としては現行のNAの軽自動車以下であると考えてください。期待して買うと確実に損をした気分になります。
87年に一部改良でリアにシートベルトがついたり、ブレーキにパワーブースターがついてブレーキの操作性がまともになったりちゃんとした車への第一歩を踏み出しました。
グレード構成は上から豪華版のG、通常のm、商業用のFの3グレードのみであったが、後期になり限定車が出るようになる。
ポシェット
mベースの女性仕様車。全面ブロンズガラス、フルホイールキャップ、ボディ同色バンパー/ドアミラー/ドアハンドル、専用ストライプ、運転席バニティミラー付きサンバイザー、専用ファブリックシート/トリム、クレアブルー・マーメイドブルーのポシェット専用色追加。
JW2・JA1
88年に実質フルモデルチェンジといえるようなビッグマイナーが行われ、それまでの特徴であった丸目のヘッドランプが他のホンダのモデルと合わせる為に横長の左右異型へと変更。ご丁寧に「スリットアイヘッドライト」という名前まで付いている。(カタログに記載あり)
ならびに動力的に不満のあったアクティ用の2気筒から、HYPER 12VALVE ENGINEと銘打った新開発の3気筒OHCエンジン「E型エンジン(E05A)」へと発展を遂げる。
このマイナーチェンジでのもう一つのトピックは本格乗用モデルが追加されたことである。このため、フロアの設計が見直され、JW1とは別フロアとなるためマフラー、ガソリンタンクの流用は不可能になっている。
グレード構成はバングレードはJW1の頃と変わらないG、m、Fがメインとなるが、PGM-Fi制御のスポーツグレードRi-z、Riが新たに追加。一方新規追加の乗用グレードはXTi、XGの2グレード。当時はまだ税制上軽貨物車両の方が優遇されていたのでメーカーの方もそこまで本腰を入れていなかったようだ。
が、そこはバブル期。本腰を入れてなかったであろう乗用グレードだが、なんとRi-Z、XG、XTiにはOPでチルトアップサンルーフまで用意されていたりする。
新開発のエンジンはバングレードはG、m、Fがキャブレター、がRi-z、Riインジェクションとなり前者が36ps/6500rpm、後者が44ps/8000rpmである。乗用ググレードはXTiがインジェクション、XGがPGMキャブといわれる電子制御キャブレターである。こちらは前者が42ps/8000rpm、後者はバンのキャブレターエンジンと同スペックである。乗用グレードの方が出力が落ちてるのは触媒の関係である。
インテリアはJW1であまりにも少なかった収納スペースを改善するために2段レイアウトのダッシュボードやコインケースなどが設けられたがそれでも慢性的な収納スペース不足の解決には至っていない。インパネ周りも一新され、スポーツグレードの新設によりメーターもインジェクション、乗用モデルはタコメーター付きのものとなる。
ミッションもタコメーター採用モデルは5速MTとなり、そうでない一眼メーターのキャブレターモデルは4速MTとなる。オートマの方はついに3速フルオートマに進化しました。
マイナーチェンジ当初はそんなに力を入れていなかった乗用モデルだったが状況が一変、物品税廃止というバングレードの税制のメリットがなくなるとなり軽乗用モデルの競争が激化。トゥデイも乗用キャブレターグレードにXEとXLを追加。装備に差をつけてグレードの上下をつけて出しただけで、バングレードのm、Fに相当。
ポシェット
JW1同様mベースで全面ブロンズガラス、フルホイールキャップ、ボディ同色バンパー/電動ドアミラー/ドアハンドル運転席、専用ストライプ、バニティミラー付きサンバイザー、専用ファブリックシート/トリム、マーメイドブルー・エンジェルピンクの専用色追加。
JW3・JA2・JW4・JA3
1990年、そして規格は660ccへと格上げされる。
搭載されるのはE05Aを排気量拡大したE07Aエンジン。
