特徴・生態
円形の断面を持った細長い体、背鰭と臀鰭がつながって体の後半部に位置している尾鰭、退化した腹鰭、全身を覆う大量の粘液が特徴。一応細長い楕円形のようなうろこもあるのだが、1ミリ以下と極めて小さく、皮膚の下に埋まっている。
海と川を行き来する鮭に似た生態を持つが、鮭と違い海で産卵を行い、稚魚の間は海で過ごす。ニホンウナギはマリアナ海溝近くの海で産卵し、孵化した稚魚はわざわざ日本までやって来るらしい。
また海での生態はようやく解明の糸口が掴めた段階であり、いまだ詳細はわかっていない。
川では夜行性で昼間は巣穴で眠り、夜に動き出して小魚や蟹等を襲って食べる。
なお、ウナギの性別はシラスウナギの段階ではまだ定まっておらず、成長の過程で過度のストレスがかかるとオスに、逆にゆったりと育つとメスにと性別が分化して行く事が最近ようやく判明。養殖ウナギのほとんどはオスだと言われるのは、狭い水槽で密飼育されるからである。
ウナギ食文化
ニホンウナギは日本の重要な食用魚のひとつであり、古くは万葉の昔に既に食用とされていたらしい。
元々はぶつ切りにして串に刺し、焼いて食べるだけの素朴な調理法が主体であり、所謂「薬喰い」の範疇を出ないものだったが、江戸時代後期になると今で言う「蒲焼」の調理法が確立し、一気に江戸の代表的な食べ物となった。
巷説には「土用丑の日に“う”のつく物を食すべし」と言う当時随一の知識人・平賀源内の巧みな喧伝がきっかけで爆発的なヒットとなった、と伝えられている。かつてはウナギ専門店で食べる「ちょっと贅沢な料理」という位置づけであったが、畜養の普及でコンビニで販売されるまでに大衆化。おかげで幼魚が乱獲され、絶滅危惧種になってしまった(後述)。
なおウナギが生食に向かないのは、血液に加熱によって分解される血清毒(イクチオヘモトキシン)があるため。しかし適切な調理ときれいに洗い流すことで刺身を提供している店もある模様。
ちなみに「鰻+梅干し」の組み合わせは合食禁としても有名だが、これは鰻の脂っこさと梅干しの強い酸味が刺激し合い、消化不良を起こすから……というのは大ウソ。酸味が脂の消化を助けるため、むしろ食べ合わせは良い。
ただし梅干しの酸味は食欲も増すため、高価なウナギを食べすぎてしまわないようにという戒めとしてこのような迷信が生まれたとされる。高級品の宿命よのう…。
なお土用の丑の日のイメージから夏によく食されるが、旬は秋から冬。越冬のためにモリモリと餌を食べて肥え太っていくため、夏場のウナギとは違うジューシーなウナギが楽しめる。
ビタミンB2を多く含まれている食品でもある。口の周りの皮膚や粘膜を保護する役割があるため、口内炎にはうなぎである。
古くはギリシア、ローマ、現代では東アジア諸国やスカンジナビア諸国、英国やフランス北部、ドイツ、オランダなど多くの国で鰻は食されている。
こと英国・ロンドンにおいては16世紀から19世紀まで安く栄養価の高いコスパの良い食材として親しまれていただけでなく、第二次世界大戦の際にも配給制の対象外だったことから貴重な食材として人気があった。
パイ生地にウナギを入れて焼いたイールパイ、煮込んだウナギシチュー、ぶつ切りにした鰻を煮込んだ後に冷やして固めたウナギのゼリー寄せ、といったウナギ料理は18世紀から続く伝統料理となっている。
テムズ川の水質悪化によるウナギの希少化やより安価な牛肉などによる代用によって伝統は途切れそうになったが、浄化により水質は改善されてウナギの放流を再び行えるようになり、環境局の漁業支援もあってタワーブリッジよりも上流でならば漁網での漁が許可されている。
アメリカでも移住当初の移民たちがよく食べていた食材のひとつとなっていたが、南北戦争の頃を境に食べられる機会は減り、現在ではイタリア系移民がクリスマス料理としてカピトーネを食べる以外は基本的にウナギ食の文化がない様だ。
なお、ユダヤ教においてはウナギは禁忌とされる「鱗のない魚」扱いを受けている(実際には鱗があるが、皮膚に埋もれている上に非常に小さい)。イスラム教ではまともに血抜きがなされていれば(他教の神への供物でもない限りは)クルアーンの規定上禁忌には当たらないものの、それでも宗派によっては禁忌扱いを受ける事もあり、またそうでなくとも敬遠される事も少なくはない。
絶滅への警告
そんな日本食とは縁深いウナギだが、近年絶滅危惧種としてレッドリストに登録されてしまった。
ヨーロッパウナギは2010年に既に絶滅危惧(IA類)の指定をされ、ニホンウナギについては日本の環境省が2013年に、国際自然保護連合が2014年に絶滅危惧(IB類)の指定をした。
価値の高騰や市場への供給量の減少は必至であり、下手すれば危惧通りに"絶滅"してしまい二度と食えなくなる危険がある。さらにシラスウナギの高騰により違法取引が横行しており、ウナギの密漁・密輸はヤクザの資金源(シノギ)でもある。
