概要
鱗を持たない茶褐色の細長い体にナメクジを彷彿とさせる目のない頭部が特徴の海洋生物。漢字表記は「饅鰻」。
ヤツメウナギ共々、ウナギと名が付くがウナギどころか魚類ですらなく、無顎類(円口類)の一種。
尚、本来目があったであろう場所には白い斑点があるが、その皮膚の中に退化した目が埋没している。
浅い所から深い所まで全海域の海底に生息。主に死んだ他の海洋生物の死骸を食べる腐肉食性で、その頭部には鑢のように細かい歯が並んだ口(歯舌とも言う)を備えており、それで死骸の肉を削り取るようにして摂取するが、時に生きているものもそれが小さい魚なら丸呑みして捕食するとされる。
深海での生態系調査で餌となる肉類などを海底に置くとどこからともなくやってきてそれに群がる光景がよく見られる。
また、ヌタウナギは複数の心臓を持つ生き物としても知られ、種類によっては最大6つの心臓を保有している。
食用
一大消費地は韓国であり、当地では古くから庶民の滋養食として用いられてきた。食材のほか、ヌタウナギの革が革製品として流通している。繁殖力はさほど強くないため乱獲が問題にされた時期があった。
アメリカで漁獲されるヌタウナギは別の学名の種であっても食用としては区別されない。
韓国以外では食用の習慣は一般的ではなく、日本でもこれを食べる習慣があるのは新潟県や長崎県、秋田県の一部地域に限られる。底曳き網の邪魔になるため漁業関係者からは嫌われている。ただし、日本テレビ系列において放送されているテレビ番組「ザ!鉄腕!DASH!!」にたびたび登場し、番組の企画で開拓中のDASH島において干物や燻製にして食している様子が放送された。
ヌタ(饅)
全身から分泌される粘液の俗称で、外敵に襲われた場合に分泌する事が多い。
実は自然界の中でも相当な性能を誇る攻防一体の武具であり、粘りにより外敵の攻撃を巧く逸らすだけではなく、鰓等の呼吸器を塞いで窒息死させる事も可能。
因みに、分泌腺から出るのは糸玉状にまとめられた「多糖類の繊維」であり、これが水中で広がりながら周囲の水分を絡めとる事で粘液を形成している(要するに天然の「吸水性ポリマー」)。なので、水分が完全に失われるとヌタは出ない。
また、その繊維の強度はナイロンの10倍程あるとされ、未来の衣料用繊維の素材になり得るとして研究が進められている。
関連タグ
財布…剥いだ皮は革製品に使われる。
メクラウナギ…旧和名。盲(めくら)が差別用語であるという理由でヌタウナギに改名された。