概要
まず野菜を塩漬けにし、さらに海産物(昆布、魚介の干物など)や香辛料(唐辛子、ニンニクなど)を混ぜて漬け込む。
唐辛子をふんだんに用いるため、鮮やかな赤色と辛味を呈するのが特徴。
単独で、あるいは付け合せ(特に焼肉店)として食べられる他、炒め物の具(例:豚肉と一緒に炒めた「豚キムチ」など)や鍋の具(キムチチゲ)としても用いられる。
一般的に、単に「キムチ」と呼んだ場合は白菜のキムチ(ペチュギムチ)を指す。
他にはキュウリ(オイギムチ)、大根(カクトゥギ、若しくはカクテキ)、キャベツ(ヤンベチュキムチ)、鱈の胃袋(チャンジャ)などのキムチがある。
また、唐辛子やニンニクを用いないキムチはムルギムチ(水キムチ)と呼ばれる。この場合漬け原料として唐辛子の代わりに米の研ぎ汁、味付けとして魚介の代わりに林檎または梨を使う。普通のキムチより発酵が早いため日本でいう浅漬けの要領で作れる。
ムルギムチの漬け汁は、冷麺のスープを作る時には欠かせない材料とされる。ただ、本場韓国産は乳酸発酵のせいで漬けたてでも酸味が強く、密閉不可というデメリットもある(下手すると容器を破壊できるほどのガスを短時間で発生させる)。
酸味は日数が経つと急激に増すため、半島では古漬けになったキムチを美味しく調理するためのレシピも多く存在する。
キムチの代名詞とも言える白菜キムチであれば、豚キムチやキムチ鍋などの加熱する料理は古漬けの方が向いていると言われる。
名前の由来は諸説あるが、主流なのは「沈菜(チムチェ)」という朝鮮語が訛ったという説である。
チムチェとは野菜を塩漬けにした際、水分の流出により野菜が塩水に沈んだ状態を指す言葉で、これが朝鮮→韓国という時代の流れにより発音を変えていった結果「キムチ」として定着したという物である(実際にキムチも漬け汁に浸っている)。
日本では発酵の浅い、酸味のあまりないものが好まれる事が多く、浅漬けの製法で作られた、発酵させていないキムチも多く流通している(生の白菜に桃屋の「キムチの素」などの調味料をまぶしただけの代物で、本来のキムチとは似て非なるものである)。
また、韓国の唐辛子は辛さがまろやかなのが特徴(このため韓国料理は見た目の割には辛くない料理が多い)で、辛い中にほのかな甘みがあるのだが、日本に持ってきて栽培すると日本の在来種の唐辛子と変わらないほど辛くなってしまう。なぜそうなるのか原因はわかっていないが、日本と韓国の土壌に違いがあるのでないかとの説が有力視されている。
キムチのメインで使われる白菜についても、日本国内のは身が厚く瑞々しい(言うなれば育ちが良過ぎる)ために韓国白菜の様な軽い歯触りと味の染み込みが味わえないらしく、いくら韓国出身者が日本国内で母国通りにキムチを作っても使用する原材料の関係で本場の様にはいかないという声がある。
韓国での年間消費量は流石なモノらしく、家族総出で取り掛からないと1年分漬けられないので、そのための休暇が認められている(大企業になると必要経費用のボーナスまで出してくれる)。
しかし近年は、若年層を中心にキムチ離れが著しいとか。
また、既製品を買ってご家庭で消費する主婦も増えている。
乳酸菌やビタミンが豊富であるが、使用する塩の量もかなり多い(酸味のせいであまり感じない)。
さらに唐辛子が大量に入った刺激物であるため、日常的な多量摂取は高血圧や胃癌の原因にもなり良くないとも言われている。