川上克也
かわかみかつや
武蔵丸第三中学の校長。普段から威張り散らしているため生徒からの評判は良くない。さらにはPTA会長で塁の父親である江夏蓮三郎のような目上の人物にはへりくだって媚びるなどしているため人望は薄い。野球部を何かと目の敵にしており、落ちこぼれ集団、学校のダニ、我が校の恥と嫌い、費用の無駄という理由で廃部にしようとしている。
このように非情ではあるが、ここまで見ればスポーツ漫画によくいる人物のように思える。
しかし彼は野球部廃部への執着が半端ではなく、第一話ではその日の5時までに9人そろわなかったら廃部にしようとしたが失敗したため今度は大会で負けたら廃部にすることを職員会議で決定し、校内野球大会では勝者の会を雇ってまで野球部を負かそうとした。
特に宮本不滅に対しては憎悪のような敵意を抱いていおり、マフラーの男として「両親の死の真相を知るものに会わせてやる」という嘘の手紙で彼の冷静さを失わせたりプロ入団テストでは出場者の元木に不滅を落とすことを依頼したり地区大会では客席から鏡で不滅の目をくらませたりと野球部廃部の為に執拗に妨害工作をするようになった。
実は彼がここまで野球部を目の敵にし、不滅を毛嫌いにするのには理由があった。川上はかつて不滅の祖父である茂雄と同じ三中野球部に所属していた。実力はかなりの物であったが、茂雄は彼にろくに練習をさせず、雑用ばかりさせていた。そしていつしか「茂雄が自分に抜かれるのを恐れている」「自分の実力を妬んで邪険に扱っている」と考えるようになり彼を恨み野球部を退部、その後は三中野球部に復讐するために猛勉強して教師となり、現在の地位まで上り詰めたという過去が明らかとなった。
最終的に三中は一中に敗れ、廃部が決定してしまったが不滅は「何でもするから野球部の廃部をなしにしてくれ」と頼んできた。それに対し川上は「今すぐに転校しろ」と悪辣な条件を出す。しかし不滅はそれを飲み、転校したため野球部の廃部はなしとなった。
それを野球部の面々に話した後、部室に茂雄の活動日誌を見つける。「どうせろくなことが書いていないだろう」と言いながら読み進めると、そこには茂雄が川上の実力を認めていて次期キャプテンにふさわしい人材だと期待していたということ、しかし実力がある故なのかチームワークを馬鹿にしたり、仲間を見下したり、基本をおろそかにするような言動や行動が目立っていたため彼の心身を鍛え直すためにあえて雑用ばかりさせていたということ、退部後も何度ももどってくるように説得に来ていたということと、すべての真相が語られていた。
それを知った川上は
「宮本キャプテン…あなたはこんなにも私のことを考えていたのですね…!それなのに私は…なんということをしてしまったんだ…!」
と自身の行いを涙ながらに後悔していた。
その後の彼がどうなったかは不明だが、不滅が立ち去った後の野球部の様子から、少なくとも野球部を廃部に追い込むなどの妨害行為をする事は無くなっていた。