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概要編集

東京23区のひとつ。

2023年のデータによると面積では23区中16位、人口では15位、人口密度では7位。

東京都道420号鮫洲大山線の少し北あたりを境に北側にあった東京府荏原郡目黒町と、南側にあった同・碑衾町が、昭和7年(1932年)10月1日に合併して誕生。

江戸時代の目黒区域は江戸の端っこにあって将軍の広大な鷹狩り場があり(「鷹番」の地名が残る)、サンマではなく筍が名産だったりする、のどかな土地だった。

現代では芸能人やスポーツ選手など、有名人も多く居住し、青葉台をはじめとして高級住宅街の多いベッドタウンだが、鉄道空白地帯が多く陸の孤島のようになっているエリアも多い。ただしそれを補完するようにバス路線がかなり充実している。


JR山手線/東急目黒線/東京メトロ南北線目黒駅は品川区上大崎にあり、目黒区内にはない。東横線日比谷線の中目黒駅は目黒区上目黒にある。


目黒区総合庁舎(区役所)は上目黒の駒沢通り沿いに所在し、かつて千代田生命保険相互会社の本社ビルだった建物を改築・再利用している。移転以前は中央町にあった。


目黒区の地理編集

東京23区南西部に位置し、品川区大田区世田谷区渋谷区に隣接。

地図で見ると港区とも接しているように見えるが、実際はその間に渋谷区と品川区が南北から割り込むように挟まっていて、100メートルほどの距離が開いており接してはいない。

後述の川が刻んだ谷が、区内の至るところに見られる。目黒川が削った谷は特に深く、両岸は他の地域にもまして猛烈な急坂が非常に多い。落語「目黒のさんま」は、その急坂のひとつである茶屋坂が舞台のモデルであるとも言われる。


目黒区の河川・用水路編集

区内の河川は、現在は目黒川本流を除き、ほぼ暗渠化または緑道化されている。

  • 目黒川:蛇崩川・谷戸前川・羅漢寺川などの支流を持つ。詳細は目黒川を参照
  • 立会川:区内の碑文谷池・清水池が水源
  • 呑川:九品仏川・駒沢支流・柿の木坂支流・洗足流れなどの支流を持つ。映画「シン・ゴジラ」で、第2形態が遡上してきたのは、この川の大田区内の下流域

用水路として、区の北端から東部にかけて三田用水が、中部で品川用水が区内を通っていたが、すでに共に廃止されており、埋め立て・撤去などされたため痕跡もほとんど残っていない。三田用水は、いくつかの案内板で往時を偲ぶこともできる。


目黒区の道路網とバス路線――23区内で唯一、都バスがない編集

主要な道路では、区内を(少し反時計回りに傾くが)南北方向に山手通り・環状七号線が、東西方向に淡島通り・国道246号線(玉川通り)・駒沢通り・目黒通りがそれぞれ通る。

高速道路は玉川通りの上を首都高速3号渋谷線が、山手通りの地下を首都高速中央環状線が並行する。

首都高速2号目黒線は目黒区内を全く通らない。


目黒区は東急バスのお膝元で、本社が東山(ひがしやま。とうやまではない。最寄り駅は東急田園都市線池尻大橋駅)に所在し、区内を走る路線バスは、国道246号線沿いと淡島通り沿いを小田急バスが通る他は東急バスでほぼ独占し、上記の大通りをはじめとして区内を縦横無尽に走っている。

2024年3月からは東部地区地域交通バス(いわゆるコミュニティバス)、通称「さんまバス」が実証運行を開始。目黒区総合庁舎から目黒駅までの地域を、やけに複雑なルートで走っている。

区内には東急バス目黒営業所がある。首都高速大橋ジャンクションの場所には、かつては東急バス大橋営業所があった。


なお、渋72系統(渋谷駅東口〜五反田駅)のバスは目黒不動尊の境内を通過するが、毎月28日は目黒不動尊の縁日があり、多くの屋台が出るためバスが境内を通過できず、曜日を問わず一部区間が徒歩連絡となるので注意を要する(乗継券が配布される)。正月三が日にも同様の措置が取られる。


