概要
『シン・ゴジラ』冒頭、アクアラインにて原因不明の水上爆発が発生し、その原因が巨大不明生物であると判明。
大河内清次総理は学者達の「あの大きさの生物なら陸に上がった瞬間に自重で即死する」との見解に従い、国民を安心させるため「巨大不明生物が上陸する事は有り得ません」と発表するが、直後にその巨大生物が蒲田に上陸したとの報告が入る。
思わず「えっ!?」と素で驚く総理。
場面は巨大不明生物が上陸した蒲田に移る。
車や建物を薙ぎ払いながら進撃する巨大不明生物、それこそまさにゴジ――
設定
本作のゴジラは人間の8倍もの遺伝子情報を保有し、個体での適応進化が行えるため、作中では「第1形態」「第2形態」「第3形態」「第4形態」と姿を変えていく。
海から上がってきた「第1形態」から川を遡上する過程で陸上にも適応するべく急速進化を遂げたのがこの「第2形態」である(ただし、第1形態の姿に関しては明確な全身像が映像では判別できない)。薄黄色い体色をした魚類とも両生類ともつかない体躯に眼の大きな深海棲の肉食魚のような頭部を有し、その首には無数の鰓が覗いているという極めて不気味な容姿をしている。
鰓からは定期的に放射性物質を含む赤い体液が垂れ流されており、凄まじい悪臭を発している。
下半身には一応後脚が出てきているが、前脚(腕)はまだ未発達で、体全体を使ってヘビか陸に上がったウナギの如く這いずりながら移動する。また、その様子はずり這いをする乳児に見えなくもない。
このように、おおよそ我々が「ゴジラ」と聞いて真っ先にイメージする姿とは似ても似つかぬ姿をしているものの、この時点で既に背中にはあの特徴的な背びれが生えかかっている。
まだまだ幼体とも言える形態だが、全長はなんと120メートル以上に達しており、車や建物をかき分け突き崩ながら東京を進行して周辺に多大な被害を出した。
やがてある程度進むと突然停止、それから間もなく直立して「第3形態」へと移行した。
観客の反応
初めて姿が映し出された「第2形態」は、鰓から大量の赤い液体を吹き出しながら、這うように進む姿でとてもインパクトのあるものであり、前情報なしにこれを見た観客は「これが今回ゴジラと戦う敵なのかな?」など考えた人もいた様子(一部の視聴者からは動き方がエヴァの使徒っぽいとか言われたりもしていた)である。
一応尻尾及び背ビレは既に第4形態(よく知られている「ゴジラ」の姿)を思わせる形状になっていたため、「こいつがゴジラだ」と気付く人は気付くようになっていたが、そういう人はそういう人で宣伝などでお馴染みの第4形態とはあまりにかけ離れた姿に「何だこいつ!?」と驚愕させられるハメになった。
鰓から大量の赤い液体を吹き出す這いまわるその姿を気持ち悪いとする声もあれば、(今作のゴジラ全般にも言えるかもしれないが)その無邪気さを感じさせなくもない行動にキモかわいいと評する声もある。
また、丸くて大きな白目に小さな黒目、笑っているようにも見える(裂けた)口など、不気味さはもちろん妙に愛嬌のある顔ということでそれなりの人気を獲得しており、他の形態に比べデフォルメされたぬいぐるみやフィギュアなどグッズ化の機会に恵まれている。
そんなわけで「小さけりゃむしろ飼いたい」みたいな人も結構多いのか、何故か小さくなって巨災対のペットとして扱われているという感じのイラストも多い(この場合だと鰓から吹き出す大量の赤い液体ですらかわいさのための演出として使われている)。
しかし、東京都内を縦断するシーンでこの存在の進路上にあったマンション内で避難しようとしていた夫婦と幼い子供の一家が崩落に巻き込まれるという衝撃的な場面を生み出し観客にトラウマを刻み込むこととなった。
しかも下記の演出意図のため、映像で明確にわかる形での人的被害がこのシーンだけ※ということから勘違いされがちだが、この形態と第3形態の時ですでに数百人以上の死傷者および行方不明者という被害が出ており、決して『シン・ゴジラ』本編の彼は可愛げのある存在ではない。
※内閣総辞職ビームなど、人物を写しての死亡シーン自体は直接描写されず、被害について登場人物が言及することはある。
余談
- この形態時のモチーフは深海魚のラブカだとパンフレットで明言されている。
- 映画公開からまもなくしてこの第2形態および第3形態のムービーモンスターシリーズのフィギュアが発売されたのだが、これらも発売当初はかなり売れたという。さらに今度は両形態のS.H.Monsterartsのフィギュアが発売された。
- ナムコ系列のテーマパーク“ナンジャタウン”で期間限定でゴジラ関連のイベントが開催された際には当地にてこのゴジラ第2形態を象ったアイスクリームパフェが販売され、しかもグレイ・パーカー・サービスからはゴジラ第二形態の抱き枕風クッションも発売されるなど、別な所でもこのゴジラ第二形態の関連商品の展開が行われている。
- 第二形態の全長は旧日本海軍の潜水艦伊401と同じ122m、第三形態の全長は軽空母鳳翔と同じく168.25mとされる。
- 本作のゴジラのモーションは野村萬斎が担当しているが、この第2形態についてはフルCGである。津波や地震などをイメージして作られたという。
- ビルをよじ登るシーンについて「ゴジラがビルをよじ登ろうとするがビルは崩れず、遠くからその光景をスマホで撮影していた通行人が、ビルから転がり落ちたゴジラに潰されて死亡する」という案もあり、CGも雛形程度に作成されていた(CG担当者いわく「すりつぶ死」)。内部での評判は良好で編集段階まで採用が検討されていたが、「人間が直接死亡する描写はなるべく避けたい」という庵野監督の演出意図によりボツとなった。
- 庵野・樋口コンビが手掛けたシン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース第3作『シン・ウルトラマン』の冒頭では、第2形態がのし歩いた蒲田5丁目にとある禍威獣が出現するというセルフパロディが盛り込まれている。
- ウルトラシリーズの新世代ヒーローズ作品などで有名な田口清隆が特技監督を務めた2015年の映画作品『ラブ&ピース』に登場する巨大な亀「ラブちゃん」は、形態的にも状況的にもこのゴジラ第2形態にどことなく類似している(向こうの姿はどちらかというと田口氏も関わったトトにも近いが)。ちなみにこれらの作品には長谷川と津田の両氏も出演している。
- 「ゴジばん」に登場するかまち(カマッテくん)は第2形態をモデルにしており、その父親のシン・オジは第4形態をモデルにする。
- 「ちびゴジラの逆襲」では、第10話でちびゴジラが寝違えただけでこのような姿に変化していた。2期では五月病で変化することが明らかになっている。
別名・表記ゆれ
シン・ゴジラ第二形態 汚いベビーゴジラ 蒲田くん(こちらの名前で呼ばれることが多い) カマタノオロチ
関連タグ
ギドラ(アニメ映画) マガジャッパ:顔の雰囲気がなんとなく似ている。