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平賀源内

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ひらがげんない

平賀源内とは江戸時代中期に活躍した本草学者・蘭学者・医者・戯曲作家・発明家・建築家・画家・実業家である。その奇人ぶりでも有名。

江戸時代中期〜後期(江戸幕府8代将軍徳川吉宗〜10代将軍徳川家治の時代)に活躍したの間に活躍した本草学者蘭学者医者作家発明家建築家画家蘭画家)・実業家

プロフィール

生没:享保13年(1728年)〜安永8年12月18日(1780年1月24日)

諱:国倫、国棟(別名)

通称:源内→元内→源内

字:士彝、子彝

雅号:鳩渓

俳号:李山

ペンネーム:風来山人、悟道軒、天竺浪人、福内鬼外

最初は白石姓だったが、戦国時代信濃佐久郡に拠った信濃源氏大井氏流平賀氏の末裔を称し平賀姓に改めた。ちなみに信濃平賀氏は元々源義光の三男で佐久郡平賀邑に拠った平賀盛義から始まった家だが盛義の孫である平賀朝雅が「牧氏事件」で北条義時と対立し討たれ没落した。源内の実家である白石家に伝わる伝承では南北朝時代小笠原貞宗を輩出した信濃小笠原氏の庶流である大井氏の一流が平賀氏を再興し信濃国佐久郡に拠っていたが武田信虎に攻められ滅ぼされた。のち陸奥国白石に逃れ子孫は伊達政宗に仕え、政宗の庶長子の伊達秀宗伊予宇和島藩主になった時、四国に赴いて讃岐で帰農したとされる。

経歴

徳川御三家の一つ水戸藩の支藩である讃岐高松藩の足軽で志度浦(現在のさぬき市志度)に居住していた白石茂左衛門の三男。母は山下氏。

幼い頃より細工物で周囲を驚かせていた事から藩に見込まれ藩の金を使って各地に赴き遊学。長崎蘭学を学び、薬草園の整備や製陶、和三盆製糖、製塩、醤油醸造など各種技術の持ち込みと改良など讃岐の殖産に力を尽くした。

しかし遊学の果て功名に取り憑かれ「讃岐のみならず全ての国で力を奮いたい」として江戸勤めを願い、引き続き讃岐の殖産に集中して力を尽くして(せめて莫大な藩の金で遊学しただけの働きはして)ほしかった(藩の重役が持つ産業発展のノウハウや政治力を改めて学び、源内に藩のブレーンとなって、その後を継いで欲しかった)高松藩と意見が対立。幾度もの引退騒動(妹婿に家督と仕事を強引に譲り渡して隠居しようとした。高松藩側としては莫大な借金を踏み倒されるに等しい)を引き起こした上、源内の存在を聞き付けた老中田沼意次に安易にホイホイされてしまった結果、ついに主君である松平頼恭(徳川光圀の曾孫)にブチ切れられて高松藩から主君に仕えて仕事を得る侍としては事実上「社会的な死刑」に等しい奉公構(江戸時代初期には後藤又兵衛塙団右衛門が食らっている)の処分を受けて「本来、高松藩でのお役目で学べたはずの事を学ぶことなく」国許から放り出され、他家さらには幕府にも正規に仕えることができなくなる身分となった。

しかし国許から出された事をその意味も深く考えずこれ幸いと喜んだ果てに江戸を拠点として活動を始めた。その類い稀な才能は杉田玄白ら他の多くの蘭学者にも認められていたが、語学の素質はなかったようでオランダ語はついに身に付かなかった。

自身を巧みに売り出す術にも長け、鉱山開発・焼き物製造・土木工事など多くの事業に関わったが、源内の関わった事業の多くは失敗している。源内は得意の口八丁で大風呂敷を広げては幕府や諸藩から金を出させるが、うまくいかないとたちまち情熱を失い、次の事業へと興味を移していく。源内が手を引いた後、事業化に成功した事例も多いが、源内が大成しなかったのはこの飽きっぽさ、移り気な性格のせいが大きいだろう。

また源内自身が「奉公構」の身の上である以上、幕府も諸藩も源内に責任のある仕事を任せること、源内を事業を左右する立場に据えること、源内が成果を出してもその成果を源内のものとして認めることなどは決してできなかったのである。そんな立場で事業を興しても責任ある立場は幕府や大名から派遣された別の責任者に預けねばならぬ(そして派遣された側も「自分が責任者なのだから」という自負もある上、大抵は武家社会で大恥とも言える「奉公構」な身の上の源内の言う事なんかマトモに聞かない)のだから成功などしようがない。源内が事業に携われば携わるほど、この事実は深刻に尾を引いた。

それを見て、一時はあれほどもてはやしていた世間も、山師と謗るようになり、やがて発明や研究にすっかりお金を使い果たし家賃も払えなくなって廃屋同然の小屋(しかも曰く付きの事故物件)を買い取りそこに住む。

