解説
東京都港区三田、慶應義塾大学キャンパス正門付近に本店を構えるラーメン店。
創業当初は目黒区にあったが、1970年代前半に三田へ移転、その後付近の大学生達を中心に熱狂的な支持を集める。昼休み時に多くの学生やサラリーマン達が店舗前で長蛇の列をなす様は、もはや地元ではおなじみの光景となっている。
なお元々の店舗名称は当時流行っていたインスタントラーメン「ラーメン太郎」にあやかり「ラーメン次郎」だったのだが、この移転の際にペンキ屋が看板を間違えて「二郎」と書いてしまったことから以降この名前で通しているという逸話がある。
かつては本店の他、暖簾分けを許された店が都内近郊に数店舗存在するのみの「知る人ぞ知る」存在だったのだが(この頃はまだ現在のような姿ではなく、濃い味の大盛細麺ラーメンといった感じであった)、1990年代後半あたりからその店舗数が急激に増加(学生時代に通い詰め、その味に惚れ込んで修行した弟子達が、ちょうどこの頃から一気に独立を果たしたため)。折しものインターネットブームとも相まって、「二郎」の名は口コミを中心に全国に広まることとなった。
現在では都内を中心に北海道から京都まで40店舗以上を構える他、二郎に触発された亜流店(「二郎インスパイア系」などとも称される)も数多く存在する。
特徴
「ワシワシ」という食感で表現される極太麺の上に、厚切りのチャーシューや野菜など各種トッピングを山のように聳え立たせた、良く言えば大胆、悪く言えば大雑把なラーメンで有名。熱烈なファン(ジロリアン)を持つ一方で、見た目の汚さや独特の店の雰囲気から敬遠する人も多い。しかしそのボリューム故に圧倒的コストパフォーマンスを誇るのは事実であり、その極端な味や外見は大いに話のタネになる。興味がある方はぜひ一度賞味してほしい。
なお、そのあまりのボリュームに、初心者が安全に食べ切るための「攻略法」が研究されている。
注文から提供までが非常にスピーディーな店舗がほとんどである。また、客の回転効率を重視しており、独特の注文・提供方法(後述)が存在する。スタッフ・客が一丸となって効率を高めるよう努力しているためか、一般的なラーメン店とは少々雰囲気が異なる。
――二郎はラーメンではない、二郎という独自の食べ物だ。
客同士は殺すか殺されるかの殺伐とした状況であり、何時ケンカが始まっても
おかしくないので、素人には勧められない。――
(↑※しばしばファンの間でネタにされるコピペだが、これは半分ウソで半分ホント。ケンカは始まらないけど殺伐とした雰囲気の店舗も有るには有る。)
味付けなど
- スープは濃厚な豚骨醤油味。店によって醤油が強い所もある。
- 麺は基本的に自家製の極太ちぢれ麺。「オーション」という強力粉を使っている。うどんと見紛う如きの太さだが、れっきとした中華麺である。そのコシの強さと腹持ちの良さは推して知るべし。
- なお極太麺ゆえ、すごい速度でスープを吸って伸びるので注意。
- チャーシュー(二郎では「豚(ぶた)」と呼称)は一般的な薄切りではなく、角煮やサイコロステーキのように立体的な塊状に裁断されたもの。勿体ぶらずに最初に豚を食べないと、その圧倒的質量を麺でいっぱいの胃に納めることはできないので注意しよう。
- 豚入りラーメンは別に食券が用意されているか、豚増し食券があるのでそれを購入しよう。ただし人気なので開店直後に売り切れること多々有り。売切でもガッカリしないこと。
- 無料トッピングはヤサイ(キャベツともやし)、そしてニンニク。またアブラ(豚の背脂)とカラメ(醤油)も調節可能。店舗によっては唐辛子や紅生姜、生卵等を置いている所もある。
- 一般的なラーメン店とは違い、初めからトッピングの有無でメニューが分かれているわけではなく、ラーメン提供の直前(店によっては食券提出時)にトッピングの有無およびその量を口頭で伝える必要がある(これを俗に「コール」と呼ぶ)。
