日本ではキムチ、冷麺、焼肉、ビビンパ、クッパ、ナムルなどが知られ、昨今では参鶏湯やチゲなども知られる。
概要
朝鮮半島は夏は暑く冬は寒いと両極端な気候なため、塩分が濃く、ニンニク、唐辛子などをふんだんに使った辛い料理が好まれてきた。辛さに隠れて見過ごされがちだが甘さが際立つのも特徴で、砂糖、水飴、オリゴ糖などの甘味料を大量に使った甘い味付けが好まれている(韓国の砂糖消費量は日本の2倍近い)。ただし、こうした濃厚で刺激的な味付けは半島南部の特徴で、北朝鮮は薄味の傾向があるらしい。
砂糖は消費量だけでなく輸出も多く、日本の菓子にも韓国産の砂糖を使用した製品が出回っている。
野菜や山菜、漬物や乾物などの保存食・発酵食品を多用し、汁物(湯)料理が多い。
韓国の食文化では漬物(キムチ)は欠かせないものである。日本では焼肉店でよく供され、また漬物消費では最も多いなどなじみ深い料理となっている。ちなみに日本ではあまり発酵させていないものが好まれ、中には「キムチの素」で和えただけという浅漬けまがいの代物もある。韓国料理を食べ慣れない人でも食べやすいが、キムチ愛好者や韓国人には物足りないとか。一方、韓国風はというと魚介の塩辛等を加えてしっかり乳酸発酵させているため、コクと旨味が濃厚であるが、匂いや辛さに独特の酸味もまた強烈である。こうした違いは日本におけるキムチはいわゆる副菜として食されるのが主なのに対して、韓国においては具材や調味料の一つとして扱われていることに起因すると考えられている。
地理的に近く、朝鮮民族も多く居住する中国東北料理や日本料理との関係が深く、マンドゥ(蒸し餃子)やキンパ(海苔巻き)などにその影響がうかがえる。同じアジアで唐辛子を多用する料理として中国料理の四川料理や湖南料理、東南アジアのタイ料理などがあるが、これらとは直接的なつながりは(近年はともかく歴史的には)ない。
おかずの総称はパンチャンと呼ばれ、三国時代中期は仏教思想から菜食が基本だった。
食肉禁止が解かれたのはモンゴルの侵攻からであり、騎馬民族の影響を強く受けている。
日本では伝統的に焼肉店が韓国料理もサイドメニューとして提供しているという例が多かった。しかし、2000年代以降は徐々に韓国との民間交流が盛んになっていったため、かつては韓国料理をメインで扱った店は在日コミュニティが存在する地域でなければなかなか見つからなかったのが、現在では各都道府県の主要都市部であればほぼ確実に見かけるほど、日本社会に根付きつつあるジャンルの料理となった。
テーブルマナー
テーブルマナーは日本料理と共通する部分も多いが、いくつかの違いがある。不慣れであっても韓国に訪れた際は、韓国のマナーを可能な範囲で守ることが望ましいだろう。
基本的に中華料理のマナーに近い。現代の中国料理は昔に比べかなりルールが緩くなっているが、中国では廃れた古い風習が韓国に残っている面もある。
- 箸と匙を併用する
- 椀を持って食べてはいけない
- 伝統的にテーブルのない乞食や囚人を連想させるためみっともないとされる。韓国の食器は湯呑みの類を除き食事中に手にすることを想定していないので、熱伝導率の高いステンレス製のものがよく使われる。
- 酒は目上の人間を敬った飲み方をする
- 具体的には横を向き、口を杯を持っていない手で隠して飲むのが作法。
- 会食では直箸が基本
- 韓国人は大勢で食事することを好むが、取り箸を使わず、同席の者が直接鍋や大皿をつつくことで親愛の情を表す。近年は感染症対策から改めようとする向きもある。
- 食べ物は少し残して終える