ところで、目黒区は現在23区で唯一、都バス路線が存在しない自治体でもある。

以前は東急バスとの共同運行による【東98】(東京駅丸の内南口〜東京タワー前〜目黒駅前〜等々力駅)が、目黒区内を横断していたが、2012年度末に都バスが撤退、東急バス単独運行となった。

この結果、都バスは目黒区内の路線がなくなり、現在は【品97】(品川駅前〜青山一丁目駅前〜新宿駅西口)の小滝橋自動車営業所杉並支所担当分の車両が、早朝に杉並支所から品川駅へ出庫もしくは、夜間に品川駅から杉並支所へ入庫する際に、山手通りを回送で通るのみである。ちなみに隣の世田谷区も、都バスは上記【東98】の撤退などもあって、停留所は【宿91】(新宿駅西口〜高円寺陸橋〜新代田駅前)が停車する3ヶ所だけ。

都バスには過去に目黒自動車営業所(品川自動車営業所目黒支所を経て、現在は港区へ移転し港南支所に改称)が目黒駅の東側、つまり品川区上大崎に所在していた。


目黒区の鉄道路線と駅編集

区内を走る鉄道路線および区内設置駅は以下の通り。


また、路面電車の東急玉川線が昭和44年まで玉川通りを走っていた他、同系列から東京都交通局に運行委託された中目黒線が昭和42年まで、明治通りから恵比寿駅を経由し、駒沢通りを通って山手通りとの交差点まで通じていた。


直通路線や乗り換えを駆使すれば、都心方面・横浜方面・渋谷・新宿・池袋から埼玉方面にも簡単に行くことができるので、利便性は高い。

しかし区の面積が狭いゆえか鉄道の通る場所のためなのか、区内に所在する駅数はたったの8駅しかなく、実は23区内では最少。他区所在駅から敷地が区を跨ぐ駅を抜いて数えたとしても、駅数が二桁に満たないのは目黒区のみである。

駅の位置関係上、区内のスポットであっても他区の駅から降りた方が近い場所も少なくない。たいていの駅はすぐ近くまでバスが来るようになっているので併用したい。

一方で中目黒駅や自由が丘駅のように、駅周辺に大きめの繁華街が形成されている駅もある。


JR線そのものが存在しない世田谷区とは異なり、区の東側の三田(「みた」。恵比寿ガーデンプレイスがある辺り)を貫くように山手線が通るが、JRの駅は区内には設置されていない。

東急田園都市線も、玉川通りの地下を通るだけで、区内に駅はない。ただし区内の地名「大橋」を冠した「池尻大橋駅」は、所在地こそ世田谷区だが敷地は目黒区内にもまたがっている。

東急目黒線はあまり目黒区内を通っておらず、区内所在の駅も洗足駅のみ。大岡山駅も洗足駅同様に目黒区内の地名を名乗っているが、所在地は大田区。目黒駅については前述の通り。

東京メトロ日比谷線は、かつては中目黒駅から東横線・菊名駅方面に直通運転していたが、現在は中目黒駅より先には行かず、同駅で折り返す。

東横線の都立大学駅と学芸大学駅は、過去に近隣に同名の大学が所在したことが駅名の由来だが、現在はどちらの大学も移転しており、付近には存在しない(学芸大学附属高校はある)。受験生が間違えることがあるようなので注意しよう。紛らわしいので駅名変更が検討されたこともあったが、既に広域地名として定着していることや、近隣住民の反対多数などの理由により、結局そのままになっている。