- なお豚は無料ではなく、上述の通り食券購入時点であらかじめその有無と量が決まっている。間違ってもトッピングを聞かれたときに豚マシコールはしてはいけない。
- サイズは主に「小」「大」の2種類(小・大ではなくラーメン・大ラーメンと表記する店舗もあり)。ただ、元々創業者のおやっさんが「学生達に安い料金で腹一杯食べて欲しい」という思いを込めて開かれた店なので、「小」でも一般的なラーメン店の大盛と同等かそれ以上のボリュームを誇る。注文するサイズは自身の懐具合よりも胃腸の具合と相談して決めよう。
尚、最近では店の前で吐いていたり、写真だけとってまともに食べずに帰る客が増加したせいか、「『マシ』がない」「ミニや麺半分といった、小よりも少ない量」を提供している店も多い。
前述の通り、小でも成人男性が苦戦するほどの量があるため、初めて食べる場合は来店の前に一度調べて、できることなら量を少なくして食べることをお勧めする。
- 一杯あたりのカロリー、塩分、糖分、脂分、コレステロール等はお察しください。
コールについて
上記のような一風変わったトッピング注文システムを採用している関係で、店内ではしばしば常連客と店員の間に「ヤサイマシマシアブラカラメ」、「ニンニクマシアブラ」のような専門用語が飛び交う。こうした返答方法をマスターしなければ二郎には行けない、と誤解している人も頻繁に見受けられるが、もちろんそんな事はなく、店ごとの言い方は確かに存在するものの言い方を間違えたところで追い出されなどしない。トッピングに関しての取り決めやそれに違反した際のペナルティなどは、あくまで「インターネット上のネタ」であり、些細な齟齬から一見客を蹴り出すような狭量な事はまず無い。気にせず自分好みのトッピングを頼もう。
なお、無料トッピングのマシマシをやっていない(言ってもスルーされる)店舗もある。(松戸・相模大野など)初めて行く店舗は事前の調査が欠かせない。
基本のトッピングは「ニンニク」「ヤサイ」「アブラ(背脂)」「カラメ(追い醤油)」であり、店員は「ニンニク入れますか」と聞いてくる(これは、本店に通っていた常連が「このラーメンにはニンニクが合うから入れようよ」と店主に言ったことが由来)。ヤサイはマシにしてしまうと300gほど足される店舗もある(ちなみに、人間の胃袋が満腹を感じるのがそれくらいとされている)ため、最初は「普通で」や「大丈夫です」と言おう。マシやその他のコールを入れるのは、まずその店に通えるかを見極めてからである。
食事の際のマナー
無理に早食いする必要もないが、多くの二郎は常に行列ができているため、食べ終わったら速やかに席を立つべき。勿論、食べ終えた後で長話をするなどもってのほかである。ただしこれらは二郎に限った話ではなく、こういった飲食店では待っている方々の事も考え、なるべく長居しないように行動するのがマナーである。
関連動画
ラーメン二郎に行ってみよう「これはラーメンじゃない!」
ラーメン二郎本無許可出版事件
2013年9月、お笑いコンビのしずる・村上純が「ラーメン二郎本」を無許可で出版し、発売日に報告を受けた三田本店店主が激怒、「担当弁護士に話を通せ」と立腹するという事件が起きた(仮に裁判になると、無断で撮影した二郎の写真を掲載してる時点で二郎側が損害賠償を請求できる可能性が高い)。
「事後承諾すれば何でも許されるか」「反省しないどころかツイッターで宣伝してる。早く謝罪しろ」というジロリアンからの批難の声がラーメン二郎専用の掲示板に殺到したが突然閉鎖された(某所からの圧力をかけたからという噂あり)。
本書は『人生で大切なことはラーメン二郎に学んだ』というタイトルだが、村上は皮肉にも「前もって許可を取らなくてはいけない事」を学ぶこととなった。