エンジンも排気量拡大に伴いバンが42ps、インジェクションが52psと軽く10馬力の性能アップを実現。ボディは全幅据え置きで全長が100mm延長され、Fオーバーハング&バンパーの拡大で対応。
グレード構成も一部見直され、軽自動車の主役が乗用モデルへと移行したのを契機にそれまでバングレードの中堅を担ってきたmが消滅し、それまで度々限定車として出てきたポシェットがカタログモデルとして浮上グレード名の最後に「l(エル)」の有無でバンか乗用かを見分ける。よってバンモデルは上からRi-z、G、ポシェットl、Fという構成に。乗用グレードはm相当のXEが廃止され、上からXTi、XG、ポシェット、XL、のラインナップに。インテリアやメカニズム的に目新しい物はないものの、1ヶ月遅れで新たに4WDモデルが追加されているのが660となってからの特徴である。4WDのみシャフトの逃げでセンタートンネルが二駆モデルの物より大型化されている専用フロアで、サスペンションも四輪独立懸架となっている。おかげでトランクルームにはストラットハウスの出現でバングレードの場合フラットで縦横に広いというトゥデイにのメリットが犠牲になっている感もある。四駆モデルにもバンと乗用モデルそれぞれがラインナップされており、乗用モデルにはインジェクションエンジンの設定まである。バンモデルはQF、シーズンlの2グレード、乗用モデルはシーズンとQXiの2グレードである。四駆インジェクションモデルのQXiですらリアにはスタビライザーはない。というか、むしろ付けらるようなスペースすら見当たらない。
660規格に移行してS社から背の高い軽自動車が出てきたおかげで、さらには企画移行前後でFMCしたアルトやミラ等の競合車種の商品価値が上がり、しかしトゥデイの価格帯が若干高かったのもネックで商品競争力が低下し、末期は苦戦していた感じである。
1985年から基本デザインを変更することなく続いてきたトゥデイもついに1993年に本格フルモデルチェンジ。
初代からのダブルリンクワイパーや、ドでかいフロントウィンドウ、ボンネットからルーフまで伸びるワンモーションフォルムなどを継承し、顔つきは丸目へと逆戻り。フルモデルチェンジに際して2ドアのデビューから4ヶ月遅れではあるもののついにアソシエのサブネームとともに4ドアモデルが追加、そしてエンジンが全グレードインジェクション化。それでも足回りなど基本構造となる部分は初代の物を流用してコストダウンを図っている。
インテリアの方はすばらしくプラスチッキーで、同年代のホンダ車同様すごく安っぽい感じの仕上がりになっており、この頃ぐらいから安っぽいホンダの内装の悪しき伝統が始まったと思われる。
メカニズムはスタンダードモデルは全グレードPGM-Fiとなり、先代のPGM-Fi搭載のXTiと比べたら出力はダウンしているが、スタンダードモデルとしては馬力アップを果たし48ps/6300rpm、5.8kg-m/5500rpm。スポーツモデルにいたってはビート用MTRECエンジンを58ps/7300rpm、6.1kg-m/6200rpmへデチューンして搭載。
で、このモデル、発売当初から結構な問題点が。2ドアモデルのサイドまで回りこんだリアウィンドウを考えると一発で理解できると思うが、ハッチゲート持ってないセミノッチバックスタイルで登場。
当時のホンダ研究員がユーザー調査をした結果、乗員も少なく、トランクを使う頻度も少ないのでセミノッチバックスタイル、つまりハッチゲートを備えたトランクじゃなくても十分だろうという結果になり、初代ミニと同じく独立したトランクルームを持つセミ3ボックスともいえるようなスタイルとなった。リアシートを倒して長尺物を入れることは可能だが、前述のとおり開口部が狭いので大きな荷物の出し入れには向かない。4ドアも同様だ。そんな狭いトランクルームであるにもかかわらず一部グレードにOP設定たれたABSを選択するとABS制御ユニットがその狭いトランクルームに設置されるため余計狭くなり、余計ユーザーからの不評を招いた。