- 「食べきれないほど出してくれてありがとう」という意味を込めて行う。近年は食糧廃棄問題に対する意識が高まって改めようという運動が始まっているが、この文化は未だ根強い。
余談
- 狭義の在日韓国人(いわゆるオールドカマーとその子孫)は韓国南部にルーツを持つ人が多く、その為、日本の韓国料理店の料理名は「韓国全域で使われる呼び名」ではなく「韓国南部の方言での呼び名」が使われる場合がある。この例としてはチヂミがあげられる。
- 犬食文化で知られる韓国であるが、1988年のソウルオリンピック開催を機に諸外国の目を気にした当局の取り締まり対象となった。その後韓国内の愛犬家の増加により犬食への風当たりが強まり、2024年に成立した通称「犬食禁止法」で食用目的の屠殺・流通が禁止された。同法が施行される2027年までに韓国の犬食文化は姿を消してしまう可能性が高い。
韓国料理の一覧
キムパプ キムチ ナムル ホットク トッポギ(トッポッキ) ホンオフェ
クッパ:マリオシリーズの悪役であるクッパは韓国料理であるクッパから名前を採用された。
韓国の飲み物
韓国伝統茶・・・チャノキの茶葉より、トウモロコシ茶などの様々な穀物茶の方が一般的。
美酢(ミチョ)
韓国の食品メーカー
農心・・・インスタント麺メーカー。辛ラーメン、ノグリラーメンとチャパゲティ(チャパグリの材料)など。大体辛い。
韓国式中華
韓国で独自に発展した中華料理。19世紀中頃、山東省から中国人が流入し、中国料理が朝鮮半島に持ち込まれた。彼ら彼女らは「チョンヨリチプ(清料理屋)」という、日本人など富裕層相手の高級料理店を営んでいた。
日帝強占から解放された後も、混乱と食糧難に陥っていた朝鮮で、アメリカ産小麦粉が安価に流入した。韓国政府も粉食を奨励したため、小麦粉を原料にした中華料理が普及した。
解放後、華僑は「チュングッチプ(中国店)」を経営し、簡易な麺料理を中心に、安くてボリュームある料理を提供し、外食店の少なかった戦後韓国で親しまれた。
1960年代~70年代、華僑が細々と経営していた、チュングッチプでこれらの中華料理を提供した。安価でボリュームのある中華料理は庶民の人気を得ていった。
1980年代になると、これらの料理が大量生産に適した製法に合わせて改良され、同時に韓国ナイズされる。
同時期、ソウル五輪に向けて、華僑への経済的締め付けが強化され、自由の利く台湾へ流出した。これにより、韓国人経営のチュングッチプが激増した。
大量生産により、手作りの味は消え、均一化されたファストフード的な要素を強めた。屋台やデリバリーなどで食べられることが多い。また、渡航自由化により、韓国式中華の海外への輸出もされている。
主な韓国式中華
麺類
- チャジャンミョン
- チェンバンチャジャン
チャジャンミョンに海鮮を入れて、炒めたもの。
- チャンポン
海鮮や野菜が入った辛いスープに太麺が入っている。日本風中華から輸入され、独自に発展した。料理名は日本のちゃんぽんから。
- ネンチャンポン(冷チャンポン)
チャンポンを冷やしたもの。夏限定。
粉食
その他
- タンスユッ
韓国式酢豚。「糖醋肉」ないし「古老肉」が起源。解放後、「糖醋肉」の広東語「タンチュロー」が転じて「タンスユッ」となり、韓国独自に発展した。韓国式中華では高級な部類で、祝い事で食される。酢豚と違い、揚げた豚肉と餡は別に出され、これを付けて食べる。
食べ方は「ブモッ(餡をかける)」と「テンモッ(付けながら食べる)」がある。この餡を付けるか、付けないかで好みが分かれ、論争になることも。
- ポックンパプ
炒飯。チャジャンミョンと同じソースが付いており、これをかけて食べる。ジャジャンミョンと一緒に出される。