その後密かに和解して裁判沙汰にはならなかったが(密か過ぎて未だに決着してないと思われがちである)村上側からの謝罪のコメントは一切無く、ジロリアンから延々と嫌われている。
ただし、許可を得るのであれば村上だけでなく出版元が対応すべきであり、事件が報道された際に、しずるが所属するよしもとクリエイティブ・エージェンシー(現:吉本興業東京本社)は「光文社(出版元)が本の出版前に二郎側に許諾を取り付けるはずだったのに、何らかの理由でそれができていなかった」とコメントしている。そのため、もし吉本側の説明が正しければ、村上に大きな非はなく、出版元と二郎側のトラブルという面が大きいと考えられる。
とはいえ仮に出版元が村上の顔に泥を塗った事が事実だとしても店側からすれば事前の合意もなく書籍化されたら怒るのは当然だということに変わりはない。
そもそも店主の人柄からして他社の宣伝に勝手に利用されること自体好ましくないのは暗黙の了解であることも批判に晒される要因といえる。
漫画やアニメなどでの登場
『ミスター味っ子』におけるラーメン二郎
店舗が別の場所にあった1986年頃に『ミスター味っ子』第2話の扉絵でぶたダブルが描かれている。ちなみに作者の寺沢大介は慶應大学卒で、学生時代からラーメン二郎に通っている生粋のジロリアンである。
『THE iDOLM@STER』におけるラーメン二郎
テレビアニメ版15話に、ラーメン二郎が元ネタと思われる「ラーメン二十郎」が登場。「らぁめん」好きの四条貴音が実食した。この時の注文は「メンカタカラメヤサイダブルニンニクアブラマシマシ」とのことだが、実際の店舗での注文方法とは少し異なり、「メンカタ」ではなく「麺かため」、「ダブル」と「マシマシ」が混在している、「カラメ」「ヤサイ」「ニンニク」「アブラ」の注文の順番が入れ替わっている(「ニンニク入れますか?」と聞かれてからニンニク→ヤサイ→カラメ/アブラについて注文することがほとんど)などの違いがジロリアンたちから指摘されている。ただし、本編では「テレビ番組の取材」という場面のため、注文自体もある程度「フリ」であるとも考えられる。
なお、貴音はこれを食べ切り、さらに同じものを注文した双海亜美・真美が食べ切れなかった分も食べていた。
『ラーメン大好き小泉さん』におけるラーメン二郎
漫画とアニメは一話に三田本店(ただし店名は出てない)が登場し、TVドラマ版は同じく一話に八王子野猿街道店2が登場した。TVドラマ版では二郎の特殊なシステムやルールを親切にわかりやすく紹介しており、ジロリアンからも概ね好評価された。
『うまよん』におけるラーメン二郎
テレビアニメ版5話にラーメン二郎が元ネタと思われる「ラーメン三ハロン」が登場。スペシャルウィーク・オグリキャップ・タイキシャトルがラーメンを食べた。第2Rラーメン杯G2として実況と解説もあったが、実際は勝負でなく仲良くラーメンを食べたというオチだった。
社訓
本店の創業者による以下の社訓が存在し、各店舗内に掲げられている。
- 一、清く正しく美しく、散歩に読書にニコニコ貯金、週末は釣り、ゴルフ、写経
- 二、世のため人のため社会のため
- 三、Love & Peace & Togetherness
- 四、ごめんなさい、ひとこと言えるその勇気
- 五、味の乱れは心の乱れ、心の乱れは家庭の乱れ、家庭の乱れは社会の乱れ、社会の乱れは国の乱れ、国の乱れは宇宙の乱れ
- 六、ニンニク入れますか?
――ラーメン二郎 三田本店 社訓
関連作品
関連タグ
四条貴音 ラーメン大好き小泉さん 野増菜かなで エレメンタルプリミティブドラゴン
どん兵衛:こちらはカップうどんなのだが「どん二郎」というアレンジレシピが流行した為、日清食品がラブレターを送る展開になった。
ちいかわ:この店がモデルの「郎」という店が登場している。
二郎系:亜種