安永8年、大名屋敷の修理を請け負った際に、酔っていたために修理計画書を盗まれたと勘違いして(実際は自分でしまい込んでいたのを忘れていた)大工の棟梁2人を殺傷したため、同年11月21日に投獄され、12月18日に破傷風により獄死した

源内は男色家だったので、この殺人は「男同士の痴情のもつれ」だったのではないかという想像もあり一時期はこの説が人々の耳目を惹き付けるスキャンダラスなものとして(あることないこと)取りざたされた。

その男色も、幼少期に受けた女性によるトラウマが原因となって男色家になったとされている。

人物像

虚像

多くの分野で活躍した奇人。現代風に言えば、元祖マルチクリエイターないしは元祖ハイパーメディアクリエイターといったところか。

  • 蘭学者として油絵や鉱山開発など外国の文化・技術を紹介した。
  • 文学者として「戯作」の開祖となる。
  • 発明家として、オランダ製の静電気発生装置エレキテル」の紹介、繊維鉱物「石綿」の鉱山の開発と、これを原料に作り上げた燃えない布「火浣布」(石織布)の開発などがある。
  • 浄瑠璃作家として「福内鬼外」の筆名で執筆。『神霊矢口渡』『源氏大草紙』等の時代物を多く手掛けた。
  • コピーライター・イベントプランナーとして、「土用のうなぎ」を流行させた。鈴木春信と共に絵暦交換会を催し、浮世絵の隆盛に一役買った他、日本初の博覧会を企画・開催した。

中でも有名なのが発明家の顔で、巷説では「稀代の発明家」としてよく取り上げられる。

実像

実在の源内は何でもできるが、何一つ大成しないという器用貧乏を地で行く悲運の人物であった。

よく取り上げる発明家としての評価も、生前から死後に至るまで、よく疑問を呈される。

源内の評価のうち、好評価に類されるもののほとんどはエンタメ・メディア関連の業界が、昭和時代最末期〜現在の令和年間の価値観に照らし合わせて出しているものであり、そもそもが当時の社会情勢や価値観からは離れたものである事、さらに学識的な価値観(社会学、歴史学、特に学問における歴史研究の分野)においてはむしろ源内を評価する事には当時の社会(江戸田沼時代)の常識からは矛盾しており批判が多い(この当時に源内を評価していたのは、ごくごくわずかな友人などの身内で身内贔屓の側面がある、あるいは逆に源内の行動に対して傍観を決め込めて好き勝手に現実とは解離した事を「噂」で語る無責任なお囃し人である)ことは、基本、押さえておく必要がある。

例えば「竹とんぼ」の発明者とも言われ、これを史上初のプロペラとする人もいるが、実際には竹とんぼはそれ以前から存在している。

また先述のエレキテルは彼が発明したとよく勘違いされるが、正確には壊れていたエレキテルを通詞の助けなども借りながら修復しただけである。そもそも彼はエレキテルの理論はよくわかっていなかったらしく、電気学の発展につながることはなかった。

火浣布の開発にしても実のところは古代の中国や日本の古書や記録から製法を漁って再現させたダケであり本当の意味で源内が発明したというワケではない。

そして、なによりも源内には、こうした発見したものを産業へと発展させるノウハウが無かったため、その全てはその場限りのものとなり、後世に産業として伝わる事が無かった。

悲運の人ではあれど、その悲運は主君・松平頼恭をはじめとして世話になった多くの人たちに不義理をした結果、とも言えるもので、その意味では自業自得の最期と言えなくもない。

評価

ものの見事に真っ二つ賛否両論である。

上述の成果を挙げる者は「多才なる非業の天才、様々な事に挑戦したチャレンジャーにして開拓者、身分制度や侍(大名家)の面子や矜持によって活躍の機会を奪われた、早すぎた偉人よ」として持て囃す。しかし、その生き方の不義理や結末を挙げる者は「偉人なんてとんでもない。自惚れの果てに多くの人に迷惑をかけて、一意専心をすることもなく上辺だけを取り繕ってはフラフラとあちらこちらに顔を出し、日本を引っ掻き回した大山師(大たわけで大うつけの馬鹿野郎)」とにべもない。そもそもあまりに不義理さゆえどの時代に生きたとしても人生を全うすることは不可能だっただろうと言われている。

玄白は源内の死後、その生き様をして、彼を非常の人(奇想天外で常人の価値観では量れないという意味)と讃えた。これ自体は類希なる文書力で身を拓いた前漢の文人にして役人であった司馬相如の逸話からの引用である。現代では良い意味に捉えられがちだが、そもそもの前提としてオブラートに包んだ言葉であり本意として「なんでお前は普通に真っ当に大事にせねばならぬものを大事にせず、きちんとした義理を通して生きられなかったんだ(そうすればもっと幸せに生きられたのに)」という友の末路を嘆く言葉でもあるため、悪い意味も当然にある。ちなみに三国時代の英雄での創始者となった曹操も正史『三国志』では「非常の人」と評されているがこちらは本当の意味で規格外の英傑という意味である。

