解説
韓国全羅南道の港町である木浦地域の郷土料理で、ガンギエイの切り身を壺に入れて密閉し、冷暗所で数日間放置することで作られる。
エイはサメ等と同じく尿素を体液の浸透圧調整に用いているため、発酵させることで体組織中の尿素が加水分解されてアンモニアを生じる。これによって肉質が柔らかくなり、強いアンモニア臭がするのが特徴である。
発酵させればさせるほど肉質が柔らかくなって旨味が増して美味とされるが、当然ながらその分、アンモニア臭も激烈なものとなる。
特に本場である全羅南道のホンオフェは壮絶で、口に含めば鼻から抜けるあまりの刺激臭に涙が止まらなくなる上、口内に長く入れておくとアンモニアで口の粘膜が爛れてしまうというオマケ付き(漫画『もやしもん』ではその臭いを「夏場のトイレで放置されてた小便が染み込んだトイレットペーパー」と喩えている。ちなみに作中では作り方について「それってうっかり出来てしまった物なのでは…」と指摘されてるが、まあ、発酵食品の発祥なんてどこの国も似たようなもんである)。
あまりにも刺激が強いので、キムチや豚肉と共にサンチュやサニーレタス等で包んで食べる方法が一般的であるが、そのままいただくのが通の食べ方とのこと。
他の地域でも食べることもできるが、その殆どはあまり発酵させていない、または新鮮な物で、普通のエイの刺身と言った感じ(こちらは『フェ』と呼ばれる)。
韓国でもあくまで珍味の部類であり、日常的に食されているわけではないものの、地方によっては冠婚葬祭に欠かせない高級料理として扱われている。
関連タグ
シュールストレミング…ホンオフェ以上に強烈な臭いがする発酵食品。