とんこつラーメン
とんこつらーめん
豚骨自体は全国のラーメン店で普通に使用されているメジャーな出汁の材料だが、九州ラーメンでは強火で沸騰させた湯で豚骨を煮てゼラチン成分を溶け出させ、白濁したスープにする。また、豚骨スープに「継ぎ足し」という製法を用いるため、周辺への臭気公害が問題となるほどである。このため「九州ラーメン=豚骨ラーメン」の印象が強い。
元々は澄んだタイプのスープ即ち塩ラーメンの部類であったが、後述の久留米ラーメンの誕生のきっかけが、原初の製法を手違いで煮炊き過ぎた事で生まれたとされ、失敗したと思われたが飲んでみると意外や意外な濃厚な味わいとなった事から現在の豚骨ラーメンのルーツになり九州内で一部を除き広まったという。また、出汁の原料となる豚骨は下処理の具合(骨の血抜き等)で匂いが左右される。
人によっては豚骨ラーメンの匂いで好き嫌いが分かれる為、クセのあるラーメンの部類に入る。豚骨ラーメンに不慣れな初心者がいきなり久留米ラーメンを食べると結構キツいかもしれない。
自由にトッピングできるものに「紅しょうが」「辛子高菜」「すりゴマ」があり、紅しょうがは豚骨の臭みをやわらげる効果がある。
九州のご当地ラーメン。
- 久留米ラーメン「三九」の白濁した塩豚骨スープは九州ラーメン全般に影響を与えた。
- 極細麺の使用、麺の硬さ指定、替え玉などは長浜ラーメンから始まり、九州ラーメン全般に広まった。
- 博多ラーメンを表現したインスタントラーメンには「うまかっちゃん」(ハウス食品)などがある。
- 熊本ラーメンでは豚骨と鶏ガラを併せた塩味のスープを使用する。具にキクラゲを使用する事が多い。
- 鹿児島ラーメンも豚骨ベースのスープを使用するが、久留米ラーメンの影響を受けておらず、白濁させていない店も多い。味付けも塩、味噌、醤油と様々。
- 和歌山ラーメンでは豚骨醤油スープを使用するが、「車庫前系」はあっさり、「井出系」は強く炊いた白濁スープ。
- 広島ラーメンは豚骨と魚介の出汁を併せたスープを使用。
- 中華そば青葉や寿がきやのラーメンは豚骨と魚介の出汁を併せたスープを使用。
- 徳島ラーメンには「白」・「黒」・「黄」の三系統があり、「白」は強く炊いて白濁させた豚骨スープ、「黒」は「白」に醤油を加えた豚骨醤油スープ、「黄」はオーソドックスな中華そばの澄んだスープを使用する。
- 家系ラーメンでは豚骨を中心に野菜、果物を加え、強く炊いて白濁させ、醤油、鶏脂が加えられたスープを使用。味は濃厚で、醤油の濃淡、脂の多少を指定出来る店が多い。
- ラーメン二郎は強く炊いて白濁させた豚骨スープを使用しているが、途中から投入する豚肉からの出汁がメインとなっている。
棒ラーメンで知られるマルタイの『九州屋台ラーメン』がとんこつ味即席麵の、ハウス食品の『うまかっちゃん』がご当地袋麺のパイオニアとして存在しており、とんこつラーメンを全国に知らしめることに一翼を担っている。
カップ麺ではサンポー食品の『元祖焼豚ラーメン』がご当地カップ麺となる。
東洋水産の『ホットヌードル』『ごつ盛り』『QUTTA』、エースコックの『スーパーカップ』などカップラーメンとして販売されているとんこつラーメンの多くはイメージカラーに緑を採用していることが多い。九州ラーメン全体に共通する青ネギのイメージだと思われる。