また東芝のルーツとなった幕末から明治初期にかけて活躍したからくり職人で事業家の「からくり儀右衛門」こと田中久重は、源内を「せっかくのからくりをおもちゃにしかしなかった。その成果を後世に遺せず無意味なものにした挙げ句、後の世におけるからくりの立場を無闇に貶めた。非業の最期も当然である」(要約)とし、自身のからくり好きとしての若き日の無用だった苦労も源内に責任の一端があるとして壮絶にディスっている

フィクションにおける平賀源内

NHKドラマ

  • 風雲児たち〜蘭学革命編〜

演:山本耕史

2018年正月時代劇。脚本担当は三谷幸喜

後述の『風雲児たち』の江戸中後期が舞台である「田沼時代編」を原作としたドラマでキーパーソンとして活躍。史実の源内の生涯だけでなく、マルチクリエイターであったものの様々な方面に手を出して失敗した悲哀感漂うエピソードや、鰻を流行らせた等のエピソードも描写されている。

4年後の2022年、山本が演者だったことからメフィラス扱いされた。

演:安田顕

2025年大河ドラマ。脚本担当は森下佳子

男色家として描写され、蔦屋重三郎に対して迫る場面もあった。

キャストは森下たっての希望とのこと。

民放ドラマ

演:西田敏行

1989年5月8日から1989年9月18日に放映。全20話。『水戸黄門』や『大岡越前』と同じくTBS系の「ナショナル劇場」(当時)の時代劇。

既にエレキテルを所有しており、電気療法などで活用している他、老中・田沼意次とも懇意にしている。また、空を飛ぶ道具の研究も行っており携帯型のグライダーを発明。一度だけ試験飛行に成功している。のちに新たな知識を求めて海外との唯一の玄関口である長崎に旅立つところで物語は幕を閉じた。

演:鈴木杏

男装をしている女性の研究者として登場する。別名:権太夫。

田沼意次に起用される。さまざまな発明を行い、大奥内にもファンを持つ戯作者としての顔も持つ。

全国を旅して赤面疱瘡撲滅のための研究を続けている。同性愛者である。

演:宮口精二

1983年12月30日、必殺シリーズの長時間特番「年忘れ必殺スペシャル 仕事人アヘン戦争へ行く 翔べ!熱気球よ香港」に特別ゲストの一人として登場した。

劇中では50代で獄中死したのは替え玉ということになっており、113歳の、牢内の最長老的な存在として描かれ、主人公の中村主水たちを乗せてを目指した熱気球を開発した。この特番は他にも国定忠治とか遠山金四郎とか、果てはナポレオン・ボナパルト?までゲストとして出てくるなどカオス満載である。

漫画・アニメ

みなもと太郎作の歴史ギャグ漫画。先述のドラマの原作となったがこちらでは悲劇的な最期まで描かれている。

田中久重共々キテレツ斎のモデルとなった。

平賀源外の元ネタとなった。

声:工藤晴香 二つ名・識神

現代での文明に感動し、自身の発明品を作って売り歩きながら未来へ行くタイムマシンを製作している。その間はサッカー好きの少年(声・五十嵐裕美)の家でお世話になっている。

声:大谷亮介

世界偉人軍団の一人。電気を自由自在に操ることができる。そこから放たれる電気の威力は非常に強力で、アメリカの空軍部隊をほぼ一瞬で壊滅させた。電撃はシールドやビームソードにもなる。

風来長屋の大家。序盤は名前は出ず「ご隠居」として登場する。いつもご隠居ガールズを引き連れている言動に謎の多い人物。

その正体は、ソラとは異なる星の異星人。

声:てらそままさき

自身が没して数年後の世界からワープしてきた巨大からくり(未完成のまま没した遺作)に付いていたスマホに写っていた内藤晶に一目惚れし、タイムマシンを自作して晶達がいる時代へとやってきてそのまま住み着いた。その後は自身の口下手と晶の鈍感さによって片思いが続いていたが、ある一件をきっかけに相思相愛になり、戦闘時に巨大からくりを共に操縦して戦地へ向かう等良きパートナーとなった。

CV:佐藤二朗

ゲーム

17作目の『桃太郎電鉄DS』より登場した歴史ヒーロー。さぬき駅を独占すると登場する。エレキテル型の発明品をたびたび発動させ、物件を安く買ってきたり、カードを入手したりして援護する。特に相手1人を3ヶ月行動不能にさせる「アシドメール」は凶悪の一言なので他人にさぬき駅を独占されるとまさに脅威となる。

乙女パズルゲームの攻略キャラクター。→平賀源内(ラヴヘブン)

異世界の危機を救うため、主人公により召喚された。

作中のキーマンとして登場。

物語の根幹に深く関わり、現代人の主人公が江戸時代にタイムスリップしたキッカケを生み出したりする等、重要人物として扱われている。

他、上記のマルチクリエイターであることや、鰻を流行らせた等のエピソードも描写されている。

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器用貧乏

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