ちなみに、駒場東大前駅以外の駅は全て東急電鉄の管轄である。


参考:目黒区に近接した位置(区境から直線距離で概ね500m以内)にある駅編集


目黒区内の施設等編集

最北端の駒場に東京大学駒場地区キャンパス、南東部の下目黒には「江戸五色不動」のひとつ・目黒不動尊(瀧泉寺)や、寄生虫専門の博物館として著名な目黒寄生虫館がある。

また、戦前には目黒競馬場も存在したが、1933年に府中に移転して東京競馬場となった。

  • 東京大学駒場地区キャンパス
  • 東京科学大学(2024年9月までは東京工業大学)大岡山キャンパス
  • 目黒寄生虫館
  • 防衛省目黒地区:江戸幕府の火薬製造所に始まり、その後も海軍陸軍→海軍→英連邦占領軍→防衛庁→防衛省と所管が移っている。海軍時代には200mを超える長大な水槽を備え(現在も残っており、敷地外から建物を視認可能)、新型戦艦の模型を使った水流のテストなどを行なったという
  • 恵比寿ガーデンプレイス:サッポロビール恵比寿工場跡地。敷地の半分くらいは渋谷区
  • 目黒不動尊:本堂裏の墓地に「甘藷先生」として知られる青木昆陽の墓がある。別の墓地には北一輝の墓もある
  • カトリック碑文谷教会(サレジオ教会):著名人の結婚式で何度か話題になっている
  • 東京目黒美空ひばり記念館
  • 目黒鹿鳴館:多くの人気バンドを輩出しているライブハウス。移転予定あり
  • 駒場公園:旧前田家本邸、日本近代文学館が所在
  • 西郷山公園:西郷隆盛の弟・西郷従道の別邸跡
  • 都立林試の森公園:国の林業試験場だった場所を公園化。敷地の半分くらいは品川区
  • 駒沢オリンピック公園:1964年東京オリンピックの会場のひとつだった場所。またプロ野球北海道日本ハムファイターズの前身である東急フライヤーズ東映フライヤーズの本拠地であった「駒澤野球場」も存在していた。敷地の大半は世田谷区

目黒区内に本社がある企業編集

お菓子のホームラン王であるナボナで有名な亀屋万年堂は、創業地も総本店も目黒区自由が丘だが、「本社」は横浜にある。


目黒区とさんま祭りと気仙沼市編集

毎年秋になると、「目黒区民まつり」と称するイベントが、目黒川沿いの目黒区民センターおよび対岸の田道広場公園などを舞台に開催されるが、その一環として「目黒のさんま祭り」がある。1996年に始まり、最初は独立したイベントだったが、後に目黒区民まつりに組み込まれた。

以前は焼きたてのサンマを無料配布するという超大盤振る舞いイベントだったが、有名になり過ぎてあまりの混雑で収拾がつかなくなったのか、それとも他の理由があるのかは不明だが、最近はサンマを食べるためには事前申し込み必須、それも目黒区内在住者限定なので注意しておきたい。また、その年のサンマの漁獲状況によっては中止もあり得る。

目黒駅前(つまり品川区)でも、少し時期をずらして同様のイベントが開催されているが、こちらも最近はそもそもサンマの配布自体を取り止めている様子。


このサンマは、宮城県気仙沼市からの贈り物である(品川区のは岩手県宮古市)。

目黒区と気仙沼市は2010年から友好都市になっている。

その直後の東日本大震災で大きな被害を受けた時でさえも、美味しいサンマで気仙沼を知ってもらいたいという一心でサンマをはるばる目黒に届けてくださってきた、その気仙沼の人々の思いとサンマの命に感謝してサンマを食したいものである。

ちなみに、目黒区内の一部公共施設(福祉施設や小中学校など)の電力は、気仙沼の電力会社から購入されている(リンクは2018年の記事)。


関連タグ編集

目黒 目黒のさんま 目黒寄生虫館 目黒競馬場

守口市(大阪府):現在の市役所は、かつての三洋電機本社ビルを再利用している。


外部リンク編集

目黒区公式ウェブサイト

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