概要*
単行本は全9巻、文庫は全6巻。
老朽下宿で四畳半の部屋を借りて極貧生活を送る主人公・大山昇太(のぼった)と、彼を取り巻く人々の生活を描く。彼の部屋の押し入れにはサルマタが山積みされており、碌に洗濯をしないため雨が降れば「サルマタケ」と呼ばれるキノコが生えるほど。あまりの貧困のゆえ、サルマタケは食用にされる。なお松本零士は実際にサルマタにキノコが生えたことがあり、それを料理してちばてつやにふるまった事がある。図鑑で調べたところ、このキノコは食用のヒトヨタケだったそうである。
大まかには日常物に分類されるが、独特の雰囲気が有り「四畳半モノ」との独自ジャンルと見做される。
本作は、本郷の山越館に下宿していた松本零士の回想録であるとみなされる場合もあり、作者の人間観を強く現わしている作品と考えられることもある。
80年代に一度実写版映画化の話があったが、主演の予定の配役が郷ひろみだったため、松本が「郷さんには申し訳ないが」と前置きした上、「昇太はいつも郷ひろみのような二枚目を『ちきしょーちきしょー』とくやしがっていたのにそれじゃあ、あまりに昇太が可哀相だ」と納得しなかったため中止となった、英断である。
一応後に『男おいどん』と同じ四畳半シリーズの『元祖・大四畳半大物語』が原作そのままのイメージで山口洋司主演により実写化していたりはする。