また日本向けのウナギの蒲焼工場が中国南部に多数あり、その近くに養殖場が造られ、沿岸を流れる海流に乗って北上する稚魚を一網打尽にしているという状況も……。
日本の研究者たちがマリアナから日本への詳細なルートを究明した結果が皮肉にも種の危機を招いている可能性がある。
これらを踏まえ、各地では稚魚を含めたウナギの漁獲量の抑制を開始しており、日本の食文化からウナギが消えないよう、懸命な活動と努力が続けられている。日本各地の河川で多くのウナギが放流されていたり、アンビラ・モザンビガ等の絶滅危惧ではないウナギを食べたり...といった工夫もされているが...違う、そうじゃない(放流されるウナギは上述の通りほとんどがオス。生態系のかく乱や、病原体や寄生虫の拡散するリスクも大きく、専門家によると”下手をすると大切な資源を川に捨てているだけの可能性さえある”という)。
なお最近は日本食が世界各地で食べられるようになり、たとえばマグロの減少などに関しては中国や米国での寿司の消費の伸びなども関係しているが、2000年ごろは世界のウナギの7割を日本が消費していた状況であり、ウナギを世界中で買いまくり絶滅危惧種に追いやった犯人は間違いなく日本人である。
現在は中国のウナギ消費の伸びにより日本での消費比率が減少していると思われ、中国の生産量を「世界の7割」と最大限に見積もって「日本のウナギ消費シェアは15%」という数字が出回っているが、肝心の中国のウナギ養殖生産量がはっきりしない上生産量のかなりの部分が日本向けであるため、日本の消費シェアも依然高いという見方も強い。
完全養殖の模索
ウナギ絶滅の危機を前に、日本では完全養殖の道が模索されはじめた。稚魚(レプトセファルス)が何を食べるのかは長らく不明だったが、1998年にアブラツノザメの卵をよく食べることが見いだされ、完全養殖にようやく目途がついた(自然界ではマリンスノーを食べていると考えられている)。日本の水産研究・教育機構では2002年に稚魚をシラスウナギへと成長させることに成功し、2010年に完全養殖技術を確立させた。その人工シラスウナギの一部を民間の養鰻業者に提供し、2017年には地上でも生産できる環境を確立。実用化に向けた動きが進んでいる。
しかし現段階では、特殊な餌の問題のほか、回転式の特殊な水槽を使い、レプトセファルスは水質汚染に弱いので1時間あたり3回水を換える上に水槽を毎日新しいものに交換しなくてはいけない、など非常に生産効率が低い。レプトセファルスの養殖用水槽のサイズは1トン規模が限界とされ、水槽の数に比例して作業量が増えていくため生産規模の拡大に比例して手間暇がかかる。よって養殖コストは1尾5000円程度(天然物の10倍)とべらぼうに高くなってしまい、養殖ウナギが店頭に並ぶのはまだまだ先のことになりそうだ。
主な種類
どうぶつの森では
64版から登場している魚で、ハナヒゲウツボが登場するまでは唯一の細長いシルエットを持つ魚だった。
夏の河川に生息し、その特徴から釣り上げるのは比較的容易である。しかし、新しいシリーズが発表されていくうちにメジャーどころの魚も追加されているのがシリーズの常で、皆勤賞だった彼も参戦と思いきや、「あつまれ」ではどういうわけかリストラされている。
作中世界でも絶滅の危機なんだろうか?
関連タグ
ヤツメウナギ ヌタウナギ デンキウナギ タウナギ アミメウナギ:「ウナギ」と名にあるが別種の魚。
ウナギをモチーフにしたキャラクター、ネタ
実在の人物
藤井猛:自分を鰻屋に例える事がある。
銀シャリ:ボケ担当の「鰻」和弘は本名。しかし現在日本に7名程度しかいないとされる極めて珍しい名字で、内5名をこの鰻の家族及び嫁が占めている
ウナギを好物とする人物やキャラクター
※派生種を好物とするキャラクターもここに含める。
実在の人物
ジョン万次郎:ウナギの蒲焼が好物だったという逸話が残っている。
架空の人物
作品名(五十音順) | キャラ | 備考 |
---|---|---|
お〜い!竜馬 | 西郷吉之助 | 鰻の蒲焼が好物 |
ガールフレンド(仮) | 白瀬つづり | |
花右京メイド隊 | 鈴木イクヨ | |
鬼滅の刃 | 我妻善逸 | |
クッキングパパ | 東山徹思 | |
激走戦隊カーレンジャー | 上杉実 | |
喧嘩ラーメン | 花岡美佐子 | |
ゴンゾウ 伝説の刑事 | 田端ルミ子 | |
サザエさん | 波野イクラ | |
スロウスタート | 京塚志温 | ウナギ丼が好物 |
beatmania IIDX | ニクス | うなぎ茶漬けが好物 |
ミス・モノクローム -The Animation- | ミス・モノクローム | うなぎパイが好物 |
ミラクルボール | 川上克也 | ウナギ丼が好物 |
それいけ!アンパンマン | うなぎまん |