おまけに新規追加されたユーザー待望の4ドアモデルだが、リアウィンドウはデザインのためバーを持たないので全部開くことなく2/3開いたところで止まり、なおかつフロントはパワーウィンドウでもリアは全グレードもれなくパワー(が要る)ウィンドウというユーザーを馬鹿にしたような内容である。
グレード構成は2ドアが上からXi、ポシェット、Mi、4ドアがXi、Gi、Miとなり、四駆はどちらもQiとなる。ちなみにMiだが、1年程度で名称がJiに2/4ドア共変更されている。
しかし、さすがに当時RVブームとはいえポシェットにツートンカラーの限定車(VersionII)やら出しては見たものの、基本的な使い勝手の改善にまで至ってないことに対する市場と販売の不満が相当大きく96年にビッグマイナーチェンジで後期型へ。ちゃんとしたハッチゲートを持つまともな方向になり、エクステリアハッチゲート化したリア周りはもちろんFバンパーに小変更が加えられてこざっぱりした印象の意匠へ変更。だが若干手遅れだった感は否めない。
グレード系譜も3ドアがos、5ドアがofと分かりやすくなった。前期型では4ドアにも設定があったMTREC搭載グレードが後期になり廃止、初代からあったポシェットもここでその名前が途絶えてしまう。ホンダのことだからそのうちスクーターかなんかの名前で使われてそうだが。
2代目となり、バンモデルがなくなり他社へ流れるユーザーが出るのを防ぐためにバンモデルのみ初代のJW3、JW4を継続販売。未だに初代を街で見かけるというのはこうした理由からである。
完全商用向けのPRO(F、QP)飲み当初設定されていたが、あまりにも主力のJA4の売れ行きが落ち込んでいたために日常ユース向けのハミング(X、QX)がJA4デビュー1年後の94年に追加される。
それでもやはり販売面ではハミングが装備的に大差がないのにJA4よりも安く実用的で、デビューと同時に大コケした主力の2代目トゥデイをも凌ぐ売り上げをみせ、軽自動車規格変更前年の98年まで改良されつつ販売されていた。
一応フォローしておくが、JA4トゥデイもデビュー年の1993年のグッドデザインは受賞している。さらに、メーカー公式の0-400mタイムの記録は後期Rs(3ドアMTREC)が本格軽スポーツスズキカプチーノより速いというミラクルを起こし(=同エンジン搭載のビートより速い)、同時にNA軽自動車最速の名を手にしている。
トゥデイといえば切っても切れない話題なのがモータスポーツでの活躍である。
初代モデルは軽量低全高、さらにはNAエンジン最強のE0#Aエンジンの組み合わせは最新軽自動車や、同時期ライバル視されにくかったアルトワークスや、ミラアヴァンツァートも適わない程の戦闘力で、レースによっては出場禁止車両にノミネートされるほどだ。
販売面では不評だったJA4前期型の2/4ドアモデルも、不評の原因であったハッチゲートを持たないボディは開口部が少なく、結果剛性アップにつながり耐久レースなどでは両モデルとも甲乙つけがたいベース車両として格好の素材としてもてはやされているのが現実で、オークションなどでも人気のある組み合わせ(MTREC+MTなど)、は気軽に手出しできない値段で取引されている。
特殊な例で完成度の高いレース車両がポルシェを散々煽り倒して抜いていったりロータスエキシージをコーナーのアウトから抜いていったりするような兵となっており、再度ひそかに人気は出ているようである。しかし、特殊な例なのである。どう考えてもシビックを買った方が普通に速い。
ホンダといえば全く部品を作らないということで有名だが、初代だろうと2代目だろうと当然トゥデイもその例に漏れず、さらには年度改良などで年式によって部品が合わない等ホンダイズム全開というのもあり、うかつに手を出すと金だけが飛んでいき、遊ぶまで手が回らなくなる可能性が非常に高い。