概要
ハラタケ目ナヨタケ科ヒトヨタケ属のキノコの一種。以前はヒトヨタケ科に属するとされていたが、ヒトヨタケ科の再編に伴ってナヨタケ科へと移行されて、種小名も変更されたという経緯を持つ。
春から秋に広葉樹の枯れ木や埋もれ木に発生するキノコで、傘の直径が5~8cmの灰色で細かい鱗片がり、初めは卵型をしているが、成長するにつれてだんだんと縁が反転して円錐型となって行き、最終的には縁の部分が反り返る。また、ヒダの部分ははじめは白色だが、胞子が成熟するにしたがって胞子自体の着色により黒色へと変化して行く。
そしてこのキノコの最大の特徴として漢字で“一夜茸”と書かれる通り、成長すると最終的に黒に使い色へと変色して傘もヒダも自己消化で液化して遂には柄の部分のみを残して一夜で黒い液体となって溶けてしまうという風変わりな性質を持っており、この性質からこの名前が付いたという経緯があるらしい。
なお、溶ける前の幼菌は食べる事ができ、かの漫画家の松本零士氏が昔押し入れにしまっていた大量のパンツにこれの近縁種が生えて来ていたので、「さるまたけ」と名付けて漫画作品の題材にしたことや、ちばてつや氏に食べさせたというエピソードが有名かもしれない。
ちなみに文献によれば味は美味いらしい。
調理方法はさっと茹でてねぎぬたや三杯酢、山椒やゆずの香の吸い物にしたり、油との相性が良いので、肉とのバター炒めにしても良いらしい。
ただし、このキノコを単体で食べる分には何の問題も無いのだが、“コプリン”というアルコールと同時に摂取すると中毒症状を起こす成分が入っている為、食べる前後にアルコール類やそれらが含まれているものを摂取するとヤバいので注意が必要(ちなみに体内に一週間程コプリンが残っているらしいので、少なくとも一週間は飲酒しない方が良いらしい)。