曖昧さ回避
- (拉麺)中国語で生地を手で引き延ばして作る麺。いわば中国料理における「手延べ」麺のことである。
- (拉麺)日本において、中華麺を使った汁そば。名前は1.を踏まえたものだが、大体は製麺機で製造しており手延べ麺ではない。本項で詳述。
- (Ramen)ジョーク宗教「空飛ぶスパゲッティ・モンスター教」(スパモン教)における祈りの台詞。「アーメン」のパロディ。
- (Rahmen)ドイツ語で「額縁」の意。長方形の剛接合構造を指す。ラーメン構造で詳述。
🍜概要
中華麺を使った汁麺(麺がスープに浸かった料理)。中国料理のバリエーションの一つであったかん水を使った小麦粉麺が取り入れられ、日本独自の発展を遂げた。かん水を使っているために強いコシと独自の風味を持つ。
近年は日本のラーメンも中華圏に逆輸出され日式拉麺の名で人気だが、中国語で拉麺(拉面)は「長く伸ばした麵」と言う意味なので、日本のラーメンのように製麺機で作ったものは拉麺には当てはまらない(現地ではそうしたツッコミもある模様)。
ヨーロッパ各地でも日本食として人気を誇り、多数の店舗が展開している。北米でも「Chinese noodle」と直訳するよりも「ramen」の方が通じるほどの知名度を持つ。韓国でラーメンはもっぱら「インスタントラーメン」を指し、飲食店で出されるのも即席麺を調理したものが多い。日本でも韓国製の激辛「韓国ラーメン」が人気を呼んでいる。
ラーメンから派生したものとして、ざる蕎麦の要領で食べるつけ麺、濃厚で少ないスープに麺や具材を絡めたまぜそばというものもある。同様に中華麺を使った冷やし中華や焼きそばはラーメンとは別物と認識されているが、冷やし中華を「冷やしラーメン」と呼称する地域もある。
🍜ラーメンのルーツ
今でこそ日本料理のような顔をしているラーメンだが、かつて「中華そば」と呼ばれたようにそのルーツは明らかに中国にある。日本のJAS規格ではかん水入りの小麦粉麺を「中華麺」としているが、これが中国の麺の特徴というわけでもなく、かん水入りのあの黄色い麺を使った汁そばはあくまで中国麺料理の一種でしかない。
麺食文化発祥の地・中国の麺の多様性は日本の到底及ぶところではない。素材は小麦粉・米粉(ライスヌードル)・緑豆でんぷん(粉条)などがあり(日本の蕎麦や朝鮮半島の冷麺ほどメジャーではないものの蕎麦粉を使った麺もある)、麺の作り方でも生地を包丁で削いで作る刀削麺、揚げて作る伊府麺など種類がおびただしい。ジャージャー麺のように汁なしのタレで食べさせるものもあれば、スープがなみなみと注がれた麺もあり、かん水入りの汁麺である「蘭州拉麺」は日本人が食べたらラーメンの一種と認識するだろう(2017年に本場から東京に進出した店は、「蘭州ラーメン」を称している)。
🍜日式拉麺の特徴
- スープがなみなみと注がれている。(麺一玉がちょうど埋まる量)
- 麺は原則としてかん水を使った中華麺。ちじれ麺や平麺などの種類があり、スープとの相性が考慮されている。
- スープは江戸前の蕎麦における「出汁」と「かえし」のように、旨味のベースである狭義の「スープ」と塩味のベースである「タレ」を丼内で混ぜて作られる事が多い。なお、醤油ラーメンの場合は煮豚式のチャーシューを作った際の醤油ダレをスープのタレとして流用する事が多い。
……などなど。味は中国伝来ベースの醤油と塩、日本独自の味噌などが標準的。
スープの出汁は香味野菜をベースに、鶏がら・魚介・とんこつを主に使い、西洋のスープのベースである「フォンド・ボー」のように長時間にわたって煮出していくのがほとんどである。
具は焼豚(チャーシュー)、ネギ、もやし、わかめ、なると、メンマなど。特に肉類・なると・メンマは、ラーメンの具材としてもっとも想起されやすい。
そして現在では御当地ラーメンという、各地で独自の進化を遂げたラーメンが全国に存在する。
一絡げに“ラーメン”と言っても、もはやその広がりはただの麺料理に止まらず、既に「ラーメン」というジャンルとして確立してしまっているのだ。
🍜歴史
江戸時代初期の万治2年(1659年)に、明国から日本へ亡命してきた儒学者・朱舜水が、水戸藩に招かれた際の所持品の中に、中華麺を作る際に使う道具を持っていたという記録がある。
更には元禄10年(1697年)において、光圀が隠居していた西山荘を訪れた僧や家臣らに対し、中華麺がふるまわれたという記録もあり、新横浜にあるラーメン博物館にはこの説に基づき復元した拉麺もある。
2017年になって京都相国寺鹿苑院 (ろくおんいん) 内にて保管されていた蔭涼軒主の日記『蔭涼軒日録』の中に、長享2年(1488年)に材料として小麦粉とかん水を使う「経帯麺」という料理を調理し来客に振舞ったという記述が確認された。
明治時代以降には、中国からの帰省者が伝播して「支那そば」「南京そば」といった名称で、中華料理店の登場と共に日本に根付いていった。北海道では、辛亥革命を契機に渡来した中国の留学生や労働者がもたらしたともされ、前述のラーメンの語源の逸話があるように、札幌市周辺でいち早くラーメンが根付いていった。
関東大震災以後は、被災者へ格安でラーメンを提供する者が続出し、被災者の再就職先として屋台を牽いてのラーメン販売が推奨された。ここを契機に、ラーメンは全国の大都市を中心に普及し、これに伴ってバリエーション豊かな味付けや具のトッピングが進化していく。太平洋戦争敗戦後の闇市などでも、ラーメン屋台は人気の飲食店として、明日をも知れぬ人々の活力源や再就職先なって戦後復興を支えていった。
インスタントラーメンが出回るようになったのは昭和30年代。一般的に言われている元祖は日清食品のチキンラーメンであった…とされているが、実は同種の製品はそれ以前にも存在していた(安藤百福の記事を参照)。
平成に入ると、テレビを中心としたメディア媒体がこぞって取材・拡散したことで、日本中に一攫千金の夢を追う「ラーメンドリーム」取り憑かれる若者たちが急増。それまで各地の水面下でしたたかに鎬を削っていたラーメン屋は一気に檜舞台へと駆け上がり、中華料理店の一軍コンテンツからラーメン単独で勝負に出られるようになった。
特に平成後半期は家系ラーメン・二郎系ラーメンが幅を利かせるようになり、その方面のラーメンファンはカルト染みた熱を帯びるようになる。しかしそれも令和時代に突入すると小康状態に移行。
そこにコロナ禍による外遊自粛、追い討ちをかけるようにロシアのウクライナ侵攻に端を発する原材料費の急騰と世界規模の経済不振と、業界全体が経営難に喘ぐようになる。
そして「ラーメン=格安グルメ」の図式に亀裂が生じ、平成ブーム期の1杯600円代だったラーメンは、徐々に価格を上げて800〜1,000円に到達するようになった。
🍜ご当地ラーメン
沖縄県以外の全国にご当地ラーメンがある。沖縄にご当地ラーメンがない(沖縄ラーメンを謳った店舗はあるが、定着しているとは言い難い)のは当地が沖縄そばの文化圏であるためで、これも中国由来のかん水を使った汁麺であるため、本土のラーメンとは類縁関係にある。
北海道
東北
関東
中部
近畿
中国・四国
九州
🍜余談
中国人から見ると日本の餃子は理解しがたいものであるが、日式のラーメンは邪道かと言うとそんなことはなくむしろ中国人からのウケは良く、とあるバラエティ番組では中国出身者が口を揃えて(蕎麦の様な敢えて啜る日本式の食べ方を含めて)「(日本の)ラーメンは好き」と評したり、トリビアの泉では中国料理人の間で日清のシーフードヌードルが「一番美味いカップ麺」に選ばれるなど、お互いのラーメン事情に関しては好意的である。但し、三種の基本である醤油・味噌・塩味に対しては中国人から見れば在り来たりで物足りないとのことで、本来の中華料理の製法にないとんこつラーメンなどのこってり系の方が好まれる傾向にある。
🍜関連する人物・キャラや作品
人物・キャラ
綾波レイ→にんにくラーメンチャーシュー抜き:『新世紀エヴァンゲリオン』
円城寺道流→男道らーめん:『アイドルマスターSideM』
芹沢達也→ラーメンハゲ:『ラーメン発見伝』&『らーめん才遊記』&『らーめん再遊記』
華満らん(キュアヤムヤム)→ぱんだ軒:『デリシャスパーティ♡プリキュア』
ラーゼン→シオンに間違えて名前を覚えられていた事がある。:『転生したらスライムだった件』
作品
- 『クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ~拉麺大乱~』
- 『だがしかし』:ラーメンの駄菓子「ブタメン」について語るシーンがある。更に別の回では、ラーメン風な食べ方も出来る東京拉麺の「ペペロンチーノ」も紹介している。
- 『闘将!!拉麺男』
- 『猫ラーメン』
- 『博多豚骨ラーメンズ』
- 『ラーメン赤猫』
- 『ラーメン大好き小泉さん』
- 『ラーメン天使プリティメンマ』:『げんしけん』に登場した作品(劇中劇)、のちに単体で漫画化されている。
- 『ラーメン発見伝』:続編に『らーめん才遊記』と『らーめん再遊記』がある。
🍜好物なキャラクター
※派生料理を好物とするキャラクターもここに含める。
🍜関連イラスト
- オリジナル(料理だけ)
- オリジナル(人物あり)
- 版権
🍜関連タグ
麺類 つけ麺 サイミン 中華料理 中国料理 日本料理 韓国料理
醤油ラーメン 味噌ラーメン 塩ラーメン とんこつラーメン チャーシューメン にんにくラーメン チョコレートラーメン ネギラーメン 酸辣湯麺
インスタントラーメン カップラーメン / カップ麺 / カップヌードル
ラー活:ラーメンを愛する活動。休日も平日もラーメンを食べることに努めること。ラーメンの無限の可能性を追究すること。
朝ラーメン:朝からラーメンを食べる習慣をいう。「朝ラー」と略される場合もある。
ラーメン&キャラクター
「ベビースターラーメン」:ベビーちゃん&ベイちゃん&ビーちゃん&ホシオくん
関連する実在の人物
王貞治……実家が中華料理店だった。
狩野英孝……持ちネタ「ラーメン・つけ麺・ボクイケメン」
元木大介…ラーメン屋を経営していた時期がある。
HIKAKIN…自らのラーメンブランド「みそきん」を立ち上げた。
中国料理と関係する日本の麺文化
担担麺 まぜそば 油そば 沖縄そば 焼きそば 冷やし中華 ビーフン ちゃんぽん
🍜関連特集
歴代グルメ系イラストでもトップクラスの特集回数を誇る。
さすが麺馬鹿大国ニッポン。
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